医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

アレルギー性鼻炎の薬

2006年03月14日 | アレルギー
アレルギー性鼻炎の季節です。アレルギー性鼻炎の罹患率は日本では13~16%といわれ、国民病の1つになっています。さらに、多くの患者さんはスギに続いてヒノキにも感作されているため罹患期間が4ヶ月に及ぶことがあります。

2005年に出された鼻アレルギー診療ガイドラインでは、治療の開始時期について「花粉飛散開始とともに、または症状が少しでも現れた時点で開始する」としていますが、花粉飛散開始時期の予測は必ずしも正確でないため、一般的には花粉飛散開始時期の1~2週間前から始められることが多いです。

ガイドラインによれば、初期治療は「遊離抑制剤」「抗ヒスタミン薬」「ロイコトルエン受容体拮抗剤」のいずれか1種類から始められますが、軽い症状が現れた場合「抗ヒスタミン薬」に限定されてきます。さらに花粉の本格的飛散期では1剤のみで症状を抑えることは困難で、中等度の症状では「抗ヒスタミン薬」に「鼻噴霧用ステロイド」が併用されます。

アレルギー性鼻炎の最も訴えが多い症状は鼻閉であり、鼻閉を伴う中等度の症状ではそれらに「ロイコトルエン受容体拮抗剤」が加えられます。目の症状には「点眼用抗ヒスタミン薬」が用いられます。

代表的な薬と1日分の値段を挙げておきます。罹患率が13~16%ですから製薬会社も力を入れていて、特に抗ヒスタミン薬には多くの種類があります。平均1日150円として3ヶ月内服すると13,500円、1千万人内服すると1,350億円の医療費です。

「遊離抑制剤」
インタール   159円
リザベン    208円
アレギサール 113円
ペミラストン  101円

「抗ヒスタミン薬」
ザジテン  150円
アゼプチン 108円
セルテクト 157円
アレグラ  206円
アレジオン 213円
エバステル 162円
ジルテック 162円
タリオン  146円
レミカット 141円
ダレン   141円
アレロック 160円
クラリチン 145円

「ロイコトルエン受容体拮抗剤」
オノン   337円

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アレルギー性鼻炎は治るのか

2005年08月17日 | アレルギー
アレルギー性鼻炎はある年齢から突然発症する事はよく知られていると思います。でも逆にアレルギー性鼻炎が沈静化するのかどうかは意外と知られていないものです。J Allergy Clin Immunol 2004;114:1384(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★☆)からの報告です。

アレルギー性鼻炎の基準はIg-Eという抗体が5段階のうち2段階以上と定められ、全体の69%、15歳から69歳までの734人が1990年に登録されました。アレルギー性鼻炎は花粉によるもの、動物によるもの、ハウスダストと呼ばれる塵によるもの3つについて調査されました。アレルギー性鼻炎の軽快はIg-Eが5段階のうち1段階になったものと定義されました。

8年後の1998年に状態が再調査された結果、花粉によるアレルギーは12%、動物に対するものは19%、塵に対するものは38%(全体では17%)に軽快が認められました。これはアレルギー性鼻炎に罹患した年齢、アレルギー性鼻炎の期間、性別、喘息の有無、アトピー性皮膚炎の有無に関係はありませんでした。Ig-Eという点からみると、抗体価が低下した患者さんはアレルギー性鼻炎が軽快した患者さんの22%でした。これはアレルギー性鼻炎が軽快しなかった患者さんの7%に比べて有意に多かったようです。

本論文では、アレルギー性鼻炎の軽快はまれであると結論づけていますが、私はむしろ、一生ものという印象が強いアレルギー性鼻炎がかなりの確率で軽快しているのだという印象を受けました。みなさんはどう感じましたか?
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