るりこんの気が付いたらの日記

あるアマチュア声楽家の忘備録とつぶやき

オペラと差別を考える

2019-04-05 17:15:00 | オペラ(鑑賞)
芸術は女性差別とよく繋がりがあるという説がある。
古くから女性の画家や作曲家も出てきてはいるが、その狭いネットワークの世界ではそれなりに苦労してきた様子である。

大人気のK女史、N女史を始め、日本でも女流作曲家は多いが、オペラよりも歌曲で有名な様子である。

オペラの中で特によく言われるのは、

①狂うのは女性が多い
②「魔笛」「三つのオレンジへの恋」など、人種差別・女性差別な演出が多い。

①については、「狂乱の場」というコロラトゥーラソプラノの聞かせどころであるのだけど、リアルには失恋で狂う男性だっているだろうに、オペラで狂うのは殆どが女性。狂うことで失恋の苦しみを味合わなくても良いのだからある意味羨ましかったりする。
②については、「子供におすすめのおとぎ話」であったりする。ただ、子供というのは、あまり深く考えないから、ハッピーエンドで何となく「楽しかった」で終わってスッキリするのであろう。

「魔笛」の合唱は、私にとっては蕁麻疹が出るほどつまらなかったのに、子供は「楽しかった」で終わっていた。「年齢、プロアマ、障害の有無問わず」を謳っている団体だってエイハラみたいなことしているじゃん、と思ったが、よく考えてみると、この作品そのものが、女性差別・人種差別であり、人格者であるはずの高僧がなぜか奴隷を抱えているし、ヒロインは「褒美の品」に過ぎず、主役の命の恩人であるはずの侍女は下品なオバサンに矮小化されてしまうのだから、そんな物語ではしゃいで喜んでいること自体、深く物事を推察する人間には見合わない作品なのだと思った。

7月に予定している主宰者もこの矛盾を考えており、シカネーダーの台本を改ざんしないようにしながらもそれを逆手にとった演出を考えているのだそうな。


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