別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

グレーの憂鬱

2008-11-27 | アートな時間

  休息

  小雨模様、  後ろ姿が気になって上野に出た。 「背を向けた若い女性のいる室内」 モデルをよく知っている… 

  絵の正面に向かい、 というより 背後から鑑賞することになるけれど。 この人物になりきった。 目にしたその日からこのうなじは私自身。 赤い猫毛の髪をアップにすれば、 そっくりなのだった。 彼女に呼吸を合わせ、 ついでに思考も重ねて。 意識が及ばない分、 後ろ姿こそ雄弁だ、 真実をみせるとおもう。

  無理な姿勢、 後れ毛、 袖の皺、 背もたれの波形、 皿のウエーブ。 静まる室内、 音がしない。 沈鬱な空気を、 やわらかな筆致で。 抑えた色。 セピアいろ、銀色。 落ちついた赤。
  ほか 人気ない風景。  フェルメールのようなひかり、グレーの詩情、 メランコリー。 部屋に落ちる陽光、 窓枠の翳、 浮遊する光りなど ワイエスにも。
 描いたのは ヴィルヘルム・ハンマースホイ(1864~1916)。デンマーク。

   筆致や色あい グウェン・ジョンに 似てる。 ロダンのモデル。 女流画家。 ホイッスラーに師事。           

 

                        

  

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冬が来る

2008-11-26 | 別所沼だより
 
 
時雨のあと  いそいで化粧したのです
沼の宴に ようやく間に合いました
 
 
 金色と緑青の雫をためて
針葉樹は
    緊張した匂いを 辺りに振りまきました
 
 
 
寒い 鋭い 透明な冬に向かう
  誇らしげな  いでたちと薫りです  

 
 
      
 
 
 メタセコイアの細い葉が  
                今は つつましやかに降っています。

         

 

公園に 分厚い絨毯ができあがるころ
                       冬の装いに替わります。

 

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時雨

2008-11-11 | 別所沼だより

 

                  しぐれ
         
しぐれ
        もし
        あの里を
                とほるなら 
        つげておくれ 
                あのひとに  
                わたしは 今夜もねむらないでゐた――
        と
        あのひとに
        つげておくれ
 
                     しぐれに寄する抒情   佐藤春夫

   肌寒い日が続いています。   

 

          公園から遊歩道に出て 元気な ヒメツルソバ に逢いました

             

                      小さな呟きに   耳を貸しましょ 

   ※ これから お休みの間 書きためていたものを再掲します。 2009.1.8

 

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石蕗の花

2008-11-05 | 自然や花など

                            

    いろなき風が 黄色を揺らす

       
       咲くべくもおもはであるを石蕗の花    蕪村

       今日となり明日となりゆく石蕗の花    たかし

       つはぶきはだんまりの花嫌ひな花    鷹女

       静かなる月日の庭や石蕗の花      虚子

 

  去年は これほどきれいには咲かなかった。 
  ことしは ひときわ鮮やかで眼に沁みる。 花に気を取られ
  これを食べるなんて思いつかなかったが。

    ある時、 蕗を煮るように石蕗を炊いたのをご馳走になった。 
    とても美味しい。 水っぽさがない。


      

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