浮足立つ
皆さんは「浮足立つ」という慣用句の意味は、下記の(a)と(b)のどちらだと思いますか?
a)喜びや期待を感じ、落ち着かずそわそわしている。
b)恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている。
正解は(b)の「恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている。」なのですが、文化庁の令和元年の国語に関する世論調査によると、60.1%の人が(a)と誤解し、本来の意味の(b)と回答した人は 26.1%でした。
そこで、今日は多くの人が誤用している、この慣用句についてご紹介します。
「浮足立つ」とは、広辞苑には、期待や不安など先が気になって、今のことに気分が集中できなくなる。
と説明しており(2)の意味になります。
「浮き足立つ」は、「浮き足」と「立つ」の、2つの言葉に分けられます。
「浮き足」は、つま先立ちの状態を指す言葉で、つま先だけが地面について十分に地を踏んでいないこと、このような不安定な状態から、「落ち着きを失くしてしまって、逃げ出したくなる」という意味を持つようになりました。
そのため、「浮き足立つ」には不安、恐れといったマイナスのニュアンスが含まれているのです。
ところが調査では、この言葉には「浮き」という漢字が使用されていることから、「楽しい。うきうきする気持ちで落ち着かない。」といったポジティブな意味と解釈している人が多いのではないかと思われます。
更に調査を年代別で見ると、すべての年代で(a)が本来の意味である(b)を上回っており、中でも20~30代では(a)を選択した人の割合と、(b)を選択した人の割合に50ポイント以上の差があって、若い世代ほど誤解が多かったという結果でした。
言葉に造詣の深い方なら知っている人も多いと思いますので、誤用しないよう気をつけたいですね。