医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

ゼチーアの有用性について間違った解釈

2011年05月30日 | 生活習慣病
東大の教授が東京電力から巨額の研究費をもらっているので、東京電力に都合のいいことしか言えず、原発事故対策に不利になったことを教訓として、公共の利益が害されることがないように公益目的で、誰がどういう事を言っていたかを証拠として残していくシリーズです。

左の図はある架空のエンジンオイルです。エンジンのピストン内の摩擦を極力低下させますが、車の燃費が良くなったり、エンジンのパワーが上がったりエンジンが長持ちしたりはしません。あくまでもエンジンのピストン内の摩擦を極力低下させるものです。皆さんはこんなエンジンオイルがあったら買いますか?


ピストン内の摩擦を低下させても、車の燃費が良くなったり、エンジンのパワーが上がったりエンジンが長持ちしなければ買いませんよね。当たり前のことです。


カレスサッポロ北光記念クリニックの 佐久間一郎 医師は、以下のようにゼチーアとストロングスタチン併用の有用性を日本人で証明と言っています。

「高コレステロール患者38例で、アトロバスタチン10mg単独投与、アトロバスタチン20mg単独投与、およびアトロバスタチン10mgとゼチーア10mg併用投与をそれぞれ3か月以上行い、各種脂質指標を比較検討した。その結果、アトロバスタチン20mg単独投与はアトロバスタチン10mg単独投与と比較しLDLコレステロールをさらに5.7%下げるに留まり、有意差も認められなかった。一方、アトロバスタチン10mgとゼチーア10mg併用投与ではアトロバスタチン10mg単独投与と比較してさらに17%低下した。」

と書いてありました。これって、単にLDLコレステロールが余計に下がっただけじゃないですか。ぜんぜん有用性など証明されていません。有用性というのは心筋梗塞の発症率や死亡率が低下するということではないですか??

悪玉コレステロール低下剤ゼチーア効果なし
悪玉コレステロール低下剤ゼチーアの効果について

↑以前にお伝えしたように、ゼチーアをスタチンと併用してLDLコレステロールをさらに低下させても動脈硬化の指標や心筋梗塞の発症予防に効果がないというデータが出た(真実性)にもかかわらず、前回お伝えしたように、国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)コメントが間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし(公共性)(公益性)、その証拠はしっかりと残したいものです。


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ゼチーアの効果について

2011年05月20日 | 生活習慣病
診療に加えて、4編の医学論文、4編の原稿の執筆、2編の論文の審査などで更新が遅れています申し訳ありません。
でもお陰様で、今年前半にアクセプトされた私の論文のインパクトファクターの合計は33.4で、なんとか目標の年間40は到達できそうです。

東大の教授が東京電力から巨額の研究費をもらっているので、東京電力に都合のいいことしか言えず、原発事故対策に不利になったことを教訓として、公共の利益が害されることがないように公益目的で、誰がどういう事を言っていたかを証拠として残していくシリーズです。

問題の多い動脈硬化疾患予防ガイドライン2007年度版の作成委員会副委員長である国際医療福祉大学 佐々木淳 教授のコメントです。

メバロチンという悪玉コレステロール低下薬を飲んでいても悪玉コレステロールが120mg/dL以下にならない場合、それを2倍にするかゼチーアを加えるかで2群に分けて12週間後の違いが評価されました。

結果は上の図のように両群で体重に違いはなかったのですが、腹囲がゼチーアを加えた群で1.1%減ったのに対して、メバロチンを2倍にした群では0.4%しか減らなかったことを主張しています。体重に違いがないのに、ウエストはゼチーアでより減ったのですか?それは魔法のように凄いです。

その差は0.7%ですが、0.7%というのは腹囲が80cmの場合、5.6mmです。たった5.6mm。ウエストを測定する場合を想像してみて下さい。息を吐くどのタイミングかでも5.6mmぐらい違ってきますね。この研究は自分がどちらの群になっているか知っている研究ですので、ゼチーア群になった場合、グッと息を吐いてお腹を引っ込めれば5.6mmぐらい変わってきます(真実性)。

こんなあいまいな指標を用いて、ゼチーアが優れているといえません。佐々木淳教授は右の図のように、ゼチーアを使用することを推奨しています。しかし、ゼチーアが心筋梗塞の発症を改善したり、死亡を改善したというデータは今のところありません。

前回お伝えしたように、国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)コメントが間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし(公共性)(公益性)、その証拠はしっかりと残したいものです。

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ゼチーアの効果について間違った解釈

2011年05月03日 | 生活習慣病

国の方向性を決定する重大な結論を下す者は、それなりの覚悟と責任を持たなければなりません。近年、日本は「ゆとり教育」で多くの時間と学力を失い、その反省から最近やっと方向転換をしようとしていますが、「ゆとり教育」は誰が推進したのかはっきりせず、責任の所在がうやむやになったままです。

この度の福島原発事故でも、多額の研究寄付金を東京電力からもらっている東京大学工学部教授は、東京電力が不利になることはテレビで言えず、素人でも間違いと分かる「健康に被害をもたらすことはない」というコメントを繰り返すばかりでしたが、1か月も経過するとそのコメントは間違いだったことは誰にでもわかります。やはりあの時、東京大学工学部教授は「健康被害がでる恐れがある」と正しいことを言うべきだったのでしょう。東京電力に研究者の魂を売ったと言われても仕方がありません。

2007年7月に発生した新潟中越沖地震で東京電力の柏崎刈羽原発は緊急停止し、それほどの地震に見舞われる土地になぜ原発が建てられたのかが大きな問題となりました。その設置申請時に周辺海域の断層評価でミスを犯し、その失態を見抜けなかった安全審査の議事録はないと国は主張しています。ないはずはありません。原子力安全委員会は「なぜないのかわからない」と繰り返すばかりで、原告の弁護団は「後のチェックを逃れるため議事録がないことにしたのではないか。審査に問題があっても証拠がなければ批判されないから」とコメントしています。

↓この本に詳しく載っています。東京電力って、姑息なことをいっぱいしています。
原発と地震―柏崎刈羽「震度7」の警告


つまり、「ゆとり教育」で誤った判断をした文部科学省の者も、福島原発事故で誤ったコメントをした東京大学工学部教授も、柏崎刈羽原発建設で誤った審査をした原子力安全委員会の者も、どうせ証拠が残らないから、あるいは国民はその証拠を捜し出せないからと、恣意的にしても無意識にしても、当初から責任など感じていないのではないかと思えます。

さて話は変わって、上の図左は交通死亡事故の減少に多賀大社のお守りが有効かを示したものです。「シートベルト」と「お守り」のどちらも使用しない群と比較して、「シートベルト」と「お守り」を使用した群では交通死亡事故は減少しており、「お守り」の効果があるということです。

そんな解釈は成り立ちませんね。

「お守り」の有用性を確かめたいなら、「お守り」を使用しない群と「お守り」だけを使用する群を比較するか、「シートベルト」だけを使用する群と「シートベルト」と「お守り」の両方を使用する群を比較するべきで、どちらも使用しない群と「シートベルト」と「お守り」を使用した群を比較して、「シートベルト」と「お守り」を使用した群で交通死亡事故は減少していたからといって、それが「お守り」のためであるとはいえません。交通死亡事故が減少したのは「シートベルト」だけのためである可能性が否定できないからです。

何かの有効性を検証しようとするなら、検証したいものの「ある」「ない」だけを変え、あとの条件は全て統一しなければいけないことは、中学生でも分かります。

上の図右は「シンバスタチンという悪玉コレステロール低下薬」と「ゼチーア」を使用すると、そのどちらも使用しなかった群と比較して、心筋梗塞などの発症が減少したので、「ゼチーア」は有効だといっているデータです。

大阪大学 森下竜一 教授は「ゼチーア併用療法の予後改善が証明されたことで、ゼチーア投与の意義がより明らかになった」と、一字一句間違いなくこのようにコメントしていますが、この比較でゼチーア投与の意義が明らかになりますか?私には理解できません。

恣意的にしても無意識にしても、どうせ証拠が残らないから、あるいは国民はその証拠を捜し出せないからと、国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)コメントが間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし、その証拠はしっかりと残したいものです。


そういう訳で、公共の利益が害されることがないように公益目的で、このブログに証拠を残しておきます。


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