医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

私の子供たちは新型インフルエンザワクチンを接種しない

2010年01月23日 | インフルエンザ
私の子供は昨年インフルエンザに罹患しましたが、全く薬剤を使わず治しました。きっとインフルエンザの抗体をいっぱい身につけることができたでしょう。この息子、実はクラスの同じ班が全員新型インフルエンザに罹患しているのに、一人だけ新型インフルエンザにかかっていません。実は、私の近所の子供も、私の「インフルエンザなんて基礎疾患のない者は自然に治りますよ」という助言のもとに、昨年薬剤を使わずに治しています。その子もなんと、同じ班の全員が新型インフルエンザにかかっているのに、一人だけかかっていません。

私は以前から中高年は新型インフルエンザに罹患しにくいとお伝えしていますが、最近その理由は、新型インフルエンザワクチンの親は1918年頃流行したインフルエンザではなくて、1968年から流行が始まっている香港A型(H3N2)インフルエンザということがわかってきました。1968年ではそれが「新型」と呼ばれるインフルエンザだったはずです。

過去を調べてみると、インフルエンザウイルスというのは、新しい自分の亜型を生み出したあとは、そのウイルスは姿を消しています。今年、以前からの季節性インフルエンザが激減しているのは、そのためだと推測できます。

ところで、インフルエンザウイルスは感染後、粘膜の細胞表面にあるシアル酸受容体に結合します。ヒトにはα2-6という受容体しかないため、ヒトにうつるインフルエンザがヒト以外にうつるようになる変異は起きません。鳥もα2-3という受容体しかないため、鳥にうつるインフルエンザが鳥以外にうつるようになる変異は起きません。ブタにはα2-6とα2-3の両方があるため、二つのインフルエンザウイルスが同時に存在した場合、ブタの体内でウイルスの抗原性のシャッフルが起きます。何か新しいウイルスと香港A型(H3N2)インフルエンザウイルスがブタの体内で混ざったのが、今回の新型インフルエンザです。

従って、1968年ごろから流行が始まっている香港A型(H3N2)インフルエンザに罹患したことのある中高年には感染しにくいのです。

ソ連A型インフルエンザウイルスは、以前中国の研究室が不手際で外界に漏らしてしまったもので、もともと自然界に存在していたものではないそうです。

昨年、息子がかかったインフルエンザは香港A型だったのでしょうか、息子は新型インフルエンザワクチンを接種しなくても、同じ班が全員新型インフルエンザに罹患しているのに、一人だけかかりません。

私が言いたい事は、このように一回インフルエンザにかかったことによって多量の抗体を身につけ、次の感染が防げるのであれば、インフルエンザに罹患することがそんなに「罪悪」なことでしょうか?ということです。

NHKなどでは、重症化した患者だけを取り上げて大騒ぎしていますが(最近は小沢氏の問題でそれどころではないようですが、NHKには科学的な考察より、小沢氏が献金を受けたかなどという非科学的なことを推測させておくのが、ちょうどいいのかもしれませんね)実際は、上の図のように、新型インフルエンザは基礎疾患のない子供ではほとんど重症化は見られません。

従って、以下の理由から、私の子どもたちは新型インフルエンザワクチンを接種しないことにしました。

(1) 基礎疾患のない子供は新型インフルエンザでほとんど重症化しない。重症化して死亡する確率は交通事故で死ぬ確率よりも低い。だけど子どもたちは車がビュンビュン走る横を毎日通学している。国が基礎疾患のない子供にもワクチン接種を推奨するなら、その前に、子どもたちの通学路をガードレールでガチガチに保護してほしい。

(2) 私の子どもたちは受験生ではないので、今の時期に新型インフルエンザに罹患しても不都合なことはない。

(3) インフルエンザに罹患することは、罪悪ではない。むしろ次の感染を防ぐ。

(3) 最近の調査で、学童の20%に不顕性感染(感染しても症状がなく、免疫を獲得した)が認められている。

(4) 一回3,600円は高すぎる。子供は2回接種しなければいけないので、子供が3人の場合、合計約2万円になる。基礎疾患のない私の子どもたちの場合、それに見合う価値があるのか立証できない。

そんなわけで、私はその2万円をSave the childrenに寄付をして、子どもたちの新型インフルエンザワクチン接種は止めることにしました。


私も新型インフルエンザワクチンを接種していません

皆さん、何事も科学的にいきましょう!


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うつ病治療薬、パキシルの効果

2010年01月16日 | 総合
前回、うつ病治療薬パキシルの販売戦略のために、うつ病と診断される人が増加し、無駄な処方も増えてしまったことをお伝えしました。

しかもパキシルに関しては、効果がないということが証明された論文がたくさんあります。

Effectiveness of paroxetine in the treatment of acute major depression in adults: a systematic re-examination of published and unpublished data from randomized trials
CMAJ 2008;178:296
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)

この報告は、2006年12月までにパキシルの効果について研究された40の論文について、結果を総合的に再解析したメタアナリシスよばれるものです。

中等度以上のうつ病に対して、パキシルを投与された3,704名と偽薬を投与された2,687名に関して効果が調査されました。

上の図でいうと、中心の横線より縦線が下にあるものはパキシルが効果があると結論された研究です。中心の横線より縦線が上にあるものは偽薬の方が効果があった研究で、中心の横線と縦線が交差しているのはどちらともいえないという結論を出した研究です。

パキシルが効果があると結論された研究はほとんどありません。

この論文の著者たちは、パキシルは中等度から重度のうつ病に対して、偽薬と比較して効果があるといえないと結論づけています。

(原文↓)
Among adults with moderate to severe major depression in the clinical trials we reviewed, paroxetine was not superior to placebo in terms of overall treatment effectiveness and acceptability. These results were not biased by selective inclusion of published studies.

パキシルの添付文書には
「海外で7~18際の大うつ病を対象としたプラセボ対照試験において、有効性が確認できなかったという報告がある。24歳以上の患者で自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが投与群でプラセボ群と比較して高かった」と書かれてあります。

どうしてこんな薬が900億円も市場があるのでしょうか?

↓原文はこちらからどーぞ
http://www.cmaj.ca/cgi/reprint/178/3/296

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昨年の検索用語ランキング

2010年01月03日 | 総合
明けましておめでとうございます。
ところで、このブログは定期的にトップページをご覧いただく方以外にも、YahooやGoogleなどに検索用語を入力し偶然たどりつき見てくださる場合が半分あります。そこで、今回は昨年1年間にどんな用語でこのブログが検索されたことが多かったのかを調べてみました。

第3位は、「歯科医 年収」、および「歯医者 年収」でした。

歯科医の5分の2が年収900万円以下
意外にも医療情報と異なるところで検索されていたようです。

私は「歯科医 年収」って、誰が何の理由で調べているのだろうと不思議に感じます。これから歯科医を目指している高校生や、歯学部に入学した大学生、他の歯科医の収入が気になる歯科医ならわかりますが、全てがそうだと思えないのです。

ここで私は、「相対性」という言葉を思い出しました。例えば、私たちは1万円の万年筆が30分先の店で7千円で売られていると、その店まで30分かけて行きますが、10万円のスーツが30分先の店で9万7千円で売られていてもその店までは行きません。個人にとって30分で3,000円という価値は同じであるにもかかわらず、人は相対的に状況を判断してしまいます。10万円余分に支払って愛車のシートを革張りにすることはできても、10万円で自宅に革張りのソファーを買うことには躊躇してしまう場合も同じです。これが「相対性」という人間の習性です。

「もっとも幸福な人々」が住んでいるのは個人所得が最も高い国ではないことは、これまでの研究で繰り返し証明されていますし、給料の多さと幸福感との間には、私たちが思っているほど強い関連がない(むしろ弱い)こともわかっています。それなのに、他人の年収を積極的に検索して、それが高かった場合に落胆するのは、自分で自分の首をしめてしまうことにならないでしょうか。

幸いなことに、私たちは自分を囲む「円」の大きさを自分で調節できます。小さい円が集まっているほうに移動すれば、相対的な幸福感は大きくなります。同窓会に出席したとき、真ん中で飲み物を手にして高給を自慢している「大きい円」がいたら、あえてそこから離れて、だれかほかの人と話すのです。人は持てば持つほどさらに欲しくなります。重要なのは「相対性」の連鎖を断ち切ることなのです。

さて、第2位は、新型インフルエンザが流行した影響を受け「インフルエンザワクチン 副作用」でした。
インフルエンザワクチンの副作用による死亡率

個々の局面では正しいことであっても、全体としては悪い結果を生むことを「合成の誤謬」といいましたね。この事象は「合成の誤謬」の反対といえます。

そして、第1位は、「タミフル 異常行動」でした。
結局、タミフルと異常行動の間には関連性は認められませんでした。
タミフル:異常行動との因果関係

<タミフル>異常行動との因果関係なし 厚労省研究班

こんな記事も書きました。
新型インフルエンザ、診断確定前でも治療薬、厚労省通知


タミフルを販売する会社からの費用で「タミフルと異常行動の間には関連性は認められなかった」と研究結果を発表した教授の言うことは信用できないと決めつけて批判したマスゴミや国民を批判してこんな記事も書きました。
日本人って、批判的?感情的?

「ゆとり教育」しかり(この責任はいまだに誰もとっていません)、間違っていた過去を振り返って反省し対策を練り直すことは、日本の将来を良くするために欠かすことができません。

ここで最新の医療情報です。
昨年11月に開催された日本薬剤疫学会で発表されました。
対象は、日本医療データセンターが保有する7健康組合のレセプトデータベースから、2003~2004年、2007~2008年の各12~3月にインフルエンザの傷病名で診療を開始した全例です。

インフルエンザ診療開始日の3日以内に外傷の傷病名が同一または他の医療機関で診療科医師されたものが抽出されました。タミフル投与率のバイアスを除去するためにプロペンシティ・スコア法(プロペンシティ・スコア法とは、最初にある治療が選択される確率を『プロペンシティ・スコア』として計算し、次にこのスコアによりマッチングさせて比較する手法です)が用いられました。

インフルエンザの診療を開始した患者数は延べ14万800人で、このうち36.6%にタミフルが投与されていました。タミフル投与群での外傷発生率は4.7人/1万人と、投与されていない群の8.2人/1万人より統計学的に有意に低かったそうです。

研究者らは「タミフルを投与されていなくても、投与された群以上に外傷が発生しており、そのリスクはむしろ高い。新型インフルエンザなどで基礎疾患のある高リスク患者には10代であってもタミフルの投与を躊躇すべきではない。またタミフルを投与しなければ異常行動による外傷に関して安全と考えてはならない。異常行動による外傷に対する監視は、投与とは無関係にすべてのインフルエンザ患者に行うべきだ」と結論づけています。

やはりここでもタミフルと異常行動の間には関連性は認められませんでしたね。


みなさ~ん、最近ここ↓をぽちっとすること忘れていませんか~?
なるほどためになったという皆さん!ここをぽちっとよろしくお願いいたします!

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