一昨日の9月10日、日本振興銀行が破綻し、日本で初めてのペイオフが発動されることになりました。
そこで,今日はペイオフについて調べました。
「ペイオフとは」
1.預金保険制度において保護対象となる預金が、一つの金融機関で一名義人1000万円とその利息分に限定される制度です。
2.1000万円を超える預金については一般債権者の売掛金などと同じ扱いを受け、カットされる可能性があり、払い戻しの手続きが一年以上遅れます。
但し、今回の場合は「概算払い」という方法を採用して、預金保険機構は2~4ケ月以内に概算払いを始めたいとしているようです。
3.カット率は銀行を清算して得た資金を分配するため未定です。
日本振興銀行の場合は債務超過額が多いと言われているためカット率は高くなると予想されています。
4.破綻金融機関に預金と借入金がある場合は相殺されます。
例えば,預金が1000万円以上あっても,借入残高を差し引いて1000万円以下になれば全額支払いが受けられます。
「日本振興銀行はなぜ破綻したのか?」
日本振興銀行は、中小企業向け融資を専門に手がける銀行として、平成16年に設立され、高金利を武器に資金を集め、中小企業への融資で利益を確保するという経営をしていました。
しかし、金融庁の検査の際に電子メールを削除し、検査を妨害したなどとして、ことし6月に銀行法違反の疑いで警視庁の強制捜査を受け、日銀OBで、かつて金融庁の顧問も務めた木村剛元会長らが逮捕・起訴される事態に発展しました。
その後、新しい経営陣のもとで資産の内容を厳格に査定し直したところ、およそ1800億円の債務超過に陥ることがわかり、資本増強も難しい状況となりました。
このため日本振興銀行は、自力再建を断念し、金融庁は、業務停止命令を出して破たん処理の手続きに入りました。
このように、日本振興銀行は高金利を武器に資金を集め、中小企業への融資で利益を確保するという経営をしていましたが、木村剛元会長らのずさん経営が原因で破綻に至りましたが、一般的には以下のような背景が言われています。
①中小企業金融にメガバンク等が本格的に参入してきたこと。
②集客目当ての高金利が経営を圧迫したこと。
③ノンバンクからの債権買い取りなどで無理な大口融資など拡大路線に走ったこと。
④理念とかけ離れたずさんな経営が蔓延していたこと。
「金融庁がペイオフに踏み切った背景」
1.日本振興銀行には1000万円超の預金口座が全体の3%にとどまっていること。
2.このためペイオフを発動しても預金者への影響は限定的であること。
3.もともと、日本振興銀行は定期預金だけを扱い、他行への振り込みなど決済機能を担っていない銀行であること。
4.このため、金融システムへの影響が小さいと想定でき、一般の銀行よりペイオフの発動がしやすかったこと。
5.金融庁が金融機関の経営者や預金者のモラルハザード(倫理の欠如)を防ぐ意味からペイオフの事例を作りたがっていたこと。
などが言われています。
「過去の銀行破たんでペイオフを発動しなかった理由」
預金保険制度は(ペイオフ制度)は1971年(昭和46年)に創設されましたが、当初から実施は封印されてきました。
日本では1994年(平成6年)から2003年(平成15年)にかけて、北海道拓殖銀行や日本長期信用銀行、日本債権信用銀行などの大手銀行や、地域に密着していたた足利銀行などの金融機関の破綻が相次いで発生しましたが、公的資金の投入や一時国有化などでいずれの場合も預金者の保護をしてきました。
その理由は、
①当時は金融機関の経営実態や財務内容が覆い隠されており、預金者に自己責任を問えるような状況ではなかったこと。
②一つの金融機関での預金カットをきっかけに、取り付け騒ぎが起こり、それが他の金融機関に連鎖的に波及していく危険性が指摘されていたこと。
③そうした事態を防ぎ、金融システムを守るために預金の全額保護政策がとられていたこと。
等です。
こうした政策も2005年(平成17年)3月末に終了し、同年4月1日にペイオフは全面解禁され、今回、日本振興銀行に対して初めてペイオフが発動されたものです。
これからは、預金者の自己責任がこれまで以上に問われることになります。
「預金者が金融機関を見分ける方法」
預金者が銀行を見分ける方法は
①金利が通常の銀行より高い場合は注意すること。
②不良債権比率など発表される数字に関心を持つこと。
③自己資本比率の数字をみること。 大手行は 8%以上
地方銀行 4%以上 が基準ですが、数%の上乗せがあることが望ましい。
④格付け会社の評価をチェックすること。
なお、複数の指標のチェックをしたり、一つの銀行に一人の名義での預け入れを1000万円以下にするなど、預金の分散化をすることが一番安全です。