昨日、福井県敦賀市付近に上陸した台風9号は、東海、甲信、関東地方に豪雨をもたらし大変な被害が発生したようです。
特に、神奈川県山北町では24時間雨量が495.5ミリと観測史上最高となり、小田原市を流れる酒匂川では大洪水となったニュースが流れていました。
被災者の皆様には心からお見舞い申し上げます。
さて、今日9月9日は五節句の一つ「重陽(ちょうよう)の節句」です。「重陽(ちょうよう)の節句」は別名「菊の節句」とも呼ばれています。
そこで今日は「重陽の節句」と「菊」について調べました。
「重陽の節句」は他の節句と同様、中国に由来します。
陰陽説の考えが普及している中国では、奇数は縁起のよい「陽」とされ、一番大きな「陽」の数である「九」が重なる9月9日を「重陽」と称しました。
しかし、奇数の重なる日は「陽」の「気」が強すぎるため不吉とされ、それを祓う行事として節句が行われました。
この、不吉とされた「陽」の重なりは、後に吉祥とする考えに変わり祝いの行事へと変化したようです。
「重陽(ちょうよう)の節句」には、中国では茱萸(しゅゆ=ぐみの実のこと)を袋に入れて丘や山に登ったり、菊の香りを移した菊酒を飲んだりして邪気を払い長命を願うという風習がありました。
これが日本に伝わり、平安時代には「重陽の節会(ちょうようのせちえ)」として宮中の行事となったようです。
・これは昨年咲いた大菊で、「国華冲天」という品種です。
「菊の節句」の謂れ
「重陽(ちょうよう)の節句」は別名「菊の節句」と言われています。その所以は、
・一つには、旧暦9月は、菊が咲く季節であることから「菊の節句」とも言われていること。
・もう一つは、古代中国では、菊は「翁草(おきなくさ)」「千代見草(ちよみくさ)」「齢草(よわいくさ)」と言われ、邪気を祓い長生きする効能があると信じられてきました。
このため菊の花を飾ったり、菊の花弁を浮かべた酒を酌み交わして祝ったりしていたこと。
などからと言われています。
その中国の影響を受けて、日本でも奈良時代から宮中行事として天皇以下が紫宸殿に集まり、詩を詠んだり菊花酒を飲んだりしてけがれを祓い長寿を願いました。
また、菊の被綿(きせわた)といって、「重陽の節句」の前夜に、まだ蕾の菊の花に綿をかぶせて菊の香りと夜露をしみこませたもので、宮中の女官たちが身体を撫でてたりもしたと言われています。
「重陽(ちょうよう)の節句」には、明治時代までは庶民のあいだでもさまざまな行事が行われていたようですが、現在では京都の上賀茂神社など一部の寺院で行事を行う程度のようです。
「上賀茂神社の行事」
京都の上賀茂神社では、現在でも無病息災を祈る「重陽の節会」と言われる神事が行われています。
この神事は、境内の土俵に弓矢を手にした二人の刀禰(とね)が左右から現れ、「カーカーカー」「コーコーコー」と烏の鳴きまねをした後、近所の子供が相撲を行う「烏相撲(からすすもう)」や、「菊の着せ綿」の神事が執り行われるそうです。