医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

16型/18型のヒトパピローマウイルスワクチンは妊娠を阻害しないし流産も増やさない

2010年12月31日 | 感染症
子宮頸がんワクチンで不妊になるという、これはもう科学ではなくて「デマ」というレベルなんですが、そんなことはないことが証明されています。

Risk of miscarriage with bivalent vaccine against human papillomavirus (HPV) types 16 and 18: pooled analysis of two randomised controlled trials
BMJ. 2010 Mar 2;340:c712. doi: 10.1136/bmj.c712

この研究では、15~25歳の健康な女性26,130人が調査対象とされました。これらの女性を子宮頸がんワクチンを接種する群13,075人と、A型肝炎ワクチンを接種する群13,055人に分けて最初の接種から4年間観察されました。

結果は、妊娠したのは子宮頸がんワクチンを接種する群で2,346人、A型肝炎ワクチンを接種する群で2,364人と差がなく、流産は子宮頸がんワクチンを接種する群で11.5%、A型肝炎ワクチンを接種する群で10.2%であり、統計学的解析で両群に差はありませんでした。

↓原文が無料で見られますから、興味のある方は読んでみて下さい。また、「デマ」を流す方への反論に使用して下さい。
http://www.bmj.com/content/340/bmj.c712.full.pdf

↓今月発売された岩田医師の著書の中にも書いてありますが、私たち科学者にはこういう「デマ」を一つ一つ根気よく修正する義務があります。
予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書)

以前から何度も繰り返していますが、予防接種には数10万人~数100万人に1人の割合で、重篤な副作用が発生します。国民全体として、副作用の人数よりワクチンの接種によって死亡を免れる人数が十分多いためにワクチン接種が行われているのであり、数人が副作用で重篤な状態になってしまうことは周知のことです。

ちなみに交通事故で死亡する確率は現在2万6千人分の1ですが(確実に死亡しています)、交通事故で死亡する確率が2万6千人分の1あるから「道路を歩くとか車を運転するなんてもってのほか」と言う人はいないと思います。

ここに、子宮頸がんワクチンは安全か?というアンケートがありますが、数10万人~数100万人に1人の割合で、重篤な副作用が発生するのですから、重篤な副作用が発生してしまった人からみれば「安全」ではなかったのはあたりまえのことです。要は「有効」であるかどうかです。
ここには以下のような極めて感情的な意見がめだちます。
「騙されるな!我が娘には絶対に受けさせません。」

一方で
「子宮頸がんの形成は十数年かかるのに対し、ワクチンの長期的効果と副作用は不明であるため」
「メディアしっかり国民に真実を伝えて。リアルタイムじゃなきゃ意味なし」
という情報を求めている意見もありますが、私のブログを見ていただければ少しは参考になるかと思います。


そこでアンケートです。
子宮頸がんワクチンは有効と思いますか?

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1 コメント

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白熱 正義の正体 (よんでる)
2011-01-01 23:42:24
疫学的には有効ですのに
アンケートの結果は・・・
正義とは「個人の感情にすぎない」と
ヒュームが言ってましたっけ。。
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