福井利佐blog

切り絵アーティストの日々

「名古屋通い」

2009年06月26日 | 過去のBLOG記事

ここ約1ヶ月くらいで名古屋を4往復しました。



主人の母上が緊急入院という一報を受け、取るものとりあえず名古屋へGOしました。
幸い、命に別状はなかったのですが予想外に入院が長引いてしまい、主人は行ったきりになり、
私は東京でお仕事があるので時間を見て通う事になりました。



というのも、主人の実家は101歳のおばあさまがいて、それを78歳のお義母様が介護しているという、世間で言う「老々介護」の状態なのです。
介護する側が倒れてしまうと、介護される側が取り残されてしまい、留守もできないし、そちらの方の面倒をみる人が必要になります。
主人の家は、主人が一人っ子なら母上も一人っ子、近くに親戚はおらず、私が知っている限りでは数年前に亡くなったおばあさまの弟(95歳くらい)が最後の親戚だったと聞きました。いたとしても、お義母様のいとこの子どもとか、かな~り遠い感じになります。



というわけで、身内は主人と私だけ。
長年通って下さっているヘルパーさん達と共に、おばあさまの介護体制を組み、さらにお義母様のお見舞いに行きつつの名古屋通いが続きました。
お義母様も一人でよくやっていると思うのですが、家の裏で駐車場経営、1階で貸しギャラリー、さらに本人も趣味で絵画を描いていて、それのすべてを主人が緊急に対処する事になり、てんてこ舞いな状態になりました。
私は一度東京に戻り、主人の仕事道具などを送り、時間の限りお手伝いに通いました。



その都度、愛犬グラムを連れて行きます。
あちらの住人の猫2匹から隔離するため、基本的に一部屋に閉じ込めなければならず、なかなかグラムさんにも迷惑かけました。



毎朝の朝ご飯の順番。


おばあちゃん

101歳のおばあさま。8月で102歳を迎えます。
寝たきりで、ごはんは気まぐれに食べますが、食べるときは結構食べます。
朝起きたら、とりあえず食べるか聞いて、食べそうなら離乳食みたいなものを用意します。
食べている時も上の空ですが、スプーンを口に持って行くと、ひな鳥のようにパカっと口を開くのがおもしろいです。
起きているときは常にしゃべっていて攻撃的です。声も大きく、血行がいいらしく肌艶も良く、床ずれなどもないようです。超人的!



台所に立つと、2匹の猫が猛烈にアピール。


ケンケン

まずは年長者(18歳)のケンケン。
主人が学生の頃、東京で飼っていました。
ケンケンは別名「こま」とも呼ばれている事が発覚。
ヘルパーさんたちははっきりと「こま」と呼んでいました(笑)。
おばあさまが小動物はすべて「こま」と呼ぶかららしいです。



のそのそとゆっくり食べます。
もとは外猫でボスとかはっていたみたいで、堂々とした貫禄です。


レオ

お次ぎは新参者のレオ(1歳)。
食べたくてたまらないのですが、ケンケンの威圧に押されて後ろでじっと食べ終わるまで待機しています。
はなっから家猫で、こちらはグラムと遊びたい傾向がみえました。
はじめはお腹だけが虎模様という不思議な柄でしたが、だんだん普通の虎っぽい模様になってきました。
ケンケンと似ています。
お義母様が、駐車場の塀から救出してきた子です。



ご飯は、あるとある分食べるらしく、ケンケンの食べ残しなども食べ、お太りになられています。


グラムバッグ

そしてお次ぎは、我慢の子のグラム。
入れて来たバッグに入って寝ています。
何だか学習能力が高いみたくて、いろいろ諦めという名の我慢をわきまえてくれます。
エラくて申し訳ない。
時々、散歩のサービスをして発散。



そして、最後に私たちが朝食という感じでしょうか。
朝はヘルパーさんが1時間だけくるので、主人と分担して駐車場などの掃除や管理をして、その後にようやくご飯を食べます。



ドタバタしますが、何となく楽しくもあるのですよ。
猫とか犬とかおばあちゃんとかそれぞれが自由に生きていて。
毎日は大変だけど・・・。



私は、この後はしばらく行けなくなるので名古屋生活は終わり。



なんか短い期間にいろいろありました。



お家のある場所が、東京でいう新宿歌舞伎町みたいなところで、夜な夜なの騒音がひどくて、ある時には夜中に3回も隣のビルの火災報知器が鳴り続けたり。
(誤報だったのですが。)
向かいのビルからレゲエが大音量で聞こえるので、見てみるとベランダにジャマイカの国旗をかかげ、ジャマイカ人があのレゲエ独特のエコーマイクで生MC を大音量で永延としゃべり続け、太鼓を叩きだし興奮状態に・・・。
2日連続で、夕方7時頃から朝の7時ころまで。前の日も寝れてなかったので、さすがに 110番通報しました。
初の110番通報です。しかし、やめる気配がなくもっとひどくなりました。警察曰く、中から鍵を閉められ、言葉も通じず何も出来ない状態だとか・・・。
へー。
明け方には笛も吹き始めていました。レゲエ音楽は嫌いじゃないけど、あの大音量と夜中じゅうはいくらなんでもひどかった。



明け方にはホストさん達の「締め」の掛け合いが聞こえ、これはおもしろかったです。結構体育会系ですよね。
ちなみに、近所におかまバーがあり、こちらの店名は「つけもの」です(笑)。



他にも猫たちがお義母様がいないことへのストレスか、私たちへのあてつけか、ゲ◯吐いたり、カーペットに糞尿しまくったり。
主人が叱るので、違うとこに粗相をしたときは、主人を見たとたん「シャー!」と後ろめたさから、動揺まるだしになってわかりやすい感じになっていました (笑)。
ケンケンは基本的に人が嫌いですが、レオは甘えん坊なので、時々だっこして撫でてあげます。



そんな中、主人にとってグラムは癒しだったみたいで、グラムばかりかわいがるので、遊びたい盛りのレオは嫉妬。
ケンケンは夜中に食べ物をあさり、お皿を落としたり、菓子袋を割いたり。



主人も限界を迎えた頃に、ようやくお義母様退院の兆候ありです。
私の父や母にも協力してもらって、何とか乗り切りました(多分)。



ヘルパーさん達はみんないい方で、大変そうですが、毎日こちらの事情をくんだシフトを組んでくださり、とても助かりました。



主人の家族形態からいって避けて通れない問題だったので、いろんな意味でとてもいい勉強になりました。



東京に帰ると、安心して寝まくるグラム。


グラム寝る

寝る。


グラム寝る

寝る。お尻の位置高くて寝づらくない?


グラム寝る

寝る。鼻つっこんでるけど息しづらくない?



 


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久ちゃん個展

2009年06月17日 | 過去のBLOG記事

私のブログでも度々登場している、成田 久(なりた ひさし)さんこと、久(きゅう)ちゃんの個展が開催されるのでお知らせさせていただきます。
資生堂のアートディレクターでもある久ちゃんですが、仕事の合間をぬって頻繁に個展を行っています。
今回の作品は、久ちゃんワールドが新たな発展を遂げています。
私も観に行くのが楽しみです。



成田久 個展「衣殖」 
6/29~7/4  ギャラリー 巷房 



東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル
12:00~19:00 最終日 17:00まで
tel 03-3567-8727



Dm

成田久 (なりたひさし)
1970年生まれ。多摩美術大学卒業・東京藝術大学大学院修了。
アーティストとして定期的に作品を発表しながら、
資生堂に入社し、アートディレクターとしても様々なブランドの広告を担当。
2009年はHAKU、マシェリ、ベネフィークなど。


Narita9_2

 


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「ぶらり谷中」

2009年06月10日 | 過去のBLOG記事

天気のいいある日、ぷらっと谷中界隈に行ってきました。



地下鉄「根津駅」から言問通りを通って、JR「日暮里駅」へのコースです。



本当に、お寺と日本画材屋さんが多かったです。ちょっとしたギャラリーも。
独特の下町風情がいいですね。



一つ目の目的地へ到着。


scai

SCAI THE BATHHOUSEです。
こちらは(株)白石コンテンポラリーアートさんのギャラリーです。
柏湯という銭湯だった建物をリノベーションしたギャラリーになっています。



横尾忠則さんや赤瀬川源平をはじめ、国内外の素晴らしい作家さんの作品を取り扱っていらっしゃいます。



この日は「中西 夏之」さんという、赤瀬川源平さんらと同世代(赤瀬川さんらと前衛芸術グループ「ハイレッド・センター」を作っていた。)の作家さんの平面作品の展示をしていました。



まず、やはりここは空間が素晴らしいですね。
天気がよかったのもあったのですが、銭湯ならではの天井の高い空間に日が差し込んでいる様子は本当に気持ちがよいです。
銀座や都心だと、ほとんどが地下などの狭い空間でのギャラリーだったりして閉鎖的な感じなのですが、ここは逆に開放的といいましょうか、もともとが地元 の方に親しまれた銭湯だったからでしょうかねえ。
また、この空間に、青を基調とした中西さんの大型の作品が映えて美しかったです。
気持ちのいい時間が過ごせました。


scai2

ギャラリー入り口の電灯。
丸くてかわいいですね。



ギャラリーを出て日暮里駅方面へ出発。



そして、もう一つの目的地へ到着。


薬膳1

ランチタイムです。
こちらは、「薬膳カレーじねんじょ」谷中本店です。



以前、この向かい側にある朝倉彫塑館に来た時に気になっていました。
今回、お店が開いていたら是非食べてみたいと思っていたのです。
開いていました!
わーい!


薬膳2

私が選んだのは薬膳・野菜カレー。
見た目もかわいい。
味もおいしくて大満足です。
トッピングが福神漬けとかではなく、確かヤマイモとか胡麻だったかな?そこからチョイスします。



ここのカレーは8種の野菜が入った基本ルーにインドスパイス11種、和漢生薬6種が入っています。化学調味料、添加物などは使用していません。
私が選んだ野菜カレーは、トマト、ほうれん草、いんげん、かぼちゃやクコなどの野菜の旨味に、スギナ、アシタバ、桑の葉、ビワなどが入って、血管を強く血液を清浄にしてくれるようで、美肌にも良好だとか。



ランチだったのでメニューにはいってなかったのですが、「薬膳・特製カレー」が気になりました。
朝鮮人参、ナツメ、マタタビ、百合根、サンザシなどが入っていて体質改善、糖尿、動脈硬化に良いのだそうです。
気になります。



他には「薬膳・鶏肉カレー」(疲労、風邪、冷え症などに)、「薬膳・海鮮カレー」(不安、心臓、偏頭痛、めまいなどに)、「薬膳・牛肉カレー」(頸肩腕痛、腰背痛、膝痛などに)がありました。



基本的にはフランス料理がベースになっているのかな、他の小料理がそんなメニューだった気がします。
お店はとっても庶民的で落ち着く感じでした。
あんまり理念を掲げている所って入りづらそうだったりするのですが、ここはそんな押し付けがましい事も無く、こじんまりと地道にやられてる感じがしました。


薬膳3

こちらはらっきょではなくて、大豆の酢漬け。
これがまた程よいコリコリ感で、カレーに合って美味しいのです。


薬膳4

こちらは薬膳茶。
何が入ってたんだっけかな?
ビワの葉とかだっけかな。
あっさりしていて美味しかったのです。



大満足のランチタイムでした。



そして、向かい側の朝倉彫塑館が開いていたら見ようかなと思っていたのですが、すでにアトリエだけの公開も終了し、全面工事に入っていました。
なんと平成25年まで!



数年前に、まだ自宅の方も公開していた頃見れたので本当によかったです。



朝倉彫塑館は、彫塑家朝倉文夫(1883~1964)
が住居兼アトリエとして自ら設計・監督をした建物で、西洋建築(鉄筋コンクリート造り)のアトリエ棟と、竹をモチーフとした日本建築(数奇屋造り)の住居棟で構成されている、アーティストにとっては夢のような憧れの空間になっています。
西洋蘭の生育が趣味だったとかで、屋上には温室も!中庭は自然の湧き水を利用した日本庭園。



文化財に指定されているので、住居の方が耐震強度の保護のため最近閉鎖になったと聞きました。
そして近々、朝倉氏が亡くなった後に建てられた倉庫などの建物を取り壊し、朝倉氏が設計した本来の姿に戻すため全面工事に入るとは聞いていましたが、今年の3月から閉鎖になっていたのですね。
残念。
でも、また公開される日が楽しみです。



谷中はあの有名な「ゆうやけだんだん」や商店街などがあるのですが、今回はそちらの方には行けず、新宿に用があったのでそのまま日暮里駅へ。



これから暑くなってしまうので優雅に「散歩」なんて言ってられないかもしれないですね。
暑くなる前のこの初夏にいろいろ見ておきたいものです。



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「鵺」

2009年06月01日 | 過去のBLOG記事

実際にはいないで動物ですが、人間が作り上げた色々な動物をミックスした動物を題材にするのが続きました。
しかも両方「能」つながりです。



まず前回記した「鳳凰」です。
聖獣とされている幻の霊鳥。吉祥のシンボルとされ天下泰平の世に現れるとされています。
能装束「長絹(ちょうけん)」の図柄として必須アイテムです。



もう一匹は「鵺(ぬえ)」です。
こちらは妖怪ですね。
今年の7月公演の新国立劇場「現代能楽集 鵺」のチラシ、ポスター制作のためです。



「鳳凰」がめでたい動物たちを組み合わせたのに対して、「鵺」は怖がられたりしている動物たちが組合わさっています。


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こちらが、できあがったヴィジュアルです。
今回はシルバーに刷り上がっており、おどろおどろしさよりも品がある「鵺」に仕上がっています。
顔の部分は、能の演目で使用される「鵺」の面です。



「鵺」とは、もともとトラツグミという鳥を指していたそうなのですが、夜に鳴く声が不気味なことから「鵺の声で鳴く得体の知れないもの」を指すようになったそうです。
そして、猿の頭、狸の胴体、虎の手足、蛇の尾などをもつ奇怪な動物が作り上げられたようです。
「平家物語」によると、弓の名手・源頼政によって退治されたとかで、その様子の絵も京都のお寺に残されています。



今回の劇は現代能楽集ということで、世阿弥の古典能でも、三島の近代能でもない、まったく新しい感覚で構築されたお話のようです。



チラシに書いてある言葉をお借りすると
「今日の『鵺』は、平安から現代、また日本からアジアへと舞台を移しながら、戦乱の世をさまよい続ける敗残の悪霊、あるいは正史に名を残さなかった『まつろわぬ魂』との遭遇を描く、”鎮魂の劇”です。」



演出には新国立劇場の芸術監督・鵜山仁さん自らがあたります。



作:坂手洋二  演出:鵜山仁


出演: 坂東三津五郎  田中裕子  村上 淳  たかお鷹


公演:2009年 7月2日(木)~20日(月・祝)


新国立劇場  小劇場  THE PIT



チケットはもう販売されています。
詳しくはこちらへ
http://www.nntt.jac.go.jp/play



宣伝ついでに、
最近関わった物を2点程。


すばる

新潮社さんから
著 加藤廣  「空白の桶狭間」が発売されました。
といっても1ヶ月くらい前ですが・・・。
告知が遅くてごめんなさい。



こちらの装丁画にわたくしの作品が起用されました。



織田信長、豊臣秀吉を交えた新しい視点からの歴史ミステリーになっております。



そして、こちらは


新潮

集英社さんの月刊誌「小説すばる」



この中にある「ニューカマー’09 いま期待される作家特集」で、
巻頭に紹介されている「木内 昇(のぼり)」さんの「紅蘭」という短編に挿絵を提供させていただいています。



時代物が続いています。



どちらもとてもおもしろいので、ご興味のある方は是非どうぞ。



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