上砂理佳のうぐいす日記

銀座中央ギャラリー「10×10版画展」は無事終了。お越しいただいた皆様、ありがとうございました★

君の夢を僕に預けてくれないか★

2020-06-07 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ


朝ドラ「エール」も第10週に突入。
10週目最後の金曜日の15分。泣いた!泣きましたね~
BSプレミアムの早朝版で号泣し、地上波通常版でまた号泣。昼の再放送でまたまた号泣し、深夜のBS再放送でまたまたまた号泣(笑)。
そして土曜日の「まとめ」でまた号泣って。どんだけ!
いえいえ、泣くのはストレス解消で良いのです。コロナ騒ぎでストレスもMAXなんす。

せっかく「木枯くん」の紹介で売れっ子作詞家さんと話をつないでもらったのに、新曲「船頭可愛いや」は不発。
売れる・売れないは、作者の努力の量と関係ないっすから。。。時の運ですから。
もうこれが不発なら、コロンブスレコードから首切られるばかりか、今までの契約金返せ!とな。
二年目だから2000万ぐらいかな。。。おでんの屋台引いたら返済に一生かかるかも。。。
しかし、音ちゃんのアイデアで環先生に視聴してもらったら、なななんと高評価を得て先生御自ら「歌いたいわ」と言ってもらえた!
夢のようなお話。バンブー喫茶店に「あの」世界的歌手の双浦環がやってくる。
震え上がるバンブー夫妻がおかしかった。巨大なケーキでおもてなしとか。

柴崎コウさん素晴らしい。歌の上手さもさることながら、美貌と貫禄がグレタ・ガルボ。
策略は成功してついに古山裕一作曲レコード初の大ヒットとなり、先行で藤丸さんが歌った版の赤レコードも売れるという。
鉄男のおでん屋でレコード売ってましたが、あれってコロンブスから卸値で仕入れてるんだろか。そもそもおでん屋でレコードって売っていいんだろか(笑)。
小山田先生は最初、青レーベル(クラシック)から「船頭可愛いや」を出すのを反対してたけど、なぜなんだろう。環先生が言ってたように「若いライバルが台頭するのが怖い」からかなー。でも、裕一をレコード契約に推したのは小山田さんだしねー。まだまだ謎の深い小山田先生=志村けんですが、もしかしてここまでが生前収録の最後だったのかな。だとしたら悲しい。

水曜で「大ヒット・めでたしめでたし」と来たのに、木曜で思わぬ暗雲が。一日(15分)で状況が180℃変わる、朝ドラ展開のスピードよ。
めでたくご懐妊で、はしゃぐ裕一と対照的に不安な表情の音さん。様子を見にきたお姉さんの吟さんにもきつくあたってしまいます。吟ちゃんはあの誠実そうな軍人さんと結婚したのに、まだ赤ちゃんが出来ないので妹が羨ましそう。末妹の梅ちゃんはいよいよ東京へ作家修業に来るようです。
椿姫の舞台稽古はどんどん佳境に入り、妊娠を告げた音さんに周囲は微妙な反応。そらそうね。でも、監督が「おめでとう」と言ってくれないのは驚き。プリンス久志だけがお祝いの言葉を贈ってくれましたが、音さんはつわりのきついタイプだったようで、遂には2週間も寝込み舞台稽古を休んでしまいます。
この「妊娠発覚の木曜日」は、どんどん状況が悪化して、かいがいしく世話を焼く裕一にきつくあたる音さんがツラい。
いや、この昭和初期に、つわりの妻にうどん作ってくれる旦那さん、まず居ないと思うよ(笑)。せいぜいが「飯出来てねーのか。仕方ねえなあ」ではないだろか。
男は体がな~んも変わんないのに、なんで女だけ苦しまねばならないの。。。「家で仕事してるからいいわね。私の代わりに産んでよ!」とまで毒づいてしまう。
いつも辛い事があっても、明るく乗り越える人なのに、つわりはそこまで人格変えるか~。うーん音ちゃん。それを言ったらおしまいよ
それは男性の「誰に飯食わせてもらってると思ってんだ!」に匹敵する禁句だがや(決して言ってはいけない)。

いやいやどんなに木曜日が辛くても、24時間後の金曜朝にはすべて解決して「サーッ」と青空が広がるはず。
あのオープニングの映像みたいにさ。このドラマのテンポからいって間違いない(笑)。
金曜は、音さんが練習に来ない音楽学校の稽古場から始まり、鉄男のおでん屋へ。
すっかりたまり場と化して、あの「下駄屋の娘」藤丸さんまで居ます。彼女は一体何歳なんでしょうね。独身?
でも、史実では、モデルとなった女性は28歳で既婚とありました。主婦となってから歌手デビューという当時としては変わった経歴だったそうで、だったら藤丸さんも結婚歴があるのかもしれません。でないと、
「裕一さん(男どもよ)、奥さんは赤ちゃんの母親である前に、一人の人間なんですよ。今までやってきた人生、これからの人生、いろんなことを考えている。奥さんの心の中を想像して、寄り添ってあげなさいよ」
というお説教は出てこないでしょう(酔った勢い)。
音さんが練習に出てこないことを久志に謝り、妻の体を心配すると怒られてからまわり。悩む裕一に藤丸さんのアドバイスは効きました(久志と鉄男もうなずきマンに。きっと男には想像もつかないことだったのでしょう)。

帰宅してももぬけの殻の古山家。音ちゃんはどこへ行ったのか。
近くにある音楽学校の練習室へ走る裕一(ここに来ると予想するところがさすが夫婦)。
月夜を浴びて一人練習する音ちゃんは、声がかすれてボロボロです。おなかに力が入らない。つわりの合間をぬって来たのでしょうか。
ガラス超しにそれを見ていた裕一。決意して中に入ります。
ここからですね。一体どうするんだろう。。。とかたずをのんでいたら、
「作曲家の自分から声楽家の君へ伝えたいことを言う」と厳かに告げます。
びっくりしました。え?その視点!?
「体にさわるだろ」とか「おなかの子のこと考えて」とか、「夫→妻」モードで言わない。
あくまで「プロからプロへの苦言」で、「そんな声では舞台に立つ資格なし。今回はあきらめるべし」と、バッサリ。
妊婦だからって忖度しない。甘やかさないことが、かえって音ちゃんを「プロ」として認めている。

裕一の言うことは正論だけど、あまりにキツイので感情は逆立ってしまう。
おもいっきし平手打ちするのですが、裕一にはそれも想定内。右か。左も殴れよ。ほれアッパーカットでも受け止めるぜ。余裕の仁王立ち。
ここ、冬のごっついコートとハットのシルエット、暗闇に月光だけが顔を照らす相乗効果で、普段は華奢な裕一に「男の威圧感」を持たせているのよね。上手いわ~。
ここがセーター姿で蛍光灯の下、だったら、ぜーんぜん威厳も無くてセリフも響いてこないっしょ。脚本と演出の素晴らしさ

殴った音ちゃんの手を包み込む裕一。
音ちゃんは感情が堰を切って、「子供が出来たのはとても嬉しい。けれどなぜ今なのか?そう思ってしまう自分が嫌」と泣きながら訴えます。
そうなんす。音ちゃんはもう、どうしていいのか大混乱していたのです。初めての大舞台で、プロになれるかもしれない。
なのにつわりは収まらず、周りにも迷惑をかけてどんどん追い込まれます。
環先生に言われた「子供が死にそうになっても、舞台を務めあげられるの?」の言葉に、恐怖が募ります。そんな覚悟はない。子供は死なせたくない。でも舞台も捨てられない!
月光で表情がよくわからないけれど(それも効果的)、音ちゃんの必死の訴えをひとつひとつ噛みしめて聞く裕一。
ハットを取って「音、ちゃんと聞いて」と促します。そして、
「音の夢、僕に預けてくれないか」と告げるのです。
「その夢を、僕が大事に育てるから」と。
すごいですねえ。素人には書けない台詞です!
「夢を」「預ける」という発想がすごい(そういや裕一は銀行マンでした)。

そしてさらに「僕の曲で音が歌う。でっかいステージで。それが僕の夢。音の夢は僕の夢」と続け、
「君はなにひとつ、あきらめる必要なんてない。そのために、僕がここにいるんだから」と。
音楽の道を行く者どうし、結婚した原点に返るのです。
思えば最初の文通のとき、裕一は「この手紙の女の子、僕の指揮するステージで歌ってくれたらいいなあ」と、既に思い描く未来があったんでしょうね。
豊橋のミニイベントでそれは早くも実現したけど、あのとき音ちゃんは声がでなくなった。
でも、裕一は優しく励ました。お互いアマチュアでした。苦労して勝ち取った舞台ではなかった。
あれから時が過ぎて、レコード会社で辛酸をなめた裕一はプロ意識が強くなったからでしょう、あの時と同じように声が出ない音ちゃんに今度は厳しく指摘しました。
音ちゃんも「舞台に出る者は言い訳が出来ない」ことを痛いほど悟りました。
二人とも、豊橋の時より成長したのだなと思わされました。

「その夢を僕に預けてくれ。大事に育てるから」
と約束した。
妻をステージに上げるということは、裕一さん自身も音楽で成功しないといけないわけで、やっぱり子供が出来て自覚の度合いが違ってきたのかな。
音ちゃんは退学して舞台も降板、環先生に謝ったけど、「私は音楽をあきらめていません」と、サッパリした顔で言い返す。
「子供もあきらめず」「音楽もあきらめない」。
一人ではそれは出来ない。パートナーと二人で作るのだ、と。新しい生き方を宣言します。
それを聞いた環先生の微妙な瞳。彼女は「夢のために子供をあきらめた」のかも。複雑で、印象的なお顔でした。

それにつけても、NHKはやたら「女性の新しい生き方」提示しますねえ(笑)。
朝ドラは特に、お得意さん視聴層が主婦の方々だろうから、女性に共感してもらえるようなメッセージを込めないと…となるんでしょうけど、この「戦前の日本」で「仕事か子供か」を壮絶に悩むシチュエーションってのは、やや違和感ありました。
結婚したら子供が出来るのは当然の時代、なんせ「産めよ増やせよ」だから、「避妊」そのものが無い。
音ちゃんも裕一も、結婚するとき「(子供ができても)なんとかなるか」だったと思いますよ。
私はこの「金曜日のてんまつ」を、昭和5年生まれの母に見せて、「こういうダンナさん、いいでしょ!優しいでしょ」と問うてみたら、「おらんおらん!いるわけない!」と、一蹴(いっしゅう)されました笑。
「妻の夢をかなえよう」なんて、あり得ないそう。ははは。そうね。父もそんな男だったよ
SNSで「そもそもなんで二人は避妊しないの」という批判を散見するにつけ、「時代背景、理解出来ない人多すぎ」と嘆息するのでした。
お年寄りと、そういう話しないんだろね。聞いたら面白いのに。
ドラマの時代性に令和の価値観を持ち込むの、どこまでやるか、難しいですね。うーん。

とはいえ、他の職業はちょっとわからないけれど、芸術をやっている全女性は、パートナー大事だと思います。
裕一さんみたいなことを言ってくれるダンナさんを、ぜひぜひゲットして頂きたい。
私の個人的感触では、10万人に1人ぐらいは、「こういうダンナさん」おられると思います(根拠なし笑)。
そして、「ゲットする」じゃないな。
「ゲットされる」だよね。音さんも「選ばれし女性」だもんね。
私はもう、今世はあきらめましたので(笑)、来世は精進して必ず★

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