別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

庭のお客

2006-06-28 | 夢見鳥

       

 赤い帽子と デザイナーの個性的 なコートで きめていた  と
 ピラカンサスの青い実が呟いた
 
 Vサインだ きっといいことあるね
 羽を広げ留まっているから 
            蛾だろうか
  調べて やっと分かったよ
  君の名は   
     ホタルガ 開張 45-60mm
  白い
サッシュも効いている

 
   蝶よ 白い本
 
    蝶よ 軽い本
 
    水平線を縫ひながら
 
      砂丘の上を舞ひのぼる
                三好達治 

 
    モンシロチョウ 
   なるほど…  本のようだし
      幸せをはこぶ手紙のようだ

 

 
  

  ゆらり ふわり 
  ジャコウアゲハでしょうか 
    ヒマラヤユキノシタの根元に
                 
休みました 
 

     もしそうなら… 
             名前のとおり 

       香気を放つはずです
 

  ホタルガには毒があるって。  ミュラー型擬態 について 
 詳しくはルピナスさんから


   

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さてしもあるべきならねば

2006-06-20 | こころ模様

          紫蘇ジュースをつくりながらおもう 
           あのこのゆめは 小説家か 絵かきさん  

             もうひとり

          お医者さんになって おばあちゃんを助けてあげる 
              制服がよく似合う少女だ
 
            小さな友が やってくる夏  
              人生は ベストチョイスでいこう
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雨のたのしみ

2006-06-18 | 自然や花など
 
          雨はふるふる 城ヶ島の磯に
            利休鼠の 雨がふる

           雨は真珠か 夜明けの霧か
            それともわたしの 忍び泣き

           舟はゆくゆく 通り矢のはなを
            濡れて帆上げた ぬしの舟
           ええ 舟は櫓でやる 櫓は唄でやる
            唄は船頭さんの 心意気

           雨はふるふる 日はうす曇る
            舟はゆくゆく 帆がかすむ  
                     北原白秋 城ヶ島の雨

                -☆-

 利休ねずみのあめがふる 
   消えない線香花火  サボテンの花
    
        ありとあるものの梅雨降る雨の中      素逝
        梅雨続く鈍き痛みの続くごと        瓜人

 「あたらさん」 暮らしの手帖別冊 vol.3 を読んだ 
   古典にみるあたらさん 第二回・平家物語より 
    魂の恋、千手センジュ   清川 妙   
 しみじみと心にしみた。 
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ふらここ

2006-06-14 | こころ模様

           わが庭の松のしづ枝に
           むなしただふらここ二つ
           
           うちかけてしばしあそびし
           あまの子のすがたは見えず 

           たれびとの窓とや見まし
           そよ風のふきかよふのみ

           さるすべり花ちるところ
           ふらここの二つかかれり   三好達治 


 漢字検定のなかに鞦韆があった。 しゅうせん、ぶらんこ ぶらここ、ふらここ。擬態語 ぶらり、ぶらん、などからできた語か とあった。 
鞦シュウ(訓読み しりがい・しりがき 牛馬の尻につけて、車の轅(ながえ)を固定させる紐)

 ふらここ、なんとなくなつかしく やわらかな響きである 
 母の押すふらここが いつまでも揺れている とおい記憶を呼びさます

 ふらここ 春の季語とは知らなかった。 古来シナでは 春の戯れとした。 ふらここ、ふらんど、ゆさはり 半仙戯ハンセンギ

    鞦韆に抱き乗せて沓に接吻す    虚子
    鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし    鷹女
    鞦韆やひとときレモンいろの空   小坡

 親戚がきて さっそく頭の体操になった。 読めない字が少なくて さすがの読書家でした。
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阿弥陀堂だより

2006-06-10 | こころ模様

 さいたま芸術劇場で映画を見ました。 
「遠くを見ることなんか忘れていました」 ヒロインのせりふです。目先ばかり気にしているところへ、「心を開いて!」 と言われた気がしました。

ものがたりは   以下パンフレットより抜粋
 売れない作家・孝夫と、妻で有能な医者・美智子は、東京を離れて孝夫の故郷、信州に移り住む。それは、美智子が原因不明のパニック障害になり、都会での生活に耐えられなくなったためだ。
 ふたりは死者が祭られた阿弥陀堂に住む96歳の老婆・おうめを訪ねる。そこで喋ることが出来ない難病とたたかう少女・小百合と出会う。少女はおうめ婆さんから聞いた話をもとにコラムを書いていた。それは村の広報誌に「阿弥陀堂だより」として連載されている。

「雪が降ると山と里の境がなくなり、どこも白一色になります。山の奥にあるご先祖様たちの住むあの世と、里のこの世の境がなくなって、どちらがどちらだかわからなくなるのが冬です」

 やがて美智子は無医村だった村で診療所を開き、医者としての自信と責任をすこしずつ取り戻していく…。
 心を病んだ妻の回復を静かに見守る夫の姿を通して、現代人が忘れかけた日本の原風景、信州の大自然と、そこに暮らす人々とのふれあいを描いている。

 気になるセリフが随所にあった  「姿は(その人の)心を映すのです」

 奥信濃の懐かしくもうつくしい四季の変化は 「春、夏、秋、冬、人の一生に似ている」 「今をよく生きることが よく死ぬこと」と教わります。

 「天上大風」 良寛

ロシアの詩人 プーシキンの一節も こころに響きます
 「日々の命の営みが、時にあなたを欺いたとて、悲しみを、また、憤りを抱いてはいけない。
 悲しい日には心を穏やかに保ちなさい。きっと再び喜びの日が訪れるから。
 心はいつも行く末の中に生きる。今あるものは、すずろに寂しい思いを呼ぶ。
 人の世のなべてのものは束の間に流れ去る。流れ去るものは、やがて懐かしいものとなる」

 とにかく自然の美しさを堪能し 人の一生と、やがて命を終えること。しみじみと母を思い、重ねました。 そして 主人公といっしょに生きる喜びを感じることができました。
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まばたき

2006-06-10 | こころ模様
 
 さらにノートには、気に入りの一首をメモしていた。

 その女瞬(マバタキ)の数いと多く秋の灯火(トモシビ)見るここちすれ
  吉井勇
 
女性の瞬きを、秋の遠く瞬く、漁り火か人家の明かりに重ねてみる。こまやかな動作をとらえた吉井の眼、すてき! 彼女の横顔も見える。 

まばたき(まぶたを閉じたり開いたりすること「目(マ)叩(ハタ)き」の意)
またたく(遠くの光が強まったり弱まったりする「目(マ)叩(タタ)き」の意)
 ハタくとまばたき タタけばまたたく おもしろいね。

かの吉井勇歌集では

その女まばたきの数いと多く秋の灯を見るここちこそすれ  
  昨日まで(紅灯行より)

言うまでもなく前出のうたが好き。なめらかだ。後者は「秋の灯を」と「を」で留めて、「ここちこそ」で気持ちを強め……

あぁ、時間切れ! きょうは時の記念日。月下の門は推せず…
 今はタタかずか… つづきをよろしくお願いします。

写真:豪華なまばたき こんなにあっちゃ多すぎる、この歌にはちらほらが似合う 2003.2香港
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郷愁

2006-06-07 | こころ模様

  伯母がきました   従姉妹と いとこの子ども孫もいっしょです

 ゆるやかな話しぶり のんびりおおらか なんともなつかしいハチミツの

 匂いがしました

  いつもゆるやかでほっとします  ひさびさに故郷を感じました

            -☆-

 蝶のやうな私の郷愁!……。 蝶はいくつか籬マガキを越え、午後の街角に海を見る……。 私は壁に海を聴く……。 私は本を閉ぢる。 私は壁に凭モタれる。隣りの部屋で二時が打つ。「海、遠い海よ! と私は紙にしたためる。 ――海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる。 そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある。」   
      「郷愁」  三好達治 
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