本が好き!な、りなっこのダイアリーです。週末は旦那と食べ歩き。そちらの報告も。
本読みの日々つらつら
三浦しをんさん、『仏果を得ず』
からっきし知識はないくせに、伝統芸能を扱った小説は割と好き。むしろ知識がないからかしら。
『仏果を得ず』、三浦しをんを読みました。
青春小説、か…。主人公健太夫は一応30歳ぐらいだが、悩み多き迷い多き修行中の青年ということで青春、かね。
そもそも、真に芸を極めようとすることは、「これにて極めたり」という境地には永遠に立てないことを覚悟することかも知れない。何だか矛盾して聞こえるけれど、“極めよう極めたい”と念じ続けることと、“極める”ことは、似ているようで異なる気がする。“極めたい”と努力し続けることが本当で、“極めたり”と自分で思ってしまってはいけない世界なのではないか…と。私にもよくはわからないものの、己の至らなさに向かい合うことをやめてしまったら、そこで芸というものは命を失ってしまうのでは…なんて、思ってしまう。
そんな風に考えてみると、芸に生きる人たちの生涯は、途轍もなく厳しくいつも孤独で、けれど素晴らしく濃縮されているのだろう…と。
ストーリーの起伏はそんなになくて(あるけど激しくはないって言うか)、章立て毎に文楽作品の紹介も兼ねている内容なので、そちらの方でも楽しめた。主人公の健が新しい役を与えられる度に、浄瑠璃の主人公たちに近付くために試行錯誤を繰り返し、自分なりの解釈にたどり着くところは、私も思わず、「なるほどそうか!」と膝を打ちたくなった。
この小説が三浦さんの作品群ではどんな位置付けになるのか、他作品が未読の私にはとんと分からないが、この作品を読んだ限りでは、読みやすいという印象が強かった。会話の部分が多かったし、地の文章も軽妙。例えば地の文章に、“『えー』と思う”という言い回しが使われていたりして、“『えー』と思う”と言うのは日本語として「えー」なのではないかしらん?いいのかしらん?とか、ふと思いつつも、分かりやすい表現ではあるので感心したりした。
会話の部分に、ぐんぐん話を押し進めていく力があるのも面白い(特に真智さんのセリフはいつも鮮やか)。あと、タイトルの意味がわかるところが格好良かった。
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私しをんさん大好きでほとんど全部読みました。
ちょっと妖しい雰囲気を楽しみたいなら「白蛇島」、
青春小説が読みたいなら「風が強く吹いている」がオススメです!
やっぱりしをんさんが好きな人は、結構いらっしゃるのですね。
でも、「白蛇島」ってタイトルは初めて知りました。
どの辺から手をつけていこうかな~?と思っていたところなので、おススメ情報はたすかります。ありがとうございます♪
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