医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

大型門前薬局と地域密着型薬局の区別による適正化

2013年12月05日 | 薬・総合
12月4日、中央社会保険医療協議会総会なる会議が行われたそうです。

最近、薬のネット販売における楽天と薬剤師会の攻防が巷を賑わせていますし、3年半前、 「株式会社の調剤薬局に吸い込まれる医療費」という記事を書いたことがあり、今になってやっと問題視されてきた感がありますので、引用してみました。

↓これは会議に使われた厚生労働省の資料です。17ページからが株式会社の調剤薬局についてです。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031312.pdf

(以下M3より引用)
中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・学習院大学法学部教授)で12月4日、調剤報酬について議論、厚生労働省は、保険薬局における後発医薬品の使用促進、長期投薬に対する分割調剤、残薬管理などを評価する方針を打ち出したが、日本医師会代表の委員からは、病医院でも同等の加算がないことに加え、調剤報酬の基本料や各種加算などの算定要件が、医科に比べて緩いことを問題視する声が相次いだ。

 調剤報酬について問題提起したのが、日本医師会社会保険診療報酬検討委員会委員長の安達秀樹氏。医薬分業が進展しているとはいえ、約3分の1の医療機関は院内調剤を実施していることを踏まえ、「保険薬局に、後発医薬品調剤体制加算があるのに、病医院の加算がないのは不合理」と問題視。

 入院では、後発医薬品使用体制加算が2012年度改定で新設されたが、外来では、一般名処方をした場合の処方せん料の加算(2点)があるのみ。「医薬分業などを進めるために、インセンティブ的に評価を行うことはあるが、今の医科や歯科と、調剤では、各種基本料や加算の算定しやすさに差があると認識している」。安達氏はこう指摘し、医科、歯科、調剤について、各種基本料と加算について算定要件を比較できるよう一覧表にして検討するよう提案し、「今回の提案は一部の直しばかり」と厚労省の対応を手厳しく批判した。

 日医総研は、保険薬局の後発医薬品調剤体制加算は年600 億円近くに上ると推計されるものの、財務省試算では、2007 年に後発医薬品のある先発医薬品が全て後発医薬品に振り替えた場合の効果は約1.3 兆円になると報告している。日本医師会副会長の中川俊男氏は、同報告を引用、調剤医療費の伸びや大手調剤薬局チェーンの利益率の高さなども踏まえ、安達氏と同様に、調剤報酬の在り方を問題視、「医療費は偏在している。もっと踏み込んで言えば、利益は大手調剤薬局チェーンに偏在している。こんなことでいいのか」と問いかけ、調剤報酬の根本的な議論の必要性を支払側に問い質した。

 これを受け、健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏は、「医薬分業が進んできて、患者側からすれば、(医療機関と保険薬局双方で)処方せん料と調剤基本料などがかかり、負担が増えているのが実態。それに見合う効果があれば納得できるが、どんな効果があるのか。後発医薬品の使用などは、加算を付けなくても当然努力すべき」と述べ、調剤報酬の激変には配慮する必要があるとしたものの、「調剤報酬の在り方について、議論すること自体はむしろ賛成」と答えた。

 日本薬剤師会副会長の三浦洋嗣氏は、病院や診療所よりも、保険薬局の在庫品目数は多く、それは医師にとってのメリットであるものの、管理は大変であること、また後発医薬品について患者に説明する際の手間など、保険薬局にかかる負担は少なくない上に、「薬価の安い薬を進めることは、保険薬局としては売上が下がることになる」など、保険薬局の立場をさまざまな観点から説明。

 保険薬局については、中川氏の指摘のように、大手調剤薬局チェーンの利益率の高さも問題視されており、同一法人で複数の保険薬局を経営するケースに対し、何らかのメスが入る見通し。4日の総会は、時間切れで、各論については十分な議論を尽くせなかったが、次期改定は保険薬局にとって厳しい内容になる様相を見せている。
(以上M3より引用)

少なくとも、院内処方料を、同一法人で複数の保険薬局を経営するケース(株式会社の調剤薬局)の利益と釣り合うようにしないと問題です。

というか、薬のネット販売における楽天と薬剤師会の攻防も、院内処方料と院外処方料の不均衡も、当事者である患者がどちらを望むかで判断するのが一番フェアなのではないでしょうか。

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株式会社の調剤薬局に吸い込まれる医療費

2010年04月29日 | 薬・総合
先日、軽いアトピー性皮膚炎がある息子に薬を処方しました。成人に使える抗アレルギー薬のうち小児にも使える薬は限られていて、どれが小児に使えるか調べて確認しました。治療の中心となるステロイドの塗り薬は薬によって強さが違いますので、専門家ではない私は専門書を調べながらの処方でした。時間にして5分ぐらいかかったと思います。

さて、病院の会計に行き支払った金額は、410円。領収書には、再診料700円と処方料680円の合計1,380円の3割と書いてありました。

処方箋を院外の薬局に持って行きました。待合室に置いてあった新聞の1面と2面の見出しを見ている間に薬はまとまったので、時間にして3分ぐらいでした。支払った金額は、5,090円。領収書には調剤技術料2,890円、薬剤管理料300円、そして薬代13,760円の合計16,950円の3割と書いてありました。

私ごとで恐縮ですが、先日私は歯の詰め物が脱落してしまい30年ぶりに歯科医にかかりました。お恥ずかしい話ですが、なにせ30年ぶりの歯科医受診ですから、診療代がいくらぐらいなのか見当もつきませんでした。自費負担分で5,000円~10,000円ぐらいだと予想した私は、それまで5,000円しか入っていなかった財布に10,000円札を足しました。

歯科医は詰め物の奥が虫歯になっていないかレントゲン写真を2枚撮り、虫歯になっていない事を確認後、丁寧に充填物を詰めレーザー照射で硬化させました。その後、充填物の高さがかみ合わせに合うように何度も確認して削りました。最後に歯科衛生士が他の歯の表面に付着している茶渋なども綺麗にクリーニングしてくれました。歯科医と歯科衛生士が何度も交代しますが、20分はかかったと思います。

会計で請求された金額は1,610円でした。

「せ、せ、千 六百 十円? 安すぎる、何かの間違いではないか」

領収書には初診料1850円、歯冠修復・欠損補綴料2960円、画像診断550円、合計5,360円の3割1,610円と書かれてあります。

まとめてみます。
病院
(再診料)700円これは病院の事務員の人件費、建物・電子カルテ設備の償却に充てられるようなものでしょう。
(処方料)680円これは私に対する技術料かつ他の従業員の人件費のようなものです。

薬局
(薬剤管理料)300円
(調剤技術)2,990円これらは人件費、薬剤師の技術料でしょう。

歯科医
(初診料)1,850円これは人件費、建物・診療チェアの償却に充てられます。
(歯冠修復・欠損補綴料)2,960円これは歯科医の技術料でしょう。
(画像診断)550円これはレントゲン装置やフィルム代に充てられます。

私がいろいろ考えて処方した料金が5分で680円(もちろん私のふところには直接入りません)、歯科医が丁寧に治療してくれた料金が20分で2,960円、薬剤師が医師の発行した処方箋を見ながら間違いのないように薬剤を提供した料金が3分で3,290円です。

薬剤師もいろいろと反論はあると思いますが、3カ所を比較する限り病院と歯科医の料金が安すぎると思いませんか?

これでは開業医の先生方が、採算ギリギリなのがよく分かります。それに対して株式会社の調剤薬局はどんどん増えています。

歯科医の場合は、橋本龍太郎の歯科医師会への巨額ヤミ献金事件に対する懲罰の意味もあり、技術料が大幅に下げられたのです。

自分が実際に3カ所を同時に体験してみると愕然としてしまいました。医療費は今、なにか得体の知れない株式会社に飲み込まれようとしているのではないかと。

医療費の一部が、それもかなりの額が売上高を棒グラフにしているこういう株式会社の利益になり、役員の報酬になり、社員の給与になり(もはや薬剤師ではなく社員である)株主に配当されているのは、たとえ資本主義の原則に則っているとはいえ、何か間違っている気がします。

株式会社という立場であるならば、できるだけ利益を上げなければならないので、「お変わりありませんか?」「はい」という会話だけで以前お伝えした「特別指導加算」がなされてしまうのは目に見えています。

個人で経営している薬局であれば、そういう会話だけで特別指導加算をするのはためらわれると、薬剤師個人の良心に照らして判断する事も可能でしょう。

2003年度の国民医療費約32兆円のうち保険薬局に支払われた費用は3兆9千億円で、前年度から医薬分業が広く行われた結果、薬局への支払いが1兆円増え、その分のみ国民医療費は増加してしまいました。これは厚労省が薬局の経営に配慮した結果、病院内の調剤報酬より院外薬局の調剤報酬の方が高く設定されたためです。


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タケプロンのジェネリック薬、タピゾールは先発品と比較して効果が低い

2009年04月02日 | 薬・総合
前回の記事は、「ジェネリック薬全体」対「先発品全体」ということではなく、個々の薬剤で考えなければならないという趣旨だったのですが、「ジェネリック薬全体」=「先発品全体」と誤解されてしまった部分がありましたので、タピゾールというタケプロンのジェネリック薬はタケプロンと比較して効果が低いという論文をご紹介したいと思います。

昨年末にアクセプトされたばかりの論文です。

Comparing the Acid-Suppressive Effects of Three Brands of Generic Lansoprazole with the Original: Pharmacokinetic Bioequivalence Tests Do Not Necessarily Guarantee Pharmacodynamic Equivalence.
Dig Dis Sci. 2008 Dec 18.
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★☆☆☆☆)

別の論文で薬剤の半減期、最高血中濃度、最高血中濃度到達時間などが、胃潰瘍などの薬であるタケプロンと同じと報告されているタケプロンのジェネリック薬、タイプロトン(アルフレッサファーマ株式会社)(大正製薬株式会社)、ランソラール(日医工株式会社)、タピゾールの3剤について、胃の中の酸性の度合いをしめすpH(ペーハー)が4以上の時間と、24時間の胃の中のpHの中央値が調べられました。

対象は、除菌によらずともピロリ菌が陰性で消化器疾患の既往がなく、常用薬がない20~23歳の健常人です。調査の2週間前からカゼ薬など全ての薬剤の内服が中止されました。

結果は、上の図に示されるように、先発薬タケプロンと比較して、タピゾールは昼間の胃の中のpHが有意に低く、胃の中の酸性の度合いをしめすpH(ペーハー)が4以上の時間が少ない(胃酸が抑制されていませんでした)という結果でした。

また、タイプロトンは患者によってその時間にかなりのばらつきがありました。

この結果がそのまま臨床の結果(胃潰瘍の治癒率など)に結びつくかは、今後の検討を待たなければいけませんが、タピゾールの効果が先発薬タケプロンと比較して低いことが確認されました。


タケプロンなどのプロトンポンプインヒビターは酸に対してきわめて不安定で、そのまま内服すると胃内ですみやかに分解されてしまうために、胃内では溶解せず十二指腸内で溶解するという特殊な加工がなされています。

タピゾールではそのような加工が不十分なのかもしれません。


もう一度、効果が先発薬タケプロンと比較して低い薬剤と製造and/or販売元を示しておきます。
タピゾール(太陽薬品工業株式会社)、(株式会社カイゲン)、(大正製薬株式会社)、(科研製薬株式会社)

患者によって効果にばらつきがある薬剤
タイプロトン(アルフレッサファーマ株式会社)(大正製薬株式会社)

原文はこちらです

一つ一つの薬剤を調べている、こういう論文って素晴らしいですね。


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心臓病の治療薬の一部のジェネリック薬品には先発品と同等の臨床的効果あり

2009年03月24日 | 薬・総合
新薬の研究開発には莫大な費用がかかり、晴れて商品として市場に出回る時に研究開発費も考慮して薬価が設定されます。そういった先発品も発売から10年たつと特許が切れて、他社が生産できるようになります。その薬剤の薬価は、開発費がかかっていないぶん新薬よりも安くなります。これが後発品(ジェネリック薬品)です。

医者や患者のなかには後発品(ジェネリック薬)が先発品(ブランド薬)に劣ると考えている向きもありますが、先日、日本経済新聞で以下のような記事を読み、私も同感でしたので調べてみました。

「医療関係者の間に後発品に対する不安があるわけですから、その不安を打ち消すだけの十分な根拠に基づいた様々な情報提供が必要です。メーカーだけではなく、旗を振る政府にも責任があります。患者からすれば、安くていいものがあれば、それに越したことはないのですが、通常はそれを選ぶ専門知識がありません。医師や薬剤師が専門家として役割を果たすことも求められます。」

調べてみると、昨年発表された「心血管疾患の治療に関する複数の研究を調べた結果、後発品(ジェネリック薬)が先発品(ブランド薬)に劣っているという証拠はない」という以下の研究論文が信頼できる医学雑誌に載っていました。


Clinical equivalence of generic and brand-name drugs used in cardiovascular disease: a systematic review and meta-analysis.
JAMA 2008;300:2514.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

この研究では1984年~2008年8月に発表された47件(そのうち38件がランダム化試験)の研究のメタアナリシスと、同時期に発表された論評の内容が検討されました。

結果は上の図(左寄りが先発品の方が有効、右寄りが後発品の方が有効です。全ての薬剤で中心の線にオーバーラップしていますので、片方が有効ということはありません)にあるように、βブロッカー、カルシウム拮抗剤、ACE阻害薬、αブロッカーといった高血圧治療薬、心不全や高血圧の治療に使われる利尿薬、血液をさらさらにする抗血小板薬やワーファリン、悪玉コレステロールを低下させる脂質異常症治療薬スタチン、クラスⅠ群抗不整脈薬のいずれも後発品(ジェネリック薬)の効果が先発品(ブランド薬)より劣っているということはありませんでした。

忍容性も同等でした。

また、それにもかかわらず、研究の論評では53%の医者が後発品(ジェネリック薬)に否定的な見解を示していました。

著者らは、研究の結果とその解釈が一致しない理由に「論評では医者の経験的感覚(要するに感情でしょう)の影響を受けている」点と、「論評委員と製薬会社との間の金銭的な関係が論評の結論に影響している可能性が否定できない」と述べています。

また、「後発品(ジェネリック薬)に対する事実無根の不信をこれ以上助長させないために、根拠にのみ基づいて吟味すべきである」と述べています。

私もその通りだと思います。

医者の皆さん、患者に以下の薬を処方するときに「後発品(ジェネリック薬)の効果は怪しいです」なんて言わないようにしましょう。

もう一度、先発品(ブランド薬)と後発品(ジェネリック薬)の効果と忍容性が同等の薬の名前を挙げておきます。

βブロッカー
カルシウム拮抗薬
ACE阻害薬
αブロッカー
利尿薬
抗血小板薬
ワーファリン
スタチン
クラスⅠ群抗不整脈薬


「感情」と「賄賂」で医療をしてはいけませんね←これは論文に紹介されたアメリカ人の医者のことです。


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市販類似の病院処方薬、全額患者負担を検討

2006年06月12日 | 薬・総合
アメリカでの留学生活を終えて、今月末で帰国することになりました。今月は引っ越しで忙しくなりそうです。

(日本経済新聞より引用)
政府・自民党は、かぜ薬など市販薬と類似する医薬品を医療機関が処方した場合、公的医療保険を適用せず全額を患者の自己負担とする方向で検討に入った。歳出・歳入一体改革の一環で、医療機関の薬剤投与を抑える。医療費の2割を占める薬剤費の抑制につなげる狙いだが、来夏の参院選を控え与党内の反発も予想され、調整が必要になりそうだ。

現在、医薬品は保険対象となる医療品(70歳未満の自己負担は3割)と、医師の処方せんがなくても薬局で購入できる保険外の一般用に区別されている。医療品は安全性に配慮して医師の診断でしか処方されないが、かぜ薬などでは「一般薬とほとんど同じものが医療用にある」(厚生労働省)のが実情。このため自民党内からは「市販品と変わらないものに保険適応するのはおかしい」との声が上がっていた。

保険外にする対象として想定される医療用薬品はかぜ薬や湿布薬、うがい薬やビタミン剤など。除外範囲にもよるが。導入による薬剤費の抑制効果は「数百億円に上る」(財務省幹部)。ただ、新たな患者負担となるため、患者側の反発も予想される。

薬剤師会や製薬関連団体も「薬剤費抑制のためだけに恣意的に対象範囲が決められる可能性がある」と慎重な声が多い。医療用医薬品に公的医療保険が支払う薬剤給付費は2004年度で6兆4千億円と近年、医療給付費の約2割の水準で高止まりを続けており、薬剤費抑制は医療改革の課題となっている。

先進国での同様の取り組みとしては、ドイツが2004年の医療制度改革で処方せんなしで入手できる医薬品を保険外にした例がある。
(以上、日本経済新聞より引用)

確かに、湿布薬などは薬局で買うと全額自費だからと病院で「先生、湿布も下さい」と保険で手にいれるのは不公平ですね。かぜ薬もそうです。高血圧で通院中の患者さんが風邪をひいた時のために医者にあらかじめ処方を頼むのも保険の不公平使用にあたります。だいたい、アメリカでは風邪ぐらいでは病院にかかりません。それどころか、風邪で病院にかかると叱られてしまいます(叱られるからかからないのかもしれませんが)。自分で薬局でアスピリンを買い、自宅で安静にしているのが一般的です。

この記事で不思議に感じたことはありませんか?そうです、薬剤師会や製薬関連団体はこの制度導入に反対しているのに、医師会が反対しているとは書かれていません。今や薬剤費から得られる利益はほとんど病院や診療所にもたらされていないので利害関係があまりないのです。むしろ薬剤師会や製薬関連団体が反対するところをみると、やはり薬剤費で儲かっているんだなぁという印象を受けませんか。

医療でこのようなコストの話が出ると、必ず「金のない者は寿命が縮んでもいいのか」という意見が出ますが、それは極論です。今までの日本の医療にはコストの概念があまりにもなさすぎました。


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医療費の行方

2006年05月24日 | 薬・総合
前回、病院・診療所の診察料についてお伝えしました。情報がそろってきたところで、少し具体的に考えてみましょう。

高血圧症と糖尿病でタナトリルというACE阻害薬を朝1錠、アマリールという糖尿病の薬を朝昼1錠ずつ1月分処方されている場合を考えてみましょう。タナトリル(5mg)が82円、アマリール(1mg)が23円ですから、1月の「薬剤費」は2,296円+1,288円=3,584円です。

前回お伝えしたように、病院に支払う診察料は月1回の再診を受け2種類の薬を28日処方してもらう場合は570円(再診料)+420円(処方料)+650円(加算料)=1,640円です。

次に処方してもらった処方箋を持って薬局に向かいます。
大きな病院の近くの薬局に行けば「調剤基本料」は210円です。2種類の薬を28日分調剤してもらうわけですから、「調剤料」は800円x2=1,600円です。さらに薬剤服用歴管理・指導料 170円、特別指導加算 280円、薬剤情報提供料 170円を加算して合計2,430円です。

つまり診療所・病院に1,640円、製薬会社に3,584円、薬局に2,430円のお金が流れていることになります。

「薬剤費」は製薬会社に支払われるのですが、製薬会社もその薬の開発費や宣伝費などの経費が必要です。会社四季報を見ますと2005年の時点での大手製薬会社の利益率(経常利益を売り上げで割ったもの)の平均は約20%ですからこの場合3,584円のうち20%の717円が製薬会社の利益、80%の2,867円は薬の開発や宣伝に必要な経費です。利益率といえば、あのトヨタ自動車でさえ9%ですが、武田薬品工業はなんと39%です。

この場合、2種類も処方されているからだとか、高い薬を例にだしているからだとか、病院で検査する場合が考慮されていないなどと言わないで下さい。そういう事は承知で、あくまでも1つのモデルとして計算しています。実際にもっと高い薬はたくさんありますし、毎回検査するわけでもありません。

診療所・病院、薬局の利益率はそれぞれの経営状態によって異なるため一概には言えないのですが、一連の受診行為で支払う合計額7,654円のうち21%が病院や診療所、47%が製薬会社、32%が薬局に流れます。もちろん実際に支払うのはこの額の3割なのですが、何度も言っているように、残りの7割も私たちの税金や保険料から支払われるのですから、私たちが支払っているのと同じことです。むしろ自己負担が3割であるがために、私たちは医療費の流れを深く考えないように仕向けられているとも解釈できます。

一部のマスコミがいまだに病院は儲かっているから医療費を削減するにはまず診療報酬を下げることが必要などと言っていますが、これらの数字をみるとそれが全く的外れであることがわかります。特に、お金が診療所や病院よりも薬局に流れていることには私自身も今回初めて知りとても驚きました。

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薬局の請求書の闇

2006年04月10日 | 薬・総合
知人から、薬局での支払いに関して「薬剤費」以上の費用が薬局から請求されている気がするというメールをいただきました。おまけに領収書には明細は書かれておらず、合計額だけが書かれていたそうです。処方の内容は、フロモックスという抗生剤を1日3錠4日分、ガスター(20mg)1日1錠28日分、健胃散(1日3回)28日分でした。

そこで調べてみたのですが、「薬価」はフロモックスが1錠78.7円、ガスター(20mg)が68円、健胃散が6.4円/グラムで1日分4グラムなので1日25.6円でした。

「薬剤費」に関しては、15円以上の「薬価」のものは1の桁が5までは切り捨て、5を超えたら切り上げですから。このケースの場合は3370円です。

「調剤料」ですが、1剤につき、4日間分で200円、14日分だと630円、28日分だと800円、60日分まで880円です。長期の処方のほうが得になる料金設定です。

フロモックスが7日分ですから200円、ガスターは28日分ですから800円、健胃散も28日分ですから800円で、「調剤料」の合計は1,800円です。

さて薬局の請求書の不思議でご紹介したように、ここに「調剤基本料」がかかります。これは薬局の状態により異なりますが、このケースでは490円でした。さらに薬剤服用歴管理・指導料 170円、特別指導加算 280円、薬剤情報提供料 170円を加算して合計6,130円、本来の「薬剤費」が3370円ですから「薬剤費」以外は2,760円でした。もちろん個人が支払う額は6,130円の3割ですが、残りの7割は私たちの保険料や税金などの公的資金からまかなわれるのですから私たちが払っているようなものです。

知人のメールにあったように「薬剤費以上の費用が薬局から請求されている」とまではいかないですが、3,370円分の薬を買っただけなのに、薬局自体への報酬が2,760円加算されるのは盲点だと思いませんか。これではいくら薬剤費の値下げによる国の医療費の節約を叫んでも意味がありません。

このあたり、すごーい闇のように思えてなりません。

そこで、どうしたらこういう支払いを節約することができるかを考えてみました。まず、「調剤料」ですが、算定できるのは3剤までとなっているので4剤以上は同じです。3剤の方は2剤に、2剤の方は1剤にできると「調剤料」は節約できます。なお、例えば朝だけ内服という場合は何種類朝に内服していても1剤と計算されます。1日3回朝、昼、夕の場合などもそういう内服のしかたをする薬は何種類あっても1剤とします。ただし、「1日3回朝、昼、夕」と「1日3回朝、昼、眠前」のように1回でも内服する時期が異なる場合は別とします。そうすると、

コレステロールは夜に合成されるからと、高脂血症の薬を夕方に内服するように処方され、
ノルバスクという高血圧の薬を1錠朝1回とメバロチンという高脂血症の薬を1錠夕1回処方された場合は28日間の場合「調剤料」は1,600円であるのに対して、メバロチンも朝の内服として処方してもらえば800円ですみます。

そして「調剤基本料」は1カ月の受付が4,000回以上、1カ所の病院からの処方の集中が70%以上の薬局では210円であるのに対して、そうでない薬局での「基本調剤料」は490円ですから、できるだけ大きな病院の近くの薬局で処方してもらうと280円節約できます。

「薬剤服用歴管理・指導料」は「患者ごとに作成した薬剤服用歴に基づいて、処方薬の重複投薬、相互作用、薬物アレルギーなどを確認し、基本的な説明・指導を行い、その記録を3年間保管した場合」170円加算されるものですから、薬局がそういうチェックをしているのであればしかたがないでしょう。

ただし「特別指導加算」は「薬剤師が患者や家族と対話することで情報を収集し、薬剤服用歴に基づいて投与される薬剤の適正使用のために服薬指導を行った場合」に280円加算されるものですから、かなりグレーゾーンです。「お変わりありませんか?」と聞かれ「はい」と答え、「それではこれまで通り薬を飲んでください」と言われるだけで加算できるとも解釈できますし、良心ある薬剤師がそういう場合は加算しないこともあると思います。自分で自分の内服薬が管理できる方は、この料金の加算を断ってもいいのではないでしょうか。

「薬剤情報提供料」は「薬の説明書の配布、糖尿病手帳など、各種手帳への記載」によって170円加算されるものです。「この薬は咳のお薬です」といった説明書きが配布されると思いますが、いつもと同じ薬の場合は必要ない場合が多いと思います。必要ないなら説明書の配布を断り「薬剤情報提供料は加算しないでほしい」と主張して170円を節約しましょう。

これで800+280+280+170=1,530円節約できることになります。

また、「調剤料」は30日では800円ですが、60日でも880円ですから、1ヶ月分処方してもらうより2ヶ月分処方してもらう方がはるかに経費を節減できる事に気がつきます。若い方の高血圧や高尿酸血症のような慢性疾患で症状にほとんど変化がない場合はそうしてもらうと安くすみます。

逆に医者の方は、慢性疾患で症状にほとんど変化がない場合は2カ月処方することや、投薬時期をなるべくそろえることを心がける事で患者さんの負担を減らす事ができます。

以前もお伝えしましたが、2003年度の国民医療費約32兆円のうち保険薬局に支払われた費用は3兆9千億円で、医薬分業が行われた結果1兆円増えてしまいました。これは厚労省が薬局の経営に配慮した結果、病院内の調剤報酬より院外薬局の調剤報酬の方が高く設定されたためです。

みなさん、薬局で合計額だけの請求書をもらったら、詳細を書いた請求書もほしいと求めましょう。そういうことも日本の医療費を節約するための一歩になると思います。


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ジェネリック薬品

2006年01月09日 | 薬・総合
(日本経済新聞)
厚生労働省は公的医療保険が支払う医薬品の公定価格(薬価)の制度を見直す。先に販売された先発薬より安い後発薬の販売が始まると、先発薬の公定価格も後発薬の値段に連動して下がる新しい方式を導入する。先発薬の値下げを速めることで年間1,500億円の薬剤費削減を見込む。年内に固まる医療制度改革にあわせ、来年度から順次導入する。新薬価制度は同省が医療制度改革試案に盛り込んだ後発品の普及促進を中心とする薬剤費削減策の柱。中央社会保険医療協議会(中医協)、与党などとの調整を経て年内に大枠を正式に決め、来年度の薬価改定で導入する方向だ。
(以上引用)


「後発品」とは、最初に開発された薬品(新薬)の特許期間(20年)が切れてから、開発した会社以外でも同じ成分を使って製造発売できるもので、ジェネリック薬品ともよばれています。かつては、新薬の特許が切れた直後にゾロゾロ出てくるので、「ゾロ」または「ゾロ薬」などと侮蔑的表現が用いられていました。この背景には、主成分以外の添加物の品質に対する不安や、メーカーの多くが多品種少量生産であり、在庫が不十分なことによる安定供給の確保に問題があったことなどが挙げられています。

しかし価格が新薬より安く、高騰する医療費の抑制を担える可能性から最近注目をあびています。例えば、三共が開発し、2002年度国内売上高ランキング第1位となった高脂血症治療薬メバロチンの1錠当たりの薬価は145円ですが、後発医薬品メーカーが販売する同じ成分の製品は、東和薬品(マイバスタン)で112円、沢井製薬(プラバチン)および業界第3位の日本医薬品工業(メバン)では88円となっています。

新薬の価格が高い理由に、新薬の開発には10年から20年、費用は100億円から200億円かかる事があげられます。後発品が市場に占める割合は欧米では50%近くありますが、日本では10%にすぎません。

「ジェネリック薬品の情報を増やすべきだ」などというジェネリック薬品を支持する質問項目を4つ、「新薬の方が安心できる」などという新薬を支持する質問項目を5つ、「医者の指示に従う」というお任せ思考的質問事項を2つ、合計11の項目の中で当てはまるものを選んでもらうという、早稲田大学ビジネススクール今泉均氏が施行した調査では、ジェネリック薬品支持が41.9%、新薬支持が56.2%、お任せが69.1%(重複回答あり)でした。薬剤の選択では医師の指示に従うもののジェネリック薬品への関心の高まりが認められました。

医療費の高騰に伴う自己負担の増加を嘆く前に、国民それぞれが医療費の抑制に向けて行動する必要性を考えるとき、ジェネリック薬品は重要な存在です。これまでの先発医薬品を継続するか、ジェネリック薬品へ切り替えるかの最終決定権は患者さんにあるのです。

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薬局の請求書の不思議

2005年11月10日 | 薬・総合
2003年度の国民医療費約32兆円のうち保険薬局に支払われた費用は3兆9千億円で、医薬分業が行われた結果1兆円増えてしまいました。これは厚労省が薬局の経営に配慮した結果、病院内の調剤報酬より院外薬局の調剤報酬の方が高く設定されたためです。

みなさんはいつも同じ薬を処方してもらっているのに支払う料金が違うことを経験したことはありませんか。今回は薬局で支払う料金についてお伝えします。

まず薬局で支払う基本的な料金を見てみます。
調剤基本料  490円
調剤料 例えば300円
薬剤服用歴管理・指導料 170円
特別指導加算 280円
薬剤情報提供料 170円
そして薬自体の料金 **円

調剤基本料は薬局が扱う処方箋量と特定の医療機関からの処方箋が全体に占める割合(集中率)によって異なっており、1カ月に扱う処方箋量が4,000回以下、集中率が70%以下の薬局では490円、それを越える薬局の場合は210円です。つまり大きな病院の周りにある薬局に行く方が安くなります。

調剤料は薬の量や種類によって定められます。

薬剤服用歴管理・指導料は「患者の服用歴に基づいた指導、記録管理などをする場合」に求められます。これはいつもと同じ薬を処方する場合も自動的に加算されている場合が多く、「服用歴」ですからいつも同じ薬局に処方箋を持って行く場合に加算されやすいものです。逆にいつもと違う薬局で過去の記録もないのに求められている場合は「指導など受けていない」と主張できると思います。

特別指導加算は「患者や家族と対話して情報収集し、服薬指導した場合」に求められます。薬剤師と対話し情報収集しなければ請求できませんが、この理屈では「お変わりありませんか?」「はい」「いつも通り飲んで下さいね」という会話で特別指導加算が成立してしまいます。

薬剤情報提供料は「薬の説明書の配布、糖尿病手帳など、各種手帳への記載」によって生じるものです。「この薬は咳のお薬です」といった説明書きが配布されると思いますが、いつもと同じ薬の場合は必要ない場合が多いと思います。必要ないなら説明書の配布を断り「薬剤情報提供料は加算しないでほしい」と主張しましょう。

みなさんも、既に病院で説明されているのに「この薬は食後すぐに内服して下さい」といわれ余分な請求をされた経験はありませんか。患者が既に知っている内容を伝えることは指導とはいえません。それでも日本の診療報酬は出来高払いなので、薬剤師が指導したと申告すれば薬剤師に報酬が支払われます。

毎回同じ薬をもらっている方は、本来ならばこれらの料金が節約できると思います。

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薬剤費抑制へ「新薬価」

2005年10月24日 | 薬・総合
厚生労働省は公的医療保険が支払う医薬品の公定価格(薬価)の制度を見直す。先に販売された先発薬より安い後発薬の販売が始まると、先発薬の公定価格も後発薬の値段に連動して下がる新しい方式を導入する。

例えば先発薬の市場価格が100円、後発薬は50円で、それぞれの市場シェアが七割、三割の場合、改訂後の先発薬の公定価格は市場シェアを加味した平均値の85円となる。これまでは、特許の期限が切れ、同じ成分を持つ後発薬が登場しても、その市場価格は反映していなかった。先発薬の値下げを速めることで年間1,500億円の薬剤費削減を見込む。年内に固まる医療制度改革にあわせ、来年度から順次導入する。

新薬価制度は同省が医療制度改革試案に盛り込んだ後発品の普及促進を中心とする薬剤費削減策の柱。中央社会保険医療協議会(中医協)、与党などとの調整を経て年内に大枠を正式に決め、来年度の薬価改定で導入する方向だ。
(日本経済新聞)以上引用

薬価に関しては医者自身も意識しないことが多く、売る側が売る物の価格を知らないなんて医者だけではないだろうかと以前から疑問を感じていました。価格を知らないから、同じ効果の80円の薬があるのに240円の薬を処方していたりする事がよくあります。患者さん側も自己負担が三割なので負担が増える分が圧縮され、意識しにくいのかもしれません。80円の薬は1日1錠1カ月の場合2,400円で自己負担額は800円です。それが240円の薬の場合だと自己負担額は2,400円で、それでもかなりの出費ですが、国全体として医療費を4,800円無駄使いしていることになります。

とにかく、薬価が安くなることは良いことです。

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