あを雲の涯

「 二、二六事件て何や 」
親友・長野が問う
「 世直しや 」
私はそう答えた

幸楽での演説 「 できるぞ! やらなきゃダメだ、モットやる 」

2019年07月18日 05時15分59秒 | 安藤部隊

   

幸楽の群衆に演説する将校

我々が悲壮な気持ちで戦闘準備にかかった頃、
幸楽の前には民衆が黒山の如く集まり口々に、
「 我々も一緒に闘うぞ、行動を共にさせてくれ 」
と 叫んでいた。
丁度 歩一の栗原中尉がきていたので、
彼は早速民衆に対して一席ブッた。
皆さん!
我等のとった行動は 皆さんと同じで
あなた方にできなかったことをやったまでである。
これからは あなた方が我々の屍を乗越えて進撃して下さい。
我々は尊皇義軍の立場にありますが、
これに対し銃口を向けている彼等と比べて、
皆さん方は いずれに味方するか、
もう一度叫ぶ、
我々は皆さんにできなかったことをやった。
皆さん方は以後我々ができなかったこと、
即ち 全国民に対する尊皇運動を起こしてもらいたい、
どうですか、できますか?

すると民衆は異口同音に、

「 できるぞ! やらなきゃダメだ、モットやる 」
と 感を込めて叫んだ。

続いて安藤大尉が立ち、
簡単明瞭に昭和維新の実行を説いいた。
民衆は二人の演説に納得したのか万歳を叫びながら徐々に散っていった
・・歩三第六中隊、前島清 上等兵 の手記
2.26事件の謎 新人物往来社 から

« 栗原中尉の演説 »
吾々同志が蹶起したのは
天皇と臣民の間に居る特権階級たる重臣財閥官僚政党等が
私心を慾しい侭に
人民の意志を 陛下に有りの侭を伝へて居ない
従って日本帝国を危くする
吾々の同志は已む無く 非常手段を以て今日彼等の中枢を打砕いたのである
吾々同志は皆 今夜死ぬ
諸君は吾々同志の屍を乗りこえて 飽迄も吾々の意思を貫徹して貰いたい
諸君は何れに組するや
栗原中尉がこのように問いかけると、
群衆より
討奸軍万歳 
と 云う者がありました
後は諸君と共に天皇陛下万歳を三唱します
と云って栗原中尉は
天皇陛下万歳  
と 発声しました処
其後で群衆中に
尊皇討奸万歳
 と 唱いたるものあり
群衆は之に三唱しました
・・二十八日の晩・・幸楽の支配人談

« 安藤大尉の演説 »
・・・・昨夜来から幸楽前に押しかけた群衆は益々その数を増し、
夜になっても帰る様子がなく、安藤大尉の話を望む声が強まってきた。
そこで大尉が玄関前に姿を現すと 一斉に群衆が万歳を叫んだ。
まさに天地が亀裂せんばかりの響きである。
大尉は静かに話し始めた。

諸氏も知っているとおり、
さきの満州事変、上海事変等で死んだ兵士は気の毒だがみな犬死だった
これは軍閥や財閥の野望の犠牲であったからである
これらの悪者は一刻も早く倒さねばならない
その目的で我々は皆さんにかわって実施したまでである
今からお願いしたいことは、
我々の心を受けて大いに後押ししてもらいたい
以上おわり
大尉が姿を消すと群
衆はやっと承知したかのように万歳を叫び徐々に帰りはじめた。
二・二六事件と郷土兵 斉藤弥一・歩三機関銃隊二等兵 著 「鎮圧軍包囲す」 から・・・・・


栗原中尉

われわれは天皇陛下の軍人として、上は元帥、下は一兵卒に至るまで、
一切を挙げて陛下にすべてをお委せすれば、
現在のように腐敗堕落せる政党、財閥の巨頭連中を一掃して、
皆さんの生活は必ず良くなる。
今回の蹶起は下士官、兵もすすんで強力したもので、
下士官、兵の声は皆さんの声であります
・・二十八日の夜
幸楽の門前に立ち民衆に向っての大演説


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