るりこんの気が付いたらの日記

あるアマチュア声楽家の忘備録とつぶやき

ここがおかしいよ!オペラ演技!

2018-05-26 10:51:00 | オペラ(出演)
最近は、衣装を現代風にしたりなどの時代設定を変えた演出がヨーロッパでは主流である。
新国立劇場でもそちらのオペラハウスで実績のある演出家が来るとその影響を受ける場合もある。多くの日本人のオペラファンは否定的な考えを持っている。やっぱりその時代にあった衣装や演出で目を楽しませるべきじゃないのかと。けど、多くのホールの稼働率、予算などを考えるとそれもアリではないかと思う。

それは演出の話だが、自分がオペラに出演する中でこの場面ではこうしろ、と言われたり、言われなくても他のキャストの態度を観て、絶対に納得いかない!と思うことを挙げてみる。

●「カルメン」のカルタの三重唱
なぜか合唱は後ろから三人の占い結果を覗き込むように、と言われていた。でも、普通他人の占いの結果が気になるくらいなら自分で占いしない?
カルメンが「死ぬ!」と言う時も、「これも運命の1つ」として冷静に受け止めるジプシーがいてもおかしくないと思うが、カルメンをなだめたり、その不穏さに動揺することを求めたり、納得いかない。

●「カルメン」のミカエラ発見
密輸団のアジトに来たミカエラが見つかって、ホセを説得する場面で、ジプシーたちは、ミカエラをスパイ扱いして睨み付けろ、ミカエラが「お母さんが危篤」という言葉では、そんなことに執着するホセやミカエラを軽蔑する演技をしろって、言うのだけど、そもそもここで大切なのはカルメン、ホセ、ミカエラの三角関係なので、不必要に出しゃばらなくても・・・と言う気がする。

●「ジプシー男爵」の2幕フィナーレ
2幕までジプシー側と市民側で対立していて、主人公はジプシー側。市民から軽蔑されていたジプシーと主人公のカップルが徴兵されて、別れるという場面で市民はそれを心配そうに覗いていた。市民側にだって、徴兵されていく人はいるのに、敵側のカップルが別れる方が、自分やその身内が戦争にいくよりも心配になるって、絶対おかしい!

要するに、他人(殆どが主役)の様子を不必要に覗き込む演技というのが大っ嫌いなんだな。

「椿姫」の3幕の謝肉祭の合唱みたいに、主人公は合唱を気にするけど、合唱は主人公に無関心というのはわりと好きかも。

結局、何が言いたいかっていうと、この場面のこの登場人物の心理はお客様の想像に任せたら良いのに、と思うことが沢山あるってこと。


チャレンジ賞

2018-05-23 07:05:00 | 声楽(レッスン)
同業者コンサートの活動で、然るべき所の私が所属していないブロックが、「チャレンジ賞」を出した。
賞状と賞金1万円。おそらく、7月のコンサートの費用に充てられるだろう。

「チャレンジ賞」というのが、なんとも微妙な気持ちなのだが、「ブロックの活性化に貢献した」という主旨のことが書いてあった。
思い起こせば、ソプラノ2人、ヴァイオリン、オーボエの4人で始めたことで、私だけが別のブロックだった。そして、私の知らないうちに、他のメンバーが勧誘活動をして、本番の都度人数が増えていったのである。
元はといえば、別に「活性化」のためにはじめたわけではないのだけど。

昨年は私の所属しているブロックの懇親会で義理のある人から依頼演奏があった。交流のために集まっている人の前で演奏するなんてまっぴらと思ったので、ピアノ使用料やら練習会場費やらかかることを説明して断ろうとしたら、その金額+αを負担してくれた。そのことを今回表彰したブロックの幹部に話したことがあった。

もちろん、家庭事情等で抜けた人もいたが、それよりも入ってきた人の方が多い・・・
アマオケで活動している人と組んだことは、「現役男性は忙しいから勧誘はムリ」なんて言っている高齢化した合唱の人なんかよりずっと充実はしている。


ドン・ジョヴァンニを観ました

2018-05-16 23:20:00 | オペラ(鑑賞)
バリトンの先生がレポレッロに扮している「ドン・ジョヴァンニ」を観て来た。
バリトンの先生と騎士長は、ベテランぽかったが、他のキャストは皆若そうだった。経歴を見るとT音大出身者中心で、レベルはなかなかだったけど、個性はちょっと乏しくて、カレッジオペラっぽい雰囲気だった。
でも、ドンナ・アンナの声は本当に素晴らしくて、私もあんな風になってみたいと思わせてくれた。
バリトンの先生は、ブッファで定評があるらしく、普段のレッスンではとても想像できないのだけど、舞台の上ではこんなに変わるものなのか、と思った。

休憩時間には、音楽教室の主宰者夫妻と超有名なプリマの細君にお会いした。
プリマの細君曰く、「いつも呪文のようにレポレッロを唱えていた」ということで、見えないところではきちんと苦労されているというのには納得した。

それにしても、この1ケ月後にドンナ・エルヴィラを歌うので、比べられているかもしれない・・・と思ったけど、それを言ったら1年前のヴィオレッタだって・・・
取組んでいる時期が重なっているのが、なんともプレッシャー。


さらば、わが愛/覇王別姫

2018-05-14 22:32:00 | つぶやき
声楽を大人になってから再開するよりも昔のこと。京劇にはまっていたことがあった。
ただ、SARSなどの影響によって、日本に招へいできなかった時期があり、暫く遠ざかってしまっていた。
英語ではPekin Operaと呼ばれるのだが、まるでオペラが声質で役を決めるかのように
役のつけ方が、色男役、悪役、道化役、ヒロイン、老婆、小間使いみたいに分かれているのである。養成所では子供であっても、老婆役に指定されると、もうヒロインは諦めて老婆として芸を磨かないとならない。

「さらば、わが愛/覇王別姫」という映画の存在は知っていたが、たまたま動画を見る機会があった。

その主人公は幼少から芸を磨き、女形として人気を得るが、その生きざまが壮絶なのである。

●母親は娼婦。主人公の手の指が6本あるため養成所から断られると指を切断して、食い扶持を減らすために養成所に押し付ける。
●とてもスパルタ教育。セリフを間違えると折檻を受ける。間違わなくても「次も間違わないように」と折檻を受ける。手は血で滲んだり、お尻を鞭で叩かれたり・・・
●清朝の宦官や、国民軍、日本軍、共産党に対して舞台姿を披露するが、主人公に対して一番紳士的なのは残酷と言われている日本軍。
●あまりにも厳しい訓練に自殺者まで出る。挫折して家に帰るという選択肢はない。
●兄代わりの共演者に同性愛の勘定を抱くが、その共演者は生身の女性と結婚して、舞台を退く。そのショックでアヘン漬けに。
●世話をした後輩からは、裏切られる。
●王様やお姫様が出て来る作品は、堕落した伝統として迫害を受ける

もう何だか、悲惨すぎる話なのだけど、時代が変わっても役者として全うしようとするのである。
現在の京劇は男性の女形というのはもういないということだった。


こんな生き様のオペラ歌手がいたとしたら、絶対、感動するだろうけどな。



長期的な計画

2018-05-12 09:06:00 | 声楽(レッスン)
周囲から頼まれたり、あとは団体の事情に合わせたり、という制約の元で選曲するようになったため、長期的な計画が立てづらくなった。
バリトンの先生が「10年かけてヴィオレッタに取り組め」と仰っていたし、そんなにソルフェージュ能力も暗譜力も高いわけでもないので、長い目でチャレンジすることも大切かと思う。

とりあえず、3年以内に私がやりたいもの
●「椿姫」ヴィオレッタ:多くのソプラノが憧れるこの役を全幕歌うことには、現実味がなさすぎるが、「乾杯の歌」と3幕は歌ったので、次は1幕のアリアと2幕のジェルモンとのデュエットは、取り組みたい。
●「ボエーム」ミミ:1幕全部と3幕のアリアを通したので、3幕のマルチェロとのデュエットのチャンスがあれば
●「カルメン」ミカエラ:1幕は全部歌ったので、あとは3幕のアリア
●ワーグナー「ヴェーゼンドンク歌曲集」全曲:これは今年度中に通したい
●ドニゼッティ「ルチア」:1幕のアリア、ちょっと齧っただけになっているので、本番に出せるくらいにはしたい。

あとは、アリアが2、3曲ある役で、1曲しか歌っていないものが沢山あるため、その片方見て置くというのもアリかな。
それにしても、「ルチア」からヴェーゼンドンクって、本当に節操なさすぎ。いずれも先生に勧められた選曲なのだけど、自分自身のスタンスってどんなものよ。

「オペラ全幕」でプリマというのも、あまりにも現実味がない。
本当は名アリアを歌うよりも、数小節だけの端役でも良いから全幕を通したいのだけど、それも選ぶ人があってのことだし。
お金や人脈があったら、自主企画というのも考えられなくはないので、5年以内に考えても良いかもというので、思いつく作品を挙げてみる

●マスカーニ「ザネット」:ソプラノとメゾ2人だけのオペラ。自分より若くズボン役が似合うメゾをどうするか・・・
●ドニゼッティ「リタ」:ソプラノ+テノール+バリトンの3人だけ
●モーツァルト「バスティアンとバスティエンヌ」:これもソプラノ+テノール+バリトンの3人だけ
●三木稔「鶴」:ソプラノの「歌楽」と名付けられたモノオペラ。伴奏は和楽器っぽいけど、ピアノでもいけるか。あと楽譜は作曲者の遺族に聞かないと入手できないらしい。
●グレゴリ・フリド「アンネ・フランクの日記」:現代音楽のモノオペラだけど、シェーンベルクの「期待」よりは分かりやすいと思う。楽譜はどう入手できるか不明。
●プーランク「声」:有名なモノオペラだけど、フランス語できないし・・・。
●タリヴェルディエフ「期待」:これも馴染みが低いロシア語のモノオペラ。メロディは他の現代物よりわかりやすい。最近英語の字幕付きのがアップされた。楽譜は入手済。

あとはソプラノ+バリトンの「電話」「奥様女中」は声が合わないから難しいだろうな。
字幕のことを考えたら(操作する人を確保する必要があるので)、日本語のモノオペラの作品を探すべきなのか・・・