医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

ワクチン vs 感染 その後のコロナ感染の予防効果は

2022年06月30日 | 感染症
私は小学生低学年の時、イエス・キリストに興味を持って、近所の教会の日曜学校に通って聖書を読んでいました(というか、小学生低学年用の聖書の場面のぬり絵をしていました)。

私の愛読書「聖書」の「コヘレトの言葉」の第八章 第7節~8節にはこのように書かれています。

やがて何が起こるかを知るものは一人もいない
確かに何が起こるかを、誰が人に告げることができるだろう
息を支配し、息を止められる人はいない
また、死の日を支配できる人もいない



今月、新型コロナワクチン接種と実際の感染の、今の段階でどういう状況が一番感染予防効果が高いか調査した結果が、New England Journal of Medicineという信頼性の高い医学雑誌に発表されました。

Effects of Previous Infection and Vaccination on Symptomatic Omicron Infections
June 15, 2022 DOI: 10.1056/NEJMoa2203965
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)


左上の図はオミクロン株についてです。
以前感染した人は50.8%の感染予防効果を持っています。感染していなくて2回ワクチン接種した人は既に感染予防効果は落ちていてほとんど感染予防効果はありません。

感染して2回ワクチン接種した人は55.5%の感染予防効果を持っています。これは感染していなくて3回ワクチン接種した人の予防効果54.0%と同様です。感染して3回ワクチン接種した人は76.3%の感染予防効果を持っています。

右上の図はBA1株についてです。
以前感染した人は45.1%の感染予防効果を持っています。感染していなくて2回ワクチン接種した人は既に感染予防効果は落ちていてほとんど感染予防効果はありません。

感染して2回ワクチン接種した人は44.3%の感染予防効果を持っています。感染していなくて3回ワクチン接種した人の予防効果56.3%と高いです。感染して3回ワクチン接種した人は77.2%の感染予防効果を持っています。

これらのデータは時間の経過と共に減少していきますが、どういう状態が一番感染予防効果があるのかを知るには大変有用なデータです。

皆さん、ワクチン2回だけではもう効果は残っていません。3回目を打ちましょう。私は4回目を打ちたいです。

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やはり卵黄の取り過ぎは死亡リスクを増やす

2022年06月06日 | 生活習慣病
時々患者から「卵を食べ過ぎると悪玉コレステロール値が上がるというのは嘘ですよね」と尋ねられます。
でも、「悪玉コレステロール値の高い人が卵の摂取を減らすと、悪玉コレステロール値が減少する」ことは臨床でよく経験します。

卵(卵黄)の取り過ぎは動脈硬化性疾患の発症とは関連がないというデマも存在します。
以下のように「卵屋さん」が言っても説得力はありません。

たまごは1日2個以上食べてOK!たまごはコレステロールの敵ではない!
癌患者は栄養状態が落ちていることにより悪玉コレステロール値が下がっているのに、悪玉コレステロールが低いと癌になると、アホな主張をしています。これは単に、単解析における「因果の逆転」なのです。

合計約3万人を平均17年間前向きに調査した臨床データが2年前に信頼性の高い医学雑誌で発表されています。
Associations of Dietary Cholesterol or Egg Consumption with Incident Cardiovascular Disease and Mortality
JAMA. 2019;321:1081-1095.

(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

この研究では個人へのアンケートで毎日の食生活が調査され、6つの前向き調査のデータが合計されて再解析されました。もちろんこれらのデータは、性別、年齢、人種、教育のレベル、喫煙状況、糖尿病の状況、血圧の状況、日々の活動量、身長体重指数、飲酒量、善玉コレステロール値、内服薬物の状況で補正されました。

上の図は、食事内容から1日の悪玉コレステロール摂取量が解析され、その後の心血管疾患の死亡リスクと全疾患の死亡リスクとの関連が示されたものです。

参考までに、卵1つに200~260mgの悪玉コレステロールが含まれています。

下の図は同様の解析で、1日の卵の摂取量とその後の心血管疾患の死亡と全疾患の死亡との関連が示されたものです。

摂取悪玉コレステロールが多いほど、摂取卵量が多いほど全疾患の死亡率は連続的に上昇しています。スペースの関係で載せていませんが、心血管疾患の死亡はもっと関連が強かったです。

具体的には、悪玉コレステロールの1日摂取量が300mg増えるほど、心血管疾患による死亡リスクは1.17倍、全疾患の死亡リスクは1.18倍増えており、これは統計学的に有意なものでした。

卵の1日摂取個数が1つ増えるほど、心血管疾患による死亡リスクは1.06倍、全疾患の死亡リスクは1.08倍増えており、これも統計学的に有意なものでした。


やはり卵黄の取り過ぎは、心血管疾患の死亡リスクと全疾患の死亡リスクを上昇させます。卵の取り過ぎは良くないです。

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