本が好き!な、りなっこのダイアリーです。週末は旦那と食べ歩き。そちらの報告も。
本読みの日々つらつら
桜庭一樹さん、『青年のための読書クラブ』
ほとんど表紙買い。装幀買いと言うか。
『青年のための読書クラブ』、桜庭一樹を読みました。
“名門お嬢様学校の、禁断の部屋へようこそ。”というのが帯の惹句です。どうです、思わず手が伸びるのも無理はないではありませんか。それに、読書日記を読ませてもらっているわけで、兎に角すこぶる本を読む人であるとわかっていました。ですからこのタイトルを見て、期待の鼻息も高まろうと言うものです。
聖マリアナ学園の、異端者たちの吹き溜まり。殆どの生徒から忘れ去られた崩れかけの赤煉瓦ビルの三階のそのまた奥、不気味なアルミのドアの向こうに待っているのが、異形の少女たちが集う「読書クラブ」。いざ、そのドアを開けん。
この作品は五つの章から成り、「読書クラブ」が受け継ぎ語り継ぐ〈クラブ誌〉に残された書記からの抜粋という形になっています。最初に登場するのは、1969年度における、学園の表の歴史からは葬り去られたある偽王子の物語です。章を追って少しずつ時代が現代へと近付きます。
モチーフに取り上げられているのが『マクベス』や『緋文字』(あ、昔読んだよ)といった古典作品です。フランスの戯曲を原書で読む少女が登場したりする辺り、時代錯誤な文学少女趣味がかいま見えて心憎くも面白いです。
読み始めてすぐにご満悦になりました。特にこの、投票で決められ“王子”と呼ばれる存在の設定は、女の子の心理を巧妙に掴んでいて秀逸だ…などと感心しつつ。…なのですが、途中までいったところで少々具合が悪くなり、どうしてかしら…としばし立ち止まりました。話を面白くするために何かを犠牲にしているような気がして、それが引っかかりました。少女たちのキャラクターとか、ちとデフォルメされ過ぎでは?とか。烏丸紅子の内面の描き方にもすっきりしなかったり。
ところが。第一章をラストまで読んで、二重三重の皮肉が効いた話だったことがわかりました。再びご満悦。
学校という閉塞された場所の特異性を巧く扱って、まるでファンタジーの如くありそうであり得ない世界が描かれていました。
〈クラブ誌〉の、それぞれの語り手たちの一人称が“ぼく”なのが、何だかしみじみと懐かしい。
(2007.7.30)
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先日はコメントとTBをありがとうございました。
著者別インデックス、見させていただきました。
いっぱい読まれていますね。
初めての桜庭さんの作品だったんですね。
閉じられた学校という世界、繰り広げられる独特の物語に読み応えがありました。
切り絵風の表紙、可愛いですよね~。
トラバさせていただきました。
とても面白かったので、他の作品もいずれ読みたいです~。
トラバ、ありがとうございます。 またお伺いしますね。
わたしも桜庭さんの作品は、今回が初めて。
図書館で借り出したので「名門お嬢様学校の、禁断の部屋へようこそ。」なんていう、
魅惑的な帯がついていたのは知りませんでした。
何だかすごく損した気分です。。。
なにはともあれ、予想以上に面白い作品でしたので、
また読まねば!と思っております。
どこから読もうか、やっぱりあの赤い本か・・・なんて、色々考えてるのが楽しいです。
そうそう、図書館で借りると帯が見られないですね。 私も図書館は利用するのですが、それがちょっと残念かも。 帯もデザインの一部なのに。 む・・・。
桜庭さん、読まれたんですね~。
なにやら巷で人気の作家さんのようです。
私はまだ3冊しか読んでないんですが、直木賞候補作にもなった『赤朽葉家の伝説』がその中では一番面白かったかなと思います。
でもそれが一番桜庭さん独特の雰囲気は醸し出していない感じですが
ところでうちの近くの図書館は帯ごと透明のカバーをかけてありますよ。私は思うに帯をとってしまうとハードカバーは内容が全くわからないじゃないですか?あらすじないので。
なので、司書の方々には帯び付でぜひお願いしたいです
もちろん狙っています。 面白そうですね。 早く読まなくっちゃ。
あ、帯もかけてあるというのはいいですね。 でも多分私の場合、かけてあったらかけてあったで、帯に隠れた部分の表紙が見えないじゃん!と言って怒ると思いますが(笑)。
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