別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

庭に

2010-01-30 | 自然や花など
 

    愛らしい エリカ は  今もまだ咲いている
   ひくい陽をうけて ほの暗い庭にうかびあがる

          もの皆の縁かがやきて春日落つ   松本たかし   
 
 
 
 
  片隅の黄水仙にも  日は平等だ  
  きょうの新聞に咲いていたのは

          水仙や古鏡の如く花をかゝぐ     松本たかし  

  花冠を上古の銅鏡に(見立て)   美少年ナルキッソスは水鏡に映る自分の姿… 古今と東西を隔てた鏡の符合は興味深い…  (高橋睦郎  花をひろう) 


   ここの水仙は やはり白い花弁がいい。

            

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

詩人に感謝

2010-01-23 | 別所沼だより

  ガイドの日。 10時現在、 北側の温度計は-4℃を指していた。
  窓越しにお日様がポカポカと暖める。 連続フルマラソンギネス記録の楠田昭徳さんも見かけた。 若い団体も走っている。

  ヒアシンスハウスの会報 第一号を読むと、 六十年の歳月を経て建てられたことなどあった。 真っ先に 奇跡であり、驚愕であり、感謝である と 会の代表 北原立木先生が記していた。 建築・文学双方の著名人を発起人にして用地を得るため市役所を何度も訪ね、粘ったこと。 全国の道造の詩の愛好者や市民の浄財により実現したことなど、 関係者への感謝の言葉が並んでいた。 

           -☆-

  ここはいつも、 ガイドしながら自らが楽しむ空間だ。 十字の切り抜きのある椅子にすわる。 木材のすがすがしい芳香に心身が浄化される。 吹き抜ける風にこころ躍らせ詩人と逢う。 新鮮な眼で想いにふれる。

     
  
    
    

     朝やけ     立原道造

   昨夜の眠りの よごれた死骸の上に
   腰をかけてゐるのは だれ?
   その深い くらい瞳から 今また
   僕の汲んでゐるものは 何ですか?

   こんなにも  牢屋ヒトヤめいた部屋うちを
   あんなに 御堂のやうに きらめかせ はためかせ
   あの音楽はどこへ行つたか
   あの形象カタチはどこへ過ぎたか

            (後略)

  
   道造のことばが ささやく…  
     なんと繊細で 危ういことか

                -☆-

 来訪者 午前中 4名。 午後は北原先生にバトンタッチ
  ハウスの時間に感謝したい。
  居心地の良い知的空間、 心の基地になりました。 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春をさがす

2010-01-20 | 自然や花など

  美術館のちいさな池も氷るほど 厳しい寒さが続いていた
  春は行きつ戻りつだけれど  きのうきょうはビックリするほど暖かい

    用があって 三室を歩いた。  うららかで気持ちがいい。
    

  

    木蓮の蕾が陽をあびて 毛皮をのどかにひからせる。
   どこからともなく鋏の音、  軽快なリズムは春のものだ。 

    

      

 霞むような屋敷林をみながら 気の向くままに小径を行く
  庭先にロウバイが咲いて 梅が馥郁と香って 
  万年青の赤い実も 魚卵のようにかたまってた。 水ぬるむ日… 
   畑中に作業のひとも見える    黄金色の実がたわわだ


       

         うららかに汗かく耳のうしろかな    万太郎
         ついて来る人を感じて長閑なり     虚子

                -☆-

  きのう ルピナスの苗を植えた。 塔のような花も楽しみ。
   葉を7・8枚ひろげていておもしろい。 八つ手と思ったら、 
    天狗の葉団扇と教わった。 なるほど… と感心した。
   

         

   本日のこよみ 大寒  最低気温-0.6  最高 16.8℃

 


 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

芸術の芽

2010-01-19 | アートな時間

日曜に 再び 小村雪岱 
  今度は落ちついて 細部までゆっくり観ることが出来た。
  鏡花と雪岱、 清方と雪岱、 花柳章太郎と雪岱… 
   絹雨のような線描 ・  白と黒の美…
      

           -☆-

 美術館に巨大な像があらわれた   
     ロビーで象の親子が迎えるよ… 
  
  MOMASコレクションⅢ  ミューズ・フォーラム
       「芸術と素朴-<プリミティヴ>なるものと現代

  絵画の始原とはどのようなものであったか。 
  狩の獲物や豊穣をねがい洞窟や岸壁に施された線刻など
   呪術や儀式につかわれた? 
  描くという行為はどのように始まったか。 
    芸術のヘソの緒はどこ…  
   
                美術館ニュース「ソカロ」 

   源がわかる、   面白そうだ。 

  プリミティブ・アート… 原始芸術、 現存する部族社会の芸術。アンリ・ルソーら「素朴派」の作品、子供や障害者の作品など含む、

  ミティラー画、 ワルリー画など展示

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羽ばたき

2010-01-16 | 別所沼だより

  毎朝 気温は氷点下。 キーンと音がしそうなほど冷えた空に、 雲はじっとして動かない。  凍える沼にさざ波がたつ。 きょうはメタセコイアの枝打ちをしている。
 一巡りすると 浮島のあたりに川鵜やアオサギ。  鴨や鴎、ガン、鳩など一斉に羽ばたく。 ダイビングをくりかえす元気な翡翠にも逢える。 背から尾にかけてコバルトブルーがひときわ目立った。 

         
   

  ああ  またか  そうお思いでしょうが
      出逢ったが最後      写さずには居られませんよ

  

       カワセミの雄

    釣り人が  これは雌だと教えてくれる
     雄はもっときれいだよ… って 

   でも 調べると 雌のほうは下嘴が赤いらしい
    これは黒いから雄  
    紅をさした彼女の写真はこちらの方に 見せて頂きましょう   

 水質浄化試験のための囲いの中に 薄氷が張っている。 そこでなんども小魚を捕まえた。プレゼントするかわいい娘はまだいないのだね、 いつもひとりだ。
 足が赤い 胸から腹に橙色  あのメタリックなブルー
 するどい嘴 からだの割に大きな頭…  低空を 直線的にみごとに速く飛ぶ
                               



   
  木々の多くが葉を落として 遠くまで見通せるようになった

  ガイドさんは もう帰るところ…   ハウスの雨戸を閉めていた

                   -☆-

    深夜  もう眠れない
    寝床のなかに 私は聞く
    大きな鳥が 飛び立つのを
    ―― どこへ? ……

    吼えるるやうな 羽搏きは
    私の心のへりを 縫ひながら
    真暗に凍つた 大気に
    ジグザグな罅ヒビをいらす

    優しい夕ぐれとする対話を
    鳥は 夙トウに拒んでしまつた――
    夜は眼が見えないといふのに

    星すらが すでに光らない深い淵を
    鳥は旅立つ―― (耳をそばたてた私の魂は
    答のない問ひだ)―― どこへ?

            「何処へ?」   立原道造
  

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

梅が香

2010-01-09 | 自然や花など

  
    近所を歩くと  いつもの所に いつものように

  

     

         此谷の梅の遅速を独り占む     虚子

 

  それぞれの梅暦まで  今少し 

   

  菜の花やロウバイも  早い春を告げている 
  
  梅まつりが楽しみになる

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わが庭

2010-01-01 | 別所沼だより



        オリオンの盾新しき年に入る     多佳子

    あけましておめでとうございます

    ことしも どうぞよろしくお願いいたします

      冷え込んだ沼に 鴎がいました

      浮かんだのをよくみると 水面の赤い足が
             ボートのオールのように漕いでいた
      

               


         「木の椅子」  室生犀星         
 
        人は夕ばえのなかに去り
        君は神のみ臑を踏んだ。
        そのために肺を悪くして逝った。
        君は何度も
        庭の木の椅子の上にねむった。
        子供だと思って人は君を對手にしない。
        對手にしないから君はねむった。
        その君の姿はわが庭にある。
        誰もそれをさまたげはしない。
        立原よ
        今夜も泊って行ってくれ。   
    

 

 

  詩は  Hさんからいただきました  

      君の姿はわが庭にある…

   もう一つの庭に立ち 今年こそ詩人のすがたを 
        さまざまに読み取っていきたいと思います      

                -☆-

    青木乃里子「苺」 

   
       初暦めくれば月日流れそむ      播水 

    音もなく流れくる時間
   暦をめくる、 とたんに見慣れたけしきが新鮮にうつる

   どことなくめでたく 神々しくみえるので不思議です


       初景色濠浮く鴨の羽を見たり     寥々

       

                   

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする