山梔子の実の色にある日の詰り 龍男
暦が駆け足になった。
午後から瞬く間に夕方となり、 追いかけられて一日はなんと早い。
今年、クチナシに実がたくさんついた。 野鳥はあまり好まないらしく今のところ無傷だ。 鳥といえば… 短編のなかで菊戴が気になった。 花の冠も。
キクイタダキは野鳥の中でも 最も小柄な鳥。 主人公はこの野鳥を小鳥屋から求め飼育している。 上部はオリーブ色、下部は淡黄灰色、首も灰色がかって、翼に二条の白帯、風切の縁が黄色、頭の頂きに黒で囲った黄色… 黄菊の花弁をいただくよう… 丸い目がおどけて 動作も溌剌… 可憐ながら高雅な気品…
細やかな描写がつづく。 この鳥を知らない。
きのうも シジュウカラやメジロでにぎわった。 動作も溌剌…
ヒヨドリの囀りに 急かされている。
餌台にまだ見ぬ野鳥 キクイタダキが現れるのはいつのことだろう。
写真は シジュウカラの常連さん
さらに調べると 「松毟鳥マツムシリ」 とか 「松くぐり」ともいう、冬の季語。 松がないこの庭にいくら待っても来るわけがない、 全くマツドリなのだった。
小鳥はまことに美しい寝方をしていた。 二羽の鳥は寄り添つて、それぞれの首を相手の體の羽毛のなかに突つこみ合ひ、ちやうど一つの毛絲の鞠のやうに圓くなつてゐた。 一羽づつを見分けることは出来なかつた …人間でも こんなきれいな感じに眠つてゐるのが、 どこかの國に一組くらゐはゐてくれるだろうか…
川端康成 「禽獣」
読んでいて 胸のなかがほんわりしてくる。
画像は フィールドガイド 日本の野鳥 高野伸二著 からいただき ました