12月に読んだ本

12月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5014ページ
読みたい本の数:1冊

▼読んだ本
悪い娘の悪戯悪い娘の悪戯
素晴らしい読み応え。特に中盤辺りから、主人公と二ーニャ・マラとのやりとりが冴え渡っていき、一文一文にぞくりぞくりとふるえた。呆れるような話なのだろうか、それでも読んでいて気持ちが温かかった。ふっと心が弛んだラストは、きっと忘れられないと思う。
読了日:12月31日 著者:マリオ・バルガス=リョサ
Yの悲劇 (創元推理文庫 104-2)Yの悲劇 (創元推理文庫 104-2)
初クイーン。面白かった。凶器の謎をずーっと引っ張るところとか、異様なハッター家の雰囲気や面々の濃さ(マッド・ハッター一族ね)がよかった。でも、色々と吃驚な話でもあった。犯人が意外とか言う以前に、「えっ、そんなん言っていいの?」みたいな、ね…。
読了日:12月28日 著者:エラリー・クイーン
トーイン クアルンゲの牛捕り (海外文学セレクション)トーイン クアルンゲの牛捕り (海外文学セレクション)
古代アイルランドの英雄譚。とても面白く、興味深く読んだ。コナハト国の女王メーヴと王アリルの財産比べが発端となった“牛捕り”の戦。アルスター国の最強の英雄にして狂戦士クー・フリンの活躍を中心に描く、長大な物語。アイルランド神話の世界を心ゆくまで堪能した。付録の内容も充実していて、隣接する別の物語の片鱗に触れられるのもよかった。また、ロスク(美辞麗句)という様式で、登場人物たちが詩の吟唱で応酬する箇所や、誇張表現が募って法螺話になっていく場面に、惹き付けられた。神話ならではの楽しさと驚きが、無尽に広がっている
読了日:12月26日 著者:キアラン・カーソン
崖っぷち (創造するラテンアメリカ)崖っぷち (創造するラテンアメリカ)
“神と祖国なんてクソ喰らえ!” 表紙となった写真の、兄弟の可愛らしさに胸が締めつけられる。疾うに失われた姿なのに、つぶらな瞳にこの先映るものを思う。元はコーヒー、今はマリファナの国に堕ちたコロンビアへの、やり場のない憤り。命を縮めるほど夫をこき使い、子供達を引き離してきた“気狂い女”母親への憎しみ。唯一愛した弟を奪う病への、どうにもならない怒り。凄まじく迸る言葉の力でもって、罵って罵って罵りのめす。批難を募らせ憎悪を煽り立て。だが、終盤にきて不意に哀しみが伝わってくる。かつて愛があったからこそ、なのかと。
読了日:12月22日 著者:フェルナンド・バジェホ
コレクター蒐集 (海外文学セレクション)コレクター蒐集 (海外文学セレクション)
途中までどうかな…と思ったが、面白かった。“この星に余るほど蒐集してきた”とのたまう、6千年以上の間諸々の所有者達を見てきた(時に姿を変え)魂を持つ碗。碗が蒐集したのは、コレクターと呼ばれる人間。ところが鑑定人ローザの手元に来た碗は、隠れたものを探知する彼女の能力によって、心を感じ取られてしまう。真に愛せる人を探し続けるローザに、奇妙奇天烈な物語を聴かせる碗。そこへ、盗癖があり色情狂のニキが転がり込み、話はややこしいことに…。ローザの周辺も面白いが、碗の物語がよかった。一つ一つは短くて、もっと読みたい!と
読了日:12月21日 著者:ティボール フィッシャー
縛り首の丘 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)縛り首の丘 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
奇妙な味わいが何とも言えず、面白かった。二篇どちらも幻想譚でありつつ、滑稽味とシュールさの匙加減が絶妙。読みかけの本から突如文字が消え、秘儀の書の如くにたった一つの問いが残った。冴えない官吏テオドーロが、一風変わった“荒野の誘惑”に負け、人生を狂わせてしまう顛末の「大官を殺せ」。大富豪の美しい奥方に恋焦がれる若者ドン・ルイが、恋文に浮かれ馳せるところを死人に呼び止められる…表題作。“疫病神”とあだ名されたテオドーロの慎ましい下宿生活や、ドン・ルイの恋路に、不条理が割り込んでくる。その唐突さが見事だと思う。
読了日:12月16日 著者:エッサ デ・ケイロース
ポオ小説全集 3 (創元推理文庫 522-3)ポオ小説全集 3 (創元推理文庫 522-3)
読了日:12月15日 著者:エドガー・アラン・ポオ
パラダイス・モーテル (創元ライブラリ)パラダイス・モーテル (創元ライブラリ)
嬉しく再読。
読了日:12月14日 著者:エリック・マコーマック
メルラーナ街の混沌たる殺人事件 (フィクションの楽しみ)メルラーナ街の混沌たる殺人事件 (フィクションの楽しみ)
地図もなく、まさに混沌たるローマ。すったもんだに引き込まれ、文の一つ一つ、言葉の端々や細部への拘りを楽しんだ。物語として全体を眺めてみようとすると、途方に暮れる。変梃。突拍子もない脱線は面白かったが、遺書の朗読中に挿入される“双眼鏡をもったアザラシ”の件は、あまりのインパクトに呑み下せず、いつまでも喉に引っかかっていた。ドン・チッチョの風貌は、敏腕の割にぱっとしない。美青年への嫉妬が激しいのも恰好悪い。でも実はそれは、卑劣な輩を憎む心根と表裏一体なのだ。その反骨精神も推して知るべし…と、途中からは見直した
読了日:12月12日 著者:カルロ・エミーリオ ガッダ
チェーザレ 破壊の創造者(8) (KCデラックス)チェーザレ 破壊の創造者(8) (KCデラックス)
読了日:12月11日 著者:惣領 冬実
チェーザレ 破壊の創造者(7) (KCデラックス)チェーザレ 破壊の創造者(7) (KCデラックス)
読了日:12月11日 著者:惣領 冬実
ルバイヤート―中世ペルシアで生まれた四行詩集ルバイヤート―中世ペルシアで生まれた四行詩集
絢爛で美麗な挿絵がふんだんなので、少しずつ読む朝のひと時など、贅沢な気分に浸れた。そして四行詩は、人の世の儚さへの諦観が滲み、憂鬱な心情を詠んだものが多かった。でも、退廃的な雰囲気の中でも本質に触れているように思われる箇所も多々あり、それらがとても味わい深い。この先、何度でも手に取りたい一冊。
読了日:12月10日 著者:オマル ハイヤーム
夢違夢違
着想が恩田さんならではで、怖くもありつつ面白かった。
読了日:12月07日 著者:恩田 陸
塔の中の女塔の中の女
とても好みな作品。おぞましく、蒼褪めた幻想美。詩の言葉を食む存在があり、《おはなし》を探す者がいる。澱んだ時間の中に切り離された、秘密と謎に満ちた箱庭の世界。ただ差し出されるがまま、めくるめき悪夢めくイメージからイメージへ、渡り移っていくような感覚に包まれた。そうして目の前に現れる新たな扉を一枚、また一枚と開いていく内に、やがて城壁の外から内側へ、城の奥深くへ、そして灰色の塔の頂へ…と、いざなわれていた。後にしてきた枝道の先には何があったのだろう…?と思うけれど、奇妙なほどにそれらを振り返らない物語だった
読了日:12月06日 著者:間宮 緑
ゆみに町ガイドブックゆみに町ガイドブック
とてもよかった。ありふれたものを見つめ直したくなる、清々しい読後感。町の懐へ足を踏み入れていたのに、いつの間にか怖い話になっていて、はっと来た方を振り返る。その感じも忘れがたい。ただ怖いだけでなく理不尽で、心惹かれる眺めだった。残酷なようでリアルな、女性の描かれ方も印象深い。安定して見えてある種の冷やかさを纏っている彼女が、実は己の内側にある溶鉱炉を危なげに見守っている…。そんな事も考えてみた。たどり着く場所もなく、この先もただ流れ続けるのだとしても、時々こんな風に、ゆみに町から世界を眺めていられたらいい
読了日:12月03日 著者:西崎 憲
ボヴァリー夫人 (河出文庫)ボヴァリー夫人 (河出文庫)
読了日:12月02日 著者:ギュスターヴ・フローベール
▼読みたい本
塔里木秘教考塔里木秘教考
著者:中野美代子

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