医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

五輪コロナ風刺エンブレム、アスペルガー症候群の場合こうなる

2020年05月21日 | 雑感
先日、こんな事件がありました。コロナ感染による休業要請のために市税の納付猶予を希望した事業者が提出する書類の名前の記入例に、岩手県盛岡市の職員が「滞納太郎」と例を記載していた問題で、制作した担当者は「他人がそんなに不快になるとは思わなかった」とコメントしました。

この担当者はアスペルガー症候群です。

そして今回、日本外国特派員協会の月刊誌の表紙に東京五輪の大会エンブレムと新型コロナウイルスのイメージを掛け合わせたデザインが掲載された問題で、カルド・アズハリ会長は「著作権の問題」で取り下げることを表明した。記者からは「報道の自由があるべきではないか」「欧米では何の問題もない」との意見も出ましたが、これは東京五輪開催のために努力する人々・コロナ感染で苦しむ患者・医療従事者への冒涜です。アズハリ会長が作成したわけではないでしょうが、承諾を与えた人々はアスペルガー症候群です。この場に及んでも「不快な思いをされた方が多くいることは否定できない」と言っていますが、事前に「不快な思いをされる方が多い」と予想されること、実際「不快な思いされた方が多い」ことがアスペルガー症候群の皆さんには分からないのだと思います。

この担当者たちもアスペルガー症候群です。事前にどのように熟考しても、アスペルガー症候群だから「他人の気持ち(心の襞)」が本当に分からない・想像できないのだと思います。

ですから、アスペルガー症候群を優しく見守ってあげて下さい。と私は言いたいということです。

私はアスペルガー症候群 (幻冬舎新書 お 6-2)

自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体 (SB新書)

図解 よくわかる 大人の アスペルガー症候群

「もしかして、アスペルガー?」と思ったら読む本

自閉症スペクトラムとは何か: ひとの「関わり」の謎に挑む (ちくま新書)

を読みましたが、一番わかりやすくて、一番総括してあってお勧めなのは
自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体 (SB新書)です。

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「PCR検査を皆に行うのは有益でない」ことは、頭が悪い人には理解できないと思う

2020年05月14日 | 感染症
新型コロナウイルス感染の統計が徐々に明らかになってきています。
理解することを容易にするために数字は簡単に近似して考えてみます。これまで新型コロナウイルスに感染した人は約1万5千人で治癒した人が約5千人ですから、現在の感染者は約1万人です。日本の人口を約1億人とすると、有病率は0.1%です。

これが日本全体を母集団とした有病率です。PCR検査の感度(真の感染者がPCR検査で陽性と出る確率)は約70%です。百歩譲って80%とします。特異度(真の非感染者がPCR検査で陰性と出る確率)は99%です(有病率10%以上だったクルーズ船下船時の検査で陰性でも下船後濃厚接触がないのに陰性的中率=200\200+8910=2.1%の確率で陽性が判明・発症した原因です)。

このPCR検査を日本全体を母集団として行った場合が上の図の左です。(本来は縦軸と横軸は逆ですが、この方が理解しやすいのでこうしています)
理解しやすいように1万人の母集団で考えてみます。有病率は0.1%ですから、真の感染者は10人、非感染者は9990人です。PCR検査の感度は80%ですから、陽性に出るのは8人、陰性に出るのは2人です。同様に、PCR検査の特異度は99%ですから、陽性に出るのは9990人の内100人、陰性に出るのは9890人です。

さて、この母集団ではPCR検査の陽性は108人です。しかし、図を見てわかるように実際に感染しているのはたった8人です。陽性的中率(PCR検査で陽性だった人が本当に感染している確率)はたった7%なのです。つまり皆に網羅的にPCR検査を行うと93%の人は感染していないのに感染していると判断され、病院や軽症者用のホテルに収容されることになります。こんなこと皆さん嫌ですよね。それにこんなことしていたら病院の病床やホテルの部屋がすぐに満員になり確実に医療崩壊を起こします。これがPCR検査を闇雲に行ったニューヨークで医療崩壊が起きた理由です。

一方、医者が判断して「この人は怪しそうだ」という人に限ってPCR検査したとします。その際の有病率は正確にはわかりませんが、仮に10%まで上がるとします。それが上の図の右です。
理解しやすいように1万人の母集団で考えてみます。有病率は10%ですから、真の感染者は1000人、非感染者は9000人です。PCR検査の感度は80%ですから、陽性に出るのは800人、陰性に出るのは200人です。同様に、PCR検査の特異度は99%ですから、陽性に出るのは9000人の内90人、陰性に出るのは8910人です。

さて、この母集団ではPCR検査の陽性は890人です。そして図を見てわかるように実際に感染しているのは800人です。陰性的中率(PCR検査で陰性だった人が本当に感染していない確率)は98%に低下しますが、陽性的中率(PCR検査で陽性だった人が本当に感染している確率)は89%まで改善します。つまり医者が判断してこの人は怪しそうだという人に限ってPCR検査を行えば本当に感染している人に絞って病院の病床やホテルの部屋に収容することができ、ニューヨークで起きたような医療崩壊を防ぐことができるのです。

その一方で、陰性的中率(PCR検査で陰性だった人が本当に感染していない確率)が98%というのは陰性と出ても2%の人を見逃して市中に逃していることになります。これが現在感染者が未だに多少出ている理由の1つです。

ニューヨークで起きたような医療崩壊を防ぐためにも、医者が判断してこの人は怪しそうだという人に限ってPCR検査した方がよい理由がここにあります。

頭の悪い人たちは、「皆にPCR検査しろ!」と言いますが、このようなことが理解できていないのです。


福山哲郎もその一人で、日本人に帰化したものの、どうして元朝鮮人に日本をかき乱されなければならないのか、本当に腹が立ちます。

【福山哲郎 国会】尾身氏への恫喝質問で批判殺到中

頭の悪い人たちは、「PCR検査を増やさないから死亡するのだ!」とも言いますが、これも誤りです。これも私が新型コロナウイルス感染を魚の油EPA製剤エパデールの研究での「死亡」から再考するで示しました。医療従事者なら誰でもわかることですが、確実な治療法はなく、原因不明の肺炎で危篤になっているのに新型コロナウイルス感染を調べないことなどなく、新型コロナウイルス感染の死亡者数を見逃すことなどないからです。

ここにも詳しく解説されていました。

新型コロナウイルスPCR検査は国民全員に行うべきなのか
PCR検査の特性と限界 | 公益社団法人神奈川県医師会
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検査の意義をEBM的思考で考える

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70~74歳の窓口負担が1割から2割へ増えても健康状態は悪化しない

2020年05月06日 | 総合
昔、日本医師会は自分たちの収益に影響するため、「外来受診時の患者の窓口負担が増えると、受診が抑制されて国民の健康状態が悪くなる」という理論にすり替えて、窓口負担を増やすことに盛んに反対していました。

本当に健康状態が悪くなったのかを明らかにした、素晴らしいデータが本日の日本経済新聞で発表されましたので、お伝えします。

以下は日本経済新聞からの引用です。
窓口負担増の影響を明らかにするには、窓口負担「のみ」が異なるグループを見つけて、受診行動などを比較する必要がある。分析手法については、重岡仁・カナダ・サイモンフレーザー大准教授の論文などを参考にしている。

まず70~74歳の窓口負担の軽減措置見直しで、44年4月以降に生まれた人は2割負担となったのに対し、同年3月以前に生まれた人は1割負担に据え置かれている。このため両グループの窓口負担割合は異なる。次に両グループは、年齢がほぼ一緒であるため、健康状態や就業状態が平均的にはほぼ変わらないとみられる。つまり両グループでは窓口負担「のみ」が異なると考えてよさそうだ。従って、もし両グループを比較して受診行動や健康状態が異なっていれば、それは窓口負担が1割から2割に引き上げられた影響であると結論付けられる。

図1は、人口当たりの外来患者数の対数(縦軸)を1947年3月生まれから41年4月生まれまでの生年月(横軸)に対してプロットしたものだ。生年月が早い、すなわち年齢が高いと外来患者数が増えるという右上がりの関係になるのは自然なことだ。だが点線の前後、すなわち1割負担の44年3月生まれに比べて、2割負担の同年4月生まれの外来患者数が急に減っていることがみてとれる。この減少分が、窓口負担の1割から2割への引き上げの影響を表している。

次に健康状態への影響はどうだろうか。分析には主に厚労省の2016年「国民生活基礎調査」と17年「人口動態調査」を用いた。窓口負担増からそれぞれ約2年2カ月後、最大約3年8カ月後の影響をみている。死亡率や現在の健康状態に関する自己評価など、できるだけ幅広い健康状態に関連する指標を用いて分析した結果、いずれの指標でも影響は確認されなかった。
以上、日本経済新聞より引用

窓口の負担の増加額が適切であると、高齢者はそれだけ健康に留意するためか、もともと健康維持には関係がない受診が多かったのか、理由は色々とあるだろうが、医療機関の窓口での患者の負担額が増加して受診数が減少しても、健康状態は悪化しないのです。

科学的に分析すると(感情的に分析してもダメですよ)日本医師会の以前の主張は誤りでした。


私は個人的には、日本の医療の持続可能性のためにも、将来の日本を担う若者のために財源を少しでも残す意味でも、70歳~74歳の医療費の負担は3割に引き上げて欲しいです。またそれは、医療機関の過剰な医療を抑制する意味でもあります。

受診数では相関の切片と傾きを比較し、健康状態では相関関係を二次関数でフィットさせるという手法でした。
別所俊一郎先生(東京大学准教授)、古村典洋先生(京都大学特定准教授)、素晴らしい分析をありがとうございました。


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冠動脈カテーテル治療時のHbA1cは7.0%~7.5%が一番良い

2020年05月02日 | 循環器
冠動脈カテーテル治療時の糖尿病コントロールとその後の死亡率との関連に関して、日本国内から興味深く、素晴らしい論文が発表されました。

Increased Risk of Cardiovascular Mortality by Strict Glycemic Control (Pre-Procedural HbA1c 6.5%) in Japanese Medically-Treated Diabetic Patients Following Percutaneous Coronary Intervention: A 10-year Follow-Up Study
Cardiovasc Diabetol 2020;19:21

(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

研究対象となったのは冠動脈カテーテル治療を行った糖尿病患者4542人で、糖尿病の重症度を示すHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の値と心臓血管病による死亡、突然死との関係がその後約6年間(中央値)調査されました。

結果は上の図にありますように、HbA1cを6.5%以下に厳格に治療されている患者では、心臓血管病による死亡、突然死が増えてしまうというものでした。

HbA1cは貧血の程度を表すヘモグロビンの値からも影響をうけますので、多変量解析も行われています。交絡因子として、年齢、性別、病変数、血圧値、コレステロール値、血糖値、糖尿病罹患年数を考慮したModel 1でも同様の結果でした。また、年齢、性別、血圧値、血糖値、ヘモグロビン値、βブロッカーの使用の有無、腎機能(eGFRなんですが、eGFRを算出するのに年齢や性別が使用されるので、二重に補正されてしまっていると、個人的には思います)、糖尿病罹患年数、インスリン使用年数を交絡因子として多変量解析したModel 2でも同様の結果でした。

結果はHbA1c7.0~7.5%を最良とするUカーブになりました。

著者らが述べているように、この研究は2000年~2016年の冠動脈カテーテル治療を対象としているので、最近登場し心臓疾患の予後を改善するとされているSGLT2阻害薬が治療薬として含まれていないという限界があります。

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