5月1日

 @rinakko
 【われらの狩りの掟/松野志保】を読んだ本に追加
   
 〈図書室の窓辺にいつも座していた君 思春期を晩年として〉
 〈水槽に真水を満たし「ねえ、どんな世界でならば息がつけるの?」〉
 〈月夜にはほのかに光る枯山水遂げざる謀反こそうるわしく〉
 〈心とはたとえば花びら一枚の重さに傾(かし)ぐ春の天秤〉
 〈たぶん世界の真ん中にある銀の耳わたしの悲鳴など、聞かないで〉
 〈まだ来ないアリスのために煮込まれてまた混沌に近づくスープ〉
 〈空を裂く冬の梢よその先に刺さる月こそわれらの故郷〉
 〈パレードを追いかけてゆけば永遠に祝祭の中で生きられるはず〉
 〈希う皐月水無月逝く前に世界を滅ぼす言葉をどうか〉
 〈魂を苛む千の方法を秘めて静もる王の図書館〉
 〈旧式のオーブンの中じりじりと焼かれる林檎と詩人の頭蓋〉

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