土曜日に、佐橋と私が昔勤めさせていただいていた画廊の後輩が、ふと遊びにいらしてくださいました。
私達より20歳もお若い彼は、今は別のお仕事をされていますが、だからこそ、純粋に益々美術品を愛する生活を大切にしてくださっています。
特に室町や、古い日本美術を好んでお集めですが、本当に「忘れた頃に」或いは「どうしていらっしゃるかしら?」と思う頃に店に現れてくれる楽しい、また頼もしい後輩です。
先日の豊橋市美術館さんの岸田劉生展でご覧になった三岸好太郎の風景画に感動され、感動をそのままに当店のブログつれづれの中に好太郎の「パピエコレ」をお見つけくださり、今回実物をご覧にいらしてくださったそうです。
碧南市の長谷川利行展が素晴らしかったこと、高山辰雄の画家となり。。など本当に沢山のことを3人でお話し、最後には最近ピアノの演奏を再開したということもお聞きしましたので、私がこの頃毎朝ピアノの演奏を聴いていること、オススメのピアニストがいたら是非教えて欲しいことなどお伝えしました。
早速、後輩の Kさんが私達にメールをお送りくださったので、ご許可を得て皆さまにそのメールをお読みいただこうと存じます。
お若いコレクター様らしいメールを清々しい気持ちで読ませていただき、私もお返事を書かせていただきました。
今日は長いことお邪魔いたしました。
久し振りでしたので、ついつい話し込んでしまいましたが、お二人ともお変わりなく、楽しいひと時をありがとうございました。
さて三岸好太郎と長谷川利行。
三岸のコラージュは、私にとってすごく分かりやすい作品。
頭の体操のようなものだけれど、確かに三岸を感じさせる。
利行は色彩が美しく、それでいてしっかりとまとまりのある作品。
変な例えですが、家の部屋に飾るのみならず、旅行に一緒に連れて行きたくなるような、そんな感じの作品。
高山辰雄の水彩は伏兵ですが、高山らしくない感じが面白く、作品そのものは捉えどころのない美しさで溢れています。
良いものを見ると、欲しくて頭が火照りますが、その熱が引いた時、これらの印象がどう変わるのか、はたまた変わらないのか、
ある意味楽しみです。
チェンバロの演奏会、楽しみが一つ増えました。
音楽の話題となったところで、私はマレイ・ペライアというピアニストをおすすめ致します。
まだ70才程でご存命ですが、音の美しさに定評があり類い稀なバランス感覚の持ち主で、私も生で聴きたいと思っているピアニストの一人です。今年の3月に公演予定があったのですが、体調を崩されてキャンセルとなってしまいました。また来日されることを願っております。
私達もとても楽しく過ごさせていただきました。
三岸も、高山もご感想の通りだと思いますが、あの利行を旅行にも連れて行きたいと書いてくださったことには少し驚きました。私には、その感覚がありません。けれど、それこそKさんの利行への思い、共感なのだと嬉しく読ませていただきました。
ご感想をありがとうございました。
私達が作品を欲しいとお思いくださるお客様にして差し上げらることは、例えばお値段を考慮すること、分割のお支払いをお受けすること、そして納品の時を迎えるまでに、その作品への思いを深め、美しさに磨きをかけておくことしかありません。
ここからは、Kさんご自身の自己表現の世界。孤独と苦悩を味わいながら、コレクションのご選択を
どうぞ自由にお楽しみください。
ネット上で早速、マレイ・ペライアさんのピアノを聞きました。
素晴らしいと思えました。バッハがいいと思えました。
クラッシック初心者の私は、外食に食べログを頼りにするように、現代ピアニストベスト20というサイトをお持ちのかたのページに従い、いまピアノを聞くようにしていますが、ちょうど最近ベスト5までを聞き終えたところで、次のベスト6に挙げられているマレイ・ペライアさんを貴方にもおススメ頂いたということになりました。
しばらく聞いてみてまた感想をお知らせ致しますね。
また時々、音楽のこともお教えください。
御返信ありがとうございます。
ブログの件、楽しみにしております。
利行に関する思いは、私自身も初めてあのように感じたので、少しイレギュラーかもしれません。ただ単純にいつもと違う空間や環境の中で、あの絵を見たときにどのように感じるのか知りたいだけなのかもしれません。あるいはもっと違う意味があるのかもしれませんが、自分でもまだ整理できていないところがあります。。
ペライアがバッハに打ち込んだのは、指を怪我して3年ほどピアノを弾けない時期のことです。弾けないという辛い環境の中で研究を重ねました。無事手術が成功し復帰できたのですが、それ以降から一挙に演奏の深みが増した気がします。私もフランス組曲やパルティータを愛聴してます。気に入っていただいて何よりです。
この頃、芸術を楽しむということはつくづく孤独な作業だと思え、辛くなってしまうことがあります。
後輩のKさんとのメール交換は、そんな私に一つのヒントを与えてくれたように思います。
それはまた少しづつブログに書かせて頂こうと思っています。