医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

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動脈硬化の指標になるのは善玉コレステロール

2007年02月11日 | 生活習慣病
High apolipoprotein B, low apolipoprotein A-I, and improvement in the prediction of fatal myocardial infarction (AMORIS study) A prospective study
Lancet. 2001;358:2026.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

前回、日本動脈硬化学会は動脈硬化の進行に影響を与えるコレステロール値の判断基準を変更したことをお伝えしました。善玉コレステロールと悪玉コレステロールを分けて考える必要があることはかなり以前から気づかれていたのですが、それを証明する2001年発表の論文をご紹介したいと思います。

図は上から総コレステロール、悪玉コレステロールであるLDLコレステロール、善玉コレステロールであるHDLコレステロールの値によって致死性の心筋梗塞がどれくらい増えるかをしめしたものです。

一番よい状態を1とした場合、各値が増えるあるいは減ることによってどれくらいの危険が生じるかを示しています。

図の横軸はモルで示されていますが、コレステロールの1モルは約38mg/dlですから、38を乗すれば健康診断などで示されるmg/dlという単位に変換できます。

例えば一番上の表の総コレステロールが4.49モルすなわち170mg/dlである場合の心筋梗塞を発症する危険率を1とすれば7.40モルすなわち281 mg/dlである場合の心筋梗塞を発症する危険率は男性で1.8倍ぐらいになることを表しています。

一方、表の一番下、善玉コレステロールが増えれば危険率は0.3倍にまで減少しています。

つまり、これらの表の傾きが一番急なものが、その物質の値が変化したときに心筋梗塞を発症する危険率に一番影響を与えていると判断できます。それは一番下の表で示されている善玉コレステロールの量です。

善玉コレステロールすなわちHDLコレステロールの値の変化が心筋梗塞を発症する危険率に一番影響を与えているのです。

くどいようですが、この結果は2001年に公表されています。あくまでも「総コレステロール」を指標にして必要量以上の投薬が行われた方が製薬会社にとって利益になるため、あえてこれまで表沙汰にされてこなかっただけなのです。


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