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上砂理佳のうぐいす日記

阪神百貨店の女流版画家5人展無事終了。多くの方にご高覧いただきました。ありがとうございました★

木枯さんがここに★

2020-09-29 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ


実家を大掃除した際、こんな古いレコードが出てきました。
外の袋は「テイチクレコード」。中のレコードは「コロンビア」!
どうも元々は「春野百合子さん」という歌手の傑作集4曲入りレコードが入っていたようです。
なのに今、中に入っているコロンビアレコードは「フェアウェル・ワルツ」って。なんでやねーん(赤レーベルだっ)。
外袋のオモテの面に、当時のスターとおぼしき歌手や作曲家・作詞家?たちの顔写真がズラリと並んでいます。
宣伝のためなのでしょうね。一番右に「古賀政男」とメガネのおじさんが。
次々とヒット曲を連発してたので、ポジション的に「社の看板」だったのでしょうか。
古賀さんは古関裕而さんとほぼ同い歳だったはずだから、20代のはず。なのにおじさん顔。貫禄です。

「エール」のドラマの中では、裕一さんの友達となった「木枯正人」さんは、「俺、コロンブスからテイコクレコードに移籍するんだ」と語っています。
ネットで調べたら木枯さんのモデルである古賀政男さんも、コロンビア→テイチク→コロンビア、と移籍。
なのでこのレコードは、テイチク在籍時代の昭和9年~12年のあいだに発売されたと思われます。
ウチの父は当時はまだ子供なので買うわけはない。。。
音楽好きだった叔父が東京の大学に行ってたので、その頃購入したのかなあ。謎です。
外袋は粗末な紙製で、レコード盤はビニールに入っているでもなく裸で入ってる。私の世代が買っていたLPレコードよりはるかに分厚く、LPよりは直径が小さい。お値段も発売年も記述なし。歌詞カードなども無し。
試聴可能かレコード屋さんに持っていってみたら、「表面の傷が多すぎて無理」と言われました。残念~。

古賀さんの隣に藤山一郎さんがいます。
裕一が「東京音楽学校卒なのに、なんで赤レーベルで歌ってるんですか?」とコロンブスの録音室で聞いたあの人。後に裕一の代表曲を唄う国民的歌手です。
ここにいる?ということは藤山一郎もテイチクに移籍したのか?
で調べたら、藤山さんはコロンビア(音大在学中)では古賀さんと組み「酒は泪かため息か」「丘を越えて」の大ヒット。
その後ビクターに移籍。
しかしふるわず、古賀さんの誘いでテイチクに移籍したようです。
この「テイチクレコードの顔」の写真で、私が知ってるのは古賀さんと藤山さん、ディック・ミネだけ。藤丸さんみたいに「芸者が歌を歌う」流行にのっとって、芸者姿の女性もいます。外人さんもいます(!)

ちょっと笑えるのが宣伝コピーです。デカデカと外袋に印刷された文字、
「!!この超威力の専属手当年額七拾萬円也の巨額は他社の追従を絶封に許さず!!」
とあるのです。意訳すれば
「ウチの専属アーティスト達の年棒は総額23億円!他社にはない破格の高額!」
ということなのでしょうか。
昭和12年の「七拾萬円」が現在のおいくらに相当するのか、ちょっとわからないのですが。
外袋には「テイチク蓄音機」の写真も載っていて、「三拾圓也」とあります。



「エール」で音ちゃんが買ってきた蓄音機が確か30円で、今の100万円相当だったと思うので、「70万円」は23億円ではないのか?いや、わたし単位を間違ってる?
「海外五圓上がり」とも書いてあります。どういう意味だ?「外国製だと5円高いよ」なのかな?
レコード針は200本入りで35銭。「クロミウム針」というのは12本入りで50銭。クロミウムの方が丈夫なのかも。
200本も入ってるということは、すぐに劣化して交換しないといけなかったのかも。
いずれにしても、「こんなに素敵な音楽!」ではなく、「ウチの契約金どうよ!」をキャッチコピーにしてるあたり、レコード会社のウハウハ守銭奴的イメージが想起されます。。。廿日市さんだけが悪者じゃないのね。
さてもう一枚。これはコロンビアの外袋でコロンビアのレコード!



これは「ベサメ・ムーチョ」。外国人のオーケストラ名が書いてあります。ウラ面も同じオケで「インスピレーション」とあります。
こちらも傷が深く聞けないのが残念です。コロンビアは「KAWASAKI JAPAN」と銘記があるので、あの戦災でも焼けずに残った川崎のレコードプレス工場なのでしょうか。
偶然見つかったこの古レコード。昭和12年発売とすると、今から83年前、のものになりますね。
これを出すのに、裕一さん苦労してたのか~。
なんか感慨深い。でも、貴重ではあるけど、どうせなら古賀さんか古関さんのレコードが良かったよ~笑★
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再開後のエール★

2020-09-26 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
ウチの母は、コロナ自粛中にこ~んなにお手玉作ってしまいました!
小豆がね。姉の家に乾燥小豆がいっぱいあってお手玉の中に入れてます。
こんなにどする?フリマで売ります?

さて「エール」再開後の感想を二週分まとめて書きます。
第14週は「弟子がやってきた!」。
おにぎりみたいな田舎っぺの青年、五郎君が「押しかけ弟子」として転がりこみ、文学賞をとった梅ちゃんも同時に古山家に住み着きます。
久志がちょっかい出すものの、若い二人は惹かれ合い。。。可愛い恋物語が展開します。
これから辛い太平洋戦争時代に入るので、箸休め的ほっこり感が嬉しい週でした(^.^)
カタブツとも言える梅ちゃんを、まっすぐ愛する五郎ちゃん。
師匠の奥さんの妹が相手だから、考えてみたら大それた恋?
作曲の才能が無いと悟り古山家を去る五郎を探し、「自分に着いてこい!」と一括する男前な梅ちゃん。
関内家の女子はみんな強くて清々しい。
梅ちゃん、豊橋の実家に婿(候補)を連れ帰り、馬具製作見習いの職を与え。。。「私があなたの居場所になってあげる」って凄いな。男でもなかなか言えないよ!
文学の道も順調で、でも見習い五郎が一人前になる=結婚までにはまだまだ時間がかかりそう。その日が楽しみだな!

さて第15週「先生のうた」からは本格的に裕一さん&音ちゃんの戦争期に。
一人娘の華ちゃんは素敵なお兄ちゃん?ボーイフレンドも出来て、音ちゃんは自宅音楽教室をスタート。
裕一さんの新曲「露営の歌」が当たり古山家にオルガンが来まして、「音楽ファミリー」の色が出てきました。
この「露営の歌」は、裕一さんが満州旅行から帰国した際にコロンビアレコードから「作曲して欲しい詩があるから急いで帰れ」と連絡があり、急きょ特急列車に乗ったときに新聞を見て閃いた、と自伝にあります。
金子さんの妹さんのご主人が満州に居たので、そのツテを頼り夫婦で海外へ。
子供は(古関さんはこの時点でお嬢さんお二人いらっしゃいました)豊橋に預けてたみたいで、ドラマでも夫婦でエキゾチック満州旅行シーンやってくれないかな~絵になるよ~と密かに期待してたんですが。
満州旅行で見た戦場のイメージが、「露営の歌」の作曲につながった、と。
でもドラマではアッサリ「茶の間で新聞」3分で片付けられちゃって(笑)。まあコロナ禍で海外ロケなんざ夢のまた夢ですよね。。。

その代わりに、「暁に祈る」に尺を割いて、恩師である藤堂先生と福島三羽ガラス、あたたかい実家、和解した弟とが邂逅し、嬉しい展開となりました。
裕一、久志、鉄男の三人が枕並べて裕一の部屋で寝てるシーンが(修学旅行!)あまりに可愛くほほえましい。
そして藤堂先生が出征することに。
昌子さんには五歳になる男の子が。
辛いシチュエーションですが、森山直太朗氏がもう本当に藤堂先生そのもので。
この場面で「な~つのお~わ~り~」とか歌ってくれんもんか、とちょっと思ったり。
先生が助けた子供たちは、みんな良き大人になって頑張ってるよ。先生に感謝してもしきれないよ。
こんなに幸せな人生が、なぜずっと続かないのか。

東京よりも落ち着いて、しみじみと福島の緑が美しい。
切なさとあたたかさと、叙情的な「暁に祈る」エピソードでした。

裕一さんは鉄男と喋る時や福島の実家では、東京弁から福島弁に戻るので、それも良き★
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選ばれし者は輝かなくては★

2020-09-13 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
朝ドラ「エール」が遂に明日から再開になりました。
あっという間でした。6月末には「これから再開まで長い。。。」と悲しんでいたのが、もう9月!
そしてもう暮れの紅白歌合戦の話題とか出たりして。今年はなんだったのだろう。コロナしかないよ。

ということで朝ドラの感想も再び書こうと思います。
第12週の「双浦環・パリ恋物語」まで書き、第13週の「スター発掘オーディション」は、まだでした。
再開直前まで置いておこうと。。。先週再放送で見てたら、やっぱりミュージカル界の2大スターが共演してるって豪華ですね。素晴らしいわ。
歌手・伊藤久男がモデルの佐藤久志くん、音楽学校を首席で卒業しても4年も職がなかったのね。
古関さんの自伝本を読むと、確かにこの時期、伊藤さんはニートしてたようです。実家はお金持ちだから、仕送りで生活には困らなかったか。でも「プリンス」として鳴らした彼にとっては、屈辱の日々だったのでは。
赤ん坊からすっかり大きくなった華ちゃん(4歳)も、古山家の家族とも言える喫茶バンブーで可愛がってもらってます。
音ちゃんは子育てで忙しそう。やっぱり昔は保育園も無いし習い事だって無いから、1日中お母さんがつきっきりで面倒みてたんだろなー。お母さんに見てもらおうにも実家は遠いし。そりゃヒマないよね。
裕一さんに音ちゃんが「もうちょっと華が大きくなって手を離れたら、音楽の勉強再開しようかな。どう思う?」って聞くところ、少しハラハラしちゃった。一瞬間があって裕一が「いいと思う!応援するよ」って言ってくれたけど、妻がそう言いだすのを待っていて、「ついにその時が来たか!」と、感慨深かったのかな。
史実ではこの後、「裕一さんの作った曲と用意した大舞台で、音さんが華やかに歌う」究極の夢は、ちゃんとかなえられます。でもかなり時間が要りますが。。。そこをちゃんとドラマでは描いて欲しいわ。飛ばしたら怒るよ!

さてコロンブスレコードの新人歌手オーディション、この頃、ヒットメーカーの木枯さん(古賀政男)がテイコクへ移籍してたので、コロンブスとしては是が非でも「ドル箱」スターを売り出したかった。
裕一は久志にオーディション挑戦を勧め、なんと音ちゃんの故郷・豊橋からも恩師・御手洗ティーチャーが上京してきます。御手洗Tは音楽教室を畳んで、歌手になる夢に賭けた!
古山家に居候して練習に余念のない二人の、火花がバチバチ飛ぶ「歌唱対決」が、アホらしくも(笑)楽しく見ごたえあります。
余談ですがこのあいだ「うたコン(NHK)」に古川雄大さん出てて歌ってはったのですが、ドラマで見せていた「御手洗Tの歌声」とは違ったものでした。役になりきって歌い方を変えるのね。私は個人的に御手洗T歌唱の「船頭可愛いや」が好きです。

二人は書類審査委を通過し、いよいよ最終オーディション。スタジオで様々な歌手志望者が歌いますが、「殿様キングス」の宮路さんが出てたのがお笑いです。懐かしいなー!昔とぜんぜん風体が変わってないよ(あの頃からおじいさんだったよ!)。
汽車マニアみたいな見事な歌い手さんがいましたが、中川家かと思ったよ。。。三味線の方も上手かった。女性が出てこないのが残念。
久志は裕一にアドバイスしてもらった「丘を越えて」で挑みました。木枯さんの大ヒット曲。明るくはずむ感じで久志にピッタリ。
御手洗Tと一騎打ち!と思いきや、新聞で発表された新スターは、帝国ラジオ(NHK)の御曹子の若者でした。
この18歳「寅田熊太郎」というスゴイ名前の色男を演じているのは、ジュノンスーパーボーイで優勝なさった方とか。役者デビュー作でいきなり朝ドラの重要人物。なかなか上手い「嫌なヤツ」でした。
裕一さんはこの新人のために新曲を描きおろしてますが、果たして大ヒットとなるのか?
「船頭可愛いや」の大ヒットから4年間、それを超えるヒットは出なかったようですが、自伝本の年表を見たら膨大な曲を作っていたことがわかります。何より「六甲おろし」がこの頃(昭和11年)作られていたなんて、関西人としてはビックリです。

この週は久志の幼少時代が描かれ、藤堂先生に励ましてもらい歌に目覚めたこと、父の再婚相手をなかなか「お母さん」と呼べなかったこと、様々な屈折が後の「カッコつけ久志」となってるのかと思うと面白い。久志は戦中戦後ちょっと大変なことになるのですが、朝ドラでは描かないかもね。。。私は描いて欲しいけど。
久志はオーディションには落ちたものの、研修生としてコロンブスレコードに拾われます。
プライドもあるから、断ろうと思ってた。でも、落選したライバル・御手洗ティーチャーに、
「こんなビッグチャンス、断っちゃダメ。選ばれた者は、輝かなければ!」
と諭されます。ここ、グッときた~
「神に選ばれし者は、その才能を存分に輝かせる責務がある」
映画のフレディ・マーキュリー見てて、思ったことでした。
まだ若く働いたこともないお坊ちゃん・久志と、人生経験を重ね苦労してきた御手洗ティーチャーとの対比。見事でした。御手洗T、ええ人ですねえ。戦後も長生きしていつか美輪明宏化して出てきてくれませんか

嵐のような日々が去って、裕一の新曲も出来上がり、さあやっと家族団らん平和に~と思っていたら、「おにぎり」みたいな風貌の若者が古山家にあらわれ。。。ってとこで中断でした。
あ、音ちゃんの作るお味噌汁に、「具(ねぎ)」が入るようになっていたのが、最大の発見でした笑。子供には「具なし」は通用せんよな。裕一さんがネギを齧る瞬間、「苦労したね」とネギらいたくなる私でした。

正直、コロナが収まらずどんどん拡大したら、撮影再開も無いかも…と思っていたし、いつまた中止になるかもわからなかった。主役級の人が罹患したら終わりですもんね。
志村けん氏の死は悲しかったけど、映像に残せて良かった。人はいつ死ぬかわからない。
エール後半戦は戦争に突入するので、死も生も様々な重みを感じながら見守ることになるでしょう★
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NHKからお葉書を貰いめっちゃ感激したお話★

2020-08-25 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ


8月6日は窪田正孝氏の32歳のお誕生日だったので、朝ドラ「エール」宛にお葉書を送ったのですね。
↑の写真を可愛いイラストにして、「おめでとうございます」「コロナ禍での撮影頑張ってください!」とか、ドラマの感想とか。。。
「オープニングの海辺を二人で走っていく映像とGReeeeNの歌が死ぬほど好きです!」とか。
中学生に戻った感覚で楽し~く書いてしまいました。
仕事じゃないから、気楽なんよね。。。
そしたら、先日「エール」スタッフさんから、お礼の葉書が!


まあ、感想葉書送ったら全員に返信くれはるのかもしれませんが、嬉しかったです。
窪田氏にハガキ見せてくれてたら更に嬉しいけど、それは無理か(笑)。
9月14日から「エール」再開します、と。コロナで撮影中断して、今も大変だと思いますが、めっちゃ楽しみです。

再放送も欠かさず見てるのですが、今日は私の一番「神回」。
もう、見るの五回目なのにまた同じ所で泣くという(笑)。
BSで見て泣き、地上波でまた泣き、大丈夫か私。
音ちゃんが妊娠してつわりがひどく、せっかく勝ち得た椿姫の主役の練習に出られず。
もうボロボロの時に、裕一さんが説得するところです。
「厳しく、そしてあたたかく」という支え方。
なんて男らしいんだ!
こんな人、地球にいます!?(どうよ?)
私はもう今世は諦めたので、来世ではこんなデキた旦那さんに必ずや巡り合います。きっと(しつこい笑)。

BSの「エール」の前に、7時15分から「はね駒」再放送やってるんですが、奇しくもこちらも「平手打ち」回。
エールでは妻が夫を平手打ち、はね駒では酔っ払って帰ってくだを巻く妻(斉藤由貴)を、夫(渡辺謙)が平手打ち。
明治時代に妻が夫をぶっ叩いてたら、さすがに即離婚されるわよな。。。
大正デモクラシーを経て、昭和の女も強くなったということでしょうか。
「はね駒」は1985年制作なんで、いろんな意味で時代ギャップを感じます。
樹木希林や沢田研二や小林稔侍やみなさん若い若い。「アバヨ!」の柳沢慎吾が若すぎて笑う。美保純も懐かしい。
「エール」も「はね駒」も主人公は福島出身、配偶者は愛知県出身。
なので「味噌論争」がここでも勃発して、NHKのお家芸なんだろか。笑えます~★
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ラストの絵が気になりました★

2020-06-28 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
朝ドラ「エ-ル」は緊急事態宣言発令の4月上旬に撮影中断となり、2か月半のブランクを経て6月中旬からまた再開しました。
編集ストックがここまで!ということで、約2か月休止ですが、明日からまた「第1回」から再放送してくれるとか。窪田くんのダンスシーンがあるよ。副音声でまたまた山崎育三郎プリンスが登場し、ツッコミ?を入れてくれるそうです。
育三郎氏、「家族に乾杯」に「土スタ」に「あさイチ」に、番宣ゲストとして大活躍です。窪田君よりたくさん出てる(笑)。ふみちゃんもほとんど出てこないので、主演の人は大事をとって温存させてるのかな?と思ったり。コロナがおさまった秋には、ぜひ古山夫妻で「家族に乾杯」福島か豊橋に行って欲しいよ。もう、それだけを楽しみに生きてきたのよ(笑)。

そんな中、第11週で三郎父が亡くなりひと区切りがついて、第12週・第13週はスピンオフとなりました。
なんで連ドラ半ばでスピンオフなのか~。これ収録してる時期って、2月半ばから3月なので、どんどんコロナが蔓延し非常に不穏な空気が濃厚になっていった頃。なので、スポットが当たる主役を複数に分散させて、感染リスク軽減を図った、と推測します。番宣ゲストと同じ原理ね。
しかしよくぞ赤ん坊の華ちゃんを2月半ばまでに撮り終えていましたね。。。今なら絶対無理でしょう。

第12週「第一話」は「音ちゃんのパパがあの世(地獄?)から帰ってくる」設定で、ドタバタコメディを予測していたら、意外としんみりモードで進行。何より、家族の中で娘たちは割とクールで、感激してるのはお母さんだけってのが笑えた(笑)。
ウチだって突然、父があの世から帰ってきても「いやーね、お父さん。前もって言っといてくれないとご飯炊いてないよ」ぐらいしか。
劇中の「あの世から帰る1泊2日ツアー」の旅行規程のチラシが面白かったですね。おこづかい20銭って。お団子4串買ったらあといくら残ってんだろ。その貴重なお団子を食ってしまう裕一って。。。
パパが古山家を去る時に音ちゃんが涙をぬぐうシーンが良かった。「ほんのちょこっとだけ泣いてまた明日から頑張るぞ」感があって。と同時にもう音ちゃんは子供じゃなくって、ヨソの人の嫁になって関内家とは違う自分の人生歩んでるんだなあ、という一抹の寂しさも残りました。

「第二話」は、バンブー喫茶店の保さんと恵さん夫妻の「なれそめ」のお話でした。保さんは古本屋やってたんですね。
本屋さんが素敵なしつらえで、これだけで連ドラ出来そうなぐらい。それにしても恵さんは「モガ」然としてとってもお美しい。この失礼なノット・イケメンの本屋男に惹かれる理由がイマイチ解らんが、まあ「本好き」共通項でいいのかなー。だって恵さん、モテそうですやんね。
チビ久志が「3か月もたって進展がないと女性は“おともだちモード”に入ってしまう」と警告を鳴らすところが、なかなか真実を突いてて面白い。第13週の久志の幼少時代を見ると、複雑な人間関係の機微をどうして知ったか腑に落ちるのでした。そしてそんな久志の親戚のおじさんが、井上順てのも。はい私も「夜のヒットスタジオ世代」。
思い切って恵さんを食事に誘おうとして、「ご。。。。碁でもやりませんか」と、「ご飯お誘い未遂」になっちゃうにのも可愛い保さん。二人でやれる仕事を、と考えてコーヒー店にしたのかな。本屋のままでもよさそうだけど、儲からないのかもね?
でも、喫茶バンブーに赤レーベルのレコード盤が増えていくのを、見るのが嬉しい。今後もう飾る場所が無くなるはず。つうか空襲で焼けませんように。

「第三話」は、双浦環さんお若い頃の、パリ~での恋物語でした。今では鉄の女の環さんにも、こんな可愛いお若い頃が。
イタリアでの「蝶々夫人」のオーディションに、招待されたんではなく「強引に押しかけて」挑戦してたのですね。
座る椅子が無くて自分で椅子を持ってきて待っていたら、他のオーディション挑戦者たちに嘲笑され、「お前(アジア人)の座る椅子は無い」と言われていたかのようでした。フランスでは仏語をしゃべっていたけど、イタリア語も習っていったのかしら。

環さんは画家のタマゴの嗣人さん(お金持ちのボンボン)に見初められ同棲を始めます。
彼は最初は「一緒に夢を追いかけよう。世界にはばたこう」と言っていたし協力的だったのに、自分の展覧会が不評で、環さんの評判が上がっていくと、なにか気に食わない。不機嫌になっていきます。
そしてイギリスでのオーディションで、環さんが遂に蝶々夫人の役をゲットした!と知るや、猛然と怒り出します。
自分は町のカフェからお声がかかってやっと次の個展が開けることを喜んでいたら。。。彼女はオペラハウスだよ。土俵が違うぜー。
って怒りたくなるのもわかりますが、それは自分のせいやん!?
相手のせいじゃないやん!
なんであなたに「歌をやめてくれ」という資格があるのか。歌をやめて自分のために尽くしてくれる女性を求めるのなら、それは相手を間違ってるのよ。環さんは輝くために頑張ってきたのだから!
という「芸術家カップルあるある」が露呈され、最後に嗣人さんは環さんの絵を描きます。それは「蝶々夫人」で歌う、晴れ姿でした。
怒っても別れても、やはり彼女が輝いている姿は好きなのね。それは「偶像」ってことだよね。。。
偶像を愛するのは勝手だけど、一緒に生活すると破綻をきたすわなあ。。。

男の人はどうしても、女の人が自分より上に行くのを、嫌いますね。逆だといいのだけど。プライドなのでしょうか。
周りの画家さんを見ていても、奥さんがダンナさんより売れるようになると、必ずお別れしてしまう。
長年うまく拮抗してやってるご夫婦は大抵仲良しで、ほど良い信頼関係にあるようです。
ドラマ中の嗣人さんは、画家の才能は無いように見えました。実家を継いで実業家としてやっていく?方が幸せになれそう。
最初に環さんが見た嗣人さんの絵はキュビズム的?だし、途中で取り組んでいた絵は静物画だし、このカフェでは静物画の中に突然人物画。まさに「中途半端」。その「中途半端」さが、生き方にも表れているのかも。
才能あふれる美女を娶りたかったら、自分は黒子の立場も覚悟せねばならないのに、それは嫌。
高みへ行こうとする彼女を自分の位置までひきずり下ろそうとするなんて。環さん別れて良かったよ。
モデルとなったオペラ歌手の三浦環さんは、お医者さん?の旦那さんがサポートしてくれたのか、世界中を公演して回られたようですね。

ラストの「環さんの絵」ですが、「外国人の目には東洋人はこう見えている」的な違和感がきちんと絵に表現されていて、それは良かったのですが、なぜあんなのっぺりした平板な構図のカメラアングルにしたのか、超ナゾです。
私なら、少し角度をつけて額を映して、ライティングで左側を暗めにし右側を明るくして、濃淡をつけます。
そうすることで、「私は輝きたい」と願う環さんの「光と影」を、グッと印象づけられる画面になったはず。
(個人の感想です)
そこが一番「あーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」と思った箇所でしたが、考えてみれば「第二話」のラストが、「ビカーッ!」と後光をしょった久志のカットだったので、「光と影かぶり」を避けたのかも★
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父と別れ「子供時代」の終わり★

2020-06-19 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ


あじさいの季節はあじさいの絵を。
遅くなりましたが、朝ドラ「エール」第11週「かぞくのうた」感想です。

冒頭に映る雪化粧の山は磐梯山なのでしょうか?福島といえば磐梯山しか知らず。。。
裕一は妻の音ちゃんの勧めもあり、赤ん坊の「華ちゃん」を連れて故郷に帰ります。さすが音ちゃんの娘、可愛い。めんこい。
それもこれも、福島の藤堂先生に小学校校歌作曲の依頼を受けたからでした。同時にお母さんのまささんからも、実家に寄るよう手紙が来ます。
ほとんど駆け落ち同然で故郷を振り捨て上京して、いまさらどんな顔をして帰省すればいいのやら。。。しかし「船頭かわいや」の大ヒットのおかげで、裕一の名声は故郷にもとどろいていたようです。
音ちゃんと並んで仕事室で校歌を作る裕一が、華ちゃんにデレデレの情けない(笑)姿より印象的でした。以前はあまり一緒に音楽を作る場面がなかったのに、音楽夫婦として一歩前進。「僕が作曲した歌を君が歌う」うらやましー。

音ちゃんは子供を産んでから、なにか落ち着いてきましたね。前みたいにカッとなって感情のままに突っ走るのではなく、忍耐力がついた?子育ては親をも成長させるのかな。
ダンナの実家で、お姑さんと和解しかいがいしく内助の功を発揮する音ちゃん。たすきがけも素早く、福島の味噌汁にもいち早く順応。出来たヨメじゃ。田舎の宴会ってさー。女はお酒の燗仕事ばっかで腹立つのよね(笑)。
しかし昔は布オムツだから、毎日の洗濯が重労働だったろうな。お産の時のシーンで、裕一のワイシャツを干してる下に木のタライと洗濯板が。
クリーニング屋さんってないはず。。。(母の証言では、都会にはあった、と。高かったそう)。
裕一さん、毎日バリッとしたスーツ姿で出勤してるから、あのシャツ、洗濯板でゴシゴシやって、アイロンあてて…アイロンは炭を入れるタイプでしょうか。それとも電灯からコード引っ張ってくるヤツでしょうか(サザエさんで見たよ)。襟は糊しないとピン!としないし。そしてプラスオムツかー。はー。たいへん。
裕一さん、オムツ交換は手伝ってるようですが、甘いわ。お風呂も入れて、たまには離乳食も作ろう(笑)。

福島での校歌お披露目の会で、あの川俣銀行の昌子さんと結婚した藤堂先生と再会。
「人よりほんの少し努力するのが苦しくなくて、ほんの少し楽に出来るもの、それを見つけたらしがみつけ」という、藤堂先生の教えを裕一は守り抜き、故郷に錦を飾ることが出来ました。といってもまだ故郷出て3年ぐらいじゃないのかな。
史実では古関さんは「5年間ヒットが出なかった」そうなので、ドラマでは少し短縮。それでも20代半ばで結果を出せたのだから、芸術家の成功としては超早いです。
実家ではあの蓄音機で三郎父さんがレコードをかけ、華かやに祝賀パーティ。喜多一はもう閉店してて、かつての番頭さんもお祝いの座に来てくれました。あの、裕一に啖呵を切った丁稚どんはどうしたのだろう。「ブッブッブッブッ」とバス・ハーモニカを吹いていた元・いじめっ子の学友の姿も。
私はこの「故郷に錦を飾る」場面が、見たくてたまらなかったので、感慨ひとしおです。恩師に恩返しを出来たのが嬉しいのです。
川俣銀行の愉快な仲間たち、は今はもう信用組合に転職していました。茂兵衛おじさんの銀行も人手に渡ったということ。
自分の身勝手な行動が親族のみならず多方面に影響を及ぼしていたことを知り、暗い表情になる裕一。そこへ帰ってきた弟の浩二に声をかけるも、以前にも増してきつくあたられます。
BSプレミアムで土曜に1週間分を再放送してるのですが、続けて見ると、裕一の福島での心情変化がよく解ります。
華やかな凱旋ではじめはピカピカに輝いていた顔が、弟との軋轢で曇り、週末には死相が出てるかのような憔悴っぷり。
それもそのはず、三郎父さんは、胃ガンを宣告されていたのでした。
母と弟はお金を工面しながらも、本人には知らせまいと必死にがんばってきたのです。
そこへ、何も知らない兄が、可愛い嫁と子供と仕事の成功をともなってノコノコ帰ってきたら、弟としては苛立ちしかないでしょう。お前が好き勝手やってるうちに、実家はどれだけ苦労した思てんねん!てなもんでしょう。
裕一はお金を渡そうとして、なおさら反発を食らってしまう(あれは、お母さんが寝る前にでもコソッと渡しましょう。浩二のプライドを考えよう)。

私も、自分と姉との確執を重ねて見てて、浩二の苦しみが痛いほど刺さりました。親ってなぜか「放蕩息子」のほうを可愛がる。
浩二からしたら、長男なのに義務を果たさず家を捨ててる裕一を、両親が可愛がる姿が腹立たしい。
真面目に実家に貢献してる自分が、あまり褒められない。
でも、親からすれば、真面目な子は手元に居て「心配がない」ので、ある意味気を使わない。放置する。
放蕩してる子は離れて生きているから、泣いたりしていないか、路頭に迷っていないか、心配でたまらない。
三郎父の臨終の床で浩二は、「父さんと兄さんが音楽の話してるとき、俺は入っていけなくて悲しかった」とつぶやきます。
しかし、父は「裕一とは音楽の話しか接点が無かった。でも、俺とお前は別に何もなくても、本音で言い合えた」と返します。
親は子を両方とも愛していて、ただ接し方が違っただけだ、と。
これが意外な答えで、三郎さん、もっと早く(元気なうちに)浩二に言ってあげればよかったのに。。。
と思えども、人生ってこんなものかな。
まだ、古山家は「間に合った」から良いのです。ちゃんと心の澱を溶かして終われたのですから。

家督を譲る話、長男である裕一に謝る姿、浩二に「裕一に了解はとってあるから全財産をお前に」と告げる姿。
父の最後の威厳と優しさを、唐沢寿明氏、さすがの年の功演技で魅せます。
思えば、高価な蓄音機とレコード・譜面を与えて、得意(音楽)を伸ばし不得意(運動・勉強)は大目に見てくれた三郎父。
商売の才は無く上手くは生きられなかったけど、最大限の応援をしてくれた父を失い、でも自分の子供は生まれた。
「親を失ったが自分は親になった」瞬間が、「子供時代の終わり」なのですね。
一人で奏でる裕一の悲しい音色のハーモニカ。
親友が去ったとき、祖母に裏切られた時、いつも、悲しい気持ちは、言葉でなく音楽で吐露する裕一。

あんなに怖かった茂兵衛おじさんは、引退?して趣味三昧の日々のようで、なんと裕一たちを祝ってくれました。
奥さんはまだ寝たきりなのか、お祖母さんはどうなったんかな。でも、最大の難関はおじさんだったので、クリア出来て良かった良かった。
もうひとつの難関、弟の浩二とも、これからは上手くいきそうです。
この週は「裕一が故郷に残してきた宿題を片付ける」テーマと同時に、「弟の氷解」が進行しましたが、農協に転職した浩二の営業マンっぷりが初々しくて良かった(笑)。公務員に中途転職出来たということは、浩二は頭も優秀なのね。
この先、裕一が福島に帰るタイミングは、戦争で疎開する時だと思うのですが、その頃には一面リンゴの花が咲いていて、浩二は「福島にリンゴ栽培をもたらした名士」となっているのではないかと予想。
「兄さんはもう家族じゃない(怒)」状態から、「兄ちゃん、上手くリンゴ出来たら贈っから(照)」となって、ホンマに良かった。ほんとのところは、「兄ちゃん」が好きなんだよね。未だに捨ててないスノードームが、浩二の気持ちを物語っていたり。
福島の大事な場面は、いつも自然描写が美しく印象的です。
大将(鉄男)を思いながら泣く幼い頃は、山の向こうのはるかな空。
音さんと別れ留学を取る決意をしたときは、萌える緑の中、蝉の大合唱。
故郷を捨てて父と別れた時は、紅葉の中。
そして今回は、無彩色の冬。
白いしだれ梅、音もなく舞い落ちる雪、赤い椿の一輪。
華やかだった喜多一の実家が、寂しく小さく見えて切なかったけど、新しい時代の幕開けのようにも見えました。もう、浩二が「家長」です。

余談ですが、浩二が農家のマキタスポーツに差し出した「リンゴ栽培企画書」が、いかにも「Wordで作りました」感があって、ちょっと笑ってしまいました(笑)。
昭和初期に農協の企画書だったら、活版印刷はあり得ないと思うので、普通ガリ版刷りではないでしょうか~。NHKの美術様、いかがなのでしょう。高校までガリガリ鉄筆で文集作ってた私は、ちょっと納得いかん★
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君の夢を僕に預けてくれないか★

2020-06-07 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ


朝ドラ「エール」も第10週に突入。
10週目最後の金曜日の15分。泣いた!泣きましたね~
BSプレミアムの早朝版で号泣し、地上波通常版でまた号泣。昼の再放送でまたまた号泣し、深夜のBS再放送でまたまたまた号泣(笑)。
そして土曜日の「まとめ」でまた号泣って。どんだけ!
いえいえ、泣くのはストレス解消で良いのです。コロナ騒ぎでストレスもMAXなんす。

せっかく「木枯くん」の紹介で売れっ子作詞家さんと話をつないでもらったのに、新曲「船頭可愛いや」は不発。
売れる・売れないは、作者の努力の量と関係ないっすから。。。時の運ですから。
もうこれが不発なら、コロンブスレコードから首切られるばかりか、今までの契約金返せ!とな。
二年目だから2000万ぐらいかな。。。おでんの屋台引いたら返済に一生かかるかも。。。
しかし、音ちゃんのアイデアで環先生に視聴してもらったら、なななんと高評価を得て先生御自ら「歌いたいわ」と言ってもらえた!
夢のようなお話。バンブー喫茶店に「あの」世界的歌手の双浦環がやってくる。
震え上がるバンブー夫妻がおかしかった。巨大なケーキでおもてなしとか。

柴崎コウさん素晴らしい。歌の上手さもさることながら、美貌と貫禄がグレタ・ガルボ。
策略は成功してついに古山裕一作曲レコード初の大ヒットとなり、先行で藤丸さんが歌った版の赤レコードも売れるという。
鉄男のおでん屋でレコード売ってましたが、あれってコロンブスから卸値で仕入れてるんだろか。そもそもおでん屋でレコードって売っていいんだろか(笑)。
小山田先生は最初、青レーベル(クラシック)から「船頭可愛いや」を出すのを反対してたけど、なぜなんだろう。環先生が言ってたように「若いライバルが台頭するのが怖い」からかなー。でも、裕一をレコード契約に推したのは小山田さんだしねー。まだまだ謎の深い小山田先生=志村けんですが、もしかしてここまでが生前収録の最後だったのかな。だとしたら悲しい。

水曜で「大ヒット・めでたしめでたし」と来たのに、木曜で思わぬ暗雲が。一日(15分)で状況が180℃変わる、朝ドラ展開のスピードよ。
めでたくご懐妊で、はしゃぐ裕一と対照的に不安な表情の音さん。様子を見にきたお姉さんの吟さんにもきつくあたってしまいます。吟ちゃんはあの誠実そうな軍人さんと結婚したのに、まだ赤ちゃんが出来ないので妹が羨ましそう。末妹の梅ちゃんはいよいよ東京へ作家修業に来るようです。
椿姫の舞台稽古はどんどん佳境に入り、妊娠を告げた音さんに周囲は微妙な反応。そらそうね。でも、監督が「おめでとう」と言ってくれないのは驚き。プリンス久志だけがお祝いの言葉を贈ってくれましたが、音さんはつわりのきついタイプだったようで、遂には2週間も寝込み舞台稽古を休んでしまいます。
この「妊娠発覚の木曜日」は、どんどん状況が悪化して、かいがいしく世話を焼く裕一にきつくあたる音さんがツラい。
いや、この昭和初期に、つわりの妻にうどん作ってくれる旦那さん、まず居ないと思うよ(笑)。せいぜいが「飯出来てねーのか。仕方ねえなあ」ではないだろか。
男は体がな~んも変わんないのに、なんで女だけ苦しまねばならないの。。。「家で仕事してるからいいわね。私の代わりに産んでよ!」とまで毒づいてしまう。
いつも辛い事があっても、明るく乗り越える人なのに、つわりはそこまで人格変えるか~。うーん音ちゃん。それを言ったらおしまいよ
それは男性の「誰に飯食わせてもらってると思ってんだ!」に匹敵する禁句だがや(決して言ってはいけない)。

いやいやどんなに木曜日が辛くても、24時間後の金曜朝にはすべて解決して「サーッ」と青空が広がるはず。
あのオープニングの映像みたいにさ。このドラマのテンポからいって間違いない(笑)。
金曜は、音さんが練習に来ない音楽学校の稽古場から始まり、鉄男のおでん屋へ。
すっかりたまり場と化して、あの「下駄屋の娘」藤丸さんまで居ます。彼女は一体何歳なんでしょうね。独身?
でも、史実では、モデルとなった女性は28歳で既婚とありました。主婦となってから歌手デビューという当時としては変わった経歴だったそうで、だったら藤丸さんも結婚歴があるのかもしれません。でないと、
「裕一さん(男どもよ)、奥さんは赤ちゃんの母親である前に、一人の人間なんですよ。今までやってきた人生、これからの人生、いろんなことを考えている。奥さんの心の中を想像して、寄り添ってあげなさいよ」
というお説教は出てこないでしょう(酔った勢い)。
音さんが練習に出てこないことを久志に謝り、妻の体を心配すると怒られてからまわり。悩む裕一に藤丸さんのアドバイスは効きました(久志と鉄男もうなずきマンに。きっと男には想像もつかないことだったのでしょう)。

帰宅してももぬけの殻の古山家。音ちゃんはどこへ行ったのか。
近くにある音楽学校の練習室へ走る裕一(ここに来ると予想するところがさすが夫婦)。
月夜を浴びて一人練習する音ちゃんは、声がかすれてボロボロです。おなかに力が入らない。つわりの合間をぬって来たのでしょうか。
ガラス超しにそれを見ていた裕一。決意して中に入ります。
ここからですね。一体どうするんだろう。。。とかたずをのんでいたら、
「作曲家の自分から声楽家の君へ伝えたいことを言う」と厳かに告げます。
びっくりしました。え?その視点!?
「体にさわるだろ」とか「おなかの子のこと考えて」とか、「夫→妻」モードで言わない。
あくまで「プロからプロへの苦言」で、「そんな声では舞台に立つ資格なし。今回はあきらめるべし」と、バッサリ。
妊婦だからって忖度しない。甘やかさないことが、かえって音ちゃんを「プロ」として認めている。

裕一の言うことは正論だけど、あまりにキツイので感情は逆立ってしまう。
おもいっきし平手打ちするのですが、裕一にはそれも想定内。右か。左も殴れよ。ほれアッパーカットでも受け止めるぜ。余裕の仁王立ち。
ここ、冬のごっついコートとハットのシルエット、暗闇に月光だけが顔を照らす相乗効果で、普段は華奢な裕一に「男の威圧感」を持たせているのよね。上手いわ~。
ここがセーター姿で蛍光灯の下、だったら、ぜーんぜん威厳も無くてセリフも響いてこないっしょ。脚本と演出の素晴らしさ

殴った音ちゃんの手を包み込む裕一。
音ちゃんは感情が堰を切って、「子供が出来たのはとても嬉しい。けれどなぜ今なのか?そう思ってしまう自分が嫌」と泣きながら訴えます。
そうなんす。音ちゃんはもう、どうしていいのか大混乱していたのです。初めての大舞台で、プロになれるかもしれない。
なのにつわりは収まらず、周りにも迷惑をかけてどんどん追い込まれます。
環先生に言われた「子供が死にそうになっても、舞台を務めあげられるの?」の言葉に、恐怖が募ります。そんな覚悟はない。子供は死なせたくない。でも舞台も捨てられない!
月光で表情がよくわからないけれど(それも効果的)、音ちゃんの必死の訴えをひとつひとつ噛みしめて聞く裕一。
ハットを取って「音、ちゃんと聞いて」と促します。そして、
「音の夢、僕に預けてくれないか」と告げるのです。
「その夢を、僕が大事に育てるから」と。
すごいですねえ。素人には書けない台詞です!
「夢を」「預ける」という発想がすごい(そういや裕一は銀行マンでした)。

そしてさらに「僕の曲で音が歌う。でっかいステージで。それが僕の夢。音の夢は僕の夢」と続け、
「君はなにひとつ、あきらめる必要なんてない。そのために、僕がここにいるんだから」と。
音楽の道を行く者どうし、結婚した原点に返るのです。
思えば最初の文通のとき、裕一は「この手紙の女の子、僕の指揮するステージで歌ってくれたらいいなあ」と、既に思い描く未来があったんでしょうね。
豊橋のミニイベントでそれは早くも実現したけど、あのとき音ちゃんは声がでなくなった。
でも、裕一は優しく励ました。お互いアマチュアでした。苦労して勝ち取った舞台ではなかった。
あれから時が過ぎて、レコード会社で辛酸をなめた裕一はプロ意識が強くなったからでしょう、あの時と同じように声が出ない音ちゃんに今度は厳しく指摘しました。
音ちゃんも「舞台に出る者は言い訳が出来ない」ことを痛いほど悟りました。
二人とも、豊橋の時より成長したのだなと思わされました。

「その夢を僕に預けてくれ。大事に育てるから」
と約束した。
妻をステージに上げるということは、裕一さん自身も音楽で成功しないといけないわけで、やっぱり子供が出来て自覚の度合いが違ってきたのかな。
音ちゃんは退学して舞台も降板、環先生に謝ったけど、「私は音楽をあきらめていません」と、サッパリした顔で言い返す。
「子供もあきらめず」「音楽もあきらめない」。
一人ではそれは出来ない。パートナーと二人で作るのだ、と。新しい生き方を宣言します。
それを聞いた環先生の微妙な瞳。彼女は「夢のために子供をあきらめた」のかも。複雑で、印象的なお顔でした。

それにつけても、NHKはやたら「女性の新しい生き方」提示しますねえ(笑)。
朝ドラは特に、お得意さん視聴層が主婦の方々だろうから、女性に共感してもらえるようなメッセージを込めないと…となるんでしょうけど、この「戦前の日本」で「仕事か子供か」を壮絶に悩むシチュエーションってのは、やや違和感ありました。
結婚したら子供が出来るのは当然の時代、なんせ「産めよ増やせよ」だから、「避妊」そのものが無い。
音ちゃんも裕一も、結婚するとき「(子供ができても)なんとかなるか」だったと思いますよ。
私はこの「金曜日のてんまつ」を、昭和5年生まれの母に見せて、「こういうダンナさん、いいでしょ!優しいでしょ」と問うてみたら、「おらんおらん!いるわけない!」と、一蹴(いっしゅう)されました笑。
「妻の夢をかなえよう」なんて、あり得ないそう。ははは。そうね。父もそんな男だったよ
SNSで「そもそもなんで二人は避妊しないの」という批判を散見するにつけ、「時代背景、理解出来ない人多すぎ」と嘆息するのでした。
お年寄りと、そういう話しないんだろね。聞いたら面白いのに。
ドラマの時代性に令和の価値観を持ち込むの、どこまでやるか、難しいですね。うーん。

とはいえ、他の職業はちょっとわからないけれど、芸術をやっている全女性は、パートナー大事だと思います。
裕一さんみたいなことを言ってくれるダンナさんを、ぜひぜひゲットして頂きたい。
私の個人的感触では、10万人に1人ぐらいは、「こういうダンナさん」おられると思います(根拠なし笑)。
そして、「ゲットする」じゃないな。
「ゲットされる」だよね。音さんも「選ばれし女性」だもんね。
私はもう、今世はあきらめましたので(笑)、来世は精進して必ず★
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福島人による「東京」恋物語★

2020-05-31 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ

★私の夢二はがきコレクションより
 「婦人グラフ」大正15年4月号表紙 「APL FOOL」 とタイトルがついてますが「April fool」のことでしょうか。

朝ドラ「エール」第9週「東京恋物語」です。
あと1ヶ月分しか撮影ストックが無いっつうのも寂しいですが、 7月と8月が今までの再放送なのかな~。
そして9月から再開で11月末で終了でしょうか。もうコロナでいろいろあって不憫なのでこの際、年末までやって紅白歌合戦になだれこんでトドメをさしてください(笑)。ってか紅白やるんでしょうか?まさかのリモート紅白ならつらいよ~。

音ちゃんがカフェーに働きに出て、一人モソモソと夕飯を食べる裕一さんですが、いくらダンナが音楽家とはいえ、この時代によく許してもらえたよねえ。短期バイトですけどさ。
でも、あんなに可愛い女給さんがいたら、そらご指名かかるわね~。
気が気じゃない裕一さんですが、自分でお店に偵察に行けないという弱気虫。「ずぐたれ」ですやんー。
カフェで働かせてもらうコネは「木枯さん」(古賀政男)の口利きなのですが、木枯さんはヒット曲連発なので、キャバクラ豪遊もなんのその、なのね。
古賀政男さんの履歴を検索したら、若い時からなかなか波乱万丈の人生だったようで、その分、お坊ちゃん育ちの裕一より大人っぽく見えます。もはや私はRADの洋次郎さんを見たら、「あ。古賀政男」としか思えない(笑)。
音ちゃんの先輩、希穂子さんは福島出身で、裕一が何も知らずに来店した折に横についてくれました。やたらデレる裕一さん。そんなにツボにハマッたんかい。
美しいけど、女給をするには真面目過ぎるような「すれていない」風情の希穂子さん。
竹久夢二の絵に出てくる女の人にソックリです。髪型もお化粧もその姿も。あの前髪の独特のウェーブは、椿油でなでつけるのでしょうか?
希穂子さんは、裕一の幼少時の友達、鉄男さんの、福島での恋人でした。
鉄男さんが、新聞社に時々休暇願を出していたのは、東京に働きに出ている彼女を探しに来ていたのですね。

「骨太でクール」なイメージの鉄男。しかしこのあいだ「あさイチ」にゲストで出ていた鉄男役の中村蒼くん、とてもソフトで可愛らしい人なのでビックリ。ドラマの中ではまさに「鉄の男」にしか見えない。。。役者さんってすごいね。
もっとも裕一家でお酒に飲まれてしまった鉄男は、去っていった彼女への恨み節でクダまいてます。ふだんクールな人はお酒で人が変わるのね。。。その点、裕一&音夫妻は「酔うとご陽気になる」タイプだからいいわ。
音ちゃんが音楽学校の発表会の大舞台で大役をつかめるか、鉄男と希穂子さんの悲恋の道とうまくからめて、その末についに裕一さん初のレコード発売!という流れになりました。
「福島行進曲」の歌詞は、詩人鉄男さんのデビュー作でした。嬉しいレコードデビュー。
なのに、希穂子さんは鉄男の出世と幸せのために、身を引く決意をします。
ぶんちゃ♪ぶんちゃ♪とのどかに鳴る行進曲をバックにして、悲しい恋の末路に立ち尽くす二人。
その悲恋からインスパイアされ、見事な歌を披露する音ちゃん。
二階堂ふみさん、素晴らしい歌でしたねー。
専門家からみたら技術的には改良余地があるのかもしれないけど、心に響きました。
ゾワゾワ~ッとしました。

「裕一、ついにレコードデビュー!」のエピソードにしては、あっさり描かれている感じがするのですが、この先で福島に帰る週があるみたいなので、実家の家族やお店の人たちに、きっと「福島行進曲」を見せて(聞かせて)喜んでもらうんじゃないかな。そのときあらためて掘り下げるのかも。
このレコード、B面には「福島夜曲」が収録されているとのことですが、そこは触れられていませんでした。
スピンオフでいいからやって欲しいですね~。私はちょっと期待してたんですが、時間がなかったかも(笑)。
「福島夜曲」は、裕一がまだ川俣銀行に勤めている時、竹久夢二の福島での展覧会をたまたま観覧。
そこで見た小さな詞画「福島夜曲」に大感動して、ものの数時間で曲をつけて、まだ福島に滞在していた夢二のホテルまで持参したそうです。
すごいですね。
夢二さんも、福島に来てから「あーなんて素敵なところなんだ♪」とご当地絵と詩を即作って展示。裕一も即座に作曲。
その当時の夢二は45歳でもうキャリアを積んだ「有名人」ですから、20歳の一般青年がいきなり「あなたの詩が素晴らしすぎて曲書いちゃいました!」と押しかけてきたら、普通なら「キモッ」と追い返しそうなもんですが。
裕一はその場で早速出来立てホヤホヤの曲を歌唱。歌う方もすごいけど、受け入れてくれる夢二もすごい(笑)。
二人は親子ほど歳が離れてるけど気が合い、その後文通までしてたとあります。
裕一の繊細な部分と、夢二の抒情性は、私が想像してもしっくりくるなあ。
「好きになったら周りが見えなくなる」子供っぽっさとか、ミューズに心酔するところとか。感性が合ったのでしょう。

家の竹久夢二本の年表を見たら、裕一が音さんと新婚生活を送っている頃に、ちょうど東京は銀座で大々的な展覧会をしています。
裕一は展覧会、見に行ったのかな~。
でも夢二はその後すぐに、アメリカ・欧州へと渡航したので、その準備で忙しく、裕一と会ってるヒマなかったのかも。
「福島夜曲」の5年後に夢二は胸を病んで亡くなっているので、二人は結局、東京でも福島でもその後交錯することなく終わったのでしょうか。
ドラマ最後の希穂子さんの立ち姿が、なんとも「夢二美人」で、夢二と裕一のエピソードを割愛した代わりに、彼女を配したのかな、と思いました。

複雑な心情が重なる二人の別れの直後、舞台はチェンジ。
裕一が見事大役をつかんだ音さんを、自宅前で抱きしめて、ぶんぶん回す!
なんたるハッピー。なんたるシンプル。
好きだから一緒に居て、好きだから相手を応援する。
それでいいやん。
悲しみと喜びが対照的な、粋な演出。いつか鉄男と希穂子さんもくっついてくれ~★
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バーナデット・ワッツさんの絵本★

2020-05-26 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ


先日お話した富田林は寺内町の小さな古本・雑貨店「緑の小道」。
この間私が購入した古本の絵本です。メールで注文出来ます。
バーナデット・ワッツさんというイギリスの有名な画家の絵で。
私は昔からバーナデット・ワッツ大好き!
なのに一冊も持ってなかったのです。



ワッツさんの絵は深い!
いろんな色が幾重にも折り重なってるのに、絵が濁りません。
「ムワーッ」とイメージの広がりを感じるんです。
花が咲き乱れてたり、草原が風になびいてたり、
雪がふきぶって前が見えなかったり、自然から感じる空気感が、
こちらにもダイレクトに伝わってくる。

「サリンカときんのことり」
むかしむかし、図書館で読んだのかな?なんだか表紙に見覚えがあり。
お話は別の方が書かれてます。
ワッツさんの絵本は「しらゆきひめ」「雪の女王」などがよく知られていますが。
まあとにかく「緑の小道」は絵本いっぱい置いてはります!
珍しい絵はがきや雑貨もあり。古い雑誌のレトロ尽くし。
元通りの生活になったらぜひ寺内町散策して頂きたいですね。
ブックストアエイドもよろしく★
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紺「壁」の空に陽が差して★

2020-05-24 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
朝ドラエール第8週です。
裕一さんの納豆攻撃に釣られ私も「わら納豆」買うように。美味しいよっ。


先週に引き続き「芸術家の相克」を逃げずに描くNHK。
サワヤカが身上の朝ドラで、主人公のダークな一面をこんなに前面に出してええんかいな、思いましたが、裕一さんの言動の一つ一つがリアルで胸に突き刺さりました。
オブラートに包まず苦いまま提示したのは、制作の吉田監督のチャレンジなのでしょうか。
悩まない芸術家なんて居ない!と、いちいち共感しまくりな私でした。

裕一をいつも気にかけてくれる喫茶バンブーのマスター。
早稲田から依頼された応援歌がなかなか上手く出来ず唸っていた時の、マスターとの会話、印象的。禅問答みたいでした。

「“自分にしか作れない音楽”にこだわってるから苦しいんじゃないの?」
「どうして?ありきたりの音楽でいいのなら、僕が作る意味無いじゃない?」
「例えば、僕が毎日自分の気分でコーヒーの味変えたらどうなる?」
「いや困りますよ。来るたびに味が変わってたら!いつも同じ美味しいコーヒーを飲みに来てるんだから」
「僕は、お客さんの顔を思い浮かべてコーヒーを入れてる。お客さんの喜ぶ顔が見たいんだ」

こんな感じでした。深いなあ。
お客さんは「いつものコーヒー」が欲しいのであって、マスターの気分で薄かったり濃かったりしたら「なんだ、この店は!」となってしまう。
「作り手のひとりよがり」なんて、不要ということです。
でも、家に帰った裕一さんはソッコー、妻の音さんに「納得出来ない!」とキレます。

「マスターは商売人だからお客に媚び売るのもわかるよ。でも音楽は違うじゃん!僕が“僕の音楽”にこだわって何が悪いの?」
裕一はやはり「芸術(西洋音楽)は至高のものであって、自分は客に媚売るような(どこにでもある一般大衆向け)音楽は作りたくない」という意識が頑としてあるようです。
子供の頃や学生時代に、新しいレコードを入手してトキめいている場面はありましたが、その後の日々で「西洋音楽に心酔」してる描写がほとんど無かった為、この突然のぶちギレに「ええっ?裕一さんこんなこと考えてたの?」と音さんのみならず私も戸惑います。
赤レーベルと契約してしまったくせに、大衆音楽を作るモードに切り替えられない。
少年ジャンプと契約したのに「いや私の得意は油絵ですから」と言い張ってるようなものです。

喫茶店のマスターのいれるコーヒーも、「媚売ってる」わけじゃないのよ。
それは「作り手としての愛情」なんだよ。
でも、若くて経験値も少ない裕一は、自分の狭量さに気付きません。
思えば実家が呉服屋さんだったため、小さい頃からお客にペコペコ頭を下げる親や従業員を見てきて、「あんな大変な生き方出来ないな~。嫌だな~」と刷り込まれてしまったのかも(ご実家が呉服屋といえばユーミンも同様のこと言ってましたね。親を“米つきバッタ”になぞらえて)。

裕一は続けて「本当だったら今頃ヨーロッパで音楽学んでたはずなのに、こんな東京の片隅で応援歌と大衆音楽やってる。でも僕なりに頑張ってんだよ。一生懸命やってんだ」と怒涛のぶちまけで音さんを困惑させます。
こんなに声を荒げて、本音(゜ロ゜)をまくし立てる裕一さんは初めてですが、相手が音さんであることに「甘えと信頼」が伺えます。
でも音さんは裕一を甘やかさず、レコード会社のディレクターから聞いた「古山裕一の音楽の欠陥性」をズバリと伝えます。
私なら直接言わないな。。。
「言ったら怒るかも」「怒らないよ。俺冷静だからはっきり言って」というやりとりにも、互いの信頼度が見てとれます、が。
結果、裕一に更に火がついてしまい、応援歌締め切り間際というのに、全く関係のない交響曲を書いちゃうのです(締め切り間際になぜか別の仕事に熱中してしまう…芸術家あるある)。
レコード会社に一向に曲が採用されない鬱憤を晴らすべく、「自分の才能を存分に発揮する」作品を作り上げ、尊敬する小山田先生(山田耕筰)に直に楽譜を見てもらうのですが。

結果は「良い」でも「悪い」でもない、「で?(これを私にどうしろと?)」という、皮肉な返答でした。
少なからず自分を認めてくれている(と思っていた)大作家から「素晴らしいね!」という返しを期待していた筈ですが、まさかの結果に呆然自失。

夜が更けてもなかなか帰らない裕一さん。
月明かりだけが照らす仕事部屋に散乱する楽譜。
音さんは書きかけの交響曲楽譜の束を見つけ、裕一の苦悩を即座に理解します。
そこへ帰ってきた当人。

勝手に仕事部屋に入って楽譜をいじった自分を怒らないのか?と問う音さんに、「君の家だから好きにしたらいい」と力なく、やや皮肉も入れてつぶやきます。
「もはや家長でいる資格もない(くだらない自分)」を嫌悪している。
怒りの矛先は喫茶店のマスターでも小山田先生でも妻でもなく、自分自身に向けられている。
窪田くんはこういう「何気ない細かいところ」の演技で、人の感情の揺れを表現するのが抜群に上手いです。
あんまり繊細だから見逃しがちなんだけど、見る側にも理解力を要求する、いわば「現代アート」的演技です。

「違う人間を演じるのはある意味簡単で、同じ人間の様々な側面を演じる方がよっぽど難しい」とインタビューで語ってましたが、幼少時のいじめ、吃音、家族との葛藤、抜きんでた音楽の才能など、裕一の屈折したダークな一面が胸にせまる展開でした。

教会のようなステンドグラスが煌めく仕事部屋で、絶望的に泣く裕一さん。
後ろから抱きしめる音さん。
まるで「ピエタ」です。
即座に萩尾望都先生の漫画「ローマへの道」を連想しました。
悩む主人公マリオを慈愛で包みこむ恋人ラウラ、あの漫画の構図と同じ!

みっともない自分、ダークな自分をさらけ出しても、受け入れてくれるのが真のパートナー。
「後ろから支える」ことを覚えた音さんは、一歩成長したように見えました。
そして芸術家同士の距離はますます縮まり、絆は強くなった。そんな事を思わせる重要なシーンでした。

古山夫妻に早稲田の応援団長が送ってくれたエールの場面は、式を挙げてなかった二人の結婚式みたいで、幸福なシーンでした。
他人を励ますために作った曲が、結局は自分自身への「エール」になっているという。
この物語の根幹を成すテーマが、「紺碧の空」のメロディに溶け込んで、前半戦のクライマックスとなりました。

色々感想を書きたい小ネタも詰め込まれていて、珍しく挫折せず視聴出来てます(笑)。
来週からはミュージカルチックになりそで更に楽しみ。
あ、喫茶店の恵さんが音ちゃんにあげた「徳川家康公御遺訓」の「人の一生は重荷を負いて~」が、ウチの玄関にそっくりそのまま置いてあるよ(日光東照宮で買いました笑)★
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「この干物おっきくない?」★

2020-05-17 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
★ご近所のさくらんぼは一夜にして全てなくなっておりました。
今年はウィルスの心配があるから、誰も食べることなく撤収されたのか。知らんけど。


朝ドラ「エール」第7週は、裕一さん音さんの「夢の新婚生活」@東京編スタートです。
「お風呂にする?ご飯にする?」から「ホステスにつけられたワイシャツの口紅がバレて大喧嘩」まで、昭和新婚ギャグのパロディを、お若い俳優さんが面白がって演じてるのが楽しい。
コロナで気が荒んでいる時は、古典ギャグですらも癒しです(個人的意見)。
お揃いのお布団とか朝ごはんのおかずとか、ああ楽しいね。新婚は楽しいね。たとえ味噌汁に具が無くっても(笑)。

最初っからレコード会社は大手だし年棒は高いし、借りた家は家賃高そうだし、大丈夫かいな~と思ってたら案の定。
作る曲作る曲、すべて不合格で追い込まれていく裕一さんでした。
そらそうですね。
今まで自由に曲を作ってたのに、初めての商業音楽、それもレコード化出来るハイレベルを求められるのですから。
音楽学校にも行ってなかった裕一さん。
研修もなくいきなり「ちょいちょい愛してる~」とかヘンテコな詩を渡されて「曲つけて」って言われても。
でも同期の友人木枯さんは、得意のギターで「ちょいちょい愛してる~」と即興で歌っちゃうんです。
古賀政男モデルの木枯さんを、RADの野田洋次郎さんが演じてますがなかなかハマってます。特に演技が上手いというわけではないのに、なんともいえない存在感。
裕一を連れて行ったカフェー(キャバクラか)で素敵な歌声を披露しますが、帰り道裕一は「あんなに単純なメロディなのに、なんで人の心を打つんだろう」と、頭の中は「?」でいっぱいになります。
キャバクラ行っても曲のこと考えてんだから、まあ奥さんの音ちゃん、許してやってくださいよ!(ってかダンナも夕飯いらないなら電話ぐらいしなさいよ!)

裕一さんの作る曲って、あの「いびき」からしてもストラビンスキーっぽいよな。。。
でもクラシックでいきなり身を立てられるワケでなし。流行歌を求められるのよね。
入社して初めてわかったプロの厳しさ、なのに分不相応な契約をしてしまった。
来季はお給料下げられてしまう。
それを言い出しにくいもんだから朝食のアジの干物を指して「お、おっきくない?ちょ、ちょっと。。。ぜいたくかも。。。」と遠回しな言い方をする。子供か!
なんか変?とクンクン嗅ぎ付けた音ちゃんは、お給料下がる(ごめん)と白状したダンナを責めないのです。
責めるのはダンナの会社なのです!
なんて百万力の女房なのでしょうか(笑)。
この二人のやりとりが絶妙で、若いが故の衝突も楽しい。
音楽ごと以外は子供っぽい裕一、竹を割ったような性格の音ちゃん、うまい組み合わせで夫婦って出来てるもんやね~。

楽しい楽しい新婚生活も、最初の大きな壁にブチ当たり、困ったところで「あの不思議なプリンス」久志と奇跡の再会。
喫茶店バンブーがあって良かったな。なんだかんだ言って周りが助けてくれる裕一さんは、やはり音楽の神様に導かれているのかも。
あとは自分で壁を乗り越えるだけです。早くレコード出てくれ~!★
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天才はいつも孤独★

2020-05-10 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
(写真は最近流行りの「ネモフィラ」です)

朝ドラ「エール」6週目。
今週は、結婚と留学、そして莫大な賞金を得て意気揚々としていた裕一さんが、急転直下で地獄を這いずり回る展開に。
婚約者の音ちゃんが、裕一の窮状を知るや即行動。大胆にまた賢く、彼のために奔走します。
先週は「出会った二人がキャピキャピデート」と、夢みたいな輝ける週でしたが、あの時のプロポーズはいわば「子供の結婚式」みたいなもんで、本当の意味での「二人の道」はこっからスタートなんだなあ、と思わざるを得ないのでした。
「病める時も健やかなる時も」のまさに「病める時」ど真ん中にいる裕一。救い出そうとする音ちゃん。
懺悔と救済、そのやりとりの舞台が、二人が幼い頃初遭遇してた川俣の教会というのが、またとても効果的で示唆に富んでました。
(ここ、裕一さんの弾くオルガンのメロディ欲しいな~と思うのは私だけ?)

実家の弟にはなじられ、母は結婚を許さず、頼りの父は解決スキル無し。
そして信頼する藤堂先生には「何かを選んだら何かをあきらめねばならない」と諭される裕一さん。
藤堂先生的には、「イギリス留学には大賛成だけど、結婚と両輪は難しいよ」と言いたかったのかな。
先生はとてもいい人だけど、「天才になり得なかった凡人」なので、才能あふれる裕一を心底理解することは出来ない。
だからこういう現実的なご意見を述べるのかな。
蝉の声がクレッシェンドになるにつれ、無言の裕一の表情がどんどん険しくなるのが印象的でした。

自分から求婚したのに一方的に音ちゃんに別れを告げ、その後すぐに留学の話も無くなってしまう。
残された道は、無難に養子になり無難に銀行の仕事をし、無難に見合い結婚をする。
または全てを捨てて、音楽で身をたてる決心をする。
究極の追い詰められ方ですが、才能ある人の頭の中って混沌としている。
成功が約束されていれば、誰でも「好きな道」を選びますが、その補償なんて無いですもんね。
自分を全面的に信じてくれる音ちゃんに「賭けてみたい」裕一の気持ち、解り過ぎるぐらい解ります。。。
成功する才能ある人は、勿論ご本人の努力も不可欠だけど、最高のパートナーに巡り会っている事が多い。
自分を否定する人のそばで生きていると、自分がだんだん死んでいくのがわかる。

弟の浩二が「兄ちゃんは甘えてる。何一つ苦労してない!」と訴えますが、違うのです。
裕一は「自分が死なない道」を、本能として選んでいるのだから。
国際コンクールに出したのも、「生き延びる本能」。
音さんから別れを切り出す手紙をもらった瞬間、「駄目だ!」と豊橋まで走っていくのも「生き延びる本能」。
コンクール挑戦もとっぴな求愛も、浩二のような「普通に正しい人」ならば100%やらないところですが、才ある人はやってしまうのです。
そしてそれを理解してくれる人は少なく、「あいつは勝手」「馬鹿」で片付けられてしまい、傷つく。
なので「才ある人」は、結果を出して、理解してくれない人たちをねじ伏せていくしかないのです。
その道は孤独です。

本能にまかせて行動してる時の裕一は、イキイキしてる。
そして音さんも、彼のために行動する時、ハツラツとしている。
音さんが「旦那のために自分を犠牲にする」女の人でなく、「二人で立つ!」感じが私には好ましいです。
福島での父子の美しい別れの場面から、東京で二人がどうタッグを組んで闘っていくのか、楽しみなターンとなりました★
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すったもんだから美しき浜辺へ★

2020-05-03 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
朝ドラ「エール」第5週目。二か月目に入りました。
6月末か7月初旬分までは収録のストックあるけど、あとはまだ撮影してないよ~~~~
コロナ自粛で撮影中断してるんですよね。こんなことって前代未聞かも。
なんとか早く「封じ込め」に成功して、日常に戻れますように。撮影戻れますように。
つか経済がもう限界だす。

さて、裕一さんは音さんから「あなたとは立ち位置が違いすぎ、迷惑をかけてしまう。身を引きます」と手紙をもらい、矢も楯もたまらず彼女の住む豊橋へ押しかけます。
当時は新幹線も無いし、半日はかかるのかな~福島から豊橋。でも思い立ったら止まらない。それが若者。
どーでもいいんですが、裕一パパの三郎(唐沢寿明)が裕一の下宿捜索に入ったとき、支店長がしゃべってる横の本棚?に、竹久夢二の表紙の雑誌が飾ってありました。
↑たぶん、この絵だと思います。三味線を弾く美女なので、音楽雑誌でしょうか。それともセノオ楽譜なのでしょうか。
なんにせよ、音楽を封印して働いていた裕一は、コンクールに入賞することによりまた情熱が戻ってきたのでしょうか。嬉しくなってしまいました。ドラマスタッフの細かい設定が光る演出(まあNHKは別格ですけど)。

いきなり文通相手の家に押しかけて、「しばらく居候させてください!」って。恐れを知らぬ裕一。恋のパワーってすごいねー。
音ちゃんのお母さんが優しい人で良かった。。。いやいや根は気が強い人じゃった。。。
三郎パパと音ちゃんママ光子さんのバトルがすごい(薬師丸ひろ子、こういう役もやるようになったんだな~)。
最初はみんな、お上品に「おほほ」とか他人行儀にしゃべってるのに、裕一が「お、お、およめにくださいっ」と大ボケをかましたせいで均衡が破れ、収拾がつかなくなってしまいました。今週のタイトルになっている「愛の狂想曲」にふさわしい、すったもんだっぷりでした。
重い役からアホなコメディまで、唐沢寿明うまいよね~。花森安治も笑ったけどさ。
しかし、窪田×唐沢ってよくキャスティングしてくれたものね。「ラストコップ」をNHKでやればよかったのかも。。。

裕一にプロポーズされて、気の強い音ちゃんがすーごく乙女っぽくなるのが、初々しくっていい。意外と繊細で考え込んでしまうタイプかも。あの優しいお父さんが大好きだったから、音ちゃんも基本は優しい子なんだなー。
作家志望の梅ちゃん、ちゃんと長女の務めを果たそうとする吟ちゃん、美輪明宏にめっちゃ似ている「ミュージック・ティ」、古舘さんから故・志村けん氏まで、なんとも盛沢山にいろんな人がいろんな人生を生きている(ちょっと走り過ぎでもあるけど)。
でもなんといっても、幸せそうな若い二人がキラキラしててHAPPY
豊橋のお祭り、手筒花火、金魚すくい、おばけ屋敷…。まぶしいな青春(笑)。
思い出の海辺がですね。美しいですね。波がしらは白く、海は光を反射して。
音ちゃんが「お父さん、元気かな」とつぶやく。
すかさず裕一が海のむこうに向かって「おと~さ~ん、元気ですか~」と叫ぶ。
そして背中と左の手のひらだけで、「お父さんの声をキャッチ」を体現。
「元気だって」。
いやここですよ、ここ。ここがキモよ(なにがキモなのか)。
女性が自分の悲しみを吐露する時に、男性がどういう態度を取るか。
そこでじーんと惚れたり、「あれ?(そういう人なんだ?)」だったりするんですよ。
裕一さんは、音ちゃんの悲しみをきちんと受け止めて、悲嘆することもなく、誤魔化すこともなく、おおらかに包んでくれました。
「君が好きです!」と言われるより、ずっとずっと響きますね。窪田君はこういうところの演技が、ナチュラルで上手いです。

演奏会での裕一のりりしさと、海で歌う音ちゃんの澄んだ歌声も良かった。なんか心洗われてしまう。
二人の気持ちがどんどん近くなっていく、楽しく清らかなハッピーウィークでした。
(その代わり、予告編でかなり来週はつらいことになりそうなので、今から心の準備だ)★
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文通マジック★

2020-04-26 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
朝ドラ「エール」第4週は、国際コンクールで二位に入った喜びの裕一の元に、届いた音ちゃんのファンレターから恋がグングン高まっていく…という誠にハッピーな章でした。
この裕一が作った「竹取物語」交響曲、聞きたかった!
なぜ譜面が残ってないのかな。でもレコード化されてなければ仕方ないか。
考えてみれば、音楽って「演奏してくれる人」がいないと、形として残らないのですよね。
でもこの時の裕一さんは「自分の作品を形として残したい」よりも、若さ故のチャレンジ精神を楽しんでいるかに見えました。
白紙の五線譜を前に「なんも(アイデアが)降りてこねえ~~~~~!」と叫ぶ姿は、とても共感するものがあります。。。あれは私です。今の私です。
降りてこない時は駄目なんだってば。便秘だってば。

音ちゃんは音ちゃんで、家族には恋路を冷やかされているのか応援されているのか、ビミョーな感じ。
裕一にあてた手紙は、推しへのファンレターではなく、「同志」を見つけた好奇心から来るものと思いました。
二歳しか違わない、自分と似たような「いち地方人」の裕一が世界二位になった。
自分が目指している世界の高い高い頂きに、足をかけようとしている若者がいることで興奮し、今だったら思わず「ツィッターにDM送っちゃった」でしょうか。
実際に曲も聞いたことないし顔もわからない、裕一がどんな人かもわからないのに、妄想でガンガン突き進むのが凄い。
でも、二人の熱烈な文通は史実ということで、お互いよっぽどビビビときたんでしょうね(古いっ)。

手紙の中の音さんは「しおらしく上品な娘さん」に見え、裕一さんは「しっかり大人で落ち着いている男性」に見えます。
なんという手紙マジック。
「文通あるある」で、そこそこ文章が書けてそこそこ字が綺麗だと、本人の三割増し「いい人」フィルターかかります。
実際の音ちゃんは、ちくわ丸かぶりするし(「4号警備」にもそんな人がいたな)見合い相手に喧嘩売るし、かなり激しいじゃないですか。
裕一さんは裕一さんで、女の子から手紙がぷっつり来ないと大泣きしちゃうし(赤ん坊返りか)、二人ともかなりの変人。
でも、芸術を極める人は変人が多いからね。。。

窪田くんがインタビューで古関裕而さんのことを「音楽の才能はすごいけど、他はいっぷう変わってる子供みたいな人」と評してたので、どんどんそんな面白さが全開になるといいな★
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ミニ・シアターを応援して!★

2020-04-20 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ


先日、スカパーで「僕のワンダフル・ライフ」(原題「A Dog's Purpose」)という映画を観ました。
ジョニー・デップと若き日のディカプリオが共演したあの名作「ギルバート・グレイプ」の監督、ラッセ・ハルストレムによる作品です。
簡単に言うと飼い犬と飼い主の物語ですが、もうこれが。
笑って泣いて。さいご、バケツ10杯分は泣けます
これ書いててもまたハナミズが出てくる(笑)。かといって重くなく、軽く笑えるタッチ。
愛ってこういうことだよね。でも、よくある「忠犬」お涙頂戴モノとは全く違います。

原作はアメリカ小説らしいのですが、ロケはどこなんでしょう。
大自然を駆け抜けるわんこさんの勇姿が清々しい。80年代ポップスも流れ、おしゃれなアメリカの住宅地とかクラシック・カーとか。
ビジュアル面も楽しいのですが、とにかく犬の演技がねー!
よくこんなの撮れたな、というぐらい素晴らしいワン演技。
そしてデニス・クエイドが出てくるのも驚き。ヤング・スターでしたが、もうおじいさんなのね。
ラッセ・ハルストレム監督らしい、「酸いも甘いもこれが人生」観が貫かれて、輪廻転生を信じる私にはグッときました。
家におこもりしてる今、ぜひ観て頂きたい映画です(犬嫌いな方でも大丈夫)。

さて、そんなハートフルな映画が、町のハートフルな映画館で見られなくなるかも。。。
という事態になってきました。新型コロナウィルスの影響で、あらゆるエンタメ・スポーツ界が打撃を受けています。
もちろん、医療現場を支援するのが一番なんですが、ドイツの大臣が演説してたように「芸術は生きる糧」。
コロナ騒ぎがおさまって、街のあの店もあの施設もシャッターが。。。なんてのは嫌です。
映画館というところは普段から貧乏商売だと思います。
ギャラリーや小さな美術館・博物館と同じく、オーナー個人が、薄給で働き倒してなんとか存続しているところが多く、自粛休業が長引けば大赤字です。施設の運営というのは、それこそ「息をしているだけでお金がかかる」。
街の大型シネコンと違い、小さな映画館では質の高い素晴らしい映画を上映していることが多いです(大型シネコンでの上映作品の質が低い、と言っているのではありません)。
この「僕のワンダフル・ライフ」みたいな素敵な映画が、街で見れなくなってしまうかも。
超有名になった「この世界の片隅で」にしても、「ミニ・シアターからクチコミで大ヒットしていく」という形で大成功しました。
映画でも音楽でも、私のやってる美術でも、多くの人が享受できたら、それだけ人は幸せになれる。
その「幸せのよりどころ」「発信場所」が、無くなるのは嫌です。ネットが全盛だけど、
やはり町に出かけて、大きなスクリーンでフカフカの椅子で、他の映画好きのお客さんと一緒に笑ったり泣いたりしたい。

このあいだタケノコをくれた私の姉とそのダンナがよく行く浜松の映画館「シネマ・イーラ」も、経営が大ピンチということで。
SOSが来ました
クラウドファンディングでの呼びかけがあります。
オーナーの叫びに応えたいです。どうぞご覧になってください。私も寄付しようと思います。
そして姉からシネマイーラのことを聞く前に、「全国のミニシアターを救う署名活動」がいち早く発足していたので、私は先にこちらに署名していました→「SAVE THE CINEMA ミニシアターを救え!」。
これまた全国の映画ファンから熱い支援があるようです。
もっともっと大きなうねりになって欲しい。映画監督や俳優さんも参加しておられます。

今やクラウド大流行!ですが、国難なのに国に頼ってばかりいられないという現実がある以上、「今を生きる」お金をまず調達せんと。
個人のお店もギャラリーも映画館も、大資本ではないですから、倒産したらそれっきりなのです。
「閉店します。今までありがとうございました」の貼り紙を見てからでは遅いのです。
ウチも親が商売をやっていたので、すごーくわかります。
いろいろ言いたいことは山ほどあるのですが、今日はとりあえず「映画館を助けよう」を書きました★


写真は、シネマイーラで上映中の「スウィング・キッズ」より。画像お借りしました。
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