本業である経営者を訪ねた時、「今の人生は私の第三ステージです」といっていた。20歳から15年くらいずつの期間で好きなことを徹底的に行って、かつそれを仕事にしてそれなりの資産を稼いでいる方なのである。
よほど特殊な事情を抱えた人でもない限り、60代過ぎの女性でオペラ全幕でソリストをやっている人はまず見かけない。そして、高齢アマチュアのソロの歌を聞いていると、どうも音程がおかしい人が多い。高齢から初めてなかなか身につかずに困っているというよりは、何十年も続けてきたけど、その感覚が鈍っているという感じがする。決して自分はそうならないとは断言できないのである。
それでも、「高齢でも頑張っている姿を応援しましょう」という人もいるかもしれないが、「~~でも」なんて枕詞つけること自体が、その人をバカにしているような気がしてならないのである。そもそも本業では80代になっても勉強しながら現役で仕事している人は沢山いるので、あえて「高齢なのに頑張っててエライ」は失礼な感じがする。
というと、私に歌の可能性があるのも60代まで。高名な重いソプラノの引退年齢も概ねそのくらい。
そこから逆算して見ると対して先は長くないのである。
私にチャンスをくれた団体はいずれも休止しており、コロナが明けても再開の目途はない。
登場人物1~3人程度の小規模なオペラを自主公演するのはどうか?と考えたことがあるが、そもそも演技や演出等の知識は皆無。特にオペラに必要な演技はどこで身に着けたらよいのかがわからない。フリーの俳優などが、演技のためのレッスンを一般向けにやっていることがあるらしいが、それ以外にもオペラ特有のルールなどもあるようである。
アマチュアオペラの団体はそれを知らずに勝手な動きをする人が多いのだが、どうも歌の稚拙さをごまかしているようにしか見えない、と思うのだが。
で、これはどこで学べば良いのか?と周囲に聞いてみるとどうやらオペラ団体の研修所で習えるなしい。ただし、年齢制限があり、今からだと無理ということが判明した。
そして、今の先生は「基本はベルカント」というのだが、ベッリーニのアリアは、音楽としては素敵だと思っても、とても本番には出せそうもない。
かといって、やりたい楽譜を自分で譜読みしてから持って行っても、「あなたには向いていないでしょう」と言われたり、延々と声量を上げるための指導があったり・・・(声を大きすぎるの、悩みなのですが)。
何のためにレッスン受けているのか?と改めて自問してみると、「歌が上手くなって、やりたい本番ができるようになる」ということに尽きるのだけど。L先生と離れてからはそれができていない。かといって、雑談が長すぎる先生の所に戻るのはもう時間的に無理・・・
そこで、もう、先生に何と言われようと、自分で譜読みして自分で本番を開けば良いのではないかと考えるようになった。フィードバックしてくれる人がどうしても必要なら匿名のまま単発の仕事を頼めるマッチングサイトを使えば良いではないか。
決して私の歌い手人生は長くはない。だから後悔しないようにやりたい。
コンクールやオーディションではそうはいかないというのは承知ですけどね。
そして、私がソリストとしての可能性が終わった後は何をするべきか?
実は色々なアイディアがある。