別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

向きあう

2006-03-15 | 向き合う

 17日から。それは本人も納得ずみ。それが少し早まった。きのう、人生初めての入院をした。
 「rugが待ってるから、早く帰ってあげて…  家のほう、よろしくおねがいします」 そう言った。 すでに本を読み始めている。 目を上げずにきっちりした声が返ってきた。 さすがだ。
 娘は湿気った顔を見られずにすむ。  

 ゆうべ眠れなかった。 ここ1ヶ月ばかり添い寝をしていた。痛まないか、トイレはうまくいっただろうか。 夜中に4.5回は起きていたから。 気落ちしてないか。 あれこれ巡った。

 ラジオ、目薬、先生のエッセイや佐藤愛子の読みかけなど持って、きょうも見舞った。彼女はどことなく佐藤愛子に似ている。四角っぽい顔だと思う。佐藤さん、ごめんなさい。どちらも明るい いい笑顔であたたかく包まれる。

 部屋がきのうと変わっていた。 すでに昼食をすませウトウト始めているところ 「おかあさん、来・た・わ・よ」と耳元に告げる。
「わあ 来てくれた。遅かったじゃない」 上気した顔をほころばせ 夕べはよく眠れて。食事もみんな頂いて。 こちらの方は90歳、そちらの方は80代と、事情聴取の成果を挙げる。「私が一番おばあさんだね」と続けた。
 すごい! 新しい環境に順応している。まるで女学生の合宿のように昂揚していた。

 TVカードやイヤホンを求めておいたのにTVはみない、本が面白いと言う。 家でも新聞を私より熱心に読んでいた。 頭はすこぶる元気なのだ。

 これから、治療がはじまる。どうぞ穏やかに過ごせますように。 ストレスも少なく快適に過ごして欲しい。 まだrugのことさえ伝えられない。 これからたくさんの嘘をかさねていくのだ。  
コメント (6)
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