医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

勤務医は過労死が起きてもおかしくないとされる月100時間近い残業をしている

2006年03月29日 | 総合
病院の常勤医師の労働時間は週63.3時間に上っていることが3月27日、厚生労働省の医師の勤務状況調査(中間報告)で分かった。

労働基準法が定める週40時間労働に照らせば、過労死が起きてもおかしくないとされる月100時間近い残業をしている計算。患者の生命を預かり、高度な技術や細かい配慮を求められる医師の過酷な労働実態が浮かび上がった。

調査は、約230病院の医師1万1,600人余りが対象で、6,650人から回答を得た。1週間の労働時間では、回答した4,077人の常勤医師の最高は152.5時間で、平均は63.3時間。うち診療時間は、外来15.3時間、入院24.4時間の計約40時間で、自己研修や研究、教育などがその他の時間を占めた。

同じ病院に3年以上勤めている医師の3人に2人は「3年前より負担が増えた」と感じていた。理由として、62.3%が病院内の診療以外の業務を挙げ、教育や指導(49.4%)、外来患者数の増加(48.3%)が続いた。

診療科別にみると、最も多いのが産婦人科の週69.3時間。次いで小児科68.4時間、外科66.1時間となっており、不足が指摘されている産婦人科、小児科医が忙しいことを裏付けた形だ。非常勤医師の平均労働時間は週27時間だった。
(共同通信社)


この報告を論文のように評価し、報告の限界点を挙げてみると、
時間は多めに自己申告される傾向があるだろうということ
最高152.5時間というのは仕事以外の時間(睡眠・食事など)が週16時間しかなかった事になり、非現実的回答であったか、その週だけが特別多かったと考えられるため、情報として意味を持たないこと
1週間の労働時間を調査するのではなく1ヶ月の労働時間を調査するべきであったが、それでは回答率が下がってしまうこと
外科の66.1時間と比較して、産婦人科の週69.3時間や小児科68.4時間が多いと判断するには統計学的分析が必要であること

などが挙げられます。しかし、それらを差し引いて考えても、勤務医の労働時間の是正は不可欠であることは間違いないでしょう。


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日本のブレイキング・ニュースで思うこと

2006年03月27日 | 循環器
一昨日は、狭心症でも「重症でない」群であれば、風船治療とステント治療をせず薬だけ飲んで治療する群は、その後3年半の死亡率や心筋梗塞の発症率は風船治療とステント治療をする群と変わらないという事をお伝えしました。具体的な数字を見て感じたことがあるので、考察してみました。

死亡率は、3年半の観察期間で薬物のみの治療群で190人中15人(7.9%)、風船治療・ステント治療群で192人中11人(5.7%)です。

このデータを見て、ある医師が「重症でない」狭心症患者さんを薬物のみで経過をみている間に、運悪くこの患者さんは7.9%の確率の中に入ってしまい、死亡してしまいました。そこでこの患者さんの家族があの時風船治療をしてくれていたら死ななかったとして、医師を訴えたとします。もちろん裁判官がこの論文の内容を知っていれば無罪になるのでしょうが、そうなる保証もないし、裁判所に何度も足を運ぶ時間的浪費は計り知れないものがあります。

ですから、たとえ結果が同じであっても、医師は訴えられにくい方法をとらざるを得ない時代になってくると思うのです。これは最近あった、胎盤癒着による出血で患者さんが死亡したため治療にあたった医師が逮捕された事件とも通じる事があって、どんなに手を尽くしていても一定の確率で起きる母体死亡で医師が逮捕されるのであれば、産科医はこの世からいなくなるでしょう。

またこの件では、死体検案を24時間以内に警察に届けなかった事も逮捕理由の1つに挙げられていますが、どんなに手を尽くしていても一定の確率で起きる死亡を届けないで逮捕されるなら、風船治療をしないで薬物治療していて7.9%の確率で死亡された患者さんの死も24時間以内に警察に届けなければいけない事になります。

患者さん側からみて、手を尽くしたように思えるのは「薬物治療」、「風船治療」のどちらでしょうか。もちろん「風船治療」でしょう。そうすると、死亡率が同じ場合でも「風船治療」が増えてしまうのは仕方がないこととも思えます。

それでは重要な事はなんでしょうか。それは、こういう論文の結果をできるだけ多くの患者さんや裁判官に知ってもらうことではないでしょうか。


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日本のブレイキング・ニュース

2006年03月25日 | 循環器
日本の循環器学会に来ています。以前、アメリカ心臓病学会で「Late-Breaking Clinical Trial」というものがあり、治療に関わる重要な最新情報が発表される事をお伝えしました。ブレイキング・ニュースもう一つのブレイキング・ニュース

日本でも同様の発表がありました。3つあって、2つは昨年11月にアメリカ心臓病学会で発表されたものをもう一度日本で発表していただけでしたが、新たな発表がもう1つありました。

心臓に3本ある血管のいずれかが細くなると狭心症という病気になり、風船治療やステント治療、バイパス手術で血液の流れを良くする事は以前お伝えしました。(新しい冠動脈ステント)狭心症と言ってもその程度は、1本だけが狭いもの、3本とも狭いもの、付け根に近いところが狭いもの、先端の方が狭いものとさまざまです。

この研究では、
1、左の冠動脈の一番付け根に狭窄があるもの(LMT)
2、3本のうち一番大きい血管である、心臓の前に行く血管の付け根(#6)に狭窄があるもの
3、3本ともに狭窄があるもの

以上が「重症」の狭心症として分類され、

その他の状態は「重症でない」狭心症として分類されました。

そしてそれぞれの群において風船治療とステント治療をする群(192人)と飲み薬だけで様子を見る群(190人)に分け、その後の死亡率や心筋梗塞の発症率を3年半調査しました。

結果は、「重症」群ではやはり風船治療やステント治療をした方が死亡率や心筋梗塞の発症率は低かったのですが、「重症でない」群では風船治療やステント治療をしても、薬だけを飲んでいる群と死亡率や心筋梗塞の発症率は同じで、むしろ風船治療とステント治療をする群の方が、その後再度風船治療とステント治療が必要になってくる率が高くなりました。

つまり、狭心症でも「重症でない」群であれば、わざわざ風船治療とステント治療をしなくてもその後の死亡率や心筋梗塞の発症率は変わらないという事です。しかも年間医療費は風船治療とステント治療をする群の方が3~4倍高くなりました。

ただし、薬だけの治療の場合、狭いところはそのままですから日常生活で胸が締め付けられるという症状がそのまま残るというデメリットもあります。

それから誤解してはいけないのは、狭心症の症状があっても薬を飲めば大丈夫というわけではなく、ご自分が「重症」か「重症でない」かをカテーテル検査で調べる必要はあります。

この結果は海外と比較して風船治療とステント治療が多用される日本の現状に一石を投じるものとなりそうです。

ある医師は言っていました「でも、風船治療やステント治療をしないと儲からないからなぁ」
そんな事言ってていいのかな?

反証も挙げておきました。こちらもお読み下さい。
日本のブレイキング・ニュースで思うこと


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健康診断の胸部レントゲン撮影が肺ガンを検出する率

2006年03月22日 | 呼吸器
健康診断の胸部レントゲン撮影で「要精査」という通知をもらうと誰でも不安になるものですが、実際に最悪の結果である確率はどれくらいなのか。大腸癌をスクリーニングする便潜血検査に関しては医療情報はこうあるべき(便潜血を考える)でお伝えしました。それでは肺ガンの場合はどうかという報告です。


Journal of the National Cancer Institute. 2005;97:1832.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

対象は喫煙歴が全くない非喫煙者、以前に喫煙していた元喫煙者、現在も喫煙している現喫煙者あわせて67,315人で、全例に初回胸部レントゲン撮影を行いました。

全体の8.9%に肺ガンが疑われ、高齢者と喫煙者ほどその割合は高くなりました。他の画像診断装置(CTなど)で精査された後、肺ガン疑い群のうち206例(3.4%)に確定診断のための細胞診を行い126人が1年以内に肺ガンと診断されました。

検出された肺ガンの44%は早期非小細胞癌で、その内訳は72例が腺癌、20例が扁平上皮癌、9例が未分化大細胞癌、7例がその他の非小細胞癌でした。

検出率は現喫煙者で1,000人あたり6.3人と一番高く、過去に喫煙していた元喫煙者群で1,000人あたり4.9人、非喫煙者では1,000人あたり0.4人でした。肺ガンの89%は現喫煙者と元喫煙者から検出されました。

女性ではいずれの年齢群でも喫煙に関係なく、男性より肺ガンと診断される数は少なかったようです。

健康診断で胸部レントゲン撮影を受けると8.9%が肺ガンと疑われ、3.4%がいよいよ肺ガンの疑いが濃厚となり、さらにそのうち61%が肺ガンであるという結果です。つまり健康診断の胸部レントゲン撮影で肺ガンが疑われて「再検査が必要」となっても、実際に肺ガンである確率は3.4%X0.61=2.0%で、ただし喫煙者は6.3%ぐらい覚悟しないといけないということです。


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コーヒーを飲むと心筋梗塞の危険が高まる

2006年03月20日 | 循環器
CYP1A2という酵素に対する遺伝子のわずかな違いによって体内でのカフェイン分解が遅い人と早い人があります。*1A/*1Aという遺伝子をもつ人はカフェイン分解が早く、*1A/*1Fや*1F/*1Fという遺伝子をもつ人はカフェイン分解が遅いそうです。2月26日にコーヒーは糖尿病の発症を減らす事をお伝えしましたが、個人の遺伝子のわずかな違いによってコーヒーが必ずしも健康に良くないという論文が今月発表されました。

Coffe, CYP1A2 genotype, and risk of myocardial infarction.
Journal of American Medical Association. 2006;295:1135.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

対象は中米コスタリカで1994~2004年に1回心筋梗塞を起こしたことがある人2,014人(平均59歳)と、心筋梗塞を起こした人と年齢をそろえた、心筋梗塞を起こしていない人(2,014人)です。

カフェイン分解が遅い*1A/*1Fや*1F/*1Fという遺伝子をもつ人は心筋梗塞を起こしたことがある人の54%で、起こしたことのない人の55%と両群で違いはありませんでした。

カフェイン分解が遅い遺伝子をもつ人は、コーヒーを1日1杯(1杯250cc)飲む場合は差がないのですが、2~3杯の場合は1.36倍、4杯以上の場合は1.64倍発症率が高かったそうです。

カフェイン分解が早い遺伝子をもつ人は、1日1杯、2~3杯、4杯以上のいずれの場合も発症率は増えませんでした。

この傾向は、平均値である60歳未満の年齢でさらに強まり、カフェイン分解が遅い遺伝子をもつ人は、コーヒーを1日1杯飲む場合は1.24倍、2~3杯の場合は1.67倍、4杯以上の場合は2.33倍発症率が高かったそうです。60歳以上ではこの傾向は認められませんでした。

60歳以上では加齢に伴う後天的な因子の方が遺伝子よりも影響を与えていると考えられます。

コーヒーが好きな人は、自分がどちらの遺伝子型か気になりませんか。著者らは「遺伝子により食事指導を変えなければいけない時代が到来するかもしれない」と言っています。

心筋梗塞の発症率は、高血圧、糖尿病、喫煙、高脂血症などの危険因子がない方の場合は年齢にもよりますが10年でだいたい1,000分の4です。カフェイン分解が早い遺伝子をもつ人が1日4杯以上のコーヒーを飲むとそれが1,000分の9になるということです。


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老人1人の医療費78万円 2年連続で前年比増

2006年03月17日 | 総合
厚生労働省は3月8日、2004年度の1人当たり老人医療費が、前年度に比べ3.7%増えて78万円になるとの集計結果(見込み)を公表した。1人当たりの老人医療費は、介護保険が導入された2000年度から3年連続して前年に比べ減った後、03年度からは2年連続して前年比増となった。都道府県別に見ると、最も多いのは福岡県で96万5000円、2位は北海道の95万6,000円、3位は大阪府の91万3000円で、03年度と順位は変わらなかった。一方、最も少ないのは03年度と同じ長野県の63万5000円で、次いで新潟県の65万1000円、山形県の66万1000円。新潟、山形は03年度の順位が入れ替わった。老人医療費の総額は11兆6000億円で03年度に比べ0.6%のマイナス。02年度の医療制度改革で、老人保健制度の対象者を1932年9月30日以前生まれの人に限定したことで、03、04年度とも前年比で減となった。
(共同通信)

上にあげた図は、十万人に対する1年間の心筋梗塞の発症件数を都道府県別に分析したものです。

北海道の発症が多く医療費との関連の可能性が示唆されますが、福岡県と大阪府では発症率がそれほど多くないのに医療費が高いのは福岡県と大阪府に日本で有数の心臓病専門病院があることに関係しているのかもしれません。

老人医療費最がもっとも多い県は、最も少ない県の1.5倍という原因の究明が必要ですね。


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気管支喘息の治療薬

2006年03月16日 | 呼吸器
気管支喘息には、抗炎症薬(アレルギー薬とステロイド)と気管支拡張薬が使われています。抗炎症薬としては吸入ステロイドが最も重用視されており、臨床症状や呼吸機能を改善させるという多くのエビデンスがあります。今回はその中の大規模無作為試験の1つをご紹介します。

Early intervention with bubesonide in mild persistent asthma: a randomised, double-blind trial.
Lancet. 2003:361:1071.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

対象は5歳から66歳までの気管支喘息の患者さん72,41人で、これまでの治療のみの(抗アレルギー薬、気管支拡張薬)非使用群(3,597人)と、budesonide(商品名パルミコート)使用群(3,568人)に振り分けられ3年間調査されました。成人は1日400μg、小児は1日200μgを吸入しました。両群で、性別、人種、喫煙癧、内服内容、喘息の重症度に違いはなく、両群ともに喘息発作の頻度は週1~3回が35%程度、週4~7回が35%程度でした。喫煙は11%に認められました。

内服治療の内容は、テオドールやユニフィルに代表される気管支拡張薬の投与が11%、ベータ刺激薬といわれる気管支拡張薬が64%、経口のステロイドが4%に投与されていました。

試験を開始してから、最初の大きな喘息発作がエンドポイントとされ、3年以内に大きな喘息発作を起こした割合は、吸入ステロイド使用群で3.8%、非使用群で6.3%と有意に使用群の方で発作が少ない事が示されました。

こういう臨床試験をみると、吸入ステロイド薬非使用群の方が、不利な事はあっても有利な事はないのに、7千人もの方が参加する意気込みは、参加に対する謝礼の問題もあるのでしょうが、さすがアメリカと思ってしまいます。

日本で大規模無作為臨床試験を行おうと外来でその説明をすると、その場では了解が得られても、自宅に戻られて家族と相談したあとに来院された時、約半数の方が断るそうです。

さて、パルミコートは1瓶56日分(1日400μg使用)で2,338円です。


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アレルギー性鼻炎の薬

2006年03月14日 | アレルギー
アレルギー性鼻炎の季節です。アレルギー性鼻炎の罹患率は日本では13~16%といわれ、国民病の1つになっています。さらに、多くの患者さんはスギに続いてヒノキにも感作されているため罹患期間が4ヶ月に及ぶことがあります。

2005年に出された鼻アレルギー診療ガイドラインでは、治療の開始時期について「花粉飛散開始とともに、または症状が少しでも現れた時点で開始する」としていますが、花粉飛散開始時期の予測は必ずしも正確でないため、一般的には花粉飛散開始時期の1~2週間前から始められることが多いです。

ガイドラインによれば、初期治療は「遊離抑制剤」「抗ヒスタミン薬」「ロイコトルエン受容体拮抗剤」のいずれか1種類から始められますが、軽い症状が現れた場合「抗ヒスタミン薬」に限定されてきます。さらに花粉の本格的飛散期では1剤のみで症状を抑えることは困難で、中等度の症状では「抗ヒスタミン薬」に「鼻噴霧用ステロイド」が併用されます。

アレルギー性鼻炎の最も訴えが多い症状は鼻閉であり、鼻閉を伴う中等度の症状ではそれらに「ロイコトルエン受容体拮抗剤」が加えられます。目の症状には「点眼用抗ヒスタミン薬」が用いられます。

代表的な薬と1日分の値段を挙げておきます。罹患率が13~16%ですから製薬会社も力を入れていて、特に抗ヒスタミン薬には多くの種類があります。平均1日150円として3ヶ月内服すると13,500円、1千万人内服すると1,350億円の医療費です。

「遊離抑制剤」
インタール   159円
リザベン    208円
アレギサール 113円
ペミラストン  101円

「抗ヒスタミン薬」
ザジテン  150円
アゼプチン 108円
セルテクト 157円
アレグラ  206円
アレジオン 213円
エバステル 162円
ジルテック 162円
タリオン  146円
レミカット 141円
ダレン   141円
アレロック 160円
クラリチン 145円

「ロイコトルエン受容体拮抗剤」
オノン   337円

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肺ガンの検診に有用な検査

2006年03月08日 | 
先日、PET(ペット、陽電子放射断層撮影)によるがん検診では85%のがんが見落とされていたことが新聞記事になっていました。
PET検診、がんの85%見落とし…がんセンター調査
それではどのようなPETの使い方をすればよいかという論文をご紹介いたします。

Early lung-cancer detection with spiral CT and positron emission tomography in heavy smokers: 2-year results
Lancet. 2003;362:593.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

対象は年間20箱以上のタバコを喫煙する50歳以上の1,035人で、5年間調査されました。

毎年低線量CTを実施し、5mm以上の病変を認める場合には精密造影CTを実施し、5mm未満の場合はそのまま経過観察としたところ、2年目までに298人(29%)に肺病変(この時点では肺ガンとは確定していない)が発見され、そのうち95人の病変が5mm以上で精密造影CTが実施されました。その結果22人が肺ガンと診断されました。

一方、PETは精密造影CTで7mm以上の病変がある42人に実施され、18人の肺ガンを診断しましたが、2人の肺ガンを見逃していました。

つまり、PETはあらかじめCTなどで疑わしい対象を絞り込んだあとで実施した方が有用であるという事です。しかしそれでも1割の肺ガンを見逃していた事になります。やはり不特定多数を対象にしてPET検査を温泉ツアーなどとセットにした旅行企画というのは無理があるのではないでしょうか。


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変形性膝関節症の症状の改善には塩酸グルコサミンではなくセレコキシブを

2006年03月07日 | 整形外科
変形性膝関節症に対してもさまざまなサプリメントが売られています。今回はそれらに関する論文です。

Glucosamine, Chondroitin Sulfate, and the Two in Combination for Painful Knee Osteoarthritis
New England Jounal of Medicine. 2006;354:795
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

膝関節症状のある変形性関節症患者1,583例(軽症1,229例、中等症から重症354例)を対象にし、塩酸グルコサミン1,500 mgを毎日、硫酸コンドロイチン1,200 mgを毎日、塩酸グルコサミンと硫酸コンドロイチンを毎日、セレコキシブ200 mgを毎日、プラセボのいずれかにランダムに割り付け、6ヶ月間調査しました。頓用の鎮痛薬として1日4,000 mgまでのアセトアミノフェンの使用も許可されました。

結果は、膝関節痛が試験開始時に比べて20%減少した割合はプラセボ群で60.1%、塩酸グルコサミン群は64.0%、硫酸コンドロイチン群は65.4%、併用群は66.6%、セレコキシブ群は70.1%で、セレコキシブ群だけで差があったと解析されました(P=0.008)。副作用は軽症かつ稀であり、発生率には群間で差がありませんでした。

中等症から重症の膝関節痛だった患者群に限れば、塩酸グルコサミンと硫酸コンドロイチンの併用治療による反応率が、プラセボに比べて有意に高かった(79.2%対54.3%、P=0.002)。

「患者が自分の症状の管理に食品サプリメントを選択した場合には、塩酸グルコサミンではなく硫酸グルコサミンを使うように指示する必要がある。また疼痛が重症の患者には、硫酸グルコサミンと硫酸コンドロイチンを併用させればより高い効果が得られると思われる。3カ月間も治療すれば効果を評価することができる。もし、臨床的に意義のある症状の改善がそれまでに見られなければ、そのサプリメントの使用は中止すべきだ。また、健康な者や膝関節痛はあるがレントゲン所見は正常である者において変形性関節症の予防にこれらの薬剤の効果があるという証拠はない」と結論づけられています。

「グルコサミン」「コンドロイチン」をネットで検索すると多くの通信販売のサイトがあることがわかります。しかし、それぞれを単独で内服していても効果がないことが明らかになりました。また、併用の場合も、「グルコサミン」は塩酸グルコサミンではなく硫酸グルコサミンであることの確認が必要です。「セレコキシブ」は欧米では商品名「セレブレックス」として病院で処方されますが、日本では発売申請中です。


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PET検診、がんの85%見落とし…がんセンター調査

2006年03月04日 | 
国立がんセンター(東京)の内部調査で、画像検査PET(ペット、陽電子放射断層撮影)によるがん検診では85%のがんが見落とされていたことが分かった。PET検診は「全身の小さながんが一度に発見できる、がん検診の切り札」と期待され、急速に広がっているが、効果に疑問符がついた形だ。

PETは、放射性物質が含まれた薬剤を注射し、がんに集まる放射線を検出してがんを発見する装置。同センター内に設置された「がん予防・検診研究センター」では、2004年2月から1年間に、約3,000人が超音波、CT、血液などの検査に加えPET検査を受け、150人にがんが見つかった。ところが、この150人のうち、PETでがんがあると判定された人は23人(15%)しかいなかった。残りの85%は超音波、CT、内視鏡など他の方法でがんが発見されており、PETでは検出できなかった。がんの種類別では、大腸がんが見つかった32人のうち、PETでもがんと判定された人は4人(13%)。胃がんでは22人中1人(4%)だった。PETによる発見率が比較的高いとされる肺がんでも28人中6人(21%)、甲状腺がんで11人中4人(36%)にとどまった。

PETは1994年ごろから使われ始め、現在は100近くの医療機関が導入、多くでがん検診にも使われている。がん検診には保険がきかないため、10~20万円程度の費用がかかる。日本核医学会の調査では、2004年9月の1か月間だけで4600人が受診した。PET検診と温泉ツアーなどをセットにした旅行企画も売り出されている。

国立がんセンターの村松幸男検診部長は「PETでは『小さながんを見つけやすい』と言われてきたが、早期がんでは他の検査に比べ検出率が低かった。PET検診の意義は小さいのではないか」と話している。民間医療機関のがん検診では、がんのうちPETで検出されたのは64%、48%などのデータがある。国立がんセンターの超音波、CTなどを併用した検診では、がん発見率は一般の医療機関に比べ高いため、相対的にPETでの発見率が低下した可能性がある。
(以上、読売新聞から引用)

この記事を読むと、PET(ペット)によるガン検診には一部の薬と同じ理論が存在することに気がつきます。すなわち50人に1人、あるいは20人に1人に効きめがあるだけなのに、まるで全員に効きめがあるかのように宣伝されているということです。

温泉ツアーなどとセットにした旅行企画も結構ですが、PETの有効性に関する情報を公開してしてからにしないと詐欺になってしまいます。

こういう結果を是非とも英語の論文にして、日本から世界に発信してもらいたいものです。


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運動は変形性膝関節症の程度を改善する

2006年03月03日 | 整形外科
高齢化社会の到来とともに変形性膝関節症の患者さんが増えています。街中でも杖をついて歩いている人を多く見かけるようになってきました。

最近、変形性膝関節症の程度はMRIという磁気共鳴画像で軟骨の強度と柔軟性をもたらすグリコサミノグリカン(GAG)値が測定できるようになり運動が変形性膝関節症の程度をある程度改善できるかという調査が可能となりました。。

Positive effects of moderate exercise on glycosaminoglycan content in knee cartilage: a four-month, randomized, controlled trial in patients at risk of osteoarthritis.
Arthritis & Rheumatism. 2005;52:3507.
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★☆☆☆☆)

膝の半月板切除術を受けた変形性膝関節症の患者さん45人を対象にして、1回1時間、週3回の有酸素運動と膝の運動負荷を4ヶ月続ける群と、そうでない群に分けました。調査を完了できたのは運動群で16人、対照群で14人でした。

結果は、運動群の多くでは対照群と比較して、身体運動能力検査の結果が優れていました。また呼吸機能検査と体力検査も優れていました。

MRIによる検査ではGAG値が運動群で有意に多くなり、このGAG値は運動量と強い関連(r =0.70)があることが分かりました。

この論文では、対象が半月板切除術を受けた患者さんにかぎられており短期的な結果のみですが、膝関節の軟骨の強度と柔軟性は運動で改善することが初めて証明されました。こういう調査が可能となったのもMRI画像技術の進歩のおかげです。


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中国での臓器移植

2006年03月01日 | 総合
肝臓や腎臓の臓器移植を受けるため最近2年間に中国へ渡った日本人少なくとも7人が、手術直後に上海や遼寧省瀋陽などで死亡していたことが2月26日、分かった。これまでに中国で移植手術を受けた日本人が、計180人以上いる事実も判明した。中国の臓器移植では、ドナー(臓器提供者)が死刑囚である点など人権上の問題が指摘されている。厚生労働省の研究班と日本移植学会は、安全性を含めた実態把握に向け、渡航移植者の調査に乗りだした。
(時事通信)

中国外務省の劉建超副報道局長は2月28日の定例記者会見で、中国の一部医療機関が日本など外国からの臓器移植希望者を多数受け入れている実態について「正確に掌握しているわけではない」と述べ、具体的な状況をつかんでいないことを明らかにした。副局長は「臓器移植に関する医療行為は法律に基づき行われるべきだ。関連法に抵触してはならない」と強調したが、中国国内で臓器移植関連法が未整備となっている実情について具体的には言及しなかった。
(共同通信社)

中国での臓器移植を仲介しているサイトです
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