医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

マクドナルドのフライドポテトで認知症になる

2009年07月27日 | 生活習慣病
以前、トランス脂肪酸は飽和脂肪酸と同様に悪玉コレステロールを増やし、ニューヨークで売られるマクドナルドとケンタッキーフライドチキンのフライドポテト(171g)とチキンナゲット(160g)に多く含まれることをお伝えしました


私は個人的な印象として、フライドポテトやポテトチップスにふくまれるトランス脂肪酸が知能に影響を与えているのではないかと危惧していました。賢そうな人がポテトチップスをパクパクモリモリと食べているところを見たことがないからです。(すみません、ものすごく主観的な判断です)しかし、それを限定的に裏付ける論文が発表されています。

Dietary copper and high saturated and trans fat intakes associated with cognitive decline.
Archives of Neurology. 2006;63:1085.
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)

飽和トランス脂肪に富む食事を摂取している人では、アルツハイマー病ならびに認知機能低下のリスクが2~3倍に上昇することが、以前の研究で示されています。

この研究はシカゴ健康加齢プロジェクトの参加者で9,000人を超える65歳以上の成人を対象として行われました。

調査は訪問によるアンケートで行われ、調査開始時より3年目と6年目の追跡調査が行われました。認知機能の再評価を行うことができたのは3,718人で、追跡調査の中央値は5.5年でした。同時に銅のほか、亜鉛および鉄の摂取による潜在的な有害作用についても調査されました。

当たり前のことですが、平均すると認知能力は加齢とともに低下しました。。 しかし、飽和トランス脂肪摂取量が最も多い604人(16.2%)では、、銅を含有するビタミン補給剤による銅の消費量が多いほど急激に認知機能が低下しました。

飽和トランス脂肪に富む食事に加え一日1.6mg以上の銅を摂取すると、認知機能が実年齢より19歳上の年齢相当となることが判明しました。

マクドナルドとケンタッキーフライドチキンのフライドポテトと銅を含有するビタミン補給剤を同時に摂取すると認知力低下の道まっしぐらです。気をつけましょう。


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アスピリン+徐放性ペルサンチンとプラビックスの脳梗塞再発予防効果は同じ

2009年07月16日 | 神経
以前、アスピリンとペルサンチンは脳梗塞の再発率を下げることをお伝えしました。

その後、プラビックスという薬が開発され現在使用されています。今回は徐放性ペルサンチンとアスピリンの併用とプラビックスのどちらがどれくらい脳梗塞の再発の予防に有効かという報告です。

Aspirin and extended-rerease Dipyridamole versus clopidogrel for recurrent stroke.
New England Journal Medicine. 2008;359:1238.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

以前に脳梗塞を生じた20,332人が、アスピリン25mg/日+徐放性ペルサンチン200mg/日内服群とプラビックス75mg/日内服群に無作為に割り当てられ、2年半前向きに調査されました。

脳梗塞の再発率はアスピリン+徐放性ペルサンチン群で9.0%に対して、プラビックス群で8.8%と、脳梗塞の再発を予防する効果は同等でした。

しかし、脳出血や出血性胃潰瘍などの出血性疾患の発症は、アスピリン+徐放性ペルサンチン群で4.1%に対して、プラビックス群で3.6%と、プラビックス群で少なくなりました。

脳梗塞の再発と出血性疾患の発症を合わせた場合は、両群では差は認められませんでした。

さて、コストベネフィットですが、アスピリン50mgという錠剤はないので100mgの錠剤を用いるとして6円、徐放性ペルサンチン200mgはないので150mgを2錠使用して92円で合計1日98円、一方プラビックス75mgは279円です。2年半の脳梗塞の再発率は差がなく、出血性疾患の発症が0.5%違うのですから、アスピリン+徐放性ペルサンチンではなくプラビックスを使用して3,412万円で一人の脳出血や出血性胃潰瘍などの出血性疾患の発症を予防していることになります。

総合的に考えると、脳出血や出血性胃潰瘍の発症1人予防するのに3,412万円が安いと考えられる場合はプラビックス、高いと考えられる場合はアスピリン+徐放性ペルサンチンということになります。

でも、ここでオチがあって、日本では保険診療では徐放性ペルサンチンは脳梗塞の再発予防には使えません。どうして日本ではプラビックスよりも安い徐放性ペルサンチンが脳梗塞の再発予防には保険で使えないのでしょうか不思議です。


厚労省は医者ばかりいじめていないで、早く徐放性ペルサンチンの適応を拡大しないと、日本の医療費が破綻してしまいますよ。


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毎日新聞の記者5人を訴えた医師名誉毀損裁判、東京高裁で勝訴

2009年07月15日 | 雑感
2001年の東京女子医大事件で人工心肺装置の操作を担当していた医師、佐藤一樹氏が、『医療事故がとまらない』(集英社新書)を発行した集英社と、本書を執筆した毎日新聞の記者5人を名誉毀損で訴えていた裁判で東京高裁は7月15日、控訴および附帯控訴を棄却した。2008年12月8日の東京地裁判決では、佐藤氏の訴えを認め、集英社らに80万円の支払いを求める判決を下している。

『医療事故がとまらない』は、2003年12月発行。その中で女子医大事件の事例に関する記載は、2002年の毎日新聞の連載記事を基にまとめている。連載記事では、佐藤氏が、「人工心肺装置の吸引ポンプの回転数を上げ続けるという操作を行ったことにより、事故が発生した」としているが、その後、この事実に強い疑問を投げかける幾つかの事実が明らかになった。

東京高裁判決では、「新聞連載時の取材対象等に対する追跡取材及びその後の事態の進展等に即応した新たな取材をし、書籍の記載内容の正確性を再検討する必要がある」と指摘。それをせずにまとめた本書の記載で、佐藤氏の社会的信用の低下を招いたとした。
(m3comより引用)


こういうことは毎日新聞は報道しないのでしょうか?


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「割りばし事件」に対する報道はペンの暴力

2009年07月10日 | 雑感
以前、割り箸事件に関する記事を書きました。
あの事件について、非常に貴重な意見なので引用させていただきました。

(以下引用)
私が杏林大耳鼻咽喉科教授だった時の教え子が刑事責任を問われた裁判で、2008年11月、東京高等裁判所は教え子の過失を認めず無罪判決を出しました。民事裁判においても過失なしとの判決を下しました。刑事および民事の両裁判で、東京高裁が正しい判断を示したことに対して、関係者一同、心から感謝しています。

この事件は、お子さんが割りばしを口にくわえて転び、その割りばしが脳に達して亡くなった不幸な事故です。医療事故ではなく、ましてや医療ミスでもありません。そのことが法的に立証されました。私どもの力が及ばず、お子さんを救えなかったことについて重く受け止めており、心からご冥福をお祈りしてきました。

しかし、この事件は医学的には極めて難しいケースであるにもかかわらず、夜間の救急外来において診断できなかったことの刑事責任を問われたために、私どもは大きな違和感を持ち、法廷において法律的に対応してきました。わが国は法治国家であり、刑事責任を追及された以上は、この件は法廷でのみ決着させるという信念に基づき、これまで公の場での発言を一切控えてきました。

法的な決着がついた今、改めて報道機関の現在までの対応に対して意見を述べたいと思います。

まず問題としたい点は、刑事裁判の地裁、高裁において無罪、また民事裁判の地裁、高裁において過失なしと判断された後でも、一部の報道では自分たちの主張が認められなかったことへの不満からか、紙面や番組の構成で、あたかも医師に過失があったかのような印象を与える情報操作を行っています。

今回の事件の事実関係はすべて明らかにされているにもかかわらず、一部の新聞やテレビ番組では、隠された事実があり、それが公開されていないがために、無罪判決になったように報道されていました。専門家以外の方が感情的にコメントするテレビでは、仕方がない面もあるかもしれませんが、客観性をうたい、社会の良識を代表すると自認する大新聞までもがそれでよいのでしょうか。


裁判所の判断も尊重しない報道機関

この明らかにされている事実関係について、被告側、検察側の医学、法律の専門家が医学的、法律的に過失があったかどうかを議論し、裁判所は最終的に医師側の見解が正しいと判断したのです。刑事、民事の高裁の判断は社会において尊重されるべきであり、それが法治国家のルールです。報道機関には社会正義を守るために、報道の自由と、報道のための編集の自由が社会から与えられています。裁判所の判断を尊重しないこのような報道機関の姿勢は、まさに法治国家の理念を否定するものです。


亡くなったお子さんの担当医だった私の教え子は、不当なペンの暴力により医師としての人生を大きく狂わされました。報道機関は自分たちこそが正義であるという視点に立ち、世論を誘導して著しい人権侵害を引き起こしてきました。限られた時間での記事執筆が求められている以上、ときには間違った報道をしてしまうこともあるかもしれません。しかしながら、報道の誤りが明確になった時点では、報道機関は誤った報道について真摯(しんし)に反省し、自分たちの判断のどこに誤りがあったのかを検証して、それを報道すべきでしょう。

報道と編集権の自由とは、報道機関が自分の都合のよい情報だけを提供することではないはずです。今回の事件は、社会が報道機関に与えている、報道と編集権の自由について、報道機関自らが改めて考えるよい機会であり、報道機関には今後も社会の木鐸(ぼくたく)としての重要な役割を担ってほしいと願います。

(日経メディカルより引用)



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新型インフル:国交相、観光分野の安全宣言

2009年07月07日 | インフルエンザ
インフルエンザに関する報道が一気に減り、街は平静を取り戻しています。豚インフルエンザにかかっても医療機関を受診せず内緒にしている人も大勢いることと思いますし、医者もわざわざインフルエンザの検査をしないで治療している人も大勢いることと思います。皆さんお元気でなによりです


結局、修学旅行を中止した教員は「国内の修学旅行は安全でない」ことを証明できませんでした。

豚インフルエンザの真実―人間とパンデミックの果てなき戦い (幻冬舎新書)


(以下引用)
金子一義国土交通相は6月26日、国内での新型インフルエンザについて観光分野の安全宣言を出した。関西を中心に観光業が大きな打撃を受けているため、国内外の旅行自粛ムードの一掃を図った。

国交相が発表した「メッセージ」によると、日本の感染者の大部分は既に治癒しており、手洗い・うがいなどを励行すれば旅行先で感染する可能性はきわめて低いと強調。「新型インフルエンザを理由に旅行を控える必要はありません」と呼びかけている。

観光庁はメッセージを各国語に翻訳し、日本政府観光局(JNTO)や在外公館を通じて海外にも発信する。JNTOのまとめでは、5月の訪日外国人旅行者数は新型インフルエンザの影響などで前年同月比34%減と大きく落ち込んだ。
(毎日新聞より引用)

でも、これからも、手洗い・うがいの励行を忘れていけません。

国内高齢者にも新型インフル免疫ありの可能性
国内の高齢者の一部が新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)への免疫を持っている可能性があることが、国立感染症研究所の調査で分かった。

新型インフルエンザの感染者に高齢者が少ない原因の一つと考えられ、感染研は対象を広げて詳しく調べる方針。

調査したのは、小田切孝人・インフルエンザウイルス研究センター第一室長のチーム。チームは福岡県内の医療機関から提供された60~100歳代の高齢者30人(平均年齢83・4歳)の血液を分析。4割にあたる12人から新型インフルエンザのウイルスに反応する「抗体」が確認された。過去に、新型インフルエンザに似たウイルスに感染して、免疫を獲得した可能性があるという。

新型インフルエンザの感染者は若年層に多く、米疾病対策センター(CDC)も高齢者に免疫がある可能性を示した研究結果を公表している。高齢者に免疫があると確認された場合、ワクチンの接種順位の決定にも影響するため、感染研は1000人規模の調査を行い、どの年代が抗体を保有しているか調べる。
(読売新聞より引用)

高齢者はもっと安全なようです


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心臓カテーテル手術件数にノルマ、奈良・大和郡山の診療報酬詐取

2009年07月02日 | 循環器
奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」の診療報酬詐取事件で、同病院が月約20件の心臓カテーテル手術のノルマを掲げていたことが2日、捜査関係者への取材で分かった。

詐欺の疑いで逮捕された理事長山本文夫容疑者(51)と事務長大杉龍太郎容疑者(57)は、同手術を装って診療報酬をだまし取った疑いが持たれており、郡山署捜査本部はノルマを設定した理由や架空手術とノルマとの関連を調べる。捜査本部は2日、両容疑者を送検する。

近畿厚生局奈良事務所によると、山本病院が同事務所に届けた心臓カテーテル手術の実施件数は05年が275件、06年が196件。

病院の元勤務医によると、手術は主に医師でもある山本容疑者が実施し、患者の症状を十分に確認しないで行うケースもあった。

元勤務医は「診療報酬の点数が比較的高いので、症状がまったく関係ない患者にも手術したのではないか」と指摘している。
(日本経済新聞より引用)


これを聞いて、ドキッとしている医者も多いと思います。こういうことは氷山の一角です。
↓昔こんな記事を書きましたが、やっと捜査のメスが入ってきました。
ミサワホーム九州、売上げ前倒し計上

急性心筋梗塞でつまったままの血管に後から風船療法をしても内服治療と効果は同じ


患者の予後に全く影響しない心臓の動脈の枝に手術をしている医者もいます。

子どもの時、「神様が見てるよ」と言って諭された経験は誰にでもあると思います。こういうことをしているという証明は難しいので、摘発されることはほとんどありません。だからこそ、皆が「神様が見ている」という気持ちで正しいことをしなければいけないのではないでしょうか。



生活保護受給者を利用した医療法人雄山会「山本病院」(奈良県大和郡山市)の診療報酬詐取事件で、法人理事長の山本文夫容疑者(51)=詐欺容疑で逮捕=が心臓カテーテル検査を実施する際、手術室にカテーテル納入業者が同席し、山本容疑者と雑談したりたばこを吸ったりしていたことが3日、病院関係者らへの取材で分かった。関係者の医師は「納入業者が同室することはありえず、異様な光景だった」と証言する。

山本容疑者は月に約20件の心臓カテーテル手術の実施ノルマを設定。達成できないときは、手術をしたように装い診療報酬を架空請求していたとみられている。「業者から売れ残りのカテーテルを使うよう依頼されていた」と証言する病院関係者もおり、業者との親密な関係が浮上。県警は心臓カテーテルを使った診療報酬の不正請求の背景についても解明を急いでいる。

関係者らによると、心臓カテーテル検査の実施中、手術室に納入業者が同室。全身麻酔で眠る患者の横で、たばこを吸いながら雑談し、山本容疑者と酒を飲みに行く約束をして検査後に実際に行ったこともあったという。
(産経新聞より引用)
(注:心臓カテーテル検査は全身麻酔ではしません。これは誤報です)

業者なら必要な箇所の治療かそうでないかわかるはず。業者もグルってこと?



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