別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

お宿

2010-06-28 | 夢見鳥
   

  6:09 雨戸をあける
   さて 昨夜の蝶は羽を畳んで 
     おなじ姿勢を保ったまま

   夕べ 雨にうたれながら ずっとここで過ごした


   6:21 羽根を広げ 乾かしている

     

   30分くらいで 何処かへ消えた

          -☆-

  ふたたび夕暮れが迫ったとき 
  山茶花やモントブレチアの葉に こんどは赤蜻蛉の姿があった  

 

       

       トンボは 三頭
      彼らもまた  今日の宿は ここと決めてじっとしている    

    

           18:13   オヤスミナサイ…  

 

 

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ホテルは

2010-06-27 | 夢見鳥


   夏の蝶高みより影おとしくる    久保田万太郎
 
 
  夕暮れちかく  
  目の端をよぎるものがあって 庭をみると  ナミアゲハだ

  植えこみの上をなんども旋回し 舞い降りてはあれこれ物色

    手頃な宿は なかなかみつからない

    

    
    夏の蝶こぼるゝ如く風の中      原 石鼎


   ようやく フレンチラベンダーが気に入って
      今夜は ここで休むつもり…
 
   カメラを向けても 近づいても じっと動かず
     ホテルはここに  もう 決めたんだよ…

    たそがれどきにみかける蝶は やっぱり
     「ねぐら」を 探していたのね  
    シジュウカラや雀も みんな帰っていった     

 

 


      

 

 

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木洩れ日

2010-06-26 | 自然や花など

 


    ……・・  

     燃えのこる 熱き日ざしは
     黄に透かし 暮れて薫れる。

     そのなかに 妙(タヘ)にしづかに
     物おもふ 白馬(ハクバ)のあかり。

     それやはた、 夏の日の神
     夕ぐれに 騎(ノ)りやわすれし。

              ・・・…… 
          
           北原白秋  森の奧 (抜粋)

 
    ※読みやすいように(作品にはない)字間をあけました。

           -☆-

 
 ふだんは暗がりで目立たぬみどりが、 いきいきとしはじめる。     
 黄金の海に、だしぬけに現れる生物たち。 つかの間、ステージにあがる草花は目を見はるほどのかがやきで 

 光りと揺らめく翳と 湿り気のある甕と 
  緑のグラデーション…
 

 

      

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菩提樹

2010-06-22 | 自然や花など

    菩提樹のしづかなるとき花のちる     一水

  公園の朝    路面をいろどる花の雨



    天蓋のごとく菩提樹咲きにけり      茂竹
  
   菩提樹の花は いまが盛り    
   黄色い五弁花が音もなく吹きこぼれ 
     さわやかな風を起こした

   
    

 
   傘の下で 清々しい香りに包まれる

  
      

  

 

 

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羊の孤独

2010-06-20 | 別所沼だより

  朝から蒸している。 時折とどく沼風だけが頼りだ。  2本ある若木に夏の陽が降り注いだ。 ポプラの丈は、ハウスの倍くらいになって頭をユラユラさせている。 震えが枝先まで伝わると、 葉っぱの一枚一枚がつぎつぎにクスクスっと小さくそよいだ。 なんか可笑しくてたまらないようすだ。

 紫陽花が咲き、ヤマモモが赤く熟して、野鳥が親子でにぎやかだ。 そろそろ巣立ち。 ガイドは午前中だけだった。  

       -☆-

  3歳の女の子がお母さんと一緒に入ってきた
 しばらく遊ぶうちに うながされて歌いだす。  

 「ぬまのほとりをめぐりながらあ
 かみを おもうぅ
 みーなもぉに うつゅる ひとひらのくもぉ…
 ひちゅじのこーどくぅ…」  

 
 道造が兄のように慕っていた神保光太郎の詩だ。 

   さらに  かな女の句も諳んじて

    曼珠沙華あつまり丘をうかせけり  
   
  ありがとう… すごいね  
おみごとです
   こんどは  道造さんの詩も覚えてね

            -☆-

     

 小沼は睡蓮の葉がびっしり、 水面が見えないほどで花はまばらだ。

   
                  

 ノートをみると 「12日 奈良から」 とあり胸が高鳴る。
 日誌には 「ゆっくりとした時をたいせつにされている方… 素敵」とあった。 みなさんがあこがれる。 お会いしなくともお姿が浮かびました。 よく分かります。 頂く手紙には、 いつも知的で品のよいセンスが詰まっていますから。 
 Hさま お迎えもしないでごめんなさい。 

  

 

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三菱一号館美術館

2010-06-19 | アートな時間

  

   マネとモダン・パリ

 落ちついた建物と美術  (6/18 鑑賞メモ)

  ・モリゾを描いた作品5点
  「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」を 間近にみることが出来た。 さらにその一年後に描かれた「横たわるベルト・モリゾの肖像」
  「何よりまず黒 絶対的な黒」  ポール・ヴァレリー
   黒い髪  黒い瞳  黒いリボン 黒い衣裳
  もういちど模写をしたい。

 ・エミール・ゾラ 
 落選しても、作品が罵倒されようともマネを礼讃し励まし続けたゾラ。 背景に浮世絵や屏風など日本趣味。 机の上が乱雑で 思いにふけるゾラの表情を際だたせる。

 ・1864年頃から モネは花や静物を描いた。 レモン、 牡蠣、 花瓶に挿した芍薬、 シャクヤクと剪定ばさみ、 4個のリンゴなど。 小品は親しみを感じ見入った。 取り入れたい技や構図などある。 
 トロリとした絵の具、 なめらかなタッチ、 伸びやかな筆づかいが魅力だ。 猫の作品。  

   

  会場を巡り ふと見おろす中庭。  先日ここでTV中継があった。
   

        -☆- 

  ショップには 愛らしくおもしろいステキな小物がたくさんある。 どれにしようか迷ってばかり。
 
・マネの絵からイメージされたブローチ。
・フランスの女性デザイナーによるアクセサリー  カフスにとても惹かれた。 

・ステッカー付きグリーティングカード 
 ビニール製で接着剤なし 何処にでも貼れる。 外の並木が透けて爽やか、 梅雨空だって映える。

  
   展覧会グッズ   ほかの商品は こちらで

 

 

 

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クレパスは…

2010-06-09 | アートな時間

上段左 村井正誠<踊る人> 右 脇田 和<青い頭巾>下段左 小杉小二郎<三色すみれと野の花>         右 須田剋太<作品>

   (画像パンフレットより)
 
    再発見! クレパス画
     身近な画材の可能性    
うらわ美術館

 
 寺内萬治郎<裸婦> 

 

  山本 鼎<西瓜>

 

 

 小磯良平<婦人像> 

 

 

  岡本太郎<虫> 

 

  熊谷守一<裸婦>

 

  

  猪熊弦一郎<娘と猫> 

 

 

 難波田龍起<泉>

 

 

  クレパスは、1925(大正14)年、 日本で生まれたのだそうだ。 
 
  幼い日、初めて出会った画材だ。 そのときの油分の匂いや手に着いた赤や緑の鮮烈な色を覚えている。 美術館で 胸が高鳴ったのは格調高い作品と懐かしい思い出のせいもある。
  小学校のはじめての遠足は上野動物園で、 檻の中からこちらをみている猛獣を描いた、それは12色のクレパスだった。  
  中学では 学校から何人か選ばれて作画の競技会のようなのに出た。 当日、24色か36色のクレパスが渡され、 宝物のようで有頂天になった。 絵の出来なぞ何も覚えていない。 巻紙をなぞり、 匂いを嗅ぐだけでしあわせだ。 それまで丸い白墨のような形のばかりで四角のクレパスは珍しく高級品だと思った。 ちょうど有島武郎の「一房の葡萄」 を読んだ頃で、 あざやかなクレパスの色は心にしみ入った。 

 人物、静物、風景、抽象画… 近現代の画家78人による146点を展示

  ていねいに塗り込んだ色面は油彩のようだし、 線描や軽いタッチのものなど 魅力に満ちている。 花の絵や、風景 どれもこれもいい絵ばかり。 クレパスは子どものためばかりではない、 多様な作品を観ればそのことがはっきりする。
  クレパスはなじみやすく絵心を誘われた。今度はクレパスで描こう、 思いが直に伝わるような気がする。 

  中村善策 田崎廣助  鈴木信太郎 大沢昌助 森田元子 
  中村研一 今井信吾  林 武  朝井閑右衛門   
 
  クレパスは、クレヨンの定着性の良さ、 パステルの混色のしやすさ、これらの特長を生かした描画材料です。 はじめの頃、 クレパスには堅い夏用とやわらかな冬用があったのです。 (サクラクレパスから)

             -☆-
 
 特別展示 武内鶴之助のパステル画22点  
   小さな作品だが 繊細な深い描写  雲など
  
 同時開催
   「コレクションから- 水彩、 ドローイング小品集」 

   なかに 福原霞外 「別所沼」 1901(鉛筆、紙) 
    明治34年の別所沼風景がみられた。 
     沼に鴨がいる。 鉛筆の細緻を極めたような描写に心打たれる。

   クレパスでここまで出来る… 油彩を上回る迫力、 完成度 
   引っかき  盛り上げたりする さまざまな技法と表現に溜息が出た。
    鉛筆だけでも すごいものだ


 

  

 

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切りとり名人

2010-06-06 | 自然や花など

  

  薔薇に近づいては、 あの葉っぱ、 この葉っぱ、 羽音をさせてしばらく品定めをつづけた。 古い葉はよけて、 まだ新しいのに跳び乗った。
  柔らかな葉に必死でしがみつく。  蜜蜂ではなさそうだ。

  あれぇー  何するの

  すごい早業!

 

  カミソリをあてるような なめらかさで、 滑るような 紙切りの術。
 みごとな技に息をのむ。 怒る気にもなれない。  ものの5秒、 予期せぬ出来事に茫然とし眺めるだけ。
    

  鉢の縁側に休んで葉先を丸めるようなしぐさ。 びっくり! 工夫が働く…  持ち運びまで考えている。 

  蜂はやおら飛び去った。 が、 陽を受けて明るさを増した若葉の小片は目印になりやすく、 すぐにみつかる。

 緑を両腕に抱え、 逆風にもまれながら空中をユラユラと移動した。 巣は棕櫚の木のてっぺんにある。 切り取った葉を、 巣房の壁や間仕切りなどに使うという。 緑色した小部屋とは、子育てにもよい環境だろう。

 行ったり来たり 若葉のボードを何枚も手にいれた蜂に、 拍手を贈りたい。
  「バラハキリバチ」のすばらしい技、 小さな虫の叡智に驚いた。

  またも緑がユラユラと昇っていく。 ただよう楕円はサーフボード、 胸毛の厚い真っ黒な強面が乗っている。

  こんな葉を見たことはありませんか、  どれも ハキリバチの作品です。

              

  
  チュウレンバチもやってきて 薔薇の茎に卵を産む。 
  喜んでばかり居られない。  

  

    

 

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雲の祭日

2010-06-05 | 別所沼だより

      羊の雲の過ぎるとき
    蒸気の雲が飛ぶ毎に
    空よ おまへの散らすのは
    白いしイろい絮(ワタ)の列

    帆の雲とオルガンの雲 椅子の雲
    きえぎえに浮いてゐるのは刷毛の雲
    空の雲……雲の空よ 青空よ
    ひねもすしイろい波の群

      … 後略        (立原道造    雲の祭日)

           
              -☆-

  大気は不安定、 陽ざしの割に冷たい風。 いくつもの雲が通りすぎた。                 
  園内くまなく歩いたと思ったが  きょうもあらたな花にあう

   木陰に 色濃いホタルブクロ


        
  下野国 (栃木県)で最初に発見されたので  シモツケ 
  前からここに あったろうか…  

     

   小花がかたまって 大きな花
    長い蕊は髭のよう
   それで 離れてみると霞んで見える  

    沼のまわりに 長い雄蕊の 美女柳(未央柳)も咲き出した
 

  

  ハーブの 「ラムズイヤー」 

 葉や茎が綿毛に包まれて
  子羊の耳のよう  

  うす紅色の ちいさな花 

 

   

 

 

 

  
  



   ヒイラギの実は 食べられるの? きれいなブルー インクの色
    ベリーにも似て 美味しそう
   ヤマモモの実もなっている

  
   

  

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6月

2010-06-03 | 自然や花など

  はやくも 6月の声をきく

   

 足場もネットも外されて、 ようやくスッキリ、 青空が望めるようになった。 約3週間、 陽にあたれなかったヒオウギが、 足もとで虫にくわれて弱々しい。  

       

 かたや 新顔の薔薇 「バベリア」 
  工事中はテラスから陰に移されて 木洩れ日がよかったらしい。
  4月頃の陽気にもどって 鮮やかさを増していた。

 

     

    ブラックベリーも ことしは花がたくさんついた

                 -☆-

        

  用水沿いにみつけた山桑の実。 苺のようだが細長い。
  熟せば紫をおびて黒くなる。 
   甘酸っぱい初夏の味、 なつかしい。  桑苺ともいう。

      桑の実を口のうつろに落す音   虚子

      … ぽい  もひとつ ポイ 

      
 つま
んでは口に運ぶ   口のうつろとは おもしろい

           空ろ  洞ろ  虚ろ 

       うつろな穴が 勝手に うそを言う      

 

 

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