医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

大腸カプセル内視鏡

2013年10月16日 | 消化器
         ↑(注意:実物大ではありません)

今年7月、国内初の大腸用カプセル内視鏡(商品名PillCam COLON2/ギブン・イメージング社)が薬事承認されました。早ければ年内にも保険収載され、発売される見通しです。

これまで、小腸用のカプセル内視鏡は臨床で使用されていましたが、小腸にガンが発生する率は低く、有用性は限定的でした。以前、それに紐を付けて、食道だけを診るのに利用したらどうかということをお伝えしました。


一方、大腸ガン検診で便潜血が陽性だった人のスクリーニングに使われることが期待されています。承認された適応は、大腸内視鏡検査を必要とするものの施行困難な患者です。カプセル内視鏡検査は鎮静剤の投与も不要で、検査時に苦痛を伴わないほか、恥ずかしさなどの精神的な負担もないため、大腸内視鏡検査を受診したがらない女性などに使われると考えられます。

消化管の閉塞や狭窄、瘻孔が分かっている患者や疑われる患者は、カプセルが滞留する恐れがあるため禁忌となるほか、クローン病と診断された患者、ペースメーカーなどが埋め込まれた患者、嚥下障害の患者などにも使えません。

前処置は、検査前日から低残渣食を摂り、下剤を服用し、検査当日にはポリエチレングリコール電解質液(PEG)を1.5~2Lを飲用するというこれまでの大腸内視鏡検査と同じです。ただし、通常の内視鏡のように検査中に便汁の吸引ができるわけではないので、前処置できちっと洗浄されるように気を付けることが必要です。承認された大腸用カプセル内視鏡のサイズは横3.1cm、幅1.16cm、重さ2.9g。全周を撮影できるよう、カプセルの両端についている2台の各小型カメラ(小腸用は1台でした)が172℃の視野角を有し、大腸を中心に移動速度に合わせて毎秒4~35枚の画像を撮影します。その画像データは電波で送信され、患者の体表に付けたセンサーアレイが受信してレコーダーが記録します。画像データをコンピューターに取り込み、専用のソフトウェアを使って医者が画像を解析します。大腸用カプセル内視鏡を服用してから撮影が終わるまでは約4~5時間(大腸の撮影は2時間程度)で、読影に要するのは1時間程度です。

内視鏡的もしくは外科的治療が必要な病変を有し、それを示す3カ月以内の内視鏡検査異常がある18歳以上の66人を対象とし、国内3施設が参加して行われた治験では、大腸用カプセル内視鏡でも病変を検出できた割合は94%(62人)でした。検出できなかった6%(4人)は、前処置が十分でなかったり、バッテリーが切れたりした症例。治験で認められた有害事象は、軽度嘔吐の1症例だけでした。

現在、便潜血検査で陽性となっても、検査時の苦痛や羞恥心から、大腸内視鏡検査を受診するのは約60%にとどまっています。便潜血陽性者にカプセル内視鏡検査を受けてもらえれば、大腸癌の検出率を高めることができます。

問題点は、教育を受けていない医師や技師が読影すれば、見落としにつながることです。読影者に学会の講習会などに参加して自主的に勉強していただく対策が求められます。

↓なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと、応援よろしくお願いいたします!
今は何位かな?「ブログランキング」

竹島は日本の領土であることに関する外務省の新しい動画

【F1 韓国】 GP最悪評価・・・解説者「最低ですよ」
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

片頭痛に対する中国式ツボの鍼治療はツボを外した鍼治療と効果は同じ

2013年10月02日 | 神経
中国式ツボは本当に片頭痛に効果があるのかを調べる無作為割り付け臨床研究が報告されているのでご紹介します。

Acupuncture for patients with migraine: a randomized controlled trial.
JAMA. 2005 ;293:2118.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★☆☆)

ガイドラインに沿って片頭痛と診断された平均年齢43±11歳の302人が、12週間にわたり中国式のツボに鍼を打つ鍼治療群、ツボを外して12週間鍼治療をする群、研究と治療の待機をしていると伝えて、12週間鍼治療を行わない群にランダムに割り付けられ、12週間後まで頭痛症状に関する日記をつけてもらい、12週間、1週間ごとの症状のあった日数が調査されました。鍼治療は約10年鍼治療の研修をうけた専門家によって行われました。

ツボを外して12週間鍼治療をする群の患者には「ツボを外して治療をするが、効果があると認められた治療である」と伝えました。

治療待機群は研究開始13週~24週まで中国式のツボに鍼を打つ鍼治療が行われ、3群で24週後に同様の比較がなされました。

結果は、待機群(白い棒グラフ)に比較して鍼治療群の効果は認められたのですが、中国式のツボに鍼を打つ鍼治療群(濃いグレーの棒グラフ)とツボを外した鍼治療(薄いグレーの棒グラフ)の効果は同じでした。

結論は、鍼治療は片頭痛に効果があるが、それは中国式のツボ(経穴)に効果があるわけではなく、鍼の何らかの作用であろう、ということでした。

私が最近、鍼治療の臨床研究をご紹介しているのは、最近発刊された「代替医療解剖」という本を読んで、たいへん感銘を受けたからです。

代替医療解剖 (新潮文庫)

この本はお薦めです。

特に以下の文節が、非常に的確かつ科学的で素晴らしかったので、ご紹介いたします。
「針治療師は、ランダム化プラセボ対照比較試験のなかには鍼の有効性を示しているものがあるのだから、そういう結論を無視してよいはずがないと言う。もちろん、そういう根拠は無視されるものではないが、反対の結果を示す根拠と重みを比較して、裁判で陪審が行うように、どちらの結果がより説得的かを判断しなければならない。そこで両方の根拠の重みを比べてみよう、鍼は、合理的なあらゆる疑問を超えて広範な病気に効くのだろうか?答えは「ノー」である。鍼は、合理的なあらゆる疑問を超えて、痛みや吐き気に効くのだろうか?答えはやはり「ノー」である。

鍼治療師は、鍼はさまざまな代替医療と同じく、一人ひとりの患者に合わせた複雑な治療なので、臨床試験のように大規模な検証にはなじまないと言う。しかし、実際には、患者一人ひとりの特徴や状況の複雑さは、臨床試験のデザインに組み込むことができるのである。現に、既に組み込まれていることが多い。通常医療のほとんどは、鍼治療と同様、一人ひとりの患者に合わせた複雑な治療過程であるばかりか、臨床治療によって進歩する。たとえば、医師は患者に対して、病歴、年齢、全般的な健康状態、最近起こった食事習慣の変化や生活習慣の変化などを尋ねるのが普通だ。

鍼治療師の多くは、鍼の基礎にある哲学は通常科学とは相容れないので、臨床試験で鍼の有効性を検証するのは不適切だと言う。しかしこの非難は的外れだろう。なぜなら、臨床試験は哲学とは関係がないからだ。臨床試験で試されるのは、その治療が効くかどうかだけなのである。

鍼治療師は、代替医療の効果はきわめてデリケートなので、臨床試験にはなじまないと言う。しかし、もしも鍼の効果が検証できないほどデリケートなら、それは行うに値する治療なのだろうか?現代の臨床試験は、どんな治療法の有効性も評価できるほど高度に洗練され、状況に柔軟に対応できるので、むしろデリケートな効果を検証するのに適している。

最後に、鍼治療師のなかにはこう論じる人たちがいる。なるほど本物の鍼とも偽鍼と同程度の成績しか出せないかもしれないが、偽鍼が患者に医療効果を及ぼすならそれでよいではないか、と。しかし、鍼を浅く打ったり、経穴をはずして打ったりしても、経絡になんらの影響が及ぶとしたらどうだろう?だが、もしもそんな影響が現実にあるなら、鍼の哲学そのものが崩壊する。なぜならその場合、どの位置にどんな深さで鍼を打っても治療効果があることになるからである。」
(以上引用)

その一方で、私のレビューにコメントを下さった方の、コメントもご紹介いたします。
臨床試験は哲学と関係ありますよ。臨床試験を支えている近代自然科学は、要素還元主義や機械論的生命観などの哲学的思想を土台にして成り立っているからです。詳しくは、元東大科学史科学哲学教授の村上陽一郎氏の、科学哲学に関する著作を読んで見られることをお勧めします。なお、本書については、本屋で少し立ち読みしてみましたが、代替医療の危険性をデフォルメして採り上げる一方で、近代西洋医学の危険性や害悪を意図的に無視または軽視するという、およそ科学的(客観的)とは言えない研究態度が散見されました。両極端に偏らない、より客観的で真に科学的な研究が待たれるところです。

追加ですが、科学的根拠の有無を決定するEBMが主観性の影響を受けない完全に客観的な判断基準であるというのは、誤解です(より客観的な評価をめざそうと努力しているということは言えますが)。EBMについてちゃんと勉強した人なら分かっていることですが、EBM(科学的根拠にもとづく医療)の様々な判断基準は、そもそも主観性に大きく左右される要素を内包しています。例えば、何パーセント以下の確率で起きることが起きた時に「統計学的に有意な事象である」かと判断するかも、主観的に決められます。もしデータ数値そのものが客観的なものだったと仮定しても(まあ、完全に客観的なデータ数値などというものはこの世には存在しませんが)その数値をどう解釈するかということは主観によって判断されるからです。」
(以上引用)

この方は、本書を全部読んでいないからそうコメントするのだと思います。
「何パーセント以下の確率で起きることが起きた時に「統計学的に有意な事象である」かと判断するかも、主観的に決められます」という部分は統計学的p値が5%とか1%とか、すなわち20回に1回しか結果と異なることはないとか、100回に1回しか結果と異なることはないという事を指していて、リサーチマインドをお持ちの方と思われますが、20回に1回とか100回に1回などとあらかじめ結果判断のルールを決めておくのは非常に科学的であり、P<0.05、P<0.01といのは「統計学的に有意な事象である」というより、医学論文の読者は「この結果と異なることは20回に1回しかか起きないのだなぁ」とか「この結果と異なることは100回に1回しか起きないのだなぁ」と理解しながら、読んでいると思います。

↓なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと、応援よろしくお願いいたします!
<a href="http://blog.goo.ne.jp/secondopinion/e/c5ffba8158d782cd87e4e78e897513da">今は何位かな?「ブログランキング」

字幕【テキサス親父】慰安婦は売春婦!証拠はコレだ!と親父ブチギレの巻!

ブラジルー韓国戦の、韓国選手の反則の連続、しかも相手を煽っている、これが民度の低い韓国のやり方、ネイマールはよく耐えました

原爆ドームの前で韓国人が冒涜行為
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鍼治療は高血圧症に効果ない

2013年10月01日 | 生活習慣病
中国では、鍼治療が血圧を下げることに効果があるということが報告されています。それらの報告では、血圧測定者が被験者が針治療を行われる群とそうでない群のどちらに振り分けられているか知っている方法で行われており、信頼性に欠けるものでした。鍼治療が血圧を下げることに効果があると信じている血圧測定者は何度か血圧を測定して低い数値を結果として採用するからです。

しかし、これは研究方法の限界とも考えられます。どちらの群に振り分けられたかは被験者に尋ねればわかってしまうからです。

そんな結果に決着をつけるべく、二重盲検無作為ランダマイズ試験が行われました。

Stop hypertension with the acupuncture research program. Results of a rondomized, controlled trial.
Hypertension. 2006;48:838.
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★☆☆)

血圧が140/90mmHgから179/109mmHgの192人が、高血圧に有効とされているツボに鍼治療を行う群、個人の東洋医学的な状態から個別に処方されたツボに鍼治療を行う群、それらと全く関係のないツボに鍼治療を行う群に分けられました。

つまり研究対象者全員になんらかの針穿刺を行うことで、血圧測定者に被験者がどの群に振り分けられたかが解らないようにしたのです。もちろん被験者自身も自分がどの群に振り分けられたのか知らされていません。

鍼治療は、12年以上針治療の研修をうけた専門家によって週2回、6~8週間行われ、血圧は開始から10週間後、4、6、9、12か月後に測定されました。

10週間後には、高血圧に有効とされているツボに鍼治療を行う群で収縮期血圧が3.6mmHg、個人の東洋医学的な状態から個別に処方されたツボに鍼治療を行う群で3.6mmHg、それらと全く関係のないツボに鍼治療を行う群で3.8mmHg低下し、3群間で差がありませんでした。同様に拡張期血圧も差がありませんでした。

鍼治療が終了した4、6、9、12か月後には血圧は治療前の値に戻っていました。鍼治療には高血圧の薬を内服すること以上の対費用効果は認められませんでした。高血圧の薬を内服すれば血圧は10mmHg以上下がります。また、治療直前と治療直後にも血圧の差は認められませんでした。

鍼治療をうけていると、たとえそれが適当(いいかげんなツボ)にされている群でも血圧がわずかに低下していることから、精神的な暗示効果は認められましたが、このように鍼治療には高血圧症を治療する効果が全く認められないことが初めて二重盲検無作為ランダマイズ試験で証明されたのです。

この研究はアメリカでおこなわれました。中国のお家芸である針治療はおそらく、中国>日本>アメリカ、の順に多く行われていると思います。症例数が多い中国でこれまで大規模に証明されなかったのは、鍼治療に効果がないことを知っていたためにこういう研究をする事を意図的に止めていたと考えるのが自然です。

この研究は小手調べといったところでしょう。血圧という数値化された結果を扱うから証明しやすいのです。そのうちアメリカは頭痛とかのぼせに対する漠然とした効果も数値化して効果のなさを証明するでしょう。現にこの論文でも精神的スコアーは針治療で改善したが、身体的スコアーは改善しなかったことを証明しています。

↓なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと、応援よろしくお願いいたします!
今は何位かな?「ブログランキング」

字幕【テキサス親父】慰安婦は売春婦!証拠はコレだ!と親父ブチギレの巻!

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする