橡の木の下で

俳句と共に

平成24年「橡」9月号より

2012-08-26 10:00:06 | 俳句とエッセイ

  しじみ蝶      亜紀子

 

 合図する蝉ありて皆鳴きはじむ

 水打つや小路のうへの月赤し

 水汲みに蜂通ひくる喘ぎつつ

 雀蜂大顔の汗ぬぐひけり

 もろこしの媼翁の花盛り

 玉葱の濃き甘辛の油焼き

 少年の塾の灯高き羽蟻の夜 

 応援の揃ひて暑き大団扇

 フェイントの汗も見せずに決まりけり

 朝な夕なあさがほ水を喜べる

 しじみ蝶瑠璃の小貝の蓋ひらく