ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート  清川昌一 伊藤孝 池原実 尾上哲司著 「地球全史スーパー年表」 (岩波書店 2014年)

2015年03月28日 | 書評
宇宙の誕生から138億年、地球の誕生から45億年の時空のタイムワープ 第2回

丸山茂徳氏によると、1970年代に地球表層の変動を統一的に説明できる考えとして「プレートテクトニクス」(地球表層は何枚かの硬い板に分かれて、それらの相対的水平運動によって地球の変動がおきる)という理論体系が出来上がった。まさに地球の皮部分だけの運動であって、それがどうして起きるかはさらに深層の理解が必要である。1980年代になって内部構造を解き明かす「地震波トモグラフィー」という断層手法が開発され、新しい地球観が生まれた。これが「プルームテクトニクス」(マグマの対流的流れが大陸を合成したり、分裂させたりする)という理論によって総合的な地球変動の理解が進みつつある。上の右の図の構造模型図を見ながら、現在の地球の構造を概観しておこう。地球の半径は6400km、外側の1/2半径は岩石で、内側の1/2半径は金属で出来ている。外側の表面は地殻といい、海洋地殻の厚さは約7km、大陸地殻の厚さは約40kmである。外側半分はマントルであり、深度670kmを境にして上部マントルと下部マントルに分けられる。内側の1/2半径の核は液体の外核と固体の内核の二重構造を持つ。この構造を流れから見ると七枚の「プレートテクトニクス」(板状の地殻の流れ)、「プルームテクトニクス」(マントルのきのこ状の流れ)、「核の液体部分の流れ」の三つの孤立した運動が長い周期で影響しあっている。厚さ3000kmにおよぶマントルの巨大な上昇流を「スーパーホットプルーム」といい、下降流を「スーパーコールドプルーム」という。現在アジア大陸の下には「スーパーコールドプルーム」が一つ、南太平洋とアフリカの下には二つの「スーパーホットプルーム」がある。表面には大気圏は上空10km、海洋をあわせると生物圏は20kmにも満たない。地球変動の原因を統一的に理解する道が提示された。地球は冷却しつつある事がすべての原因である。宇宙へ向って熱輻射で表層から冷却されている地球は、先ず表層の外殻プレートが固化して海溝に向って水平移動して、厚いマントルの中へ崩落する。大規模な崩落が外核にまで達するとマントルの大対流(下降する冷たい流れと代わって上昇する熱い流れ)が生じるのである。これが大陸の移動、集合と分裂の原因となる。上昇流はマグマの爆発となって火成活動がおこる。簡単に言えば以上が地球変動の原理である。 下の絵に地球上の大陸の動きを、左から10億年前の超大陸ロディニア、次の一連の6枚(カンブリア紀、シルル紀、石炭紀後期、オルドビス紀中期、デボン紀後期、ベルム紀後期)の地球図は5億4000年前から2億6000年前の大陸である。さらに次の3枚の大陸図は三畳紀後期2億2000万年前、ジュラ紀中期1億7000年前、白亜紀後期9000万年前である。白亜紀後期には大分現在の形を構成しつつある。一番見後の2枚の大陸図は始新世前期5000年前、中新世前期2000年前でほとんど現在の大陸になっている。

(つづく)