12月7日

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 きのふ心ゆるせしひとと聖餐の共にナイフをあやつり畢る──塚本邦雄
 絵の森に眠らぬ腐肉採集法──長岡裕一郎






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 【プラヴィエクとそのほかの時代 (東欧の想像力)/小椋彩他】を読んだ本に追加
 






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 注射やだっ。
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 近所のクリニック、予防接種の人がぞくぞく。うちらも。

 

 

 



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 この花粉雲にとって、世界は偶然の連鎖のとらえどころなく複雑で予測不能な迷宮と化し、万事が、文字通り万事が、花粉を滅ぼすために機能したのだった。
 クラスナホルカイ・ラースロー 『北は山、南は湖、西は道、東は川』 #2019page127

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 ダイアナ妃記念噴水(ダイアナ・ファウンテン)に裸の幼女らを眺むる母子像影となりゆく
 黒瀬珂瀾 『蓮喰ひ人の日記』 #2019page127

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 最初、闇が見えるのだ。でもそれはすぐくらっと光る。角のように見えるウミウシに似た触角は今日は青と茶と黄色、彼の色彩は一定ではない。ただいつも額にヒトガタの生き物を乗せて。
 笙野頼子 『海底八幡宮』 #2019page127

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 だが、小説集『八洞天(はちどうてん)』の第七巻「忠が天を動かして、男に乳を与えたこと 義が神を感心させて、宦官に鬚(ひげ)を授けたこと」は、なかなかおもしろい女装文学かもしれない。
 武田雅哉 『楊貴妃になりたかった男たち ―〈衣服の妖怪〉の文化史』 #2019page127

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 星空と快晴の空が瞬時に交替するように、完全な静止状態にあった玩具たちも、光と言海に撥条を巻かれると、寝起きの物憂さなど微塵も感じていないかのようにすぐさま運動を開始する。
 金子薫 『壺中に天あり獣あり』 #2019page127

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 伯爵姫の尻の左側には太いマーカーでTAKE、右側にはMEと書いてあった。それから文字は布に隠れ、リングは別の布にかくれ、金属の玉は「バーイ!」でまたきらめき、そうして幽霊は消えた、跡形もなく……。
 ミルチャ・カルタレスク 『ぼくらが女性を愛する理由』 #2019page127

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 過ぎ去った生は乾ききった木の葉、樹液も葉緑素も失ってひび割れ、穴があき、擦り切れて引き裂かれ、日にかざしても目に映るのはせいぜい細く途切れた葉脈の、骸骨を思わせる網目ぐらい。
 マルグリット・ユルスナール 『追悼のしおり』 #2019page127

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 「『ドクトル・ジバゴ』が西側で出版されたのは三年前だった。そのとき当局はなんの反応も示さなかった。彼がノーベル賞を受賞したとたん、彼らは立場を明確にせざるをえなくなったのさ」
 イスマイル・カダレ 『草原の神々の黄昏』 #2019page127

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 お前なんか嫌いだと叫ぼうとしたが、それも私にはできないのだった。それどころか、彼女が私の唇のある動きを描くというと、私は自分の意に反して、「愛してるよ」と彼女に言う自分の声を聞いたほどだった。
 アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ 『大理石』 #2019page127

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 僕は彼女に眼を上げてくれるようお願いし、すると彼女は両眼を開け、僕は彼女の押し開かれた、問いかけるような瞳の天国に見入ってしまう。長いお願い、長い見つめ合いになることでしょう。
 『ローベルト・ヴァルザー作品集1 タンナー兄弟姉妹』 #2019page127

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 湖のそばで月をみあげていると、マイヤがすぐそばにいた。ふたりきりで、目が合うけれど、たがいにことばを発さなかった。エミリー・ディキンスンの詩や西脇のことを話したいと思い、英語が話せないことをはじめて心苦しく思った。
 朝吹真理子 『抽斗のなかの海』 #2019page127
 

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