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久しぶりの別所。 郭公が好んだヒマラヤ杉の頂きも、 すっかり枝を払われて 夏の陽を惜しみなく注ぐ。 いぜんより明るくなったところに、マツムシソウや モントブレチアがそよいでいる。 別所沼会館の前庭、 こんもり高くなった場所にネジバナの群生をみつけた。
ご覧になれますか。 こういう写真は、 ピントあわせも難しい。
後ろに白く、 ツンツンしてるのも、すべてネジバナです。
捩花 ネジバナ、文字摺草 モジズリソウ… 歳時記では、 茎の頂きに多数の桃色の小さい花をつづり、 穂状の花が螺旋形にねじれて咲く。
小さい花を綴り… なんて文学的だ。 さすがに歳時記!
ぐるっと 螺旋、 渦巻き… と言えば ル・コルビュジエ。 彼の建築や絵画にたくさん出てくる。
ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡 展示を10項目に分けて、 魅力を余すところなく伝えている。 たいそう面白かった。 おすすめです。 詳細はこちらから
彼の代表的建築や、都市計画を、彼があらわした理念とともに図面や大型模型や、映像で紹介する。 門外漢にも、 充分理解できた。 とても楽しい。
ロンシャンの礼拝堂 や ラ・トゥーレットの修道院など 光りの取り入れに興味が湧く。 大きさも形もさまざまな窓、 ランダムな配置。 彩色され、 マリア像や聖書の言葉などコルビュジエ自らが描いている。 それらを縫うように届く淡きひかり。 解説によれば
いずれも、ル・コルビュジエが 「音響的形態」 と呼んだ リズミカルな空間の構成、周囲の環境と響きあう建築的プロムナードを 体現した建築と言えるだろう。
そうでしょうね。 母はピアノ教師 兄は作曲家ですから。
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女性や牡牛の絵。 貝殻やガラス瓶、 石ころ、 骨、 松ぽっくり、 ロープなど。 手のモチーフ。 調和のとれた色彩。 キュビズムに対してピュリズム。 彫刻やタペストリーへ、さまざまに展開する。 直角の詩(ル・コルビュジエによる軽妙な挿絵とテキストの詩画集)。 (下、写真左 ブルターニュのバイオリン 油彩 ・ 写真中および右 直角の詩 リトグラフ。 いずれも絵はがきから)
これらは すべて建築へと繋がるのである。
パリのアトリエを実寸大で再現、 アパートの最上階で空と緑しか見えない。彼はここで、 午前中は絵を描き、彫刻をした。 愛用品が展示され お馴染みの丸い眼鏡や、 モチーフの数々。 採光の工夫。 午後から事務所で建築の仕事をした。
特に!! コルビュジエの愛犬の毛皮によって装丁された愛読書。 その発想に驚いた。 栗色の短い毛並みを ときどき撫でていたに違いない。
10項目めは 1951年 妻のために建てたカップマルタンの休暇小屋、 原寸通り再現され、 靴を脱いで、部屋にあがり実感できる。
外壁には松の丸太が張ってある。 広さが 3.66メートル四方、 およそ8畳間。 あるのは、二つのベッドと、小さな仕事机、 最小限のキャビネットにトイレと洗面台である。 小屋はレストラン 「ひとで軒」 に寄り添うように建っている。 キッチンは必要ない。
少し暗くないだろうか 3カ所にある窓は小さめだ。 イヴォンヌの肖像画を飾り、 窓の扉や、 壁にも絵が描いてある。 ここで国立西洋美術館の設計もした。
ヒアシンスハウスの大きな窓と開放感に慣れているので 暗く、実際より狭く感じてしまう。
1937~1938年頃詩人が夢みた 風信子荘
1951年 コルビュジエの カップマルタンの小屋
どちらも 主はもう居ない 絵画と建築を愛し、 すばらしい遺産を残してくれたことに感謝しよう。 螺旋はくり返し… 文字摺りの花の粒のように透明な言葉が ソネットを生んだ。
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