医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

アルコールチェッカー(その2)

2010年05月20日 | 雑感
以前、アルコールチェッカーが飲酒運転の概念を劇的に変えたことをお伝えしました。

このチェッカーの登場により、飲食店に車で行っても、基準以内であれば「飲酒運転」とは言えなくなったということです。アルコールチェッカーで呼気中アルコール濃度を測定して、呼気中アルコール濃度が0.15 mg/L未満になるまで車を運転しないか、0.15 mg/L未満にならない場合は代行を頼んで帰ればいいわけです。


私の場合は、以前の実験で示したようにビール1杯ぐらいでは呼気中アルコール濃度は0.15 mg/L未満で、その推移もお伝えしました。


ここで私は非常に重要なことに気がつきました。これは自分で呼気中アルコール濃度が測定できない頃には考えもしなかったことです。

それは、このアルコールチェッカーで0.15 mg/L未満と測定されても、警察の測定器で0.15 mg/L以上と測定されたらどうなるのだろう?ということです。

その場合は飲酒運転?いえいえ、そんな単純なことを言っているのではありません。

その場で個別に使用されている警察の測定器の「信頼性」はどういうふうに証明できるのだろう?ということです。

タニタのチェッカーでは0.15 mg/L未満で、警察のチェッカーでは0.15 mg/L以上の場合、一元的に警察のチェッカーが正しいとは言い切れません。むしろ製造日時のようなことから推測して、現在の技術の進歩の速さを考慮するとタニタの方が最新型とも言えるでしょう。

私は、この発想が浮かんだとき、菅家利和(すがやとしかず)氏が誤って犯人とされた足利事件のことを思い出しました。当時警察が使っていたDNA鑑定の信頼性が低かったためにあのようなえん罪が発生しているということを鑑みると、これまで飲酒運転のえん罪は発生していなかったと、誰が断言できるでしょうか。

酩酊の度合いを決定するのは血中アルコール濃度であり、警察はその代用として呼気中アルコール濃度を使用しています。呼気の場合における 0.25 mg/L、0.15 mg/Lは、それぞれ法令上、0.5 mg/dL、0.3 mg/dL の血液中アルコール濃度に対応するという推定を前提にしており、タニタのチェッカーと警察のチェッカーが表示する数値が異なった場合、その場で血液検査をして血中アルコール濃度を測定する方法でないと、道路交通法で定められた飲酒運転と単純に決めつけられません。

製造メーカーも知らされない、測定精度も知らされない警察のアルコールチェッカーで私たちの呼気中アルコール濃度が測定され、その数値が基準をオーバーしていれば飲酒運転とされるのは、菅家氏が測定精度も知らされない警察のDNA鑑定で犯人とされた構図と全く同じです。

前回も書きましたが、警察がこのような私の意見がシャクに触るのであれば、飲酒運転は0.01mg/L以上と検挙できる基準を下げればいいのです。

私が科学論文の執筆や審査をしていて常に肝に銘じているのは、「推測は認められない」、「きちんと証明できなければ正しいとはいえない」ということです。

行政側の感情論で飲酒運転が厳罰化され、警察も飲酒運転を推測で決定している現状は、何かしら「科学する心」を欠いている気がします。

私の言いたいことをまとめると、以下の3点です
(1) 家庭でも呼気中アルコール濃度が測定できるようになった。警察は細心の注意をはらい正確な測定を行うべきである。

(2) 現在の法律では、呼気中アルコール濃度が0.15 mg/L未満では、道路交通法で定められた「飲酒運転」として検挙することはできないし、正確には、「1滴でも飲んだら道路交通法で定められた飲酒運転だ」という解釈は成り立たない。

(3) こういった事態が不都合というのであれば、警察は「飲酒運転」の基準を0.01 mg/Lなどと下げるなどして、法律を改めるべきである。


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コメント (9)
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