病室までみえた訪問看護ステーションのおふたりに 母は起きあがってきちんと挨拶した。
「まあ! 表情もしっかりしているし… お元気ですね」と蛙に耳打ちする。 驚いたようだ。
誇らしい! 91と聞けば、かなりのおばあさん。しかし話はきちんと通じる。
認知症は無いのだから。
「きょう… 先生に 家族は退院するって言ってますが こんなんで大丈夫ですかって聞いたんです。 そしたら、だいじょうぶ! 大丈夫って…」と お客の顔をみつめながら微笑んだ。
手にした資料を見ながら、トイレも一人でいかれますね。おふろも…。
すると母は ズボンの裾をひきあげ脛を出し、一.二、一.二と屈伸して見せた。
「あら! それなら 大丈夫!!」
黄色いカーテン仕切りの部屋に みんなの笑い声が響いた。 不安が消えていく。
心づよい助っ人さん これからどうぞよろしくおねがいします。蛙も頭をさげました。