11月30日(読んだ本、『恋紅』 再読)

 @rinakko
 微熱街夢に透ほれば呼ぶ笛と恋慕の犬を君に告げなむ──山尾悠子
 斧鳴らし虹へ駿馬を走らせる──長岡裕一郎
 #詩歌蠱術函








 
@rinakko
 【恋紅 (新潮文庫)/皆川 博子】
 
 再読。主人公ゆうの凛とした眼差し、その先に咲き誇るは奇瑞の桜…。今回あらためて、遊女屋の娘という設定に胸を衝かれた。少女に身の置き場は選べない。自ら望んだ境遇ではないけれど、廓に買われた女たちが身をひさいで得た金で、自分は「お嬢さん」と呼ばれて何不自由なく暮らしている。ゆうの目に映る遊郭の仕組みの酷さと、「亡八の娘」と蔑まれる現実。このお仕着せを拒まずに大人になれば、心も鈍く麻痺していくのだ…と。
 ただ恋に縋るのではない、いつか自分の望む生き方にたどり着きたい…と道筋を求め、答えを掴もうとゆうは手を伸ばした。

 掛け小屋芝居の役者福之助やゆうの視点から描かれる、沢村田之助の業の深さにも思いを馳せる。

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