別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

蛇の目

2009-04-30 | 夢見鳥

ヒメウラナリジャノメ           コジャノメ

  三毳山の雑木林でみつけた蝶を 調べると 「 ヒメウラナリジャノメ」 と 「コジャノメ」。 どちらも眼のような文様があるので嬉しくなった。
    ヘビの目だモン…  
 
 栃木県下都賀郡岩舟町の三毳山(229m)。 ミカモヤマには 万葉の歌がある。

 

  下つ毛野 三毳山の小楢のす まぐはし子ろは 誰が笥か持たむ

  

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緑に

2009-04-28 | 別所沼だより
合成写真

             ある日 悲哀が私をうたはせ
             否定が 私を酔はせたときに
             すべてはとほくに   美しい
             色あひをして  見えてゐた

             涙が頬に かわかずにあり
             頬は痛く ゆがんだままに
             私はそれを見てゐたのだが
             すべては明るくほほゑむかのやうだつた

             たとへば沼のほとりに住む小家であつた
             ざわざわと ざわめき鳴つて すぎて行く
             時のなかを朽ちてゆく あの窓のない小家であつた……
                
             しかし 世界は 私を抱擁し
             私はいつしか 別の涙をながしてゐた
             甘い肯定が 私に祈りをゆるすために                

                               立原道造   午後に
 
                   -☆-

  きのうのこと。  白い花が、 すがすがしい風信子荘。
  木々は着実によそおいを変えて、 みどり色の風が吹いていた。 旗のないポール、 片流れの屋根、 入口の三段だけの階段、 雨戸をなぞるように過ぎてゆく。  
 
 季節は 猫の目のようにかわる。 
 緑が日増しに濃くなって、 夏のような陽ざしかと思えば、 きょうは花冷え。 まばらな釣り客も声をひそめ、 鳥の囀りもしない。
 冷たい風に身をすくめ 透きとおるような緑をぬけると、 やわらかい若葉になれるような気がした。 

       

  蒲公英が綿毛を飛ばし、 藤や躑躅、 シャガの群れ、アイリスが盛り。 
  山吹は終わりそうだ。 

  

  メタセコイアは鳥の羽    藤棚のもとで 語らうひと  

       

 (4月27日撮)

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キンポウゲ

2009-04-26 | 自然や花など
ここにあった画像を盗まれ悲しいです。返して下さい、他にも写真が抜き取られています。



   初夏の陽を浴びて キンポウゲが咲く。 艶のある花びらを エナメル加工したように ピカピカ光らせていた。
   

  

  十二単を追い越して 草丈60㎝以上ありそうだ。  濃緑の葉は馬の足形に似る。 大きくなりすぎて、 ほんとうにキンポウゲだろうか  それともキジムシロの仲間かと考えてしまう。 隣の勿忘草は、 ますます小さくなっている。 
  
  金色のキンポウゲの群れが風にざわめき、 野薔薇が咲きほこっているのに出合ったので、 すぐに気前よく大きな花の冠にして…  掛川恭子 訳
  
  アンは、 麦藁帽子に飾った。

    

  細い枝がつぎつぎ分かれて  自由に花をつける。  
    狭い場所を占領して、 案外強そう。

       金鳳華子らの遊びは野にはずむ     多佳子

              ほんとうは 鳥の足形だって

 

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行列

2009-04-26 | アートな時間

      

    行列ができている   とりあえず並んだ
    何のため    何処まで登るの  (写真: 多摩森林科学園で)

 

 

    待つ間も惜しんで   ちょっと川まで
      慣れないオール  水しぶきに歓声  魚が跳ねる
          
                 

    

    大蛇のように 身をくねらせて 流れは早い 
      小鳥や虫も おののき逃げる 

      

     陸オカにあがって寝転んでみる   
        天上の まぶしい青ガラス  

 

         

       雪の回廊  向かいは車道    苦し紛れのナンセンス

         いったい 何なの  くだらないったら  降らない               
                
                     かくて行列   ふりだしへ戻る  

                    
  

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かざしの花

2009-04-24 | 自然や花など

  瑞々しい若葉に縁取られた暗い斜面に、 主役の桜に負けまいと、 明るい点々が咲き誇っていた。 遠目にもあざやかだった黄色は一重の山吹だ。
   (写真: 多摩森林科学園で)


     

       山吹や笠にさしよき枝のなり      芭蕉

     挿頭カザシの花は、 くっきりとしていて、 やはり一重だろう。 
     目に浮かぶようだ。 昔は力士も葵の花や夕顔の花を髷にさしたのだそうだ。 花道を挿頭をつけて行くお相撲さん…  能の橋掛を進むようなこの時間が、神聖なセレモニーになると… 以前 読んだ。 

 

山吹 モッコウバラ

  うちのは八重で花びらのようすが満開の木香薔薇に、 よく似ている。
   これも  乙女椿のように千重咲きと呼ぶのだろうか



 

   山吹を透かして 薄紅の桜が見えた。 そのうしろは、水色のガラス。
   風景は 心の絵になって残った。

       天辺に水あるごときさくらかな      萩原麦草

    やはり 桜は水面を流れてゆく

 

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逆しま

2009-04-22 | 自然や花など


   夕べの雨で か細い茎は倒れていた 

  陽をうけて yoro yoro 起きあがった壺珊瑚 
    逆さになったその壺に 滴を溜めている
       きっと 赤ワイン… 
     
 
      きづかさやよせさにしざひもお     閑吟集 189
   
    こちらは 日本酒   
   室町歌謡に出会ったので  記念に一献さしあげましょう

    思ひ差しに差せよや盃  どうぞ  

      むらあやてこもひよこたま   273

   

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都会的

2009-04-21 | アートな時間

                      

                            橋本シャーン 

  万葉の友だちが送ってくれた案内状の絵
    
      マチスかピカソの   洗練された線  
         デザインも色も  垢抜けている
                お洒落な森さんが好んだのもよくわかる 

   都心に住む友だちは シャーンさんの教室で絵を描いている
     こんど 見せて貰おうとおもう 
                      … 沼蛙はいつも泥くさいなぁ

 

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カットガラス

2009-04-19 | アートな時間

  一瞬のきらめき  まぼろしの薩摩切子展 へ 
                        
  1憧れのカットガラス 
    西洋からもたらされた無色透明のカットガラス。 
    イギリス、アイルランド、力強い直線。 ボヘミヤの優美な曲線など 
     ・カットガラス 蓋付大鉢(魚子文 19世紀 イギリス或いはアイルランド)
   
    江戸時代後期、 日本にもガラス登場。
     ・江戸切子 鉢(アラレ文) 
     ・板ガラス ・半球体ガラス(船舶用 太陽光を拡散させて取りこむ)
     ・液体の比重を計るシリンダーと浮き秤など一式。

  2薩摩切子の誕生、そして興隆
     1846、薩摩藩主 島津斉興ナリオキがはじめたガラス産業は
    息子、斉彬ナリアキラの代に飛躍的に成長する。
   ・薩摩切子 脚付杯 ・薩摩切子 紅色被皿(菊文)
   ・薩摩切子 紅色被皿(太い線と細線2本による 薩摩縞 お洒落)
   ・薩摩切子 緑青色被蓋物、 藍色被蓋瓶(斜格子、魚子文。亀甲文)
   ・薩摩切子 紅色被皿 (紅のぼかしが美しい)

    1863、薩英戦争によりガラス工場は破壊され 衰退の一途をたどる。
  
  3名士たちの薩摩切子
   将軍家や大名家に伝来する高級品。 文人や彫刻家の愛蔵品など。
   ・雛道具 一式 徳川記念財団所蔵 
  (お道具は美術品。 篤姫のため。 無色、 蓋付重、瓶、文具など何でもある。 大きなものと変わらぬ細緻な仕上げは宝石のようで溜息がでる)


  
        パンフレット写真 拡大

  4進化する薩摩切子
    ・薩摩切子紫色被ちろり (冷酒用)  ・薩摩切子紅色被碗 (モダン)
    ・薩摩切子黄色碗 (暗い黄色をクロギヤマンと呼んだ)
      (だんだん洗練され シンプルになってくる)

  5薩摩切子の行方

   ここから いくつかの作品が見られます。画像を大きくしてご覧ください
             (160件の作品から。括弧内は気ままな感想・メモです)
   
             -☆-

 ガラスに 紫 紅 藍 黄 緑色などを 被せ、 魚子ナナコ文、 霰、 亀甲、 六角・八角籠目、 麻の葉、菊、 蜘蛛の巣 矢来ヤライ(組み方によって角矢来・菱矢来)などの文様を施す。 彫った部分のコントラスト。  

 文様のさまざまな組み合わせも粋、 面白い。 色と文様が織りなすハーモニーが奏でる耀き。 角度によって 煌めきが変わる。 光が複雑なカット面に反射したり、屈折しながら光彩を放つ。 カットは鋭いV字やU字形もある。 暈かしの手法など。
  写真と解説(パンフレット、 HPより)
             -☆-

  水と生きる展で藍色に、 今回は無色の大皿に限りなく魅かれた。

  

  薩摩切子 大皿  19世紀中頃 
  会場の照明が透けて翳を創る。 無色の温かさ、 サンドベージュの、やわらかな色。 影はまるで 繊細なドイリー。 文様の取り合わせに息を呑む。 
  斉彬から四女典姫(ノリヒメ)に形見として贈られた。 

 -☆- 18日 新宿の用事のまえにサントリー美術館。 
   ファーバーカステル 東京ミッドタウン、 筆記具(ドイツ製)が楽しみだった。 
 橋本シャーンのペン画、 色鉛筆や水彩で明るい。 森瑤子のオマージュ展。エッセイを読むと帽子をかぶるコツなど書いてあった。 執筆中必ず左手に握っていたという気持が落ちつく丸い石、数個。 お洒落ですてきだった52年の生涯を覚えておこう。 

  
  

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トウダイグサ科

2009-04-19 | 自然や花など

   先日の不思議なグリーン、 角度を変えてみれば 丸葉一枚に、それぞれ二つの灯台をもつのがわかる。

トウダイグサの仲間です。  ルピナスさんが調べてくださった。

 「英国王立園芸協会 監修
 <新、花と植物百科>」 
              発行: 同朋舎
                   によると

ユーフォルビア ・
      シッキメンシス
(Euphorbia Sikkimensis)
  らしいとのこと。

 草花といえば、いつも花ばかり注目してきた。 しかし センスがいいと感じる花壇は、たいてい美しい緑が主体である。 ミドリの中に明るい色をほんの少し。 実際 うちの庭は、 今は暑苦しいくらいの色で溢れる。 まえからあった躑躅のせいだ。大紫以外は好きじゃない。

 シロタエギクや風知草、ギボウシはあるけれど、 カラジウム、 アサギリソウなど植えて、 色彩を和らげたなら落ち着いた花壇になるだろう。

  さすが花博士  ルピナスさんのおかげでユーフォルビアを知った。 種類も多く、 ポインセチアやハツユキソウもこの仲間。 ほかに斑入りなどある。

  さまざまな形と色のグリーンを主に、高低、変化のある植栽は、 眼にやさしい。アクセントの黄色や紫、赤などの分量もほどよくて、 いっそう楽しみ。 ビルの花壇をもういちど見てこよう。

  ルピナスさん お知らせありがとうございます。

 ※ 灯台… 昔の室内照明器具。 上に油皿をのせて灯心を立て火をともす台  

 

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ごめんなさい

2009-04-15 | 別所沼だより

  先週来たばかりなのに きょうも別所へ。  うこん桜も気になった。 水曜日のヒアシンスハウスはすでに雨戸をしめて、 ちょうどガイドさんが出て行くところ。 長い髪が風に靡くのを遠くから見守りながら直感した。 きっと 青い小麦さん… 


  

  鬱金桜は満開で、 黄緑に薄紅を刷いて夢見るようだ。 けれども強風に煽られると金切り声が聞こえそうだった。  昨年の暮、 家族が胃ガンのため、その3分の2を摘出した。 過ぎてみれば、 一大事も夢のごとく。
  しばらくの間ご厚意に甘えてガイドを休んでいた。
  木洩れ日のもとで 告知からの日々をなぞる。 ありがたいお言葉をいただいたこと、 術後の先輩たちに励まされて、 ふたりとも冷静だったことなど振り返る。  

              -☆-

 

  そろそろ復帰、 代表のお宅に伺って希望日を出したその時、 なんと 先ほどの若い女性がこちらにやってくる。 すれ違いざま、 やわらかな微笑みまでくださった。
  やはり、 確かめたくなった。 

  「失礼ですが…」 ここはたぶん声にならなかった 「青い小麦さん?」 口ごもるのをじっと見つめるので 人ちがいかも知れぬと思い、 あらためて 
 「青い小麦さんをご存じでしょうか」 と尋ねた。  ご本人にこの質問!

  かねてより青い小麦さんのblog「黄昏ビール」に伺っていたので 「立原道造のような、 透明な感性… センスがいい」 などと口走る。 突然で失礼しました。

              -☆-

  その折 青い小麦さんからお聞きして 申し訳なく思いました。

  奈良のHさん  はるばると 今年も3月にいらしたのですね。 ほんとうにありがとうございました。 お断りもなく休んでしまって ごめんなさい。 お許しください。
 ガイドは続けるつもりです。 まだ、ハウスのノートを拝見しておりませんが、
 別所沼だよりをご覧いただきましてありがとうございます。
  こんどこそ! きちんと日にちを合わせましょうね。 blog宛てにメールでもいただけましたらうれしいです。 来年もおなじ日取り?  ありがとうございました。

 

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花はミドリ

2009-04-14 | 自然や花など

  選ぶ花は 蘭ならグリーン系、  クリスマスローズも ほんのりミドリを植えた。
  
   都心で見てきた花壇の花は  爽やかなライムグリーンの色をして

    

   巾着をつかまえたヒトデのような 不思議なかたちで 名前も解らない

 

  家で咲いたばかりの鉄線も すみれも 仄かにグリーン  清潔な感じがして好き  

 

 

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憂鬱なる桜

2009-04-12 | 自然や花など

    憂鬱なる桜が遠くからにほひはじめた
     桜の枝はいちめんにひろがつている
      日光はきらきらとしてはなはだまぶしい…   

       …ああいかに幸福なる人生がそこにあるか
         なんといふよろこびが輝やいてゐることか…

                        憂鬱なる花見    萩原朔太郎  (抜粋)

  感覚的憂鬱性! それは桜のはなの酢えた匂いのやうに、白く埃っぽい外光の中で、いつもなやましい光を感じさせる。 

                   -☆-
              
  11日 快晴の夏日、 墓参をかねて多摩森林科学園 さくら保存林でお花見。 時期をずらしてみると、 以前来たときに見られなかった種類が咲いている。 どうしてこの名がついたのか飴玉桜  小さな八重咲き「雛菊桜」  楊貴妃など 

   整理がつかないほど撮した さくらの写真
         憂鬱なる花見   うまく繋がらない

                    -☆-

   

                    
  椿に近づくと、 1㎝くらいのえんじ色の花が飛び込んできた。 好きな色、 形も面白いので撮しておく。 ガイドさんにカメラのモニターを見せるとすぐに解った。 初めて見るアケビの花だ。 調べると、これが実に面白い。

  雌花と雄花がならんでいる。 おなじ枝に、 開花した雌花と、 一方に小さな蕾が10個くらい、 こちらが雄花。

 

  椿に絡みつくアケビの新しい蔓、 黄緑の葉がうつくしい。 
   赤い点々はアケビの花。
  右の桜は親鸞上人が駒をつないだと伝えられる 「駒繋 コマツナギ」 一重、白の大輪。

   樹木林の草花もたのしみ。

  レースフラワーのような「セントウソウ」、 仏の座と間違えた「ヒメオドリコソウ」、  一輪でも「ニリンソウ」、 「タチツボスミレ」はいたるところ。

 

  ユーモラスな 「ヤブレガサ」 をさして、 こちらに向かってくるのが見えるでしょうか。

   

  勿忘草ににている 「ヤマルリソウ」

    

   「クサイチゴ」

 

    羊歯植物 「ゼンマイ」    渦巻きバネ(発条)の語源となる
         大きく育つ 旗頭 

 
   
 
 
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春深し

2009-04-10 | 自然や花など

   
   乙女椿は満開を過ぎて ポッタリ ポッタリ落ちてくる
    ピンクの夏毛布を 敷くように重ねて  
       だんだん日に焼けて 色あせるのも 寂びたのもすき 


   うちの紫木蓮は 見あげても 高くてうまく写らない 
    山口蓬春 「留園駘春」  全くこの絵のとおりに咲いている  
      大きな花びらが 大空に揺らぐ

           

 

   初夏の日射しに 牡丹が誇らしげに開いた
    夕方 花束にして友だちに届けた 
     黒のうすいニットと黒のパンツ 
      Vゾーンに滅紫ケシムラサキの
             大きなブローチを留めて待っていた
          マダムみたいで ハッとするほどすてきだった 
                     

   濃山吹は  緑に載せた黄色い刺繍のよう。 
    日の出つつじも  つまみ絵のような蕾を用意している

   
   庭にシメがきている   久しぶりね
       もう餌は置かないの   そろそろ渡るころでしょう

  去年の牡丹から   1咲きいでぬ   2牡丹焚火   3女の襟足

 

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白サギの詩

2009-04-10 | アートな時間

  鳥のこころは私のこころ…    無数のさぎを見守っていると、
 そこではまったく白さぎとともにあり  ともにたわむれ  ともに呼吸し  ともに喜び ともに生きている そんな思いでいっぱいなのです
。 
 
 写真家・田中徳太郎さんは16年間も サギのこころを撮してきた。
 
  渡り鳥のシラサギは4月の声をきくと 5~6千㎞も飛び続けて日本にやってくる。 
 ふるさとの森で第一夜、 ぐっすり眠るダイサギの群れは、木蓮の花のよう
疲れをやすめているのだろうか…  待ち望んで安堵する作者の やさしい眼差しがある。
 写真部分 星の軌跡も幻想的、 拡大してご覧ください
 
 シラサギと呼ばれるのは3種類で ダイサギ チュウサギ コサギ。  全身純白の羽毛。 他のは、 毛色が違ってスマートさもない、 アマサギ (頭部や首、背に橙黄色) ゴイサギ (頭や背が黒い。 醍醐天皇から5位の位を授かったという) 

  冬、田や森かげでみかける可憐なサギはコサギ、 漂鳥だ。

 1 春風に毅然と飾り羽をなびかせ、 片脚で憩うダイサギ。 貴婦人のよう。
 (ダイサギの夏羽は、背から みの(蓑)状の飾り羽が出る)


2 ダイサギが人間のひとりものに見えた (作者のことば) 
 ニューヨーク近代美術館コレクション 

 作品はやはり 実物に限るでしょうね。 スキャナーを駆使してみましたが、 おぼつかない技術では、作品の持つ崇高なイメージにほど遠くなってしまいました。 お許しください。

  繊細な濃淡や立体感、 臨場感。 何より田中さんが 「素晴らしい、気高い」と思われた白さや 詩情が出ませんでした。 雰囲気だけでもお伝えしたいと思います。
   
  台風に襲われ巣も吹き落とされ ヒナの群れが地上にうごめいていたり、 農薬に汚染された餌により美しいシラサギが死んでいく、 蛇が忍び寄る…  痛々しい姿もとらえていた。

  シラサギの喜びも悲しみも 自分のことのように思えてならない 
 
写真家は どんなにか苦しみ、 悲しんだことだろうか。
 
 人間がつくる公害のために、 命を落とすサギたち、 人間さえ住みにくい時代になった。

 

 3 竹の小枝に憩うダイサギ。 絶えず、くちばしで羽毛の粧いをしている。 きれい好き 4 眼光も鋭く 厳しくあたりを警戒する親鳥  足下のヒナ  

  白サギに向けるひたむきな愛と執念に感動します。 生誕100年のことし、 自然への警鐘をならしつづけ、 白鷺の美しさを伝えてくださった田中さんの偉業を こころから讃えたいと思いました。   

      

  資料      THE WHITE EGRET  しらさぎ 田中徳太郎  講談社
          白サギの詩  田中徳太郎   岩波書店
          PHOTO SALON 白鷺 天空のファンタジア 
                       田中徳太郎作品集  玄光社 
          シラサギの森   田中徳太郎  あかね書房  
          フィールドガイド 日本の野鳥 高野伸二著 <財>日本野鳥の会
 
     

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春の妖精

2009-04-07 | 別所沼だより

   
    柳はサラサラ  風に吹かれ  メタセコイアも芽ぐむ春
     沼は やわらかに微笑んだ
    
      オキザリスが咲いて  きょうは黄色い帽子の ちいさな妖精がいます    
       なにか みつけたの
         
           

     

   
    鬱金桜は 咲き始めたばかり  満開の鬱金  2008年  2007年

   

          ベニカナメモチの新芽が ツヤツヤして うれしそうです
           チャッカリ屋の ホトトギスが唄うのも間もなくですね

                   -☆-

              ある日 小鳥をきいたとき
              私の胸は ときめいた
              耳をひたした沈黙シジマのなかに
              なんと優しい笑ひ声だ!

              にほいのままの 花のいろ
              飛び行く雲の  ながれかた
              指さし 目で追ひ――心なく
              草のあひだに  憩ヤスんでゐた

              思ひきりうつとりとして 羽虫の
              うなりに耳傾けた 小さい弓を描いて
              その歌もやつぱりあの空に消えて行く

              消えて行く 雲 消えて行く おそれ
              若さの扉はひらいてゐた 青い青い
              空のいろ 日にかがやいた!

                               立原道造  鳥啼くときに
         式子内親王《ほととぎすそのかみやまの》によるNachdichtung

    ほととぎす そのかみ山の 旅枕 ほのかたらひし 空ぞわすれぬ 
                                  式子内親王(新古今)
  道造と俳句、新古今など 関連記事はこちら へ

 

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