医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

放射線と発がんに関しての国連の結論

2013年03月27日 | 
私は以前、「日本チェルノブイリ連帯基金」のコメントの誤りをお伝えしましたら、

「放射能の影響ではないとも言い切れませんよね?Unknown さんのいうとおり 口だけ動かすだけの人と 現場で動く人、必要とされているのはどちらでしょう?やらない善意より、やる偽善だと私は思いますよ。ではあなたは ここで批判して それからどうしますか?」

というコメントをいただきました。コメントありがとうございました。

以前の記事は、まとめますと、一つめは「福島の子どもと例えば西日本の子どもを比較しなければ誤った結果を導き出してしまう」
これについては、最近比較した結果が出て、「子どもの甲状腺「福島、他県と同様」 環境省が検査結果」
「環境省は3月8日、長崎や山梨、青森の子ども約4300人を対象に行った甲状腺検査で、6割に袋状の嚢胞(のうほう)やしこりが見つかったと発表した。東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)の影響を探るために、福島県が進める子どもの甲状腺検査結果と比較するのを目的に調べていた。福島では4割に嚢胞などが見つかっている。」
とお伝えしました。

二つめは「基準値の定義を理解していないと誤った結果を導き出してしまう」です。

従いまして、「混乱を招くので、誤っているなら発表しない方が良い」という趣旨が、私の言葉が足りないために誤解されてしまったのかもしれませんが、いただいた「やらない善意より、やる偽善だと私は思いますよ」という内容のコメントは、もうなんだか支離滅裂で、感情に基づいて治世を行うことの危うさを証明してしまい、逆に私にとって都合のよいコメントになってしまいました。「ではあなたは ここで批判して それからどうしますか?」というコメントに対しては、「私は、何時間も費やしかなり詳しくリサーチをして、正しいことを出来るだけ多くの人に知っていただくということをしています」とお答えしたいのですが・・

さて、気を取り直して、
最近発表された、「放射線と発がんに関しての国連の結論」をお伝えしたいと思います。
これはJames Conca氏により執筆され、「フォーブス」誌に掲載されたもので、日本経済新聞社が翻訳したものです。少し長いですが、大変ためになります。私が先ほどのコメントに関連して、重要と思ったところは太字でハイライトしました。

↓原盤はこちらです。英語で読みたい方はこちらをどうぞ。
http://www.forbes.com/sites/jamesconca/2013/01/11/like-weve-been-saying-radiation-is-not-a-big-deal/

by James Conca, Contributor (c) 2013 Forbes.com LLC All rights reserved
昨年12月、極めて重要な報告書が粛々と発表された。そこに結論として書かれているのは、原子力科学の専門家が長年にわたり主張してきたことだ。つまり、約0.1シーベルト(Sv)=100ミリシーベルトまたは10 rem以下の放射線の被曝(ひばく)は大した問題ではない。

原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が提出した。低線量の被曝の影響は非常に不確かなものであるため、UNSCEARとしては「低線量の被曝と大人数を掛け合わせて、自然放射線量と同等以下のレベルで漸増的な被曝によって健康被害を受ける人数を推定することは勧めない」と述べている。

報告書により、世界はようやく正気に戻り、人体に害を与えないことに無駄な時間を費やすのをやめ、実際に悪影響を及ぼす問題、そして本当に注意を必要とする人々に目を向けるようになるかもしれない。例えば津波によって引き起こされたインフラや経済への打撃、あるいは福島周辺の真のホットスポットの除染。さらには、人体に影響を与えない程度の放射線量しか浴びていないのに、被曝の恐怖に怯えて暮らし、まさにそうした不安に心身をさいなまれている何万人という日本人をケアするといったことだ。また、日本政府においては真剣に原発再稼働の準備を始めたり、国際原子力機関(IAEA)や米国政府からの改善案に耳を傾けることだ。この報告書によって、低線量の被曝が個人と大規模な集団の健康に及ぼす影響について言えること、言えないことがはっきりするだろう。

自然放射線量が2.5ミリSv(250 ミリrem)から3.5ミリSv(350 ミリrem)に上昇しても、発がん率は上昇せず、認識できるような公衆衛生上の影響は何も起きない。同じように、自然放射線量が2.5ミリSv(250 ミリrem)から1ミリSv( 100 ミリrem)に低下しても発がん率は低下せず、公衆衛生上の問題に一切影響を与えない。

重要なのは、通常の議論は短期間(一度)に強烈な放射線に被曝することを想定しており、同じ量を1年といった長い期間をかけて被曝した場合、影響はさらに小さくなることだ。つまり毎月0.1Sv(10 rem)を被曝すれば影響はあるかもしれないが、年間で同じ0.1Svを受けた場合は、慢性にせよ、急性にせよ認識できるような影響は一切ない。さらにUNSCEARは、一昨年の福島の原発事故による識別可能な人体への影響はなかったとしている。「影響無し」としている。

「しきい値無し直線仮説(Linear Non-Threshold : LNT仮説)」は0.1Sv(10 rem)以下の被曝には当てはまらないが、世界中の自然放射線量はこの範囲にある。0.1Sv(10 rem)以下の被曝に誤ってLNT仮説を当てはめたことによる経済的・心理的負担は、ただでさえストレスを感じていた日本国民には著しく有害で、今後もそれを続けることは犯罪行為といえる。

LNT仮説を要約すると、あらゆる放射線は命にかかわる有害なもので、被曝線量がどれほど低くても人体に有害な影響を与えるとする考え方だ。被曝量が2倍なら発がん率も2倍になる、と。第二次世界大戦後にヘルマン・マラーが提唱し、UNSCEARを含む国際機関が採用したが、その有効性が最も発揮されたのは冷戦中に核兵器実験を中断させるための交渉の切り札として使われたときだ。

当然ながら、年間0.1Sv(年10 rem)以下では被曝量が2倍になっても発がん率は2倍にならない。人体への影響はまったくない。数百万人にのぼる原子力作業従事者を50年にわたって綿密に調査した結果、一般人の平均と比べて被曝量は数倍から10倍だったが、がんによる死亡率は変わらなかった。米国のニューメキシコ州とワイオミング州の人々の年間被曝量はロサンゼルスの住人の2倍だが、発がん率はむしろ低い。LNT仮説が正しければ、こうしたことは起こりえない。

UNSCEARのウォルフガング・ワイス委員長は、事故のあった原発の周辺地域の住民、労働者、子供たちには、放射能による健康への影響は一切観察されていない、と述べている。これは世界保健機関(WHO)や東京大学が既に発表した研究成果とも一致している。原発周辺地域の住人が被曝した放射線量は非常に低く、識別できるような健康被害が生じることはまったく考えられない。

日本政府は様々な失敗を犯したが、福島県で速やかに避難を実施し、汚染された食品や飲料水が消費されるのを正しく防いだ。これは旧ソ連政府が意図的に市民から情報を隠したチェルノブイリ事故とは対照的だ。

ヨウ素の放射性同位体で半減期の短い「ヨウ素131」の食物摂取は、子供や若者の甲状腺で吸収されると甲状腺がんを引き起こすリスクがあることで知られているが、これがチェルノブイリ事故が一般市民に及ぼした唯一の重大な放射線による健康被害だ。旧ソ当局が情報を公開し、迅速に行動していれば、この被害は防げたはずだったが、もちろん彼らは一般大衆のことなど大して気にしていなかったのだ。日本ではこうしたことは起こらない。半減期がわずか8日のヨウ素131は事故後の数カ月で崩壊してしまい、大量に摂取した例は1人も報告されていない。


報告書によると、福島原発では非常事態に対応していた6人の作業員が0.25Sv(25 rem)を超える放射線を浴び、170人が0.1~0.25Sv(10 ~ 25 rem)を被曝した。このうち健康に悪影響が出た者はなく、おそらく今後も影響は出ないだろう。福島原発で亡くなった6人の死因は、がれきに押しつぶされたり、海に流されるといった事故で、放射能とは一切関係なかった。

確かに0.1Sv (10 rem)を超える放射線の被曝は健康に影響を与え、それは統計的に1Sv (100 rem)に達するまで増加する。ただこの比較的高い線量域についても、十分に大きな母集団でない限り、影響は観察しにくい。それほどの規模の放射能事件、すなわち大勢が0.1~1Sv (10 ~100rem)の放射能を浴びたのは、第二次大戦中の原爆投下だけである。

放射線の影響が明らかになりはじめるのは、1Sv (100 rem)以上の高線量を急激に浴びたときだが、そうした状況ですら、考え得る他の要素を排除しない限り、放射能を明白な原因と断定することはできない、とUNSCEARは説く。こうした見方が放射性廃棄物の処分にどれほど重大な意味を持つかは、別の機会に譲ろう。結局のところ、放射能への恐怖ではなく真実にもとづいて行動するように変わらなければ、われわれは日本、ベラルーシ、ウクライナの人々に責務を果たしたことにならないうえ、今後も見当違いのことに時間とカネを費やすことになるだろう。反核運動家や陰謀説が好きな人々は今回の国連の報告書を受け入れないだろうが、彼らはどのみち国連が嫌いなのだ。
by James Conca, Contributor (c) 2013 Forbes.com LLC All rights reserved

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日本のメラトニン受容体作動薬とアメリカのメラトニンの価格差

2013年03月13日 | 生活習慣病
学会のためにアメリカに来ています。

体内に元々ある物質でメラトニンという物質は睡眠を促します。そこで、このメラトニンが働く部位に作用してメラトニンと同じ効果で睡眠を促す薬剤ロゼレムが武田薬品から売られています。現在1錠82円です。

しかし、アメリカではメラトニンと同じ効果の物質ではなく、メラトニンそのものがコンビニなどで売られていて誰でも簡単に手に入れられます(写真左)。私も10年以上前から愛用していて、日本では発売されていないのでアメリカを訪れた時に買っておいて、眠れない時に使用しています。私はこれを使用するととてもよく眠れて、次の朝は快適に覚醒できます。副作用については個人責任ですが、こんな記載がネットにありましたので、ご紹介します。あくまでも自己責任です。

(以下、引用)
「メラトニンは、アメリカでは医薬品扱いではなく、栄養補助食品として扱われており、規制なく誰でも自由に購入できます。確かに今までの研究結果により発表されているこの物質は、とてもすぐれた効能がありますが確証はありません。長年の厳重なモニター研究で現在のところ危険性はなく注意を促す副作用もないとされていますが、いまだラットを使っての実験研究は続いていますので、その効能のあとにくるものは研究途中だということを頭において、その上であくまでも自己責任のもとご使用を判断されることをおすすめします。日本では、医薬品扱いですので、製造、販売、個人輸入はできませんが、個人の利用目的であれば個人輸入できるようです。ネット通販では、代行輸入の会社もあります。アメリカに旅行に行った際にサプリメントで売っていますので、買ってきて試してみることもできるでしょう。どちらにせよ、購入時は必ず原料の確認をしましょう。メラトニンは、植物や動物のもあり、原料が天然性、動物性、または牛もありますが、これらの原料のメラトニンはウイルスや抗体反応を起すタンパク質を含む恐れがありますので、避けるほうがよいでしょう。人体で分泌する分子構造と同じ人工性、薬剤性メラトニンが原料の場合は安全です。メラトニンサプリは、錠剤の数に違いがあり、1錠に何mg入っているかで服用の仕方が異なります。メラトニン1mgが90錠に入っている場合は、少し睡眠をヘルプしてもらう程度に思っている人にいいでしょう。初めて試してみる場合は、少量タイプから始める方がいいですね。服用は寝る30分ほど前に済ませましょう。吸収性高く効果が出ます。不眠に悩んでいる方は標準タイプともいえる1錠に3mgメラトニンが含まれ60錠入りです。即効性があります。現在では副作用がないといわれているメラトニンですが、確証はありません。薬よりもさらに副作用が考えにくい天然素材のメラトニン・サプリメントからなら、気軽にはじめる事ができますね」
(以上、引用)

今回もアメリカで購入したのでブログで紹介するために写真を撮りました。税関などで、個人が使用する範囲内と認められれば持ち帰りは認められます。有効期限を考慮すると個人使用なのですから10瓶も持っていたら、引っかかるでしょう。私は2瓶買いました。アメリカで買わなくてもネットで検索すれば日本でいくらでも手に入れられます。さて、1錠1mgが1瓶180錠入りで値段はアメリカでどれぐらいだと思いますか?日本でロゼレムが1錠82円なのだから14000円ぐらい?いえいえ、違います、1瓶8ドル99セント、日本円で1錠約7円です!日本のロゼレム錠はアメリカのコンビニで買えるメラトニン錠の10倍以上の値段に設定されているのです。

さて、私が本日「メラトニン」をアメリカのウォルグリーンというコンビニ兼薬局で買おうとしたら、偶然隣に、「Fish Oil」なるものがありました。それが写真の右です(こんなの必要ないので、写真を撮ったら捨ててしまいました)。この錠剤には、以前お伝えしたイコサペント酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が入っています。両者の割合は不明ですが、1錠に1.2g入っていて1日に3錠内服すると書いてあります。そういえば、武田薬品から発売されているロトリガには1日分4g入っていて508円でした。

ちなみに、写真のごとく、ボトルにはMay Reduce Risk of Coronary Heart Diseaseと書かれています。動脈硬化性の心臓病のリスクを減らす「かもしれない」という意味で、「減らす」とは書かれていないです。一種の「お守り」みたいなものです。さすが、アメリカは訴訟の国ですから正直に書いています。

→ロトリガを内服しても心筋梗塞、脳梗塞、死亡を減らすことはできない

この「Fish Oil」、120錠(40日分)入りで値段はどれぐらいだと思いますか?日本でロトリガが1日508円なのだから1瓶20000円ぐらい?いえいえ、違います、1瓶14ドル99セント、日本円で1日分約38円です!日本のロトリガはアメリカのコンビニで買う13倍以上の値段に設定されているのです。

その後の記事にもジャンプしてみてください。

コメントに対する私の反論

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子どもの甲状腺「福島、他県と同様」 環境省が検査結果

2013年03月08日 | 小児科
以前、「日本チェルノブイリ連帯基金」のコメントの誤りをお伝えしました。

最近、こんな報道がありました。

(朝日新聞デジタルより引用)
環境省は3月8日、長崎や山梨、青森の子ども約4300人を対象に行った甲状腺検査で、6割に袋状の嚢胞(のうほう)やしこりが見つかったと発表した。東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)の影響を探るために、福島県が進める子どもの甲状腺検査結果と比較するのを目的に調べていた。福島では4割に嚢胞などが見つかっている。

福島県は事故当時18歳以下の子ども約36万人を対象に、甲状腺の超音波検査を行っている。1月までに約13万3千人が検査を受け、41・2%に2センチ以下の嚢胞や5ミリ以下のしこり(結節)が見つかった。

子どもの甲状腺をこれほど高性能の超音波機器で網羅的に調べた前例がなく、4割という割合が大きいのか、被曝(ひばく)の影響があるのか判断が難しい。このため、環境省は福島県外の長崎市と甲府市、青森県弘前市の3~18歳の子ども4365人を対象に、同じ性能の超音波機械を使い、同じ判定基準で検査をした。

この結果、2センチ以下の嚢胞や5ミリ以下の結節のあった子どもが56・6%、それ以上の大きさの嚢胞などがあった子は1%(福島は0・6%)いた。環境省の桐生康生放射線健康管理担当参事官は「福島も他県もほぼ同様の結果と考えている」と話す。

福島県では、事故の影響が出るか調べるため、約36万人の子どもを対象に生涯、検査を行う計画だ。

嚢胞などのある子が県外が福島より多い理由について、検査を受けた年齢構成などを詳細に分析して月内に公表するという。

長瀧重信・長崎大名誉教授は「超音波検査の性能が上がり、嚢胞などが見つかりやすくなった。福島が異常な状態ではないとわかった。ただし今回の調査では、被曝の影響の有無は判断できず、福島で生涯、検査を続けることが必要だ。地域性もあるため、福島県で事故後に生まれた子への検査との比較が必要だ」と話す。


比較することは重要です。でも前回お伝えしたGale教授は
「私見として、小児に対する甲状腺ガンのスクリーニングは不要と考える。理由は、上述のようにチェルノブイリに比較してリスクが非常に低いこと、一般的に予後良好で進行がきわめて緩徐な甲状腺ガンを早期に検出することが予後を改善するというデータはなく、精神的なダメージやむしろ無用な医療被ばくの影響の懸念があるためである。」


と述べていました。私も同感です。

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