別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

2008-01-30 | 自然や花など

   
          
          貴婦人クラスの優雅な暮らし
          千万本  針はあっても
          何も縫わない

 

            風の日に
            お琴をすこし            
                          (松  堀口大學)

            
             -☆-


    植木屋さんは…   

    枯葉を一本ずつ抜いている   
  

    少ししたら  梯子を降りてきて   煙草に火をつける

       うしろに下がって  ああでもない…    こうでもない…
  

       芸術家だった 

           

      

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繍眼児

2008-01-27 | 夢見鳥

    なんだか すごい名前       

      印象的なあの児は   林檎やみかんが大好きで

        雪の日だって 水浴びする 元気な子  

             目の縁どりも すてき…  
  

 

       

 

 
  見た目はたいしたことないのに  漢字で書くと大げさなもの   

  覆盆子 イチゴ ・ 鴨頭草 ツユクサ ・ 草冠に欠を書いてミズフフキ ・ 虎杖イタドリ ・ 蜘蛛 ……


  清少納言さん   繍眼児メジロ さんも  加えてください  
  

   軽業師のメジロは  素早いポジショニングで  逆様でも平気  
    嘴を研いだり  唄ったり  それはにぎやかです

       チーチュル チーチュル チチルチチル……   

 

         … 目じろの眼
              冬  冬である  …

                         目白  三好達治  (部分)     

    

            恐ろしげなもの  いろいろ あるようで 

 

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無患子

2008-01-25 | 自然や花など

ムクロジ   

 

    あめ玉みたいな球形の実は ムクロジ 「無患子」です。 膠でかためたような皮は、 頑丈でなかなか破れません。 振ると音がする。 中に黒い種子がある。
  たくさん実をつけた梢は、 風が吹くといっせいにカラカラと鳴るでしょうね。   

  
  追い羽根の球や、 数珠にします。 果皮はサポニンを含んでいて、 石鹸の代用にされました。  子供の頃泡立てて、 よく遊んだものです。

   ツブ ・ ムク ・ ムクロ ・ ムクロンジ  [季] 秋
    羽根つきも   なつかしい…       詳しいことは こちらで
 


    きのう  寒風にさらされるユリノキを見ました。  神々しいほどです。


ユリノキ

  
     自然の 底知れぬつよさ    強風にびくともしない 
      潔く そぎ落として   なお  美しい

    緑の ユリノキ

  ※ 陽明文庫創立70周年記念特別展  宮廷のみやび 近衛家1000年の名宝 

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雪見

2008-01-23 | 別所沼だより

  

       覚悟して風邪引きに行く雪見かな         杉風



  ようやく 別所も雪模様です。  往復歩いてきました。  粉雪がやがて湿り気のある大きな一片となって宙を舞う。  これから積もる…  胸がおどりました。

  

    

 

       雪降れり時間の束の降るごとく          波郷

 
   「六花ムツノハナ」 の乱舞。  珍しいショウのはじまりに、 カモメも狂喜する。 
  いっとき、 これほどふぶいて、 服にかかると凍りつく。 傘は重く、 慣れない雨靴が当たるのです。  されど、 待ちに待った雪げしき…  

  枯れ木に白い花。  小さな雪だるまも出来ていました(上左写真、 真ん中あたり)。   


       雪だるま星のおしゃべりぺちゃくちゃと      たかし

 


                    

 
  昼過ぎ…  だいぶ烈しくなりました。  もと来た道を急ぎます。 途中、 視線が気になりはじめ。 駅近くなると、 追い越しざまに振り向くひとさえある。 

  傘を閉じる段になって、 やっとわかりました。  こなたかなたと目が遊び、 3時間ものあいだ、 いちども雪を払ったり落としたりしなかったこと。  傘の尾根づたいに 「雪庇」 ならぬ、 天辺でみごとな氷になっていました。 重いわけです。  熱中のあまり、 カメラを濡らさぬように、 そればかりで、 及びもしないことでした。 
 左手に、 とびきり重いカサ。  右手にカメラ。  片手で撮す写真の…

  沼はベールを懸けたように、 ぼーうっと霞んでいました。  スクリーンにハラハラと降っていた…  無声映画のように。   雪降る音や雪の声、 久しぶりに聴きました。  


   でも、 夕方になると
 
  「冠雪カムリユキ」 や 「しずり雪」 などの風情もなく、 冷たい匂いだけ残して、 夢のように消えていました。  二年ぶりの雪見です。

  

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サイネリア

2008-01-19 | 自然や花など

 

     寒い日だった   午後から 花屋さんに行く   

       あかるい彩りが   こころを温かくした

           サイネリア、 シネラリア、  富貴菊 フウキギク

        

 

   清潔な装い…   やわらかい反射が 花の若さを輝かせている

    こちらは  マーガレットですよ

  
          -☆-


   高村光太郎は 云っている。


   冬の季節ほど私に底知れぬ力と、 光りをつつんだ美しさとを感じさせるものはない。 満目蕭条…  
  … 私はその満目蕭条たる風景にこそ実にいきいきした生活力を感じ、 心がうたれ、 はげまされ、 限りない自然の美を見る。 
         

   雪の予報を聞いた   冬はつとめて… 清少納言   明日こそは早起きをしよう

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五葉と漱石と

2008-01-16 | アートな時間
下編ジャケット

 新日曜美術館で漱石に再会できた。 

  版画家 橋口五葉の斬新な表紙や装画が紹介され、 とくに美人画の洗練された流麗な線は、 1000枚以上に及ぶデッサンの賜だと知った。

 

  夏目漱石は五葉の版画を 「五葉の絵は特徴がある。あれは 確かに橋口の絵で僕は非常に感服した。 僕の文章より旨い…」 と賛辞を惜しまなかった。 

  

  以前、 風信子荘で装画にひかれ、 手に取り、 写真に写したので番組は楽しみだった。  早速引用します。 

  本の表紙や扉を返して見たが、 どこにもすばらしい装幀家の名前は記されていなかったようだ。 五葉25歳の作品。 もう一度確かめよう。  

 

          左から中編・上編ジャケット  

 
   拡大はここ   
   他の作品    中編 扉(見開き)   下編 扉(見開き)   実物に装幀家が明記されていないので、 サインは、中村不折の 不、 或いは五葉の 五。 どちらにも思えました。  五葉のサインは 美人画にあります。  どうやら 「五」のようで…  勿論 不折も、 漱石の本の装幀をしています。 


                     
                                        -☆-


  文藝春秋新年特別号の 「漱石の長襦袢  半藤末利子」 を読んだ。 漱石はこれを部屋着にしたり羽織ったりはしなかったらしい。 いつの間にか女物にされて…  展示のキャプションに、 お身内(漱石のお孫さん)が驚いている。 漱石は時々羽織の裏など見えないところのお洒落を楽しんでいた、 ものの。

  画像は 熊本近代文学館「収蔵品展」でご覧になれます。  昨年展示されていた長襦袢と 同じものらしい。 が、江戸東京博物館の照明でみたときは 南蛮模様の朱色が際だっていた。 
 久しぶりに友といっしょで昂揚していたのだろうか。  とりわけ鮮やかだった。  

 

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真冬のかたみに…

2008-01-13 | 別所沼だより

     

            
             追ひもせずに  追はれもせずに  枯木のかげに 
              立つて  見つめてゐる  まつ白い雪の
             おもてに  ながされた  私の影を――
             (かなしく  青い形は  見えて来る)

 

             私はきいてゐる  さう!  たしかに
             私は  きいてゐる  その影の  うたつてゐるのを……
             それは涙ぐんだ鼻声に  かへらない
             昔の過ぎた夏花のしらべを  うたふ

                          真冬のかたみに…   立原道造  抜粋

 
                        
                       -☆- 

 

  別所に雪はなかった。 くもり。 終日雪下ろしの強風。 開室時の気温2度。 11時になっても来客無く。  釣り人はいつも元気。  群がり、 野鳥のように一列に並んだ。 こんな日は、 魚も水底で眠っているに違いない。  
  ジョギングに精を出すひとも絶え間なく。  水彩を描く人もいる。   

  

  ぼんやり、 風のうなり声を聞いた。  まえの枯草がちぎれて飛ばされる。  窓を開けるとメタセコイアの手裏剣まで入ってくる。  鳩やカモメ、鴨が騒いだ。   



  ご案内のプレートを覗きこんで、 歓喜しているのが遠くからわかった。 カップルがにこにこと近づいてくる。 金沢から一路ハウスめがけ…   ずっとずっと 思い描いていらしたのだろう。 2時間近く滞在された。 
 ありがたく思う。

 

  葛西から 部屋探しのおふたりは、 どんなところか、治安はどうか… 実地見聞にいらしたところ。 近くに沼が  ハウスがある…   偶然を喜ばれた。
  「ぜひここに お決めください」  俄に不動産屋となって 別所の宣伝に励んだ。  

  来客21名。  午後は晴れたが6度しかない。 風も凍る。                           

    
    2006年 おなじ頃の別所沼    乱舞するカモメ

 

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ミチア

2008-01-04 | 別所沼だより

   

  
   3日。  冷気がつつむ別所沼。 見慣れたはずの景色も、 コバルトを映して淑気に満ちていた。  
 冬枯れの木立が 凛として並ぶ。 厳しいこの季節こそ、 好きというひと。 
      

                       -☆-


    (をかしな鳥があすこに居る!)
    (どれだい)
              稲草が魔法使ひの眼鏡で見たといふふうで
       天があかるい孔雀石板で張られてゐるこのひなか
       川を見おろす高圧線に
       まこと思案のその鳥です


   


       
    (ははあ あいつはかはせみだ
     翡翠さ めだまの赤い
     ああミチア きょうもずゐぶん暑いねえ)

    (何よ ミチアって)
    (あいつの名だよ
     ミの字はせなかのなめらかさ
     チの字はくちのとがった工合グアヒ
     アの字はつまり愛称だな)  ……

 

     …まだ魚狗カハセミはじっとして
       川の青さをにらんでゐます  

                (花鳥図譜  宮沢賢治) 抜粋


 
 きょうも なかなか近寄れない。
 水質浄化試験のための、 柵に張られた綱のうえ  よく見ると魚をくわえている。
   …はっきり見えませんね    こちらのサイトに助けて貰います。 うつくしい!

 

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