医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

敗者復活戦

2011年02月13日 | 雑感
今週末は医師国家試験が行われています。そこで雑感です。


県病院事業庁によると、同庁が経営する県立4病院の医師数の現状(10月1日現在)は、総合医療センター(四日市市)が定数70に対し58人、こころの医療センター(津市)が同15に対し13人、一志病院(津市)が同8に対し3人、志摩病院が同36に対し28人-といずれも定数に満たない。人口10万人当たりの医師総数(04年度調査)でも県内は、全国都道府県でワースト12位の176.8人で、全国平均の201.0人を下回っている。「地域医療が崩壊し、パニックにならないと、この状況は改善されないのではないか」と、今後の医療体制について危機感を示し、行政が早急に医師確保対策を講じるよう求めた。
(毎日新聞より引用)


上記は5年前の記事です。

少なくとも地方では、大学の医局が医師を派遣する権限を持っていた昔の体制のほうがよかったということです。「地域医療が崩壊し、パニックにならないと、この状況は改善されないのではないか」という5年前の言葉は今の現状を予測できていたと言えます。

新しい研修医制度が始まり、医学部卒業生は研修病院を全国的に選択できるようになりました。研修医たちは「レベルの高い医学を学びたいから」と言っていますが、蓋をあけると「東京大学」が一番希望者が多いのにはうなずけるものの、二位以降「東京医科歯科大学」「大阪大学」と、「京都大学」がベスト3に入りません。「レベルの高い医学を学びたいから」ではなく、都会に行きたいだけの人も多いという証拠です。大学受験の時に敗れて地方の医学部生となった人たちに、あらためて都会を目指すという敗者復活戦の場が与えられたとも考えられます。

しかし、最終的に都会の病院で常勤として採用され、幹部候補となっていくのには、そこでまた競争が起きるわけで、しかも母校の人脈などがあったりして、受験の勝者と敗者が入れ替わるのは、なかなか困難です。

ですから、地方の医療を維持するために、賛否はあると思いますが、公的には(個人的にチャレンジしていくのは別ですが)敗者復活戦の場がなかった今までのやり方のほうが機能的だったわけです。


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グルコサミンとコンドロイチンは単独・併用でも関節痛への効果はない

2011年02月03日 | 整形外科
論文に掲載されている図です。折れ線グラフが0より下になれば有効ということですが、上下に伸びる95%信頼区間が0以下に留まることは24か月に渡ってありません。

巷で宣伝されているグルコサミンとコンドロイチンのサプリメントですが、医学的には効果がないことが証明されています。昨年発表されたメタ解析よりご紹介します。
Effects of glucosamine, chondroitin, or placebo in patients with osteoarthritis of hip or knee: network meta-analysis.
BMJ. 2010 Sep 16;341:c4675. doi: 10.1136/bmj.c4675
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

グルコサミンとコンドロイチンが関節痛と関節の間が狭くなってしまうことを予防する効果について過去に行われた10試験の3,803例が解析されました。

主要評価項目は疼痛強度、二次的評価項目は関節腔狭小化とし、製剤とプラセボとの臨床的に意義ある差異を示す最小値は、10cmビジュアル・アナログ・スケールで-0.9cmと事前に特定されました。

結果は、偽薬と比較して疼痛強度の差異は、グルコサミン群は-0.4cm(95%信頼区間:-0.7~-0.1 cm)、コンドロイチン群は-0.3cm(同:-0.7~0.0 cm)、2種類の併用群は-0.5cm(同:-0.9~0.0 cm)でした。95%信頼区間値が、臨床的に効果的であることを示す最小値(-0.9)を越えたものはありませんでした。

企業から資金提供を受けて行われた試験結果に比べて、医者が独立して行った試験では、効果量はより少なくなっていました(相互作用のP=0.02)。

著者らは、グルコサミンもコンドロイチンも、またそれらの併用も関節痛と関節腔狭小化の改善に効果的でないと結論づけています。

「コンドロイチンとグルコサミンの効果ランキング」

効果ランキングって・・効果はないんだってば!

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