福井利佐blog

切り絵アーティストの日々

家以外で切り絵

2006年07月25日 | 過去のBLOG記事

今週は、家以外で切り絵をしました。一件は取材のため、事務所で切り絵を披露しました。

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今回は、医療関係の方に配られる冊子の取材でした。
落ち着いた大人の方々で、とてもいい雰囲気で取材ができました。

カメラマンの方は、最近中国に行って切り絵の巻物を購入したそうです。
私はまだ中国には行った事はないのですが、いつかは剪紙(せんし)や刻紙の工房に行ってみたいなと思ってます。
中国では、切り絵の事を剪紙と言います。細かく分けるとハサミで切る方を剪紙、ナイフの方を刻紙と言うそうです。
私も数枚持っていますが、制作の仕方や着彩など、気になる事がいっぱいです。


もう一件は、STUDIO4℃でスペースをお借りして、切らしていただきました。
その日は夕方から映像の打ち合わせでしたが、午前中に別の仕事があり、
空き時間がもったいなかったので、わがままを言ってお借りしました。
広い机でかなりのびのびと、集中してできました。
わからないことがあったら、すぐに相談できるし合理的だなと感じました。
私も4℃に通おうかな。(笑)

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ごみ箱に切りカスの山。左手前の線の切りカスと思われます。


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午前中は炎天下の中、外だったのでちょっと疲れました。

そして夕方からスタッフが揃い、7月のうちに進める分の打ち合わせをしました。
7月分とか言っている場合ではなくて、本当はできていなければならないのですが、
私が書いて切って、CGの廣田さんが動かすという2人作業なので、
お互いが他の仕事を抱えながら思うように進まない状態です。
それでも何とか形になってきて、みんなでモニターをチェックしました。
絵コンテではなかなかイメージが見えない部分も、
動き出すと「ああした方がいい。」「こうした方がいい。」と見えてくるのでおもしろいです。
まだまだ切らなくてはならない部分も見えてきて、課題はいっぱいです。


焦って汚い切り絵は作りたくないので、時間を気にしながらも落ち着いて切ることができるように心がけてます。

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左から制作の山田さん、眼鏡の私、CGの廣田さん




作業とパーティー

2006年07月20日 | 過去のBLOG記事

今週は作品の納品があったので、また切り作業に没頭していました。
私は、切り絵の色付けに色紙を使っています。
色々な種類の画用紙を色別にストックしていますが、基本的に無地、
凹凸もほどほど
のものを使っています。
今回は光っている様子を表現したかったので、
ちょっとグラデーションの部分がある
といいなと考えていました。
どうしようかなと思っていたら、文房具店で折り紙を発見。
最近の折り紙は、CGをふんだんに使って模様をつけていました。
私の小さい頃は、模様のある折り紙といえば千代紙程度だったような気がします。
知らないうちに折り紙業界もデジタル化が進んでいました。




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今回使用した折り紙




和紙を染めてグラデーションの効果がでている物もありますが、
それは今までに使った事があるので、今回はちょっと趣向を変えて、
この現代的な折り紙を購入し、色付けに使ってみました。



商品は売り切れていて、みんなが触ってボロボロになっている見本品を店員さんに頼んで、
安く買わせてもらいました。無理言ってすみませんでした。
ありがとうございます。
おかげで、作業が早く済みました。



今週はそんな作業もしつつ、新しいプロジェクトの打ち合わせ、取材、
知人の結婚パーティー、友人の誕生日パーティーなどがあり、盛りだくさんでした。
友人の誕生パーティーで、早くも松茸ご飯をいただきました。美味でした!



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真ん中が成田さん。左が私。右がアーティストの今井トゥーンズさん





友人とは、大学の先輩で現在は資生堂のアートディレクターをしている
成田久(なりた ひさし)さんです。通称「久(きゅう)ちゃん」です。
資生堂で発行されている「花椿」という冊子や、「マシェリ」などのCMを手がけ、

回の「アネッサ」のCMもディレクションしています。
モデルの蛯原さ
んが着用している水着もデザインしています。
彼が手がける商品は売り上げがドーンとあがるそうで、
次々と資生堂の主力商品を
「久ちゃん」色に染め上げてます。
会社の仕事だけでなく、プライベートのアーティスト活動も盛んに行っています。
最近は、布を用いての作品が多く、私の使っているバッグも久ちゃんの作品の一つです。




7/22~7/30 BankART Studio NYKの「Ongoinng vol.5」
に出品予定だそうです。
興味のある方は、是非足を運んでみて下さい。



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こちらがバッグ



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全部縫ってます。




「ファンタジア」

2006年07月10日 | 過去のBLOG記事

お勧めの本です。
ブルーノ・ムナーリ(Bruno Munari,1970~1988)というイタリアの芸術家をご存知ですか?
その道の熱狂的なファンのなかではかなり有名だそうですが、
一般的にはあまり知られていないようです。
絵本などが日本では有名ですが、それはほんの1面で、プロダクト、グラフィックなどの
デザイン、造形、映像、彫刻家でもあり美術教育家でもあり、アート といわれる
すべての分野をやっているのではないかと思うくらい多岐に渡っています。
今回新たに翻訳されたものが出版になり、元上司(ブルーノ・ムナーリの関係者)から教えてもらいました。


ブルーノ・ムナーリ「ファンタジア」です。



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ブルーノ・ムナーリ著「ファンタジア」


まさしくあなた(ムナーリ)がファンタジア!と思いました。(笑)
ムナーリの活動におけるユーモアの精神がみてとれます。
特に美術教育にたずさわる方に読んでいただきたいです。
美術以外の様々な分野の人にもおすすめです。




本文のあとがき、ムナーリの言葉から



子供の精神を、一生ずっと
自分の中に持ち続ける。
それは知りたいという好奇心を
理解する喜びを
コミュニケーションしたいという思いを
持ち続けるということ。







日本民藝館にて

2006年07月03日 | 過去のBLOG記事

駒場東大前にある「日本民藝館」に行ってきました。
見たいと思っていた「柳宗悦の蒐集」が今週で終わりと気がつき、急いで行ってきました。


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ちょっと記念撮影。日本民藝館の入り口


前回の実家でのことについて書いたブログでも触れましたが、
柳宗悦さんは「民藝(民衆的工芸の略)」運動の創始者であり、
この「日本民藝館」の初代館長、そして私の好きな芹沢銈介さんを「型絵染」の道に導いた方でもあります。



息子さんは工業デザイナー(今で言うプロダクトデザイナー?)で有名な柳宗理さん。
宗悦さんは「民藝」を追い求める旅によく宗理さんを連れて行ったようです。
私は、芹沢銈介さんに興味がわいた所から「民藝」そして「柳宗悦」さんを知ったのであまり詳しくなく、柳宗悦さん単体の展示は初めて見ました。
以前から「日本民藝館」には足を運んでいたので、そこに展示されていた物のほとんどが柳さんの蒐集物だったといえばそうなんですが、展示はだいたい着物、陶器などジャンルをしぼってあったので、誰の展示というよりはその物にスポットがあたっていました。



今回は柳さんを通しての物だったので、蒐集の全容というか、柳さん自身の思想をくみ取る事のできる内容になっていました。
日本やアジアだけでなくヨーロッパやアメリカなど様々な国で、柳さんが「いい!」と思ったものが展示されており、美に対する妥協しない姿勢や蒐集することへの使命感とその徹底ぶりを感じました。



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民藝館の向かいにある西館。
この裏に柳宗悦邸があります。


建物は柳宗悦さん自らが設計し、展示棚のデザインから手すりの先まで柳さんの思想が反映されています。
「家」に近い空間でとても居心地がよく、部屋ごとにある様々な椅子に座ってのんびりできる空間です。
入り口は玄関といった感じで、靴を脱いでスリッパに履き替えるのですが、この日は混んでいて履き間違えがないように各々が脱いだ靴の中に、名前を書いた紙を入れておく事になっていました。
来館者は着物などを着た上品な年配の方が多く、シックな革靴や草履などの並ぶ中、私の靴は真ピンクのサンダルで遠目からでも確認できました。
間違えないだろうと思いながらも一応名前の紙を入れておきました(笑)。

今月は、民藝館の向かい側にある柳宗悦邸の修復工事が終わり公開されていましたが、
公開日には間に合わなかったので、次回の7~r9月の公開には是非行きたいと思っております。



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購入した器です。



民藝館では、年に何回か現代の職人さん達の技の紹介と頒布会も行われています。
普段も民芸館の中にあるお店で買うことができます。今回私は器を買いました。



内側の筆の跡みたいな模様が気に入りました。
ちょっとしたおかずを盛るのに活躍してもらう予定です。