医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

精神・人格異常(その29)「松川るい」の場合

2023年08月12日 | 神経
自民党の松川るい参議院議員がフランス研修中にエッフェル塔の前でポーズをとって浮かれた写真をSNSに投稿したことに対して、国民から多くの批判が寄せられました。

脳科学者の茂木健一は7月1日、この件を伝えたネットニュースを貼付し、
「写真一枚で目くじらを立ててそのような底の浅い義憤とやらが通ってしまう世相の方がよほど問題だと思う。みんな余裕なさすぎ」
「無意味な中学入試のようなペーパーテスト信仰、クイズ番組、バラエティ、批評性のないお笑い、きちんと仕事をしていないメディアの報道、批判的思考を持って自分で判断するメンタリティの欠如など、政治だけではない複合的な要因で日本は衰退しているのだと思う」
「インテリジェンスのない思考停止の考えなしこそが日本の没落の原因ではないだろうか」
とコメントしましが、このコメントは誤りです。そもそもインテリジェンスなど関係ありません。

茂木健一は脳科学者でありながら、自分の脳みそは分析できないのでしょうか。

国民は底の浅い義憤が原因で批判しているわけではなく、会議の写真ではなくエッフェル塔の前でポーズをとって浮かれた写真を投稿する感性を批判しているのです。

松川るい参議院議員が「ある行動が他人にどう思われるか」が理解できないのであれば、国民の声を議会に反映させる仕事である代議士など務まらないのではないかと、批判しているのです。

その点、東国原英夫氏は「こういう浮かれた写真を撮影し、投稿するという感性が信じられない」と指摘しましたが、これは適切な批判です。

私は、松川るいは自閉スペクトラム症の中で、昔で言うところの(*)アスペルガー症候群ではないかと思います。「エッフェル塔の前で浮かれてポーズを取っている写真を投稿したら国民がどうのように思うかが想像できない」のです。通常の人であれば「こんな写真を投稿したら国民から批判される」ことは容易に想像できます。

(*)(米国精神医学会(APA)は2012年「精神障害の診断と統計の手引き第5版(DSM-5)」の診断基準においては、従来のDSM-IVで「広汎性発達障害(PDD)」と診断されていたほとんどを、「自閉症スペクトラム障害(ASD)」として診断するようになるとした。従来PDDは、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能のPDD(PDD-NOS)を含んでいたが、DSM-5の診断基準では、アスペルガー症候群やPDD-NOSという疾患領域をなくして、ASDという大きい概念で置き換える方向となった。)

加えて、「令和5年女性局フランス研修 研修ノート」と題された冊子には、出発(7月24日)から帰国(28日)まで3泊5日の日程が記載されているのですが、純粋な研修に充てられていたのは、たったの6時間でした。関係者は「これだけ自由時間がある視察を見たことがありません。この日程を決めた人物は、視察の目的がこれで果たせると、なぜ考えたのか。団長の松川さんは、党費を使ったことは認めているので、党員に説明する責任があります」 とコメントしています。

そして、視察の参加メンバーが掲載された「団員名簿」では、同行していた松川議員の次女が、38人の派遣団員に含まれていました。

自民党関係者によりますと「麻生副総裁が外相の時に、外務官僚だった松川氏が無礼を働いたとかで、麻生さんは『松川とかいうバカ女は絶対に許さない』と言っている。岸田総理もそれを知っているから、自分の内閣で松川氏を閣僚に起用することはないでしょう」だそうです。

松川るいは東大法学部卒の秀才ですので、アスペルガー症候群のなかでも記憶力が抜群に優れたサバン症候群だと思います。サバン症候群はアスペルガー症候群のなかで10~25%存在します。

以前こんな記事も書きました。

あの厚労官僚たちは一般の人々がどう思うか本当に分からなかったのだろう思う

最近では、アスペルガー症候群の原因としては、「空気を読むことを司る」内側前頭前野の障害、表情の認知に関わる扁桃体・視線処理に関わる紡錘状回の体積の減少が挙げられることが明らかになっています。
Reduced gray matter volume of pars opercularis is associated with impaired social communication in high-functioning autism spectrum disorders
Baiol Psychiatry. 2010 Dec 15;68(12):1141-7


また、米国マウントサイナイ医科大学シーバー自閉症研究センターで3万人以上の自閉スペクトラム症を調査した結果では、自閉スペクトラム症にかかわる遺伝子はPCDH10やPAX6など102個にも及ぶことが明らかになっています。
Rare de novo and transmitted copy-number variation in autistic spectrum disorders
Neuron 2011 Jun 9;70(5):886-97.


最近は、治療法も研究されていて、共感を司るホルモンであるオキシトシンを鼻腔に投与すると、「空気を読む能力」が増すことも明らかになっています。
Effect of intranasal oxytocin on the core social symptoms of autism spectrum disorder: a randomized clinical trial
Mol Psychiatry. 2020 Aug;25(8):1849-1858.


アスペルガー症候群の治療法が早く開発されるといいですね。


私は人格に関する書籍の中でアスペルガー症候群に関しては次の5冊を読みました。

アスペルガー症候群 (幻冬舎新書 お 6-2)

図解 よくわかる 大人の アスペルガー症候群

「もしかして、アスペルガー?」と思ったら読む本

自閉症スペクトラムとは何か: ひとの「関わり」の謎に挑む (ちくま新書)

その中で一番わかりやすく総括してあってお勧めなのは
自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体 (SB新書)です。



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人類は今が一番卑怯になっているわけではない

2023年08月05日 | 神経
前回、SNSを使用すると頭が悪くなっていくで、「自殺した元女子プロレスラーは、こういう人間の習性やそれを利用したSNSのシステムの犠牲になってしまったと思います。」と書きましたが、その後ryuchellさんがSNSで中傷誹謗されたのを苦にして7月12日自殺しました。

これに対して、爆笑問題の太田光が7月16日、TBS系「サンデー・ジャポン」で、「人類は今が一番卑怯」と発言しました。しかし「人類は今が一番卑怯」というのは明らかに誤りです。前回お伝えしたように、「人類は原始時代から卑怯」なのです。

太田光は以前、「マウンティング(有意性の誇示)」をしたかったのでしょうか、国政選挙の特集番組で代議士に「いつ辞めるのですか?」などとつまらない質問をして批判された男です。

ホモサピエンスとして私たちが地球に登場した十数万年前、死因の10~15%は他人から殺されること、そして15~20%は餓死でした。十数万年前から私たちは他人からどう思われているか、たとえ無意識であっても常に気にかけていました。大勢から嫌われてしまうことは他人から殺されてしまうことを意味するし、酷いと感じるヒトから酷い目に遭うと思ったときには大声で言い立てて周囲の同情を買うことで相手に制裁を加えることができます。太古からのヒトのこのようなDNAの性質は現代に脈々と引き継がれているのです。

では何故、私たちは太田光のような者の言い分に引き寄せられてしまうのでしょうか?
その理由は「バカと無知」 (←お勧めです)に詳しく書かれています。

1つめ、相手の発言を評価するとき、私たちは実績よりも「自信」を参考にする。どれほどバカげた主張でも、相手が自信たっぷりだと思わず信じてしまう。(66ページ)

2つめ、ダニング・クルーガー効果といって「バカの問題は、自分がバカであることに気がついていないこと」(47ページ)

3つめ、問題なのは一見、自信たっぷりに振る舞っていても、内心は強い不安を抱えている者が会議の場にいることだ。このタイプは常に自尊心を高めなくてはならないので、話し合いの最中に頻繁に「マウンティング(有意性の誇示)」を行う。なぜなら、自分よりも劣った者がいることを確認すると自尊心が上昇するから。
誰でも思い当たるだろうが、こういうタイプはどこの会社にもいる。それが上司や役員になると、意思決定は悲惨なことになる。(64ページ)



このような間違ったこと(真実性)を公共の電波(公共性)で堂々と言い、それを信じさせてしまうのでは、公益が損なわれてしまいます。太田光は、この本の題名に最もふさわしい奴なのかもしれませんね。


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