蝶の昼 影と日向を 劃(クギ)りけり 大野林火
胡蝶 夢見鳥 夢虫…
どれも蝶の異名、 春の季語です
砂浜で這うように低い、 珍しい植物を教えていただいた。 「弘法麦」、 はじめて見る。
詳しい画像は こちらか こちらへ 同属に弘法芝もあるらしい。
調べると、 芥川龍之介も好んだとか。 手紙や小説にもでてくる。(以下に抜粋)
大正五年八月廿五日朝 一の宮町海岸一宮館にて
文ちゃん。
僕は、まだこの海岸で、本を読んだり原稿を書いたりして 暮らしてゐます。何時頃 うちへかへるか それはまだ はっきりわかりません。が、うちへ帰ってからは 文ちゃんに かう云う手紙を書く機会がなくなると思ひますから 奮発して 一つ長いのを書きます ひるまは 仕事をしたり泳いだりしてゐるので、忘れてゐますが 夕方や夜は 東京がこひしくなります…。さうして 早く又 あのあかりの多い にぎやかな通りを歩きたいと思ひます。しかし、東京がこひしくなると云ふのは、東京の町がこひしくなるばかりではありません。東京にゐる人もこひしくなるのです。さう云う時に 僕は時々 文ちゃんの事を思ひ出します。文ちゃんを貰ひたいと云ふ事を、僕が兄さんに話してから 何年になるでせう。(こんな事を 文ちゃんにあげる手紙に書いていいものかどうか知りません)
貰ひたい理由は たった一つあるきりです… (略)
僕のやってゐる商売は 今の日本で 一番金にならない商売です。その上 僕自身も 碌に金はありません。ですから 生活の程度から云へば 何時までたっても知れたものです。それから 僕は からだも あたまもあまり上等に出来上がってゐません
一の宮は もう秋らしくなりました。木槿の葉がしぼみかかったり 弘法麦の穂がこげ茶色になったりしてゐるのを見ると 心細い気がします… 芥川龍之介
すてきな手紙です。 全文はこちらから
写真に見る作家の印象から、 想像もつかなかった。 正直で なんと初々しいてがみ。
トップの写真は どうやら 弘法芝らしいのだけれど… 実のツブツブは麦にそっくり
外出は珍しいものに出遇うので、 カメラは必ず持っていく。 手ぶらに限って特ダネがあったりするのも口惜しい。
余所のお宅で、うつむく姿を盗み撮り。 垣間見るのもドキドキする。 平安朝も、 かくやあらん… やわらかな姫君である。
蘂が多い。 萼の色に見覚えがあり、 調べるとキウイだった。 漢字では 茘 (読み リ・ レイ) 柱頭が放射状に並んでいる。
花言葉 ひょうきん
-☆-
ひと月前の夕ぐれ、 うちの庭でみしもの…
垣の上を 見慣れぬ奴が渡ってくる。 猫でなし、 犬で なし… 口はとがって、 眉は白く、 焦げ茶の斑毛で… と、 説明しても家族は本気にしない。 落ち着いて思うに、 アライグマではなかったか。
ひょうきんな あの顔立ちだ。 口元、 目元。 毛並みはどうしたってアライグマ。 どこかで飼われていたのが 逃げ出したか。 見かけによらず獰猛で、 手に負えなくなった?
驚き慌て 写真はない。
薔薇を見にいって たくさんのヂキタリスに遇いました。
淡いぼかしもあります。
ゆらり揺れる 花の塔は、 花壇のアクセントになっていますね。 絵に描いてから、 俄に親しみも湧きました。 やわらかな鐘の音と、 鳴りやまぬトロンボーンに魅せられています。
妖精の帽子…
たくさんの 赤花夕化粧に囲まれる シラー ・ ペルビアナ は、 やはり スターだ。
どこからともなく 良い香り。 見上げると 匂棕櫚蘭 ニオイシュロラン。 見落としそうな 地味な色で。 せめてみれば、 穂のような細かい花も珍しい。
沼のほとりに 白い花が咲いた。 風が やさしい薫りを運んでくる。
何の木でしょう。 と伺ったら、 ヒメシャリンバイと教えて頂きました。 葉の付き方が枝の周りをぐるっと巻いて、ちょうど車輪のようです、 五弁花も梅に似ている。 実が生るらしいのでこれから観察します。
Miyazaki さん ありがとうございました。
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編集では10枚の写真がきちんと入ったのに、 投稿の途端に失われました。
説明文もずれています。 この写真は 赤沢岳です。
まだまだ、 テーブルのソースまで手が届きません。 見なかったことにして下さい。
先日のアルバムの方は 左右の切り替えが上手くいきました。 万歳!
エニシダを活けるのは初めてである。 いつもは外で観ていたものが、 突如、 室内で身近におさまった。 花器にあっても案外いいものだ。 一本の幹に、箒のように八方に枝分かれし豆のような花をつけている。 金雀児と書くのも、 にぎやかな囀りで雀たちが群れるよう。 いかにも楽しげで明るい。 金雀枝とも。
えにしだの 黄色は雨も さまし得ず 虚子
-☆-
父の故郷で暮らした頃、 劉生が描いたような赤土の切り通しがあった。 切り開いた壁に木の根が血管のように露出している。 乾いた土と湿った土の断層、 色の違いも美しいと子供心に思っていた。 飛び出している細い根を引きちぎろうにも、 頑として動かなかった。 根の剛力は、 掌に強く覚えている。
ある日、祖母に頼まれ、ヤツの田圃(大人たちがそう呼ぶ)まで、 岡持ちに入れたお茶道具を運ぶことになった。 柿や栗畑を抜けて行かねばならない。 孟宗の藪は昼でも暗い。 竹林が風に集団で煽られると、 鳥がバサバサっと飛び立つ。不気味な音がこだまする。 もうじき8歳だが、 ひとりでは恐ろしくて息を止めて走った。
途中から細い農道は、 谷へ落ちるような急坂である。 重い荷物と足下を気にしながら歩くと、 頭上がぱっと開ける。 金雀児が見下ろしている。 小さな花が一斉に笑っている。 青空をバックに黄色が映えた。 肩の力をゆるめる。 此処も小さな切り通し、 崖の土がポロポロと崩れた。
今になってやっと解った。 ヤツとは「谷津」。 奴や八つではない。
低地。たに。低湿地。やち。やと。 奴の田圃も良いけれど。
-☆-
土や緑の美しさ… 山本鼎の 「油絵と新緑」 も 代弁してくれる。 (以下に抜粋)
新緑と来るとどうしても油絵だ…
柿若葉はヱメロードにカドミユームシトロンをぽつちり加へた色だ … 要の新緑はカドミユームクレームに紅ガランスをちょっと混ぜた色だ。 椎の新芽は…
… そして、 新緑は花のやうに明るい。
新緑の季節には土が又たまらない美を見せる。 乳酪バタのやうに軟く、カステラのやうに脆く、牛乳のやうに重くなつて、 真昼間でも湿っている…
土と新緑、 雨にも褪めない金色の花。
吹き上げてくるナマ温かい風、 脚を浸した湧き水の冷たさ… 爽やかに、どれもが遠くなつかしい。
5月5日 こどもの日 立夏 新月 蛙始めて鳴く
森の上に幟の鯉の泳ぎいづ 秋桜子
新緑のまぶしい季節です。
お休みのないひと 介護の方や 病床にあるかたへ
ゆるやかにと願いつつ…
-☆-
(5月2日) 思いがけず 気温は24度もある。 豪雪地帯の夏も早かった。
飛騨高山散策後 白川郷へ。
以前にも、おなじころに来たが雪を踏みしめ防寒服だったような気がする。
合掌造り 山ふところの、 まどろむような町並みです
(5月3日) 立山駅より ケーブルカー7分・美女平 ~ 高原バス50分・弥陀ケ原・天狗平・室堂 ~ 立山トンネルトロリーバス10分・大観峰 ~ ロープウェイ7分・黒部平 ~ 黒部ケーブルカー5分・黒部湖・徒歩 黒部ダム ~ トロリーバス16分 ・ 扇沢へ。
室堂~大観峰(トロリーバスは立山(3015m)直下を通過(下図参照) 拡大図を最大にしてご覧ください。 黒部ダム~扇沢も赤沢岳(1433m)のトンネル内をはしります。
この度も めまぐるしき旅にて 足袋にも穴のあく勢い。
大観峰展望台 標高2316mからの眺め。 厳しい稜線におののいた。
快晴、 強い日射しと 雪面の照り返しに、 動くと汗ばんでくる。
春スキー シュプールを描くひとがいる。 残雪も別れがたいものだ。
こちらはボールペンでスケッチをした。
鹿島槍の耳元で 小犬がじゃれる… そんな 雲のしぐさ
悠久な営み… 大自然が語りかけてくる
ついでながら
2008年は 国際カエル年 カエルのすばらしさをもっと解ってくださいって。
庭のカエルは 何処へいったやら…
若葉が透けている
みずみずしく溢れるみどりが 目を奪った
まどろみぬ藤波のゆれやむごとく 夕爾
藤棚の隙に 青空がのぞいてる
初夏の光り
何心なくて 花の下にまどろむ
風薫る… 五月 その異称
雨月 薫風 梅色月ウメノイロヅキ 皐月 麦秋 など
校長のかはるうはさや桐の花 万太郎
待ち遠しい薄むらさきの花。 清楚な 梢の紫よ。
(メタセコイアの若葉は ここ)