ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

欧州ユーロ圏の失業率 10.6% アメリカ並 

2010年01月09日 | 時事問題
朝日新聞 2010年1月9日8時34分
ユーロ圏失業率10.0% 仏10.0%、独7.6%
 【ロンドン=有田哲文】欧州連合(EU)統計局が8日発表したユーロ圏(16カ国)の2009年11月の失業率は10.0%で、1998年8月以来の高い水準になった。前月より0.1ポイント、前年同月より2.0ポイント悪化した。
スペインが19.4%、フランスは10.0%、ドイツは7.6%だった。

日本の5%を超える程度の失業率はまだましなほうか しかし下を見ても切りが無い。旧ロシア圏では20%以上の失業率の国もあるのだし。

医療問題  診療報酬0.2%アップで医療再生が可能なのか?

2010年01月09日 | 時事問題
医療に関する提言・レポートfrom MRIC(2010年1月7日)「喜ぶべきか悲しむべきか 10年ぶりに診療報酬プラス改定」 多田智祐 ただ胃腸科肛門科 より

 2010年度の診療報酬の改定が0.19%アップ(35兆円の医療費では7500億円程度)で決着した。自民党政権では過去10年間連続して減少してきたことに較べれば、これは喜ぶべきことなのでしょうか。長妻厚労相は「医療費内の配分をぎりぎりまで見直せば、どうにかなる」というが、はたしてどうにかなる問題なのであろうかというのが多田氏の医療現場からの問題提起である。医療現場ではぎりぎりのコストダウンをしてきているが、もはや絶対に黒字化できない状況に追い込まれている。この0.2%アップで、病院の7割、民間診療所の1/3が赤字の状態を改善できるのだろうか。例えば採血処置は材料込みで110円、浣腸処置は610円なのである。そして再診料の60円引き下げも用意されているのだ。医療再生を謳うなら、0.2%ではなく30%アップが必要だというのが多田氏の主張である。

核密約文書 佐藤元首相次男聴取 コピー提出

2010年01月09日 | 時事問題
朝日新聞 2010年1月9日3時1分
核密約を外務省が聞き取り 文書保管の佐藤元首相次男に
 沖縄への核兵器再持ち込みをめぐり、佐藤栄作首相とニクソン米大統領が署名した秘密合意文書の存在が明らかになったことを受け、外務省は8日までに、文書を保管していた次男の信二氏から聞き取りをした。同氏は外務省に合意文書のコピーを提供したという。
 聞き取りをしたのは、外務省密約調査チームを率いる北野充・官房審議官(危機管理担当)ら。同省の調査を検証する有識者委員会(座長・北岡伸一東大教授)の委員が聴取を希望したが、佐藤氏は拒んだという。

佐藤氏次男の行動が不可解 外務省官僚の聴取には応じるが、第三者委員会の聴取は拒否 いまだに官僚内閣支配が続いている。恐らく外務官僚には公開しないことを前提に聴取に応じたのだろう。外務官僚は2枚舌で外務大臣に報告するだろう。それでは第三者委員会の検証が出来ない。岡田外務大臣は直接その文書を見る必要がある。

読書ノート 岩井克人著 「貨幣論」 ちくま学芸文庫

2010年01月09日 | 書評
マルクス「資本論」から貨幣の秘密を読み解き、資本主義の危機を見通す 第6回

4) 恐慌論・危機論 (1)

 物々交換経済においては、需要と供給は完全に一致するという「セーの法則」が成立していた。しかし貨幣のある世界とは「セーの法則」が成立しない世界である。貨幣は耐久性があるので蓄える事が出来る。貨幣とは交換媒体であると同時に最大の流動性を持つ価値の保存手段でもある。貨幣は利子や配当を生むのである。これをケインズは「流動性選好」と呼んだ。「流動性選好」が貨幣の商品化を生み、それ自体であたかも商品であるかのように流動性選好という人間の欲望の対象となった。マルクスは貨幣が流通せずにいると需要は供給より少なくなり、自ずと「セーの法則」は破れる事を指摘した。時間的なずれによって需要と供給が独立した動きをすることを可能とし、市場の相対的な不均衡から全般的な不均衡の発生となると、「恐慌の可能性」が見出される。この可能性を説いたのがヴィクセルの「不均衡累積過程」である。全般的な不均衡の場合、個々の商品市場の相互依存のネットワークが価格の調整という均衡化への傾向を阻害するため、物価は連続的に勝無制限に下落し続けるのである。これは今ではデフレスパイラルという。「見えざる手」は全く働かないのである。
(続く)


読書ノート デカルト 「哲学原理ー第1部形而上学」 ちくま学芸文庫

2010年01月09日 | 書評
スコラ哲学を下敷きにして、近代科学の曙を告げる哲学 第3回

 デカルトは「哲学原理」のフランス語版の翻訳者に序文に近い書簡を寄せている。そこには「哲学原理」で一番重要な原理をまとめている。まず「哲学」とは何であるかについて述べられている。てつがくとは知恵の研究であり、自分の生活を導くためにも人が知りうるあらゆることについての完全な知識を知る事である。完全な知識とはそれ自体極めて明晰で明証的であって疑いようがない第1原理である。つまり原理の探求から始めなくてはならない。他の事物の認識がそれらの原理に依存し、したがって原理は他の事物なしに知りうるが、逆に他の事物は原理なしには知りえないということである。そしてこの原理から、それに依存している事物の認識を演繹することが出来るということです。(数学における公理だけから定理を導くことを想定すれば理解できる。) どの国に住む人々もよりよく哲学していれば、文明開化されているといえる。人間はその主要な部分が「精神」にあるので、精神の真の栄養である知恵の探求に主要な関心を払うべきです。最高の善をは信仰の力なしに自然的理性によって考察される限り第1原理による真実の認識に他ならない。それが知恵であり、知恵の研究が「哲学」なのです。これまでの哲学はソクラテスに始まり、その弟子プラトンとアリストテレスが引き継いだ。プラトンは自分は確実なものは何一つ見出していないと告白したが、アリストテレスは原理を説く仕方を変えてしまった。この二人の権威のあとは懐疑派と感覚派に分かれたが、哲学者の大部分はアリストテレスに盲目的に従い、しばしば曲解した。結局間違った方向へ大きく移動してしまった。ここにデカルトはアリストテレス以来の「近代哲学の祖」といわれる哲学の原理を著わす。
(続く)