医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

カルシウム摂取量が多い人は消化器系ガンの発症リスクが低い

2009年06月24日 | 整形外科
Dairy food, calcium, and risk of cancer in the NIH-AARP Diet and Health Study.
Arch Intern Med. 2009;169:391.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

米国の男性293,907人、女性198,903人を対象として、1995年~1996年の研究登録時にアンケートで、乳製品などの摂取量と頻度、サプリメント摂取量が調査されました。その記録を州のガン登録と照合して、2003年までの新規ガン発症と関連が解析されました。

7年間の追跡調査で、新規ガン発症は男性で12.6%、女性で8.3%でした。男女ともにカルシウム摂取量が多いほど消化器系ガンの発症は少なくなりました。乳製品などからカルシウムを平均1,530mg/日摂取している男性は、平均526mg/日摂取している男性と比べて、消化器系ガンの発症は16%低くなりました。平均1,881mg/日摂取している女性は、平均494mg/日摂取している女性と比べて、消化器系ガンの発症は23%低くなりました。リスクの低下は結腸直腸ガンで著明でした。

カルシウム摂取量と消化器系以外のガン発症率とは関係がありませんでした。

米国医学研究所は50歳以上の成人に1日1,200mg以上のカルシウム摂取を推奨しています。また、2005年の米国人向け食事ガイドラインでは1日3杯の低脂肪あるいは無脂肪乳製品の摂取を推奨しています。


↓こんなこと言ってないで、ちゃんと牛乳を飲みましょうね。
牛乳には危険がいっぱい?


今は何位かな?ぽちっとクリック、お願いします

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小児期・青年期の牛乳の摂取は成人してからの骨密度を増し、骨粗鬆症性の骨折を予防する

2009年06月19日 | 整形外科
今日、他科から相談のあった患者(70歳代女性)ですが、第12番目の胸椎がぐしゃりと完全に潰れています。自宅玄関前で転倒し、下半身が完全に麻痺してしまいました。こういう写真を目の当たりにすると、エビデンスって大切だなぁと思います。



American Journal of Clinical Nutrition 2003;77:257からの報告です(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)。

骨粗鬆症という病名はよくご存じだと思います。これは骨の密度が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。日本では約1,000万人の患者さんがいるといわれており、高齢者人口の増加に伴ってその数は増える傾向にあります。女性が男性の8倍で、閉経後のエストロゲンという女性ホルモンの減少が原因の一つです。

本研究の対象は20歳以上の白人女性3,251人です。研究対象者にアンケートで小児期(5歳~12歳)と青年期(13歳~17歳)の牛乳の摂取量を答えていただき、その結果を現在の骨折の状況と比較しました。

骨密度は骨盤部で測定されました。骨盤部・脊椎・腕の骨折は、過剰な力による骨折と骨粗鬆症性の骨折(50歳以後の、過剰な力によるものでない日常生活での骨折)に分類されました。

結果ですが、20歳~49歳では小児期の牛乳摂取が1週間に1杯以下の女性は1杯以上の女性と比べて統計学的に有意に骨密度が低く(5.6%)、青年期の牛乳摂取が1週間1杯以下の女性は1杯以上の女性と比べて3.0%骨密度が低かったそうです。50歳以上では小児期と青年期の牛乳の摂取量が骨密度と比例していました。

さて、問題の骨粗鬆症による骨折率ですが、小児期の牛乳摂取が1週間に1杯以下の女性は1杯以上の女性と比べて、50歳以降の骨折率が2倍でした。

小児期と青年期の牛乳摂取量が加齢後の骨折にまで影響します。

牛乳はカルシウム以外にビタミンD、リボフラビンを豊富に含む優良食品です。

↓こんなこと言ってないで、ちゃんと牛乳を飲みましょうね。
牛乳には危険がいっぱい?


今は何位かな?ぽちっとクリック、お願いします
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<タミフル>異常行動との因果関係なし 厚労省研究班

2009年06月06日 | インフルエンザ
インフルエンザ治療薬「タミフル」(一般名リン酸オセルタミビル)について、厚生労働省・安全対策調査会の作業部会(鴨下重彦座長)は6月3日、服用と異常行動との因果関係を示唆する調査結果は得られなかった、との結論をまとめた。近く調査会に報告されるが因果関係の有無は不明だった。厚労省は異常行動の目立った10代に処方を控えるよう医療機関に通知したが、方針変更の根拠は得られなかったとして、その措置は継続する方針を明らかにした。

作業部会では、06~07年の流行期にインフルエンザと診断された18歳未満の患者約1万人を対象に調べた厚労省研究班の最終報告書が示された。

それによると、約1万人のうち、異常行動を起こしたのは12%で、飛び降りなど重度の異常行動を起こしたのは0.4%だった。

異常行動を起こした患者のうち、タミフルを服用していた場合の発生率は、非服用に比べ0.6倍と低かった。重度の異常行動を起こした10代に限定すると、服用した方が1.5倍だったが、報告書は対象者が11人と少なく、「統計的に差はない」と結論づけた。

厚労省によると、販売開始(01年2月)から今年3月末までにタミフルの副作用で異常行動を起こしたと報告されたのは353人。また、服用者が増加傾向にあるリレンザ(一般名ザナミビル)では167人だった。

タミフルをめぐっては、10代の患者がベランダなどから飛び降り転落死する事故が相次ぎ、07年3月、厚労省は10代への処方を原則中止する通知を出した。
(毎日新聞より引用)


これまで厚生労働省は、タミフルの内服と異常行動には関連がないと、半年以上前に決着がついているのに、その対応をあいまいにしてきました。

どうして今ごろになってこのような報告をしてきたかというと、皆さんのご想像どおりです。

厚生労働省は以前、根拠もなくタミフルの十代の患者に対する処方を禁止していましたが、新型インフルエンザの患者が十代の若者に多く、しかもタミフルが有効であることが判明してきたため、この冬の再流行に際してこのままでは自分で自分の首を絞めかねないと考えたからでしょう。

論調が、あっちにフラフラこっちにフラフラ、この国の厚生労働省のリーダーシップが頼りなく思えてくるのは私だけでしょうか。

前回の記事でも書きましたが、日本のブレインたちのこれ以上の判断ミスで、「これで日本もおしまいだ」と他の国から思われることがないよう、心から願っています。


今は何位かな?ぽちっとクリック、お願いします


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする