医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

ファイザー製コロナワクチンで帯状疱疹はむしろ減る

2023年02月09日 | 感染症
私は外来診療で1,000人ぐらいの患者を診ていますが、1,000人診ているといろいろな患者に出会いますし、それだけでエビデンスを得るデータが収集できます。

先日、「コロナワクチンを接種したから帯状疱疹が出てしまいました。近くのクリニックに行ったら、抗体の反応が亢進して出やすくなったのでしょう」と言われましたと、言われました。

私は「そうかなぁ~そんなことはないですよ」と言いつつも、知識が曖昧だったので調べてみました。

Assessment of Herpes Zoster Risk Among Recipients of COVID-19 Vaccine
JAMA Netw Open. 2022 Nov 1;5(11):e2242240. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2022.42240.

無料でダウンロードできます。


この研究では、2020年12月11日~2021年6月30日に、ファイザー製ワクチン(BNT162b2)、モデルナ製ワクチン(mRNA-1273)、ヤンセン製ワクチン(Ad26.COV2.S)のいずれかを接種した203万9,854人のデータが分析されました。

自己対照リスク期間分析法を用いて、
新型コロナワクチン接種後30日目または次の接種日までのリスク期間と、
新型コロナワクチン最終接種日から60~90日のコントロール期間
(リスク期間とコントロール期間の間に30日間を確保)
における帯状疱疹の発症リスクが比較されました。

新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹リスクは、
パンデミック以前(2018年1月1日~2019年12月31日)もしくは
パンデミック初期(2020年3月1日~11月30日)にインフルエンザワクチンを接種した群と比較されました。

データは米国の医療請求データベース(Optum Labs Data Warehouse)から入手されました。

203万9,854人の平均年齢は43.2±16.3歳で、そのうち1,451人(0.07%)(平均年齢43歳ではこれぐらい低いと思います)が帯状疱疹と診断されました。

ファイザー製ワクチン接種では帯状疱疹リスクはむしろ低下しました(IRR:0.84、95%CI:0.73~0.97、p=0.02)。

モデルナ製ワクチン接種では帯状疱疹リスクとの関係はありませんでした(IRR:0.96、95%CI:0.81~1.15、p=0.67)。


新型コロナワクチン接種は、パンデミック以前のインフルエンザワクチン接種と比べて帯状疱疹リスクは低下していました。
 - 1回目接種のハザード比:0.78、95%CI:0.70~0.86、p<0.001
 - 2回目接種のハザード比:0.79、95%CI:0.71~0.88、p<0.001

また、パンデミック初期のインフルエンザ接種とは有意差は認められませんでした。
 - 1回目接種のハザード比:0.89、95%CI:0.80~1.00、p=0.05
 - 2回目接種のハザード比:0.91、95%CI:0.81~1.02、p=0.09

私たちはコロナワクチンを接種した後に起きたことを、ワクチン接種のせいにしがちです。ワクチン接種していなくても起きていることなのです。

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