医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

タケプロンのジェネリック薬、タピゾールは先発品と比較して効果が低い

2009年04月02日 | 薬・総合
前回の記事は、「ジェネリック薬全体」対「先発品全体」ということではなく、個々の薬剤で考えなければならないという趣旨だったのですが、「ジェネリック薬全体」=「先発品全体」と誤解されてしまった部分がありましたので、タピゾールというタケプロンのジェネリック薬はタケプロンと比較して効果が低いという論文をご紹介したいと思います。

昨年末にアクセプトされたばかりの論文です。

Comparing the Acid-Suppressive Effects of Three Brands of Generic Lansoprazole with the Original: Pharmacokinetic Bioequivalence Tests Do Not Necessarily Guarantee Pharmacodynamic Equivalence.
Dig Dis Sci. 2008 Dec 18.
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★☆☆☆☆)

別の論文で薬剤の半減期、最高血中濃度、最高血中濃度到達時間などが、胃潰瘍などの薬であるタケプロンと同じと報告されているタケプロンのジェネリック薬、タイプロトン(アルフレッサファーマ株式会社)(大正製薬株式会社)、ランソラール(日医工株式会社)、タピゾールの3剤について、胃の中の酸性の度合いをしめすpH(ペーハー)が4以上の時間と、24時間の胃の中のpHの中央値が調べられました。

対象は、除菌によらずともピロリ菌が陰性で消化器疾患の既往がなく、常用薬がない20~23歳の健常人です。調査の2週間前からカゼ薬など全ての薬剤の内服が中止されました。

結果は、上の図に示されるように、先発薬タケプロンと比較して、タピゾールは昼間の胃の中のpHが有意に低く、胃の中の酸性の度合いをしめすpH(ペーハー)が4以上の時間が少ない(胃酸が抑制されていませんでした)という結果でした。

また、タイプロトンは患者によってその時間にかなりのばらつきがありました。

この結果がそのまま臨床の結果(胃潰瘍の治癒率など)に結びつくかは、今後の検討を待たなければいけませんが、タピゾールの効果が先発薬タケプロンと比較して低いことが確認されました。


タケプロンなどのプロトンポンプインヒビターは酸に対してきわめて不安定で、そのまま内服すると胃内ですみやかに分解されてしまうために、胃内では溶解せず十二指腸内で溶解するという特殊な加工がなされています。

タピゾールではそのような加工が不十分なのかもしれません。


もう一度、効果が先発薬タケプロンと比較して低い薬剤と製造and/or販売元を示しておきます。
タピゾール(太陽薬品工業株式会社)、(株式会社カイゲン)、(大正製薬株式会社)、(科研製薬株式会社)

患者によって効果にばらつきがある薬剤
タイプロトン(アルフレッサファーマ株式会社)(大正製薬株式会社)

原文はこちらです

一つ一つの薬剤を調べている、こういう論文って素晴らしいですね。


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コメント (4)
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